概要・あらすじ
悪魔里は魔王サタンの後継者候補。修行のために人間界の私立轟天高校に送られたが、新聞部員の聖毬奈を助けたことから、悪魔なのに正義の味方と勘違いされてしまう。そこに同じく魔王の後継者候補の魔神大、さらに天使である天上院洸、弓舵冴子も次々に転校してくる。天使たちは人類浄化計画「ノアⅡ」の実現のために悪魔である魔里たちを始末しに来たのだった。
天使を倒すには封印された「三種の魔器」を手に入れるしかない。魔器をめぐって、悪魔と天使の壮絶な戦いが始まる。
登場人物・キャラクター
悪 魔里 (あく まさと)
魔王サタンの後継者候補。魔界から来た転校生。スケールの大きな悪になるために人間界に送られたが、十字架に弱く、敬虔なクリスチャンである聖毬奈にいつも振り回されている。かつて魔王サタンの一部であった「三種の魔器」のうち「魔王斬」と共鳴し手に入れるが、我を失い敵味方の区別なく破壊の限りを尽くそうとした。その時は、思い込みが激しい悪魔里の性格を利用した毬奈に「魔王斬」は3分しか使えないと言われて、事なきを得た。
聖 毬奈 (ひじり まりな)
新聞部部員でクリスチャン。長い黒髪をいつもリボンで束ねている。学園の悪を一掃するために、生徒会長の牙堂晴馬が裏から学園を操っていることを暴こうとするが、逆に不良たちに襲われてしまう。そこを悪魔里に助けられ、魔里こそが正義のヒーローだと勘違いする。ヒーロー用コスチュームを自作しており、自称「正義ピンク」。あまりにも無垢な心を持っているため、天上院洸の「浄化」も効かない。
魔神 大 (まがみ だい)
魔王サタンのもう一人の後継者候補。悪魔里のライバルで常に張り合っているが、共通の敵「天使」を倒すために共闘する。本人曰く「破壊の申し子」で、どんな物理攻撃も効かないらしい。必殺技は「破壊パンチ」「ベルゼゼブボンバー」「ケルベロスクラッシュ」など多数。天上院洸との戦いに敗れ、山で地獄の特訓に励んだ。のちに「三種の魔器」のうち「魔王雷」と共鳴し、体に宿すことになる。 「魔王雷」を使っての技は「魔王招雷破」。
牙堂 晴馬 (げどう はるま)
見かけは眉目秀麗な生徒会長だが、陰では不良と組んで学園を操る大ボスとして君臨していた。それを知った新聞部の聖毬奈を痛めつけようとしたが、悪魔里によって阻止されてしまった。その際、魔里の真の悪魔の姿を見たため、恐怖で白髪になり、学校をやめバチカンへ渡った。
裁谷 (さばくたに)
天界での急進派の中心人物で、「ノアⅡ」の総統。天上院洸や番田院京介を使い捨てにしたり、聖毬奈の身体を乗っ取るなど、卑怯な手を使う。彼自身の能力は「天罰」で、悪魔を石に変える強力なもの。二段変身を経て戦う聖霊「神の子裁谷DX」となり、この姿になるとすべての天使の最終能力を使いこなせる。
天上院 洸 (てんじょういん あきら)
「ノアⅡ」の大幹部で、神族の第四位格(第四ペルソナ)天使。悪魔里と魔神大から「三種の魔器」を守るため、私立轟天高校に転校してきた。知的で美しい外見から女子生徒たちの人気を集め、新しい生徒会長に立候補する。風紀委員室では「浄化」と称して生徒たちを洗脳している。天使の姿の時は、触れる物すべてを切断するオーラ「聖光輪(ディバインリング)」「聖光剣(ディバインブレード)」を使う。
名もない天使 (なもないてんし)
悪魔里と魔神大を浄化しに来た使徒の一人で、プロレスラーの姿をした天使。地上に降りた天使はすべて何かしらの職に就き人間との同化を図るが、彼の場合はプロレスラーだったため、筋骨隆々で角刈り、タイツといういでたちである。必殺技は「浄化パンチ」「浄化ラリアート」。敗れたあとに爆発したせいで、聖毬奈には悪の怪人だと思われる。
ジェイソン時田 (じぇいそんときた)
