僕はコーヒーがのめない

僕はコーヒーがのめない

類まれなるコーヒーの知識を持つ気弱なサラリーマンの男性が、コーヒーに関する新プロジェクトに参加した事をきっかけに、成長していく姿を描くコーヒーグルメ作品。「週刊ビッグコミックスピリッツ」'14年第24号から'16年第52号にかけて連載された。

正式名称
僕はコーヒーがのめない
ふりがな
ぼくはこーひーがのめない
原作者
福田 幸江
作画
ジャンル
サラリーマン
関連商品
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あらすじ

第1巻

飲料会社「東京ドリンクカンパニー」に勤める花山太一は無類のコーヒー好きだが、味に強くこだわるあまり低品質のコーヒーは苦手で、周囲にはコーヒーが飲めないと噓をついていた。そんなある日、太一は社内で募集中の「創立50周年記念プロジェクト企画」において、上司である加賀谷俊介のチームのメンバーに選ばれる。俊介はこの企画のアドバイザーに、世界最高峰の会員制コーヒークラブ「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」の主宰・天堂周伍郎を迎えようと考えていた。しかし、周伍郎はこれを断ったうえ、太一が「RDC」の会員である事をばらしてしまう。実はコーヒーに詳しい事を黙っていた太一は、社員達に嫌われてしまうのではとおびえていたが、俊介は逆に太一こそが自分達の救世主だと喜ぶ。これがきっかけで、太一はプロジェクトメンバー達の先生となり、その知識でプロジェクトを磨き上げ、企画は見事社内選考を突破する。そして最終的に通った企画は、RDCと東京ドリンクカンパニーで、どちらがよりおいしいコーヒーを作れるか1年を掛けて勝負するという「王様コーヒー」プロジェクトであった。

第2巻

東京ドリンクカンパニーは「王様コーヒー」において、花山太一の提案で、使う豆をハワイのコナコーヒーに決めた。さっそく太一達は、豆の買い付けのためハワイへ向かい、各農園と交渉を始める。しかし、太一の大本命であるオマオマオ農園のパーシー・マクドゥエルには即追い出されてしまう。そして、その次にいいと思われたビッグツリー農園のケビン・ゴードンの作る豆には、不審な点が多く見られた。ケビンは信頼しがたいと考える太一だったが、社長である早見に率直な意見を述べられず、東京ドリンクカンパニーはそのままビッグツリー農園と仮契約してしまう。しかし、太一の様子に気づいた加賀谷俊介は、コンサルタントの胡蝶蘭胡蝶凛の協力のもと、ビッグツリー農園の調査を開始する。一方の太一は体調を崩して、メアリー・キタイという現地の日系女性の世話になっていた。そこでメアリーから振る舞われたコーヒーの味に感動した太一は、生産者に会わせてほしいと頼むが、その生産者とはパーシーであった。この事をきっかけに、太一はもっとコーヒーについて学ぶため、延長滞在を決意し、俊介といっしょにオマオマオ農園で農業研修を受ける事になる。

第3巻

パーシー・マクドゥエルが東京ドリンクカンパニーに豆を売るために出した条件とは、花山太一にオマオマオ農園の特級畑の秘密を突き止めろというものだった。11月、もう一度ハワイを訪問するまでに回答しなければならない太一は、農園の映像を見るなど必死に勉強をするが、答えは見つけられない。一方その頃、加賀谷俊介ケビン・ゴードンの産地偽装を突き止めていた。ケビンは、ハワイ南部にある別の農園から豆を仕入れ、それを自分の農園産と偽って売っていたのである。そして迎えた11月、再びハワイを訪れた太一達はコナで行われる「コナコーヒーウィーク」を楽しむ。そこで行われたコンテストでヒントを得た太一は、オマオマオ農園の特級畑の秘密を見事解明し、ついにパーシーに認められるのだった。同時期、俊介達の通報によりケビンがFBIとFDAに捕まり、ビッグツリー農園の産地偽装問題も解決。こうして新たにオマオマオ農園と契約した東京ドリンクカンパニーは、「王様コーヒー」のフラッグシップショップのバリスタに、社員でありバリスタ世界大会の日本代表に選ばれた野間春人を迎える事を決める。

