あらすじ
第1巻
ある夜、万里小路諭一の部屋に、背中に大きな羽の生えたかわいらしい天使の女の子、うたが姿を現した。うたは、地上に落とした天使の輪を捜していて、諭一のもとに辿り着いたと語り、彼に天使の輪の返却を要求する。しかし童貞の諭一は、とてつもなくかわいい女の子を前に、抑えきれない下心が爆発。そんな諭一の心を読んだうたは困惑し、エッチなことはできないと拒絶するが、律儀な彼女はキスだけならと諭一にキスを許してしまう。意気込んで諭一は彼女にディープなキスをし、うたはあいさつのキスでは感じたことのない、初めての気持ちよさに流されそうになる。その瞬間、諭一はうたを押し倒し、「イケる」となし崩し的に行為に及ぼうとする。その心を鋭く感じ取ったうたは正気に戻り、辛くも行為に至ることはなかった。残念ながら思うようにならなかった諭一は、一般的な天使の輪の価格が4億円であることを引き合いに出し、それに見合った謝礼を受ける権利があるとうたに要求。そして、その要求を次第にエスカレートさせていく。(第1話。ほか、9エピソード収録)
登場人物・キャラクター
万里小路 諭一 (までのこうじ ゆいち)
人間の男性で、環境情報学部でメディアデザインを専攻している学生。長めのボブヘアに眼鏡を掛け、未だ童貞。人当たりがよく、優しい性格をしている。紳士的に見えるが、怜悧狡猾なところがある。もともと天使にあこがれを抱いており、偶然にもゴミ捨て場で天使の輪を手に入れた。それをベッドで本を読むときの明かりに使っていたところ、天使のうたに天使の輪の返却を求められる。しかし、一般的に天使の輪の落札価格が4億円ということを引き合いに出し、返すには相応の謝礼をもらわなければと主張し、さまざまなことをうたに要求する。それはキスや胸に顔をうずめるなど、基本的にエッチなことばかり。エッチなことに無自覚なうたがその真の意味を理解できないまま、応えようとする様子はかえって興奮の材料となり、万里小路諭一自身を悩ませる結果となる。うたのとまどう様子を見ながら、少しずつ要求をエスカレートさせていくが、すぐに心を読まれてしまうため、あまりあからさまに邪なことを考えるとすぐに拒否されてしまう。幼い頃に大恋愛で結婚した両親が離婚したため、恋愛に関してはまっすぐに信じきれないところがある。父親は海外赴任中のため、大きな家に一人で暮らしている。
うた
天使の女の子。人間界に落としてしまった天使の輪を取り戻すため、現在の持ち主である万里小路諭一の前に姿を現した。美しい髪を腰の下まで伸ばし、純真無垢なベビーフェイスに、似つかわしくない熟れた体つきをしている。天使は心が純粋すぎることから、人間に騙されないように学校で読心術を学ぶため、人の心を読むことができるが、あまり得意ではない。諭一から天使の輪を取り戻そうと、彼のもとを訪れるたびにさまざまな要求をできる限り応えようとするが、それらは基本的にはエッチなことばかり。その真の意味を理解できないまま、応えようとする彼女のさまはかえって諭一を興奮させ、その要求をエスカレートさせていく。しかし諭一と付き合いを重ねるうちに、うた自身の心にも変化が生じ、諭一に対して次第に離れたくないという感情が芽生え始める。ちょっと不器用でおっちょこちょいなところがあり、首元のリボンはいつも縦結びになってしまう。基本的に食事は必要ないが、諭一からもらったことがきっかけで、炭酸飲料やアイスキャンディーが大好きになった。
みか
悪魔の女の子。色っぽい顔立ちに細身のメリハリボディで、ボリューム感のあるゆるふわロングヘアにしている。種族はサキュバスで、栄養として受け付けるのは人間の男性の精気だけ。そのため、人間界に降りてきては男性を誘惑してセックスすることで生き永らえている。天使のうたとは大親友で、天使にとって親愛の意味を有するキスをする関係。ただし、みか自身はうたに対して友達以上の感情を抱いており、自分だけのものにしたいと考えている。うたが、天使の輪を人間に拾われたことを知り、奪い返してやろうと万里小路諭一の前に姿を現す。しかし、何度もやり取りをしていくうちに、諭一がうたに天使の輪を返す気がないことを察する。そこでみかは、うたが天使の輪がないことで、ほかの天使から疎まれており、天使の輪がないともう天使として生きていけなくなるとウソをつき、諭一から天使の輪を強引に取り戻そうとした。
その他キーワード
天使 (てんし)
天上に存在する背中に大きな翼を持った女の子。人間界の文明が進むにつれ、天使という存在が地上に降りてくることは滅多になくなり、現在は空の上での目撃情報が時々あるくらいになった。天使には頭の上に金色に輝く輪っかがあり、まれにそれを地上に落としてしまう天使もいる。その輪っかは人間界では高値で取り引きされ、美術館に展示されているものも存在する。天使の心は純粋すぎることから、人間に騙されないように学校で読心術を学ぶため、人の心を読むことができる。また天使同士のあいさつで、キスを交わすことがあるほか、親愛の意味を込めてキスすることもある。基本的に寿命はなく、天使の命は限りないものだが、姦淫はご法度とされており、背いた者は翼を失って寿命を持った人間として限りある命を全うすることになる。近年、天使は数が減少しているが、それはすべて人間に恋したことで天使が人間になってしまったため。現在では天使は種の存続を守るため、地上に降りることを禁じられている。食べることはできるが、食事の必要はない。また、下着を身につける習慣はない。