概要・あらすじ
大地震後、茨城にある四ツ葉製薬の周辺では、震災1日目から子供の高熱が多数確認されるようになった。これは四ツ葉製薬の実験用ウイルスが地震の影響で外に漏れ、周辺住民に感染したためで、厚生労働省による完全封鎖により、外部に拡大することは免れた。しかし、地震による被害者は243人だったのに対し、四ツ葉製薬のウイルス、すなわちクローバーウイルスの感染による死者は18歳未満の子供を中心に2356人に上った。
そんな中で、ウイルスに感染しながらも奇跡的に生き残った18人の子供たちは、それぞれに特殊な能力が発現。それを理由に、その存在を隠蔽し、研究することを目的として作られた政府組織の保護施設「GAH」に収容された。そして4年経った現在もなお、子供たちはスタンガンによる抑圧に耐え、社会から遮断された隔離生活を送っていた。
そんな中、青羽まりも、青羽凛の姉弟は、クローバーウイルスに感染しながらも、「GAH」の手を逃れていた。そして、姉弟の母親である青羽琴実は、震災で亡くなったはずの夫・青羽健助が「GAH」に収容されていることを知り、助け出そうと行動を開始。
「GAH」の真の姿を目にした琴実は、子供たちを守るべく、あえてまりもと凛から離れ、「GAH」の研究職員となることで組織への潜入を果たす。一方で、数少ない大人の協力者である細野すみれの自宅に匿ってもらっていたまりもと凛は、自分たちと同じようにクローバーウイルスに感染しながらも「GAH」の魔の手から逃れている仲間を探し始める。
その目的は、「GAH」に捕らわれた子供たちを助け出し、平凡で幸せな日々を手に入れるためであった。
登場人物・キャラクター
青羽 まりも (あおば まりも)
青羽凛の姉で、年齢は9歳。いつもいい子であろうと努力している健気な女の子。4年前、茨城を襲った大震災の時、クローバーウイルスに感染した。その後遺症で、触れた相手の善意を呼び覚まし、自分に対して好意的にさせることができる特殊能力を持つに至ったV族。また、生まれた時から泣いたり怒ったりすると周りの人が倒れる特殊な能力を持っている凛に触れることが可能で、他のD族に触れても殺傷効果を受けることがない。 また、まりもが手を握っている相手には凛の力が及ばない。自分の能力で、どんな相手の心をも自由に変えることができるが、母親との約束を胸に、むやみに人の心を操作しないように心がける優しい少女。クローバーウイルスに感染しながら、施設に入っていないため、政府組織「GAH」に追われている。 正義感にあふれ、優しく頼れる浅葉寅彦に心惹かれていく。
青羽 凛 (あおば りん)
青羽まりもの弟で、年齢は4歳。政府組織「GAH」に追われているため、追手をかく乱する目的で少女の格好をしている。ころにゃんたまが大好きで、いつもころにゃんたまの帽子をかぶっている。4年前、茨城を大地震が襲った時、母親の胎内でクローバーウイルスに感染し、その直後に生まれた。そのため、生まれつき泣いたり怒ったりすると自分に触れた人を殺傷する特殊な能力を持っているD族となった。 生まれた際、凛を取り上げた産科医もこの能力の犠牲となっている。しかし、まりもが手を握っている相手にだけはその力が及ばないため、出産中にまりもの手を握っていた母親の青羽琴実は無事だった。また、他のD族に触れても殺傷効果を受けることがないという特殊な能力も持つ。
青羽 琴実 (あおば ことみ)
青羽まりもと青羽凛の母親。4年前に茨城を襲った大地震の際、四ツ葉製薬に勤めていた。地震の直後にクローバーウイルスに感染した凛を出産したが、子供たちの身に危険を感じたため、凛とまりもを連れて病院から逃走し、奈良に住む妹の庄野空美のもとへ身を寄せていた。しかし、地震の際に会社で起きた火事で亡くなったと聞かされていた夫の青羽健助が生きていることを知り、収容先の「GAH」へと向かった。 そこで「GAH」の本来の姿を確認した後、まりもと凛に逃げるように伝え、「GAH」の研究職員となって内部に潜入。その後はクローバーウイルスに感染した子供たちのため、ワクチンの開発に携わっている。
青羽 健助 (あおば けんすけ)