第4巻

エスプレッソを専門とする野間春人は、花山太一達が指定するハンドドリップではコーヒーを淹れたくないと言い出した。そこで太一と加賀谷俊介は春人も連れて、代わりの候補であるバリスタの醍醐正次に会いに行く。しかし正次は腰が悪く、自分の店を続けていくだけで精一杯だと語る。正次から孫の醍醐未梨を紹介された太一達は、今後は未梨の働く店へ向かう。だが、未梨はバリスタとしての高い技術を持ちながらそれを活かす気はなく、メイド喫茶で働きながらアイドルを目指していた。どうしてもあきらめきれない太一は、ハンドドリップ用の道具を持参してもう一度未梨に会いに行き、個人的にコーヒーを淹れてもらう。これがきっかけで未梨は心を開きかけるが、その直後に東京ドリンクカンパニーの社員達の失言に激怒し、去って行ってしまう。一方その頃、春人は、このまま我を貫いてエスプレッソでいこうと押し切るべきか、考えを改めてハンドドリップに挑戦するか悩んでいた。そんな春人に正次は優しくアドバイスをし、吹っ切れた春人は、正次のもとでハンドドリップを学ぶ決意をする。

第5巻

醍醐未梨は、東京ドリンクカンパニーの社員達にアイドルになる夢を笑われ、職場のメイド喫茶では、夢をあきらめて、正社員として店を支えてほしいと言われてしまう。傷心のあまり「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」を訪れた未梨は、そこで天堂周伍郎と出会い、世界一の抽出師になるため「RDC」で雇ってほしいと頼み込む。見事採用された未梨は新しい一歩を踏み出す事になり、花山太一は未梨といっしょに働けない事を残念に思いつつ、彼女を応援するのだった。その直後、未梨は研修の一環で、周伍郎と共にジャマイカに行く事になる。実は周伍郎はその研修旅行に、太一も呼んでいた。こうして太一と未梨は周伍郎のビジネスパートナーである「コーヒーミラーズ」のジェイミー・ウルフのもとで、現地のコーヒーについて学ぶ事となった。しかしジェイミーの弟であり、共同経営者でもあるブライアン・ウルフはなぜか周伍郎と険悪な雰囲気であった。その理由は、品質向上のため、樽を使ったコーヒー豆の輸送をやめたい周伍郎と、それでは樽職人の仕事がなくなってしまうと考えるブライアンの意見の対立にあった。

第6巻

醍醐未梨はジャマイカで研修を受けながら、ジャマイカの人々はおいしいコーヒーを生産しているにもかかわらず、その飲み方も、価値も知らずにいる事を疑問視していた。そこで未梨は「コーヒーミラーズ」の従業員達を招いてコーヒーを振る舞う。これをきっかけに、樽職人は樽での輸送の欠点に気づく。そしてブライアン・ウルフに、高い品質のコーヒーを世界中に届けるため、自分達の事よりも、コーヒーのおいしさを優先してほしいと頼むのだった。こうして考えを改めたブライアンは、天堂周伍郎と和解し、樽ではなくグレインプロでの出荷を承諾する。その後、帰国した花山太一は、今度は東京ドリンクカンパニーの焙煎師を探す事になる。太一は父親・花山大吉を推薦するが、大吉は高い技術を持つ一方で、他人の意見を聞かない頑固者という一面があった。自分を雇用するのであれば、焙煎度合いは自分に任せてほしいという大吉に太一はうまく意見できず、大吉は、適切でない焙煎方針で作業を進めてしまう。

第7巻

花山太一野間春人は、花山大吉とうまくコミュニケーションが取れず、大吉に酸味の強すぎるコーヒーを作らせてしまっていた。そんなある日、太一は加賀谷俊介から「王様コーヒー」が終わったら自分は東京ドリンクカンパニーを退社するので、いっしょについて来てほしいと頼まれる。太一は悩むが、まずは大吉との問題を解決すべきと俊介に背中を押され、初めて大吉に本音で意見をする。太一の思いは届き、大吉は超浅煎りでしか焙煎しないという、自分の方針を変える決意をするのだった。そしてとうとう迎えた「王様コーヒー」の対決当日、勝負は春人のプレゼンに委ねられるかに思えた。しかし春人は移動中事故に遭い、太一が代役を務める事になってしまう。そこで太一は、正直で飾らないプレゼンを行い、見事「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」に勝利する。それから数か月後。東京ドリンクカンパニーを退職した太一は、コロンビアの農園で働いていた。

