社買い人 岬悟

岬悟は恵まれたサラリーマン生活を送っていたが、勤務する商社がある日突然、アメリカの投資会社に買収されてしまう。自らの生き残りを懸けて非情な企業買収に挑む、心優しき男の奮闘を描く。「ビッグコミックスペリオール」2005年13号から2008年5号まで掲載された作品。

正式名称
社買い人 岬悟
作者
ジャンル
サラリーマン
レーベル
ビッグコミックス(小学館)
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概要・あらすじ

大手商社「丸綿」に勤める岬悟は、自分を慕っている部下の奈良橋満男から結婚式の仲人を頼まれていた。だが、そんな平穏な日々のなか、「丸綿」は突如アメリカの投資会社「S&HC」に買収されてしまう。新社長のマイケル・ジェームスのもと、企業買収を行う企業開発部に異動した岬の上司となったのは、昔の部下であり恋人だった野川奈美であった。

そして野川が岬に命じた最初の仕事は、奈良橋へのリストラ通告という非情なものだった。企業買収という、人々の人生そのものを売り買いするようなビジネスに身を投じざるを得なくなった岬の、戦いの日々が始まる。

登場人物・キャラクター

岬 悟 (ミサキ サトル)

大手商社「丸綿」に勤める30代の青年。岬恵美子の夫で、「みどり」という幼い一人娘がいる。「丸綿」がアメリカの投資会社「S&HC」に買収されてからは、企業買収を行う企業開発部に異動となるが、アメリカ式の非情な企業買収のやり方になじめず、あくまで自分流を貫き通す。心優しく粘り強い性格で、時には大胆不敵な行動に出ることもある。 外見が良いわけではないが、のんびりとした優し気な雰囲気から、女性に人気がある。

岬 恵美子 (ミサキ エミコ)

岬悟の妻で専業主婦。「みどり」という幼い一人娘がいる。かつては大手商社「丸綿」の社員で、野川奈美とは同期入社だった。「丸綿」がアメリカの投資会社「S&HC」に買収され、昔岬と付き合っていた噂のある野川が岬の上司になったことが気がかりで仕方がない。そのため、会社を辞めて欲しいという気持ちと、生活が立ち行かなくなる恐怖との狭間で悩み苦しむ。

野川 奈美 (ノガワ ナミ)

アメリカの投資会社「S&HC」の社員兼、傘下に収めた「丸綿」で企業開発部の部長を務めるアラサー女性。かつて大手商社「丸綿」に勤めていたことがあり、当時は岬悟の部下だった。美人で有能だが、仕事のやり方はアメリカ式で非情な面がある。「丸綿」にいた頃に岬と付き合っていた過去があり、彼を手放したことが人生最大の失敗だったと思っている。

奈良橋 満男 (ナラハシ ミツオ)

大手商社「丸綿」の社員で岬悟の部下。結婚式を間近に控え、幸せの絶頂にいる青年。明るい性格で皆に好かれるムードメーカーだが、仕事でのミスが多く、「丸綿」がアメリカの投資会社「S&HC」に買収された際には、リストラ第一候補となってしまう。

溝口 健三 (ミゾグチ ケンゾウ)

町の小さな鉄工所の社長。情に厚いが、ワンマン気質な中年男性。かつて、岬悟が紹介したつなぎ融資のお陰で会社が救われたことがあり、その際には岬の家のフェンスや雨どいを修理するなど親しい間柄だった。鉄工所の売却処分を北原剛に告げられ、彼と同じ部署に所属する岬にも幻滅する。

野呂山 (ノロヤマ)

大手商社「丸綿」の中年男性社員。「丸綿」がアメリカの投資会社「S&HC」に買収された後は、融資担当だった企業支援室から社史編集室に左遷される。企業買収の知識は豊富で、岬悟がピンチに陥るといつも手を差し伸べる頼れる存在。

北原 剛

アメリカの投資会社「S&HC」から、買収先の大手商社「丸綿」にやって来た青年。人を陥れてでも評価を得ようとするなど野心が強いが、自らに情けをかけられることには我慢できない。野川奈美と岬悟の男女の仲を疑っており、岬を出し抜こうと陰であれこれ画策する。