悪魔里の魔界での執事。魔里の父親の言いつけで人間界の魔里の世話をしにきた。白髪に仕立ての良いスーツを着た上品な初老の紳士だが、常にチェーンソーを持っている。天上院洸と弓舵冴子の話から、「三種の魔器」の情報を得る。その際、大凧に乗って飛んだり、身代わりの術を使ったり多才な部分を見せる。
不翼の天使 (ふよくのてんし)
天上院洸と悪魔里が生徒会長の座を巡って行ったバスケット勝負のために、天上院が天界から呼び寄せた身の軽い天使たち4人。あまりの速さに姿が見えなくなる秘密兵器「見えないディフェンス」を使う。しかし速く動き回ること以外はできない。
弓舵 冴子 (ゆだ さえこ)
天上院洸の補佐役として人間界に送られた天使。天上院の命で、スケバン姿で私立轟天高校の不良たちを掌握している。十字架を手裏剣のように投げて使う。そのクールさから「氷の天使」「スケバンの天使」とも呼ばれるが、正体は天界の穏健派、破牢院冴子である。破牢院は諜報の名門で位は智天使(ケルビム)。
来栖 (くるす)
十二使徒の一人。天上院洸と弓舵冴子によって呼び出され、ジェイソン時田を捕まえた。巨大な十字架を回転させながら投げつける技「風車十字架」の使い手。悪魔が十字架に触れるのは命取りになるため、悪魔里も魔神大もこの技に苦戦を強いられる。
神 撲念 (じん ぼくねん)
風紀委員会副長で神四兄弟末弟の坊主の大男。十二使徒の一人、位は力天使(バーチュー)。ひどい低血圧で、寝ているところを起こされると狂暴になる。必殺技は分子の結合を絶ち切り、物質を霧にする「超振動アーム」。四兄弟で「三種の魔器」の一つ「魔王斬」を守っている。四兄弟の合体技「四神合体グランドゴルゴダクロス」により真の姿「神威鳳」になる。
神 理怖 (じん りふ)
風紀委員長で神四兄弟長兄でリーダー。十二使徒の一人、位は力天使(バーチュー)。四兄弟で「三種の魔器」の一つ「魔王斬」を守っている。超頭脳を持っていて、相手の動きを完璧に数値化し予測する。全てを論理的に考えるため、非論理的なものが許せない。四兄弟の合体技「四神合体グランドゴルゴダクロス」により真の姿「神威鳳」になる。
神 粉美 (じん こなみ)
神四兄弟。十二使徒の一人、位は力天使(バーチュー)。四兄弟で「三種の魔器」の一つ「魔王斬」を守っている。善の心がないと突破できない神造空間「善の迷宮」を、私立轟天高校の風紀委員室に作る。四兄弟の合体技「四神合体グランドゴルゴダクロス」により真の姿「神威鳳」になる。
神 骨破美 (じん こっぱみ)
神四兄弟。十二使徒の一人、位は力天使(バーチュー)。四兄弟で「三種の魔器」の一つ「魔王斬」を守っている。兄弟のうちで唯一関西弁で話す。必殺技は念じただけでその場を爆発させる「思雷」。四兄弟の合体技「四神合体グランドゴルゴダクロス」により真の姿「神威鳳」になる。
神 威鳳 (じん いほう)
神四兄弟の合体技「四神合体グランドゴルゴダクロス」により現れる真の姿。大きな翼を持った天使で、身体の大きさも普通の人間よりずっと大きくなる。邪悪な者は指一本触れることができない「聖障壁」、空間をも振動させる衝撃波「聖波ディバインブレスト」を使う。一度も顔を殴られたことがない。
番田院 京介 (ばんだいん きょうすけ)
天上院洸のあとに「ノアⅡ」の新幹部になる。堕天使ルシファーの血を引く者で、天界と魔界の両方の血を受け継いでいる。不遇な幼年時代を送ってきたが、裁谷に能力を認められた彼の秘蔵っ子である。機械を愛するメカニックで、自らの左手を重力を操るメカハンド「神の左手(ディバインアーム)」に改造している。緋狼院麗香とは幼なじみ。
緋狼院 麗香 (ひろういん れいか)
番田院京介の幼なじみで、天上院洸に好意を寄せる名門のお嬢様。位は主天使(ドミネイション)。「魔王雷」の封印者。最終能力は超高熱ビーム「緋色の炎ディバインフレアー」。悪魔里が洸を殺したと思っており、復讐のために魔里と魔神大を彼女の作った神造空間へと呼びよせる。大を偽の手紙でおびき寄せるが、大が本当に緋狼院麗香に好意を寄せてしまったため、彼女も大を意識するようになってしまう。