青羽まりもと青羽凛の父親。4年前に茨城を襲った大地震の際、四ツ葉製薬に勤めていた。地震により会社で起きた火事で亡くなったとされていたが、のちに生きていることが判明する。震災の時に、初期段階のクローバーウイルスに感染し、それ以降「GAH」の医療棟で昏睡状態のままになっている。そのため、震災の日に生まれた凛とは面識がない。 震災以前に、人々を襲う通り魔に立ち向かってニュースになったことがあり、庄野空美がその録画を凛に見せていたため、凛は父親として青羽健助の顔を認識している。
庄野 空美 (しょうの そらみ)
青羽琴実の妹。奈良に住んでおり、4年前に茨城を大地震が襲った後、青羽まりもと青羽凛を連れて病院から逃げて来た琴実を長らく匿った。明るい性格のふくよかな女性。まりもと凛を誰よりも大切に想っており、「GAH」から逃れ、また戦いを挑むために行方をくらました2人がどうしているのか、心の底から心配している。
白川 波流 (しらかわ はる)
孤独な天才少年ピアニスト。4年前に茨城を襲った大地震の前日、ピアノのコンサートのため千葉にいるはずが、実は誰にも内緒で茨城へ旅行していたため、そこでクローバーウイルスに感染。その後遺症で、千里眼や予知能力に目覚めたZ族。そのような経緯から、感染者であることは「GAH」には知られていない。人の感情が流れ込んできてしまうため、周囲の音を嫌い、いつもヘッドフォンを装着している。 大阪で岩崎和也が使っていたカメラを拾い、持ち去った。その中の青羽まりもの写真を見てから、彼女を毎日夢で見るようになる。そんなまりもを危機から救おうと、西原陽子に後押しされつつ自分の能力を使い始める。実際にまりもと会って以降、彼女にどんどん惹かれていき、まりものためにいい人であろうとする。 しかし正義感にあふれ、たくさんの人に愛されている浅葉寅彦に対する嫉妬心に苛まれ、なかなかうまくいかない日々を送る。
西原 陽子 (さいばら ようこ)
白川波流の付き人を務める女性。「いいことをして悪いことをしない」をモットーに毎日を生きている。おっちょこちょいで少々抜けたところがあるが、愛嬌がありいつも一生懸命。置き忘れた携帯電話を探し当てた波流に特別な力があると実感し、彼が夢に見る少女の青羽まりもを助けるため、波流に協力する。波流の良き理解者であり、その後も波流の孤独を理解し、彼がまりもとうまく関係を築けるよう助力する。
氷月 (ひづき)
白川波流のマネージャーを務める女性。冷徹で余計なことや無駄なことを嫌い、いつも金儲けのことを考えている。しかし、冷たい態度を取りつつも、実は波流を大切に想っている大人の1人。波流が特殊な能力の持ち主ではないかと園部に疑われた時にも、巧みに嘘を並べ立て、波流を懸命に守った。
岡崎 さな (おかざき さな)
青羽まりもの親友の少女。父親がまりもの両親と同じ会社に勤めていたうえ、茨城ではまりもと家が隣同士だったため、幼少期は一緒の時間を過ごすことが多かった。4年前に茨城を襲った大地震の際、クローバーウイルスに感染。一命はとりとめたが、後遺症で接触による殺傷能力を持つようになったD族。それ以降、「GAH」に収容されているが、四ツ葉製薬の関係者だった父親にだけは、面会することを許されている。 成長に伴って特殊能力は強くなっており、触れていない相手に対しても、その効果が発揮されるようになってきている。
岡崎 せな (おかざき せな)
岡崎さなの弟。4年前に茨城を襲った大地震の直後に生まれたが、母親の胎内でクローバーウイルスに感染した。千里眼や予知能力、人の思考を感じ取ることができたり、自分に触れた人を殺傷する特殊な能力を持つ、D族にしてZ族。能力の影響により、出産直後に母親や産科医など、周囲の人間を殺してしまった。生まれた直後に保育器に入れられ連れていかれて以降、その所在や生死は不明のままとなっていたが、「GAH」の施設とは別の場所で隔離されて育っていた。 感情の起伏が激しく、何でも自分の思い通りにならないと周囲を傷つける危険な人物で、周囲の人間を弱いと蔑み、自身の病気が治ることを望んでいない。周囲からは恐れられ、「悪魔」と評されている。
岡崎 (おかざき)