登場人物・キャラクター

花山 太一 (はなやま たいち)

飲料会社「東京ドリンクカンパニー」に勤めている若い男性。前髪を目の上で切った、金色のショートヘアにしている。目が細く、いつも目を閉じているように見える。女性社員達からは男性扱いされておらず、緊張すると固まってしまう事から「お地蔵さん」と呼ばれている。繊細で気弱な性格の持ち主。父親の花山大吉の影響で、幼い頃から無類のコーヒー好き。 史上最年少で世界最高峰の会員制コーヒークラブ「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」の会員資格を得たほどの知識を持つが、その知識を披露した事で、失敗した過去がある。また、味にこだわりがある事から低品質のコーヒーは苦手で、無理に飲んで正直な感想を述べた場合、周囲を不快にさせてしまうと考えている。そのため、周囲には好きな飲み物は水で、コーヒーは飲めないと噓をついていた。 しかし、上司である加賀谷俊介達と共に「王様コーヒー」対決に挑む事になり、それまで隠していた知識を活かして、プロジェクトの中心人物として奮闘する事になる。その過程で少しずつ成長し、最終的にはおいしいコーヒーを作るため「東京ドリンクカンパニー」を去り、自らコーヒー豆を生産する側に回るようになる。

加賀谷 俊介 (かがや しゅんすけ)

花山太一の上司で、飲料会社「東京ドリンクカンパニー」に勤めている若い男性。前髪を左寄りの位置で七三に分けた黒のショートヘアにしている。釣り目の三白眼で、眉が太い。上昇志向が強く、仕事に対してつねに意欲的。また、コミュニケーション能力が高く、人のやる気を引き出すのが非常にうまい。そのため周囲からの信頼も厚く、将来有望な社員として知られている。 ある日社内で募集中の「創立50周年記念プロジェクト企画」において、花山太一達を自分のチームのメンバーに選ぶ。そして見事採用された事で「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」との「王様コーヒー」対決に挑む事になる。しかし、いずれは「東京ドリンクカンパニー」を離れて独立しようと考えており、プロジェクトを進めながら、最終的に「王様コーヒー」対決終了と共に退社する決意をする。 その際、太一にぜひいっしょに来てほしいと誘うが断られ、別々の道を歩む事になった。しかし「王様コーヒー」対決当日の太一の姿を見て、今まで自分が太一を引っ張っているように思っていたが、それは思い込みで実際は自分が太一に支えられていた事に気づき、自らの傲慢さを反省。 その思いを綴った手紙を太一に送った。

天堂 周伍郎 (てんどう しゅうごろう)

世界最高峰の会員制コーヒークラブ「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」を主宰する年老いた男性。前髪を右側は上げて額を全開にし、左側は垂らして、肩につくほどまで伸ばしたセミロングにしている。眼鏡をかけ、顎ひげを生やしている。コーヒーをこよなく愛し、国内のコーヒーに造詣の深い人物もすべて把握している。そのため花山太一の事も、最年少で「RDC」に入会した優秀な人物と知っていた。 ある日、加賀谷俊介から自分達のプロジェクトのアドバイザーになってほしいと頼まれた事がきっかけで、「東京ドリンクカンパニー」の面々とかかわりを持つ。結果、俊介達のアドバイザーになる事はなかったが、俊介が代わりに用意した企画に乗り「東京ドリンクカンパニー」と、最もおいしいコーヒーを作り出す勝負「王様コーヒー」対決をする事になる。 しかし、天堂周伍郎自身は勝負の行方よりも「王様コーヒー」対決を通じて、少しでも高い品質のコーヒーを作り、少しでも多くの人がコーヒーに関心を持ってくれる事を目的としている。そのため、ライバルであるはずの太一の事も非常に気にかけており、アドバイスをしたり、ジャマイカ研修に誘ったりした。