デニ―

恰幅の良い中年アメリカ人男性。飲み屋街で日本の若者に絡まれケンカになったところを岬悟に助けられる。アメリカ人はタフで陽気だと豪語し、アメリカ式ビジネスのやり方に悩む岬に、「結果を出せばやり方なんてどうでもいいというのが本当のアメリカ式だ」とアドバイスを送る。

吉井 昇 (ヨシイ ノボル)

テナントビル経営会社「ビルパワーズ」の社長。高齢にさしかかった、古いタイプの堅物な男性。ビルの売却を打診しにきた岬悟と北原剛をけんもほろろに追い返すが、後日、謝罪に訪れた際の岬の潔さに感心し、朝まで酒を酌み交わすことになる。

田代 (タシロ)

温泉ホテル「清瀬ホテル」で女将を務める中年女性。夫がホテルの金を持ち出して若い女性従業員と逃げてしまったことから、仕事への情熱を失いホテルの売却を考えている。だが、自分が思っていた以上にベテラン従業員たちがこのホテルに愛着を持っていたことを知って動揺する。

林田 (ハヤシダ)

温泉ホテル「清瀬ホテル」のフロアマネージャーを務める中年男性。女将である田代に全幅の信頼を寄せられている。実は人に言えない過去があり、「清瀬ホテル」のある街に流れ着いた自分を何も聞かずに雇い入れてくれた女将に強い感謝の気持ちを抱いている。

永沼 征彦

超小型燃料電池のカートリッジを開発した、ベンチャー企業「スペリアール」の社長を務める30代男性。妻は永沼貴子。岬悟とは大学の同期で、サークル仲間でもある。昔は一途に夢を追う青年だったが、今はビジネスは戦争であり、すべての人間が敵だと考えるようになっている。

永沼 貴子 (ナガヌマ タカコ)

永沼征彦の妻。ベンチャー企業「スペリアール」の経理部長を務めている。岬悟や征彦とは大学の同期で、サークル仲間でもある。大学時代とは変わってしまった征彦の目を覚まさせようと、岬にある秘密を打ち明ける。

滝 強 (タキ ツヨシ)

映画製作会社「羽衣映画」の社長の息子で、プロデューサーを務める青年。大手商社「丸綿」に映画ファンドに投資してほしいと直談判にやってきた。映画制作に情熱を燃やしており、「邪馬台国の風」という映画をヒットさせ、自社の沈滞したムードを一掃したいと考えている。

朝霧 百合香 (アサギリ ユリカ)

フィギュアスケートの金メダリスト。映画プロデューサーの滝強が、映画「邪馬台国の風」の主演にキャスティングしたいと考えている18歳の女性。健康的な色気を持ち、国民的な人気者でもある。母親の言いなりになっている現状に嫌気がさしている。

奥脇 (オクワキ)

投資会社「ドルトンファンド」の社員の青年。アメリカで働いていたが、「ドルトンファンド」の日本上陸に伴い日本に戻ってきた。アメリカにいた時に投資会社「S&HC」で働いていたことがあり、当時は野川奈美の同僚だった。映画製作会社「羽衣映画」をある目的で狙っており、滝強の父を苦境に陥れようと画策する。岬悟とは相性が悪く、自らの策略をことごとく邪魔されるという因縁がある。

滝強の父 (タキツヨシノチチ)

滝強の父親で、映画製作会社「羽衣映画」の社長を務める老齢の男性。かつては熱い「カツドウ屋魂」を持っていたが、色々な事業に手を出し映画への情熱を失ってしまった。投資会社「ドルトンファンド」の奥脇の口車に乗り、中南米のある国の国債で40億円もの負債を負ってしまう。

ハルコ・マカ・ステトニ (ハルコマカステトニ)

パルル共和国の国民議会で議員を務める女性。野川奈美と同い年の、真面目で一途なアラサー女性。大手商社「丸綿」と組み、母国の危機を訴えるべく来日した。10年前に日本に留学したことがあり、その際には土野靖春の家にホームステイしていた。ハルコの担当となった岬悟とPR活動を行っていたが、突然失踪してしまう。

土野 靖春 (ツチノ ヤスハル)