岡崎さなと岡崎せなの父親。四ツ葉製薬に勤めており、青羽健助の直属の部下にあたる。4年前に茨城を襲った大震災の時、臨月の妻と娘のさなを連れて鎌倉に逃げようと試みるも、さながクローバーウイルスに感染したことで発熱し、足止めされることとなった。この時、妻が病院で出産することになったが、クローバーウイルスに感染していた赤ん坊のせなに触れたことで、産科医とともに妻は亡くなっている。 ちなみにこの時産科医を務めたのは、園部の妹であった。この事態に対しては、自分が四ツ葉製薬の関係者であったにもかかわらず、すべてを他人任せにして家族と逃げようとした罰であると感じ、「GAH」に勤めるようになった。ここで、健助から預かったウイルスのデータを青羽琴実に託す。 現在は、施設に収容されているさなに、特例として面会に行くことが許されている。
細野 すみれ (ほその すみれ)
MATVの女性アナウンサー。青羽まりもと青羽凛が、奈良から乗った電車の中で知り合った。付き合っていた沖田満広と別れ、あてつけに遺書を残して自宅を出てきていた。本来子供は苦手だが、まりもと凛に対しては何かと優しく、世話を焼いてやることになる。2人と接するうちにまりもと凛に対して違和感を感じ始め、別れた後に彼女たちについて調査を開始した。 のちに偶然まりもや凛と再会を果たし、自宅で匿う。沖田が調べていた「GAH」についての真実を知り、子供たちを守ろうとする。まりもたちに協力し、問題解決に尽力する数少ない大人の理解者。
沖田 満広 (おきた みつひろ)
MATVの報道ディレクターを務める男性。青羽琴実とは幼なじみで、今でも初恋の人として慕っている。4年前に茨城を襲った大地震の際、細野すみれとともに取材に訪れ、子供に謎の感染が広がっている状況を疑問視する。クローバーウイルスに感染し、生き残った子供たちのその後を「GAH」に取材に行くなどして事件の情報を集め、さまざまな疑念を持ち始める。 その後、自身の身の危険を感じ、すみれや同僚に連絡を取った後、事故に遭って死亡した。ただしそれは表向きで実際は密かに生き延びており、名前を変えて室戸皇貴の後援会の秘書となって潜伏を続けていた。
園部 (そのべ)
文科省に勤めていた男性。4年前に茨城を襲った大地震の際、東海第一病院で産科医を務めていた妹がいる。その妹が亡くなったことを聞いて現場に駆け付け、妹の死の原因が、クローバーウイルスに感染した子供によるものであることを知り、ウイルスに感染しながらも逃走している子供を捕まえようと執拗に追いかけている。婿入りして園部悠銀の義父となったが、旧姓の「筒井」の名で「GAH」の責任者を務めている。 悠銀がウイルス感染者だということを知らない。
園部 悠銀 (そのべ ゆき)
「GAH」の近くにある、「モンサンミッシェル」の通称を持つ屋敷に住む車椅子の美少女。クローバーウイルスに感染しており、他人の心が分かる力、千里眼、未来予知の力、触れた相手の心を操る力、人の体を吹き飛ばすサイコキネシスなど、さまざまな特殊能力を持つ、V族にしてZ族。どの力も占有能力者のものより弱く、単発的で効果も長くはもたない。 その代わり、電脳の世界に侵入することができる。実は「GAH」責任者である園部の義娘。ウイルスに感染したせいで体が自由にならないため、ベッドの上での生活を余儀なくされている。施設に収容されている子供たちを解放し、自分が用意した南の島で暮らすのが夢。しかし、目的のために無差別攻撃を始めたことで、志を同じくしていたはずの青羽まりもと対立関係になってしまう。
室戸 皇貴 (むろと こうき)
文部科学大臣を務める男性。大地震によって起きたクローバーウイルスの感染事件について、四ツ葉製薬の責任を広く国民に訴え続け、自身の知名度を上げた。クローバーウイルスにより得られる特殊能力を、政治的、軍事的に利用しようと画策。そのために、完成したワクチンの存在を自分だけのものにすべく、開発者の青羽琴実を拉致監禁する。
キューシルバー
主にインターネット上で反政府活動を行っている謎の人物で、クローバーウイルスについて黒い噂の絶えない文科省の批判を行っている。「GAH」に詳しい様子で、子供への虐待についても触れている。「GAH」に収容されている子供たちに密かにコンタクトを取り、いつか助け出すための準備をしている他、泉洋平と境井涼太のピンチを救い、匿っている。 しかし、キューシルバーと直接面識を持つ者はおらず、その人物像は謎に包まれている。名前の由来は子供に人気の戦隊ヒーロー「救急戦隊キューレンジャー」からとされているが、実際の「救急戦隊キューレンジャー」にシルバーはいない。