三田 理香子 (みた りかこ)

飲料会社「東京ドリンクカンパニー」に勤めている女性で、年齢は25歳。前髪を左寄りの位置で斜めに分けて、顎の高さまで伸ばした、濃い桃色の内巻きボブヘアにしている。クールで辛辣な性格だが、面倒見はいい。また英語に堪能で、仕事で海外に行った時は通訳を担当する事が多い。社内で募集中の「創立50周年記念プロジェクト企画」において、花山太一達と共に、加賀谷俊介のチームのメンバーに選ばれた。 当初は社内でお荷物の太一が、なぜ自分と同じチームなのか理解できず、太一に冷たくあたっていた。だが実は、太一がコーヒーに造詣が深いにもかかわらず、それを隠していた事を知り、品質の低いコーヒーを飲んで喜んでいる自分達を見下す嫌味な人間だと思い込み、太一の事を毛嫌いしていた。 しかし、いっしょに働くうちに、コーヒーに対しては誰よりも真摯な彼を見直し、ハワイで太一が「ビッグツリー農園」の豆を怪しんで悩んでいる際は、相談に乗った。

飯塚 優 (いいづか まさる)

飲料会社「東京ドリンクカンパニー」に勤めている若い男性。前髪を眉が見えるほど短く切った、ふんわりとした刈り上げショートヘアにしている。小柄で、体型は太目。花山太一達には、パーシー・マクドゥエルに似ていると評されている。お人好しな性格だが、やや怒りっぽいところがある。社内で募集中の「創立50周年記念プロジェクト企画」において、太一達と共に、加賀谷俊介のチームのメンバーに選ばれた。 当初は社内でお荷物の太一が、なぜ自分と同じチームなのか理解できず、そもそも太一は縁故採用ではないかと見下していた。だが、実は太一がコーヒーに造詣が深いにもかかわらず、それを隠していた事を知り、以後彼から学ぶようになる。また、しばらく太一を冷たくあたっていた三田理香子をたしなめる事もあった。 その後やって来た野間春人には、言う事を聞かないその態度に悩まされる事もあったが、最終的には和解した。

猿渡 佑司 (さるわたり ゆうじ)

飲料会社「東京ドリンクカンパニー」に勤めている若い男性。髪全体を真上に立てたショートカットの髪型で、眼鏡をかけている。まじめな性格の勉強家。ある日、社内で募集中の「創立50周年記念プロジェクト企画」において、花山太一達と共に、加賀谷俊介のチームのメンバーに選ばれる。当初は社内でお荷物の太一が、なぜ自分と同じチームなのか理解できず、そんな彼を選んだ俊介はお人好しすぎると思っていた。 だが、実は太一がコーヒーに造詣が深いにもかかわらず、それを隠していた事を知り、以来太一から学ぶようになる。

東郷 猛 (とうごう たけし)

飲料会社「東京ドリンクカンパニー」で部長を務める中年の男性。前髪を額が見えるほど短く切った、坊主頭に近いベリーショートにしている。たれ目に太眉で、三白眼が特徴。女性とダジャレが大好きで、セクハラまがいの事をしたり、つまらないギャグを言ったりしては、三田理香子に白い目で見られている。「創立50周年記念プロジェクト企画」において、加賀谷俊介達のチームと最後まで競うが、敗北。 それ以降は「王様コーヒー」対決の一環である、フラッグシップショップの出店準備室長を務める事になる。意外とロマンチストなところがあり、フラッグシップショップの内装には東郷猛の意見が多数取り入れられた。

助川 大地 (すけがわ だいち)

飲料会社「東京ドリンクカンパニー」に勤めている若い男性。「王様コーヒー」対決の一環である、フラッグシップショップ出店準備室のメンバーを務めている。髪型は前髪を額が見えるほど短く切ったベリーショートにしている。フラッグシップショップでは、カーク北野を支える形で、副店長を務める事になった。

カーク 北野 (かーく きたの)

