概要・あらすじ
アフリカの奥地で父親に殺されかけた引きこもりの青年・吾妻晴は、謎の生命体Willと契約を結び、新人類・「オメガ」へと進化した。晴の覚醒を知った、アメリカのオメガにして大統領夫人であるイブ・L・ホークスは晴を拉致し、世界各国に存在するオメガ同士が人類の進化を賭けて争う「種の衝突」が行われていることを伝えるのだった。晴は他国のオメガに対抗するため、三年以内の「祭り」(クーデター)の決行を計画。全国の引きこもりたちや、元暴走族の総長・梶秋一を仲間に引き入れ、「究極種党」を結成したのだった。
それから二年後。晴は、「HAL」と名乗り民間警備保障会社「桜印警備保障」を立ち上げ世間の耳目を集めるようになる。一方、梶は衆議院議員として日本国総理大臣の座を目指すのであった。
登場人物・キャラクター
吾妻 晴 (あずま はる)
日本オメガ。太陽=光の特性を持つ。元引きこもりの青年。ある日、父親にアフリカで保険金目当てに殺されかけたが、Willと契約しオメガへと進化した。アメリカオメガのイブ・L・ホークスに拉致され、各国の権力者であるオメガ同士の争い「種の衝突」のことを聞き、早急に他国のオメガに対抗する力を得るために、3年以内に日本でクーデターを起こすという条件をイブに突きつけられる。 その後、「究極種党」を結成し、暴走族総長梶秋一を仲間に加え、クーデターに向けて行動を起こしていく。クーデターまで一年となったころ、民間警備保障会社「桜印警備保障」の代表「HAL」として計画を進めていく。
梶 秋一 (かじ しゅういち)
元暴走族「極東戦線」10代目総長。引退後、暴走族時代に築いたコネクションと持ち前のカリスマ性で、実業家として成功を収めていた。吾妻晴たちによる暴走族狩りを受け現役に復帰、晴との戦いのなか、彼に洗脳されオメガへと進化し、晴の仲間となる。現在は衆議院議員一回生として総理大臣を目指している。 日本財政界の黒幕、千堂満次の後押しで、憲法9条改憲推進派である盛田の陣笠に入る。その後、新総理松平貞之助に任命され、日本再生担当大臣に就任する。
桜 一郎 (さくら いちろう)
究極種党の参謀格。スキンヘッドの男性。吾妻晴の思想に感銘を受け、仲間入りを志願してきた。右翼思想の持ち主で、大仰な口調が特徴。晴のことは「晴烈士」と呼んでいる。これまでの経歴は一切不明。桜印警備保障では晴には秘密で部隊を率い、暗殺などを行っている。
冬吾・F・カプラン (とうごえふかぷらん)
PR会社「エイトアンドハーフ社」のCEO。日用品から戦争まで、あらゆるもののブランディングを手がけてきた、凄腕の情報戦略家。その才能に目を付けた吾妻晴にオメガへと進化させられ、彼の仲間となる。8歳半のときに自らの成長を止めており、実年齢は35歳だが見た目は幼い少年のまま。足が悪く、車いすに乗っている。語尾に「と、いいます」と付け、自分のことを第三者的に語る。
劉 水華 (りゅう しゅいほあ)
中国オメガ劉智健の娘で、自身もオメガ。水を操る能力を持つ。父に反発し、吾妻晴の仲間となった。
早海 勇介 (はやみ ゆうすけ)
梶秋一の秘書。肥満体の男性。ハキムに殺されかけていたところ、梶の手でオメガに進化させられた。破天荒な梶に手を焼いている。
金木 英姫 (かねき よんひ)
吾妻晴の恋人だった、羽柴恵美の異母姉妹。テコンドーの使い手。晴に洗脳され、仲間となる。桜印警備保障が大きくなるにつれ、晴との距離を感じるようになり、一時的に距離を置くようになる。
荒戸 源一郎 (あらと げんいちろう)
元自衛隊海将補。隠居を装っているが、「自衛隊秘密部隊」の隊長である。防衛大学に潜入した吾妻晴と出会い、秘密部隊ごと彼の軍門に下った。晴の命令を受け、サウダイ共和国で警備会社を設立し、クーデターに備えることになる。
イブ・L・ホークス
アメリカオメガ。アメリカ大統領夫人。火の特性を持つ。オメガとして目覚めた吾妻晴に接触し、クーデターを起こすよう焚きつけた。晴のクーデターを潰すようルチアーニに圧力をかけられるが、晴への援助を続ける。
劉 智健 (りゅう ちーちぇん)
中国オメガ。中国一の大富豪。劉水華の父。水の特性を持ち、水中でも活動できるように進化している。
ファンダル・アブドゥル・ハキム (ふぁんだるあぶどぅるはきむ)
中東オメガ。サウダイ共和国の第7王子。大地の特性を持ち、「スクリューワーム」というハエを操る。梶秋一と戦いの末、友情を結んだ。
ルチアーニ
イタリアオメガ。枢機卿。運の特性を持ち、他人の運を自在に操る能力を持つ。最古参のオメガでもある。吾妻晴の能力に恐れを抱き、彼のクーデターの阻止を目論む。第二次世界大戦終戦後、劉智健、イブ・L・ホークスとともに、裏で日本を三分割し支配していた。
ラムニ=ラマヌジャン (らむにらまぬじゃん)
第6のオメガ。行方不明となっていたが、吾妻晴たちのクーデター実行のころ、姿を現した。分裂生殖の特性を持ち、交尾なしに増殖する能力を持つ。自身の増殖体を各国オメガのもとに潜入させていた。
千堂 満次 (せんどう みつつぐ)
戦後の日本財政界のフィクサー。一般人ながらオメガの存在を知る。人の運を、「光」として見ることができる。第二次世界大戦終戦後からルチアーニの配下として、日本の三分割統治に手を貸していた。日本人に愛国心を取り戻すため、梶秋一に援助を行う。
荒戸 大輔 (あらと だいすけ)
荒戸源一郎の息子。吾妻晴が防衛大学に潜入したときの上級生。現在は護衛艦勤務を経て、企画調査班に所属している。吾妻晴にコンプレックスを抱いており、彼らのクーデターを潰すべく、自衛隊民営化法案に反対する自衛官を率い、晴より先にクーデターを起こすことを目論む。
松平 貞之助 (まつだいら さだのすけ)
ルチアーニの日本統治の代理人。千堂満次からその座を引き継いだ。史上最年少の総理大臣となり、梶秋一を入閣させた。ルチアーニの命令には従っているが、彼の暗殺を梶にほのめかしている。
前作
続編
OMEGA ONE (おめがわん)
203X年、日本はNEO鎖国時代に入った。それから135年後、17歳の桜一郎は、唯一海外からの出入りが可能な新東京島の極東学園に入学。人類を背負って立つ次世代の王「ONE」を目指すことになる。同作者『... 関連ページ:OMEGA ONE