伊藤 妖火堂 (いとう ようかどう)
魔界から脱走した抜け悪魔で、黒い長髪、黒のスーツ、サングラスと黒ずくめの男。人間界で身に付けた黒魔術を使う。悪魔里や魔神大には最初、第二の魔器「魔王翔」と思われていた。一部の記憶が抜け落ちているが、魔界にいる頃は魔王の後継者候補だった。私立轟天高校の住み込み用務員となり、魔里や大たちと共に闘うことになる。 のちに「魔王翔」が宿ると、「魔王重力爆(グラヴィティプレッシャー)」を使えるようになる。
麻台 (またい)
天上院洸の十二使徒残党の一人で空手部部長。「一撃必殺の麻台」と呼ばれる。外見は空手の道着にモヒカン頭。必殺技は「奥多摩林道拳」「スーパー林道拳」。「チェスト」の掛け声から、鹿児島県出身と目されている。悪魔里に戦いを挑むが、伊藤妖火堂に阻まれる。
八瘤 (やこぶ)
天上院洸の十二使徒残党の一人で柔道部部長。「桜島大噴火の八瘤」と呼ばれる。語尾に「ごわす」とつけて話すことから、彼も麻台と同じく鹿児島県出身と目されている。悪魔里に戦いを挑むが、魔神大に阻まれる。
司門 (しもん)
天上院洸の十二使徒残党の一人でパソコン愛好会の会長。「ブレイン司門」と呼ばれる。悪魔里の情報はすべてパソコンにインプット済み。外見はひ弱なオタクそのもので、パソコンで戦うのかと思いきやデータを収集していただけで実際何の役にも立たず、魔里に一撃で倒されてしまった。
夜羽 (よはね)
天上院洸の十二使徒残党の一人。「魔斬りの夜羽」と呼ばれる。剣に魅せられ数多くの悪魔を斬って来たが、まだ剣の道を極められずに十五年山に籠っていた。悪魔里の「魔王斬」と立ち会うことで、剣の道を極めようとしている。手にする剣は名刀「胴田貫正国(どうたぬきまさくに)」。
ジャオウ
魔界の司政官。半魚人のような姿をした老獪な悪魔。魔王や後継者、魔器についての秘密を知っており、魔王復活のための壮大な計画を目論んでいる。事実を知った伊藤妖火堂は逃げ出したが、すべての魔器の封印が解かれた時、その恐ろしい秘密を候補者たちに語ることになる。
魔王斬 (まおうざん)
「三種の魔器」の一つで、魔王サタンから天使によって奪われ封印された「刃」。魔器の中で最大の破壊力を持ち、魔器の中で唯一成長する。現在は第一段階だが、極限まで成長すると魔王本人さえも斬り捨てる「魔王バスター」になる。封印を解かれた姿は、明るい髪を二つに結んだ小さな女の子「六車美里」で、六甲由美、六波羅裕美との三姉妹の三女。 「三位一体のうちの最初の6」で、悪魔里の額に魔界文字「6」が刻まれる時に第一の魔器として発動する。魔里と合体すると、彼の腕の一部から鎌のようにせり出す形態となる。
魔王雷 (まおうらい)
「三種の魔器」の一つで、魔王サタンから天使によって奪われ封印された「角」。稲妻と力を呼ぶ角であり、緋狼院麗香によって封印されていた。封印された姿は小さな黒猫で、魔神大によって「クロちゃん」と名付けられる。封印を解かれたのちの姿は黒髪をポニーテールにした豊満な肉体の美女「六甲由美」。六車美里、六波羅裕美との三姉妹の次女で唯一大阪弁で話す。 「三位一体のうちの第二の6」で、魔神大と共鳴して発動すると魔神のねじれた悪魔の角として生え、能力が解放される。
魔王翔 (まおうしょう)
「三種の魔器」の一つで、魔王サタンから天使によって奪われ封印された「翼」。夜を飛び大地天空を操る翼と言われる。番田院京介によって封印されていた。封印が解かれたのちの姿は長い黒髪の豊満な肉体の美女「六波羅裕美」。六車美里、六甲由美との三姉妹の長女で、黒猫にされていた「魔王雷」の封印を解いた。「三位一体のうちの第三の6」で、伊藤妖火堂と共鳴すると蝙蝠のような黒い翼として宿り、能力が解放される。
MAD=ZⅡ (まっどぜっとつー)