飲料会社「東京ドリンクカンパニー」に勤めている若い男性。「王様コーヒー」対決の一環である、フラッグシップショップ出店準備室のメンバーを務めている。前髪を上げて額を全開にした撫でつけ髪にしている。穏やかな性格で上品な雰囲気を漂わせ、スタイル抜群のイケメン。そのため、コーヒーを淹れられないのにもかかわらず、ピエール本田にバリスタをしろと迫られた事もある。 フラッグシップショップでは、学生時代に飲食店の店長を務めていた経験を活かして、店長を務める事になった。

早見 (はやみ)

飲料会社「東京ドリンクカンパニー」の社長を務めている男性。前髪を真ん中で分けて額を見せたショートヘアで、色付き眼鏡をかけている。非常に小柄な体格ながら眼光鋭く、威圧的な雰囲気を漂わせているため、その場にいるだけで社員達を緊張させている。好戦的な性格で、挑戦的な企画を好む。社内で募集中の「創立50周年記念プロジェクト企画」を「王様コーヒー」に決め、花山太一達の仕事ぶりを、厳しくも真摯に見守っている。

胡蝶 蘭 (こちょう らん)

胡蝶凛の姉で、年齢不詳の女性。花山大吉の友人で、花山太一の姉的な存在でもある。前髪を上げて額を全開にし、腰まで伸ばしたロングウェーブヘアを、頭の左側の高い位置で一つに結んでサイドテールにしている。スタイル抜群で、胸が大きく、セクシーで派手な人物。そのため一見若く見えるが、太一が生まれた頃から世話をしていると語っており、実年齢は不明。 「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」の会員でもあり、太一を「RDC」に推薦したのも、胡蝶蘭と凛である。ある日「王様コーヒー」対決に向けて、アドバイザーが必要だと考えた「東京ドリンクカンパニー」の面々が、太一の推薦もありコンサルタントとして契約を結んだ。以降、コーヒーに明るくない「東京ドリンクカンパニー」の社員達に指導する事になる。 車の運転が丁寧。

胡蝶 凛 (こちょう りん)

胡蝶蘭の妹で、年齢不詳の女性。花山大吉の友人で、花山太一の姉的な存在でもある。前髪を上げて額を全開にし、腰まで伸ばしたストレートロングヘアを、頭の左側の高い位置で一つに結んでサイドテールにしている。スタイル抜群で、胸が大きく、セクシーで派手な人物。そのため一見若く見えるが、太一が生まれた頃から世話をしていると語っており、実年齢は不明。 「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」の会員でもあり、太一を「RDC」に推薦したのも、蘭と胡蝶凛である。ある日「王様コーヒー」対決に向けて、アドバイザーが必要だと考えた「東京ドリンクカンパニー」の面々が、太一の推薦もありコンサルタントとして契約を結んだ。以降、コーヒーに明るくない「東京ドリンクカンパニー」の社員達に指導する事になる。 車の運転が荒い。

パーシー・マクドゥエル (ぱーしーまくどぅえる)

ハワイのコナで、コーヒー農園「オマオマオ農園」を経営する年老いた男性。前髪を上げてテンガロンハットをかぶっている。小柄な太目の体型で、色黒。花山太一達には飯塚優に似ていると評されている。英語しかしゃべれないため、太一と話す際は、三田理香子に通訳してもらう事が多い。人の意見を聞かない頑固な性格だが、姉のような存在であるメアリー・キタイには頭が上がらない。 ある日、コーヒー豆の買い付けにやって来た「東京ドリンクカンパニー」の面々と出会うが、日本人はお金の話をするばかりで、肝心のコーヒー豆の栽培状況にはまるで興味を示さないと思い込んでおり、太一達も同じだと考え追い返す。しかしその後、メアリーを通じてもう一度太一がやって来た事で、太一がコーヒーに関する豊かな知識を持っていると知る。 また、メアリーにも説得された事で、もし太一が、次回ハワイを訪れる時期までに「オマオマオ農園」の特級畑の秘密を見抜けたら「東京ドリンクカンパニー」に豆を売ってやると約束する。そして太一が見事、その課題をクリアした事で太一を認め、契約した。