浅葉 寅彦 (あさば とらひこ)
埼玉に住むサッカー好きな少年。4年前の大地震の際に茨城の祖母の家に遊びに行っており、クローバーウイルスに感染した。その後遺症により、異常なジャンプ力を持つようになったA族。能力のことを周囲に知られないように注意しながら生活を送っていたが、友人の境井涼太が線路に突き落とされたところを助けたことで、身元がばれ、「GAH」に存在を知られてしまう。 特殊能力で連絡を取って来た白川波流を介して、青羽まりもと合流し、ともに細野すみれの家に匿ってもらうことになる。青羽凛が泣いている時に触れても、殺傷効果の影響を受けない数少ない人物。正義感にあふれ、行動力がある優しい人柄。しかし、時おり考える前に体が動いてしまうことがあり、そのせいで騒ぎを引き起こすことも多い。
浅葉 照輝 (あさば てるき)
浅葉寅彦のいとこの少年で、通っていた学校では青羽まりもの隣のクラスに所属していた。明るい性格でお笑い芸人を目指している。4年前に茨城を襲った大地震の際、クローバーウイルスに感染した。サイコキネシスの能力を持ち、「GAH」に収容されたが、病気が治らないことを理由に帰ってこないままになっている。「GAH」内では、サイコキネシス能力を抑えるために、体が重く感じる注射を打たれ、車いすでの生活を余儀なくされている。
泉 洋平 (いずみ ようへい)
埼玉に住むサッカー好きな少年で、浅葉寅彦の友人。寅彦をライバル視しており、何に対しても本気を出さずいつも手加減している寅彦に、本気で戦ってほしいと考えている。友達想いで頭が切れるため、ピンチに陥った寅彦を頭脳でサポートしつつ、協力しながら捕らわれていた「GAH」から逃走を図る。のちに寅彦と離れ離れになり、園部悠銀のもとで境井凉太と生活をすることになる。
境井 凉太 (さかい りょうた)
埼玉に住む少年で、浅葉寅彦の友人。両親が離婚し、新たに義父になった男性に虐待を受けているため、別れた父親を慕っている。そんな複雑な家庭環境が原因でサッカーを辞めて以降、最近では万引きや恐喝の噂が絶えない。ある時、駅で義父に突き飛ばされ、電車に轢かれそうになったところを寅彦に助けられる。これを機に「GAH」に目を着けられて追われる身となった寅彦に命を助けてもらった恩義を感じ、彼の逃走を助けようと泉洋平と3人で、別れた父親を訪ねる。 のちに寅彦と離れ離れになり、園部悠銀のもとで洋平と生活をすることになる。
穂苅 勇人 (ほかり ゆうと)
朝の子供番組「モーニングおはおは」で、着ぐるみの中に入ってころにゃんたまを演じている21歳の男性。歌に踊りにマジックにものまねと、何をやらせてもうまく、タレントとしても人気を博している。白川波流が彼を見ても何も感じ取ることができない謎の多い人物。10年前の子役時代、テレビの生放送で殺人事件を予言したことがあり、それから6年間、ぱったりと姿を見せなくなった時期があった。 しかしその後、子役を脱皮し、タレントとして活動を再開、現在に至る。母親は「歌舞伎町の北の魔女」と呼ばれる占い師。「GAH」の責任者である園部と通じている。
美波 (みなみ)
穂刈勇人が少年時代に同じマンションに住んでいた美少女。10年前に穂刈が予言した「華園天神」の殺人事件で、被害に遭って重症を負いながらも唯一一命をとりとめた。しかし、亡くなった他の3人の少女たちからひどいいじめを受けており、実は美波こそが3人を殺害した犯人であった。
剣崎 ミカ (けんざき みか)
穂苅勇人の自宅に通っている老女。ばあやとして、ハウスキーパーを主体に毎日の食事の支度や勇人の生活全般の世話を担っている。老女ながら目つきが鋭く、がっしりした体格でなかなかの存在感を持つ。その正体は、かつて「ドラゴンリューゾー」の名でプロレスラーとして活躍していた男性。勇人が友達として自宅に連れて来た青羽まりもや青羽凛、浅葉寅彦を歓迎し、温かく迎えた。 その後も何かと訪れる子供たちのピンチを救うための、なくてはならない協力者となる。
五郎丸 アユ (ごろうまる あゆ)
剣崎ミカの知り合いの医師。がっしりした体格の女性だが、ミカとの古い知り合いということも加味し、おそらく本当は男性であろうと推察される。政府をはじめとした大組織との関係がない医師ということで、信頼できる協力者としてミカに紹介された。昏睡状態の青羽健助に投薬するなど、青羽まりもたちのために医師として協力し、尽力する。 穂苅勇人が大好きで、隙あらば自分のものにしようとする。