石油関連の会社「ツチノエンジニアリング」の社長で、律儀で真面目な研究者。世界トップレベルのCO2注入技術を投資会社「ドルトンファンド」に狙われ、危機に瀕した会社のため奔走するなか岬悟と知り合う。ハルコ・マカ・ステトニに対してある事情から償いの気持ちがあり、彼女の母国であるパルル共和国を救うため、温暖化を抑制する技術を完成させることにすべてを懸けている。

マイケル・ジェームス (マイケルジェームス)

大手商社「丸綿」の新社長となったアメリカ人男性。「丸綿」を競争と成果のみを追求する会社にするべく、すべての無駄を省こうとリストラを敢行する。岬悟をトラブルメーカー視しており、ビジネスマンらしく常に冷静な分析と状況判断に基づいて行動するよう、幾度となく叱責する。

添島 専造 (ソエジマ センゾウ)

金属の研磨を専門とする「ベスト研磨株式会社」の社長。倒産の危機に瀕した際、岬悟に企業再生を担当してもらった縁で、2人の息子のうちどちらに経営者としての適性があるかをアドバイスしてほしいと岬に頼む。口数は少ないが情が深く男らしい性格。

添島 昇 (ソエジマ ノボル)

添島専造の長男で35歳。専造が築いた会社「ベスト研磨株式会社」が職人の質の高さを売りにして企業再生したことをまったく理解していないなど経営センスに欠け、金使いが派手で個人的に大きな負債を抱えている。腹違いの弟である豊河夏彦を忌み嫌っている。

豊河 夏彦 (トヨカワ ナツヒコ)

添島専造の次男で27歳。愛人の子供で、社会的に肩身の狭い思いをしてきた。柄が悪いが根っからのワルではなく、専造が築いた会社「ベスト研磨株式会社」で働く年老いた職人の身体を気遣うなど優しい性格の持ち主で、実は頭が良く行動派。母親を楽にしたいという思いから父親の遺産相続には乗り気だが、会社の経営に関わる気はない。

キャシー・ドルトン (キャシードルトン)

投資会社「ドルトンファンド」の社長を務めるグレイプ・ドルトンの孫にして「ドルトン・ジャパン」のCEOとなった若い女性。宝石店を探して迷っているところを岬悟に案内されたことから岬に好感を抱く。欲しいと思ったものはどんな手を使っても絶対手に入れる主義で、岬を引き抜き投資ファンド部門を持つ大手商社「丸綿」を買収しようと画策。 「丸綿」の親会社である投資会社「S&HC」に全面戦争を仕掛ける。

集団・組織

丸綿 (マルメン)

日本の大手商社。株取引の失敗による巨額負債を隠ぺいし、社長が自殺してしまう。100億円近い緊急支援が必要となり、アメリカの投資会社「S&HC」に買収された。新たに「丸綿」の社長となったマイケル・ジェームスは、就任直後「今日からここはアメリカとなる。競争と成果だけがすべての会社になる」と宣言する。

S&HC (スリックアンドハーベイキャピタル)

アメリカの投資会社。日本の大手商社「丸綿」を買収して子会社化し、社長としてマイケル・ジェームス、企業買収部門である企業開発部の部長として野川奈美を「丸綿」に派遣した。欧米では巨大投資ファンドの上場が活発化し、「S&HC」もニューヨーク証券取引所上場を検討しているなか、投資会社「ドルトンファンド」のキャシー・ドルトンに日本での規模拡大のため、投資ファンド部門を持つ丸綿を買収すると宣戦布告される。

ドルトンファンド (ドルトンファンド)

アメリカ最大最強の投資会社で、グレイプ・ドルトンという人物が社長を務めている。利益追求のためなら手段を選ばない。ニューヨーク証券取引所上場を機に「ドルトン・ジャパン」を新たに100%子会社とし、新しいCEOにキャシー・ドルトンを迎えた。

場所

パルル共和国 (パルルキョウワコク)

太平洋に浮かぶ小さな群島国家。海抜が低く、昨今の世界的な異常気象の影響で台風の被害が増大したり、海岸の浸食も目に見えて大きくなっている。観測の結果、海面が過去10年間で59ミリも上昇していることが判明し、数十年後には海に沈むといわれている。大手商社「丸綿」が企業PRの一環として、地球環境の保全に取り組む姿勢を社会に訴えるキャンペーンを展開することになった際に、パルル共和国のハルコ・マカ・ステトニ議員を日本に招聘した。

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