メアリー・キタイ (めありーきたい)

ハワイのコナで、民芸品店を営む年老いた女性。日系三世で、両親共に日本人。そのため、日本語が話せる。髪型は前髪を目の上で切り、耳の下まで伸ばした癖のあるボブヘアにしている。肌は色黒で目が細く、いつも目を閉じているように見える。ある日、体調を崩している花山太一と、太一に同行していた三田理香子を偶然見つけ、自宅で休んでいくように誘ったのがきっかけで知り合う。 そこで二人にコーヒーを振る舞った際、太一からこのコーヒーの生産者を教えてほしいと頼まれた事で、生産者であり、自分にとって弟のような存在でもあるパーシー・マクドゥエルを紹介する。そこで、実はすでにパーシーと太一達が知り合いであり、パーシーが豆の販売を断った事で太一達が困っている事を知る。 そこでパーシーを説得し、パーシーの心を開かせるのに一役買った。

ケビン・ゴードン (けびんごーどん)

ハワイのコナで、コーヒー農園「ビッグツリー農園」を経営する中年の男性。長く伸ばした髪をリーゼントヘアにしている。体型は太目で、色黒。現地人だが日本語がうまく話せる。一見明るく陽気に振る舞っているが、実際はずる賢く身勝手な性格。劣悪な環境で珈琲豆の栽培を行っているが、それを隠している。そこで、自分より立場の弱いハワイ南部の農園「ジョン&ワイオット農園」から豆を仕入れて「ビッグツリー農園」産であると偽って売っていた。 しかしそれを加賀谷俊介達に見抜かれ、最終的にはFBIとFDAに摘発された。

野間 春人 (のま はると)

「東京ドリンクカンパニー」に勤めている若い男性。エスプレッソを専門とするバリスタ。前髪を額が見えるほど短く切った、ふんわりとしたショートヘアにしている。たれ目で、まつげが長い。一見穏やかな雰囲気だが、コーヒーへのこだわりが強い意地っ張りな性格。コーヒー店「朝霧珈琲」で働いていた大学時代に「NIPPON BARISTA CHAMPIONSHIP」で優勝を果たす。 しかし、チャンピオンになって注目されているのを機に店のエスプレッソの値下げを行い、エスプレッソの知名度を上げようとしたが反対され、店を去った過去がある。その後もエスプレッソにこだわり、バリスタ大会で日本代表に選ばれるほどの技術を身につけた。そこである日「王様コーヒー」対決にぜひ参加したいと考え、東郷猛を通じて志願。 花山太一達と同じチームに配属される。だが「王様コーヒー」では、エスプレッソではなくハンドドリップでコーヒーを淹れてほしいと頼まれため、一度は無視してエスプレッソで強行しようとした。しかし、加賀谷俊介と醍醐正次から指摘とアドバイスを受けた事で考えを改め、正次の指導のもと、ハンドドリップを学ぶようになる。

醍醐 正次 (だいご まさじ)

醍醐未梨の祖父で、コーヒー店「珈琲 醍醐」のマスターを務める年老いた男性。前髪を上げて額を全開にし、胸まで伸ばしたストレートロングヘアを、後頭部の真ん中の位置で結んだポニーテールにしている。穏やかな落ち着いた性格で、眼鏡をかけている。ハンドドリップの名手として知られており、コーヒー業界でも有名人。しかし腰を痛めており、店を畳むという噂がたてられていた。 そのため、ある日「王様コーヒー」でバリスタを務めてほしいと頼みにやって来た「東京ドリンクカンパニー」の面々に、自分ではなく未梨を雇うのはどうかと提案する。最終的に未梨は「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」のバリスタとなったため雇用には至らなかった。しかし醍醐正次が、本来バリスタを務める予定であった野間春人の悩み相談に乗り、その後吹っ切れた春人の先生役も務めるという形で「東京ドリンクカンパニー」をサポートした。

醍醐 未梨 (だいご みり)