ヨー
青羽まりもと岡崎さなが逃走中に出会った、川沿いに住むホームレスの男性。ホームレスになる前は、財前重工に勤めていたため、社内のことに詳しく、財前重工が極秘で開発していた物の中に「ヤバい兵器」があったと語っている。4年前の地震により財前重工で爆発が起こり、これが放射性物質をまき散らす結果になったという真相を知っており、当時それを告発しようとしたものの、命を狙われ生活も立ち行かなくなったため断念。 結果的に逃げ出した形になったが、まりもたちと出会い、再び戦う決意を固める。
岩崎 和也 (いわさき かずや)
アニメが大好きな13歳の少年。転校後いじめに遭って不登校になったため、現在は自分の部屋に引きこもる毎日を送っている。部屋の窓から見える向かいのアパートを日々よく観察しているため、アパートに住む人の動向に詳しい。そのアパートを訪ねて来た青羽まりもと青羽凛を自宅に招き入れ、彼女たちの力になろうと尽力する。平凡な毎日に不満を持つ一方で、戦隊ヒーローに強い憧れを抱いており、いつか人のために自分が立ち上がる日がくることを望んでいる。 「GAH」からまりもと凛を逃がすために自らがおとりとなって逃げている最中、追い詰められて歩道橋から転落し重体となってしまう。いつもカメラを持ち歩いており、まりもや、自分が追い詰められるまでの写真を撮影していた。
セバスチャン・ルブラン (せばすちゃんるぶらん)
庄野空美が入会している芸術家協会の仲間の男性。何かと青羽琴実の逃走に協力しており、空美から、青羽まりもと青羽凛の保護を託されていた。大阪の岩崎和也の自宅の向かいのアパートに住んでいたが、まりもと凛が訪ねて行った時には、追手の気配を感じたのかすでに行方をくらませた後であり、会うことはかなわなかった。
相田 (あいだ)
夕方になると毎日名古屋駅に姿を現す老婆。娘を迎えに来ているらしいが、その娘はとうの昔に火事に巻き込まれ亡くなっている。その現実を受け入れられず毎日駅に姿を現すため、駅の売店員の間では「毎日婆ちゃん」と呼ばれている。青羽凛が埼玉に住む自身の祖母と間違えたことがきっかけで、青羽まりもとともに一人暮らしの自宅に招き入れ、本当の孫の様に接した。
四ノ宮 結衣 (しのみや ゆい)
青羽まりもと青羽凛が鎌倉へ向かう途中で知り合った女子中学生。学校の先生からレイプされ、写真をネタに脅迫されている。ストーカー行為を受けており、彼から逃れるため、まりもや凛に協力しつつ行動をともにすることになる。現在吐き気があることから妊娠を疑っており、その後の人生に絶望感を抱き、自殺を考えている。
政孝 (まさたか)
庄野空美の隣の家に住んでいる男性。両親を事故で亡くしてからというもの、その悲しみから昼も夜もかまわずにいつもギターを弾いており、そのせいで空美とトラブルになっていた。その際、青羽まりもが触れながら「ギターをさわらないで」とお願いしたことにより、ギターを弾きたいのに触ることができず、自分が傷だらけになり、家中を血まみれにしてしまう事件が発生。 その後入院し、平静を取り戻したことでことなきを得た。まりもは、これがきっかけで人の心を操ることの重大さを実感することとなった。
ころにゃんたま
青羽凛が大好きな猫のキャラクターの名称。男女問わず子供に人気がある。子供向け玩具やお菓子など、さまざまなキャラクターグッズが販売されており、地方限定のグッズなども展開されている。凛がかぶっている帽子は、地域限定カラーが販売されており、人気を博している。そのほか、シリーズキャラクターとして「くろにゃんたま」もある。 穂刈勇人は、公式に着ぐるみのころにゃんたまを演じて活動している。
場所
財前重工 (ざいぜんじゅうこう)
4年前に茨城を襲った大地震の際、爆発事故を起こした会社。その後、火災による煙が有毒であると近隣に噂が流れた。この爆発事故の後から、近くにあった四ツ葉製薬内での放射線量が高レベルに上昇したため、財前重工には、何らかの放射性物質が大量に存在したのではないかという憶測がなされている。存在しないはずの放射性物質が大量にあったことから国が何らかの形で関与していることが疑われているが、震災以降、この件に関しては表ざたにならず、何の問題視もされていなかった。 しかし、ことはキューシルバーの攻撃をきっかけにして次第に明るみに出始める。
