エニデヴィ

本作は神話や聖書をモチーフとした天使、悪魔、神が存在する世界。天使と悪魔の対立はもちろん、人間を含めた三つ巴（どもえ）の対立関係をコミカルに描いたドタバタコメディ。天使のエニエルと悪魔のデヴィエラは犬猿の仲で、些細なことでケンカをしては、ほかの天使や神々を困らせている。見た目は美女ながらトラブルメーカーの二人が暴走し、時には悪ノリで世界を巻き込む大騒動に発展していく。1話完結形式のストーリーで、エピソードごとに異なるキャラクターが登場する。日本のほかにもパリやロンドン、ニューヨークなど海外の都市や、神や天使が暮らすエニエルの故郷、天界が舞台となる。１話ごと場面ごとに役割が目まぐるしく入れ替わり、読者を飽きさせない構成となっている。

主人公の一人であるエニエルは、コスメや洋服、イケメンに目がないお騒がせ天使。気高くお淑（しと）やかな金髪美女ながら、悪ノリで暴走することがあり、特に天敵の悪魔、デヴィエラとは意地と意地がぶつかり合って次第にヒートアップし、いつも世界を巻き込む大騒動に発展する。一見すると正反対に見える二人の共通点は、洋服やコスメ、温泉など地上の人間の文化に興味津々なこと。そんな二人は魂を巡る仕事上の対立はもちろん、人気コスメを奪い合っての私情や私怨丸出しの大ゲンカは日常茶飯事で、時には地上の都市を破壊したり水没させたりとやりたい放題で、ゾンビを発生させたりもしている。ふだんは犬猿の仲の二人だが、実はよき親友同士でもあり、利害が一致した時は協力し合っている。

天使のエニエルと悪魔のデヴィエラが世界各地でキャットファイトを繰り返すうちに、以前からデヴィエラに目を付けていた若きイケメンエクソシストのドノヴァンが動き出す。不穏な動きを察知したデヴィエラは人間に変装してエクソシスト協会に潜入を試みるが、久々に地上に戻ったエニエルは、ドノヴァンとデヴィエラがイチャイチャしているとカンちがいし、激怒したエニエルはデヴィエラを攻撃。彼女たちの激しい戦いは、ワシントンで爆発騒動が起こるほどの大事件へと発展する。本作はシュール&スタイリッシュなコメディながら、緻密なタッチでデザイン性にも富んだ作画が楽しめる。聖書をはじめとする宗教や神話、天使や悪魔の豆知識といった小ネタが登場するのも特徴となっている。