謎の手がかりを探し続けるサバイバルホラー
本作はストーリーが進むにつれて、新たな謎が増えていく。かつては迷信だと思われていた冥奴様が、現実に存在することを知った半年前の出来事や、みとず町を去った経緯の記憶を失っている勇人の過去、さらには冥奴様という存在そのもの。生死を賭けたサバイバルの中で進行するミステリー要素やホラー要素が没入感を与える。
卯月一家がみとず町に戻ったことから物語が始まる
勇人は幼い頃、みとず町に住んでいた。しかしある日突然、幼なじみの咲にも別れを告げずに東京へ引っ越してしまう。10年ぶりにみとず町に移住するために訪れた勇人は、咲と再会を果たす。しかしその直後、耳を覆いたくなるような鐘の音が鳴り響く。すると咲は顔色を変え、「この鐘の音を聞いたら冥奴様が迎えにくる」と叫びながら逃げ出す。そして勇人は、子供の帰宅をうながすための迷信だと思われていた冥奴様が、現実に徘徊(はいかい)している姿を目撃する。そんな中、夕方6時になると町に鳴り響く鐘の音を聞くと、勇人が激しい頭痛に見舞われることを知った父親の和馬が失踪してしまう。
「本物の冥奴様」の正体
作中には二つの冥奴様が登場する。一つは三途洲山以外の埋葬地に葬られたために祟(たた)られ、「冥奴のお迎え」を受けて生き返った「冥奴逆蘇(めいどがえり)」。もう一つが、三途洲山に住み、みとずの民を見守りつつ、悪い子を食べる「本物の冥奴様」。本物の冥奴様とは何か、そしてみとず町の町長、卯月諌未の真の狙いとは何かが、物語全体の大きな謎になっている。
登場人物・キャラクター
卯月 勇人 (うづき ゆうと)
家の都合で東京から山奥の「みとず町」に引っ越してきた高校生の少年。幼い頃はみとず町に住んでいたため、幼なじみの豊橋咲との再会を楽しみにしており、引っ越しを前向きに受け入れている。しかし、舞い戻ったみとず町は夕方6時以降に謎の鐘が鳴ると、「冥奴(めいど)様」と呼ばれる化け物が現れるようになっていた。当初は冥奴様を迷信と考えていたが、実際に冥奴様から襲われ、再会した咲に助けてもらう。その後も父親が失踪したり、母親が錯乱したり、警告を与える謎の存在が現れたりと、立て続けにさまざまな異変に見舞われた結果、みとず町の謎を解明するために行動を開始する。
豊橋 咲 (とよはし さき)
みとず町に住んでいる少女。明るめの黄色い髪をツインテールにしている。卯月勇人とは幼なじみの関係で、幼い頃はいつもいっしょに遊んでいた。明るく楽天的な性格ながら、勇人が急に引っ越したことを怒っており、再会した際も勇人に辛らつな態度で接した。勇人との再会に気を取られ、夕方6時を告げる音に気づくが時すでに遅く、勇人と共に冥奴(めいど)様に襲われてしまう。その際に勇人を助けて自分の部屋にかくまい、町が様変わりした経緯を彼に伝えた。実は父親が半年前に行方不明となり、しばらくして父親の訃報と骨壺を受け取っている。勝手に父親が火葬されたことから、みとず町で起きている怪異を隠蔽しようとしている者がいるのではないかと疑っている。
クレジット
- 原案
-
碧海 景
書誌情報
火葬場のない町に鐘が鳴る時 全14巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2015-06-27発行、 978-4063826166)
第2巻
(2015-06-27発行、 978-4063826173)
第3巻
(2015-09-25発行、 978-4063826913)
第4巻
(2016-02-05発行、 978-4063827293)
第5巻
(2016-05-20発行、 978-4063827880)
第6巻
(2016-08-19発行、 978-4063828405)
第7巻
(2016-11-18発行、 978-4063828825)
第8巻
(2017-02-20発行、 978-4063829297)
第9巻
(2017-05-19発行、 978-4063829679)
第10巻
(2017-09-20発行、 978-4065101551)
第11巻
(2017-12-20発行、 978-4065105665)
第12巻
(2018-04-20発行、 978-4065112854)
第13巻
(2018-09-20発行、 978-4065124734)
第14巻
(2019-04-18発行、 978-4065152805)