四ツ葉製薬 (よつばせいやく)
青羽健助、青羽琴実が勤めていた製薬会社。4年前に茨城を襲った大地震の時、社内で火災が発生。当時主任だった健助は研究室をロックして作業を続けていたが、ワクチンを作っていたウイルスが漏れてしまった。その時、なぜか社内の放射線量が高レベルに上昇し、漏れた実験用ウイルスを悪性に変化させることとなった。このウイルスに感染した子供たちは発熱し死に至ったが、生き残った子供たちがわずかに18人存在するとされている。 そのすべてが予知能力や千里眼、運動能力の異常に高い子供や、触ると殺傷能力を発揮する子供など、さまざまな特殊能力を持つに至った。政府はその原因がすべて四ツ葉製薬にあるとし、責任を押し付けた形となった。
GAH (ぐりーんえんじぇるほーむ)
クローバーウイルスに感染している子供たち18人を隔離している政府の保護施設、及びその組織名。施設の代表は園部が務めている。施設内は、ヨーロッパの街をイメージしたおとぎの国のような造りになっており、施設内のスタッフはパンダの着ぐるみを着ている。表向きは病気の子供が親と離れ、寂しくないように配慮されているように取り繕われているが実際はまったく異なり、ウイルス感染によって、さまざまな特殊能力を持ってしまった子供たちが周囲に危害を及ぼさないよう、洗脳され24時間監視されている。 手に負えない状況下では日常的にスタンガンも使用されており、子供たちを抑圧している。施設内のスタッフすべてがパンダの着ぐるみを着用している本当の理由は、特に殺傷能力を有する子供に直接接触することがないようにという理由から。 基本的に外部との接触はできないことになっているが、岡崎さなだけは、父親が四ツ葉製薬の関係者であり、すでに内情を知っているため、特例として面会が許されている。
その他キーワード
クローバーウイルス
4年前に茨城を襲った大地震の際、放射線量が高レベルに上昇したことが原因で、悪性に変異した四ツ葉製薬の実験用ウイルス。四ツ葉製薬のウイルスであることから、「クローバーウイルス」と呼ばれるようになった。脳にとりついたウイルスは、脳に多大な活動域をもたらし、脳のどの部分でウイルスが増殖したかに応じてさまざまな特殊能力となって発現する。 その能力の種類によって「D族」「V族」「Z族」「A族」と分類される。
D族 (でぃーぞく)
クローバーウイルスに感染し生き残った子供のうち、一瞬で人を殺傷する能力を持つタイプの分類名で、「デイモス」の「D」を意味している。青羽凛、岡崎さなが該当する。基本的には触れた相手を傷つけることができるというものだが、中には触れなくともその能力を発揮できる者もいる。
V族 (ぶいぞく)
クローバーウイルスに感染し生き残った子供のうち、人に対して多幸感やヒーリングの能力を持つタイプの分類名で、愛の女神「ビーナス」の「V」を意味している。青羽まりも、園部悠銀が該当する。触れた相手の良心や善意を呼び覚ます力を持ち、相手の精神をコントロールすることができる。
Z族 (ぜっとぞく)
クローバーウイルスに感染し生き残った子供のうち、予知や千里眼などの能力を持つタイプの分類名で、「ゼウス」の「Z」を意味している。白川波流、園部悠銀が該当する。触れなくとも人の心の声が頭の中に流れ込んで来たり、心の声で会話をすることが可能。
A族 (えーぞく)
クローバーウイルスに感染し生き残った子供のうち、尋常ならざる運動能力を持つタイプの分類名で、「アキレウス」の「A」を意味している。浅葉寅彦が該当する。人並み外れた跳躍力や、手足の力が強いなどの特徴がある。
エンジェルトランペット
木に咲く花で、「ダチュラ」の別名を持つが、花の形がまるで天使が吹くラッパのような形をしていることから、「エンジェルトランペット」と呼ばれている。花には白やオレンジ、赤などさまざまな色がある。しかし木には毒があり、樹液が目に入ると失明する恐れがある。青羽琴実が研究し、試作したクローバーウイルスのワクチンを100%完成させるために、赤いエンジェルトランペットが持つ成分「ヒヨスコポラミン」が必要になる。