「Mobile=Armored=Defecater」の略称で、通称「ロボ天使」。悪魔に対抗するために番田院京介が天上院洸の身体と記憶床を利用して作ったロボット天使。肩には10トンの岩をも粉砕する熱粒子砲、2000度の高熱を発する指先、足にはロケットランチャーを備えている。悪魔里との戦いにおいて、洸であった頃の記憶が蘇ってしまう。
サーヴァントツイン
緋狼院麗香の守護役の双子の少女アンドロイド「マリオンA」と「お雪」のこと。悪魔里が女性に対して示す反応をデータに取るためにやってきた。強力な暗示で相手を縛る「暗示縛」を使って魔里に暗示をかけ、女性に触れることをできなくする。なお、のちにマリオンAは麗香を救うために魔里に手を貸すことになる。
へケート
悪魔里が魔界の屋敷で飼っていた魔界の白猫。ジェイソン時田が魔界から人間界にやってくる時に、一緒に連れてきた。山に籠って魔神大と特訓していた魔里に、ボロボロになりながらもジェイソン時田の危機を知らせに現れる。
場所
私立轟天高校 (しりつごうてんこうこう)
ごく普通の私立の共学高校だが、悪魔里が転校してきたことをきっかけに、彼を追ってきた魔神大、悪魔と対抗するためにやってきた天上院洸などの天使たちが数多く集まった。人類浄化計画「ノアⅡ」の中心地となり、風紀委員室では浄化が行われ、校内に神造空間が作られたりもした。なお、一般の生徒たちは悪魔や天使の存在に気づいていない。
風紀委員室 (ふうきいいんしつ)
天上院洸が使徒たちと「浄化」を行う場所で、十字架を祭った祭壇のような部屋に改造されている。中には浄化された生徒「浄化人間」たちがいる。神四兄弟が悪魔里たちを呼び寄せた時には普通の部屋から、神粉美が作った「善の迷宮」の入口に姿を変えた。
天使の本拠 (てんしのほんきょ)
富士の樹海にあるが都心の教会から秘密の扉で通じている、城のような荘厳な巨大建築物。人間に察知されないよう付近一帯が神造空間で覆われている。中は石造りの神殿のようになっているが、天使たちの食堂など普通の部屋もある。裁谷は常にここから指令を出しており、悪魔里たちは裁谷を倒すためにここに乗り込むことになる。
その他キーワード
ノアⅡ (のあつー)
悪魔によって汚染された人類を「浄化」(大量虐殺)する天界の計画、またはそれを目的とする組織。人類浄化計画「ノアⅡ」は日本のみを対象とした実験的計画で、この実験の完遂をもって、全人類浄化を決定する。特定の染色体にだけ作用する染色体爆弾を使うため、人間以外の種は滅びない。また天使によって浄化され新しい種となった「浄化人間」も対象外となる。
染色体爆弾 (せんしょくたいばくだん)
人類浄化計画「ノアⅡ」のための最終兵器。セットされた染色体数を持つ生物のみに作用し、その生物を一瞬にして塵にしてしまう死の兵器。人間の染色体数46にセットしてある。番田院京介の指示で米粒サイズの時限装置も作られた。時限装置が作動すると、日本列島を特殊なバリヤーが覆い、3時間後に染色体爆弾が作動する。
新しい種 (のあしーど)
染色体爆弾の対象にならない新しい種。天上院洸などの天使の「浄化」によって、個をなくし天使のいいなりに洗脳された「浄化人間」のことで、彼らは染色体爆弾が作動しても対象者にならない。天上院洸は私立轟天高校の4割を浄化することに成功している。
三種の魔器 (さんしゅのまき)
「魔王斬」「魔王雷」「魔王翔」の三つの魔器のこと。かつて天使軍との戦いで敗れた魔王サタンの三つの部分を天使が奪ったもので、3人の天使に守らせ封印した。その三つの部分は刃、角、翼で、それぞれが「魔王斬」「魔王雷」「魔王翔」である。魔器の魔力はたった一つでもすさまじく、過去何度か悪魔の手に渡ったことがあったが、ある者は発狂し、ある者は塵となり、ある者は爆死した。 ソドムの都も神に滅ぼされたのではなく、魔器を手に入れようとした人間たちが魔器の使い方を誤ったためであった。魔王後継者なら正しく使うことができる。