醍醐正次の孫で、メイド喫茶「めぇ~どカフェ 黒ひつじ」で働いている女性。年齢は25歳。前髪を目の上で切り揃え、胸まで伸ばした黒のストレートロングヘアにしている。店では、黒羊星からやって来た16歳のメイドという設定で働いており「みりん」と名乗っている。正次の影響で5歳の頃からハンドドリップを覚え、非常に高い技術を持つ。 しかし、アイドルになりたいためコーヒー関係の仕事にはいっさい興味がなく、技術は個人的にコーヒーを飲む時に披露する程度にとどまっていた。だが、そのハンドドリップ技術と「めぇ~どカフェ 黒ひつじ」での素晴らしい接客から、高いバリスタの素養がある事を「東京ドリンクカンパニー」の面々に見抜かれる。そこで「王様コーヒー」対決でバリスタを担当しないかと誘われるが「東京ドリンクカンパニー」の社員達が失言した事と「めぇ~どカフェ 黒ひつじ」で、アイドルはあきらめて正社員にならないかと言われたのがきっかけで、衝動的に「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」に向かい、天堂周伍郎の試験に合格し「RDC」のバリスタとなった。 そのため、花山太一達とはライバル関係になるが、コーヒーを通じて前よりもずっと良好な関係を築くようになる。

ジェイミー・ウルフ (じぇいみーうるふ)

ブライアン・ウルフの兄で、ブライアンと共にジャマイカでコーヒービジネス全般を行っている男性。「コーヒーミラーズ」という名でコーヒー農園や精選所、焙煎所を所有し、カフェチェーンのオーナーなども務めている。そのため、キングストンでウルフ兄弟の名を知らない者はいないといわれているほどの有名人。前髪を額が見えるほど短く切った、坊主頭に近い髪型をしている。 天堂周伍郎の「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」とはビジネスパートナーとして親しく、周伍郎が花山太一と醍醐未梨を連れてジャマイカを訪れた際には、観光案内や研修の手伝いをした。

ブライアン・ウルフ (ぶらいあんうるふ)

ジェイミー・ウルフの弟で、ジェイミーと共にジャマイカでコーヒービジネス全般を行っている男性。「コーヒーミラーズ」という名でコーヒー農園や精選所、焙煎所を所有し、カフェチェーンのオーナーなども務めている。そのため、キングストンでウルフ兄弟の名を知らない者はいないといわれているほどの有名人。経済的に貧しいジャマイカの人々を、自分が雇用主になる事で一人でも多く助けたいと考えている。 そのため、天堂周伍郎の「RDC(レッドダイヤモンドクラブ)」とはビジネスパートナーではあるが、品質を上げるために樽によるコーヒー豆の輸送を廃止したい周伍郎と、樽職人の雇用を守りたいブライアンのあいだで意見が対立しており、険悪な状態にあった。しかし、周伍郎が花山太一と醍醐未梨を連れてジャマイカを訪れた際、未梨が樽職人にコーヒーを振る舞った事がきっかけで、樽職人の方から、自分の雇用よりも、おいしいコーヒーを世界中に届ける事を優先してほしいと頼まれる。 これがきっかけで考えを改め、樽による輸送をやめて、グレインプロを使うようになった。日本のアニメのファンで、忍者の真似をしたり、アニメキャラクターのコスプレをするのが好き。

花山 大吉 (はなやま だいきち)

花山太一の父親で、コーヒー豆焙煎所「花山焙煎所」を経営する中年の男性。スキンヘッドで目が細く、太一に顔立ちがよく似ている。趣味は自転車で、がっしりとした筋肉質の体型をしている。明るく豪快で、自分の技術に絶対の自信を持つ、頑固な性格。そのため、人の話を聞かないところがある。もともとは電気部品を作る会社の社長として働いていた。 しかし10年前、太一の後押しもあり、大好きなコーヒーに関する仕事を始めようと、工場を焙煎所に変えてしまった。以来、焙煎師として働いており、自ら改造した焙煎機「とんちゃん」を使用して、データをもとに正確な作業を行う、先進的な焙煎を行っている。誰よりも生豆の個性を信じており、素材を大切に引き出す超浅煎り焙煎で有名焙煎師となった。 しかし超浅煎りにこだわるあまり、ほかの焙煎法を嫌がり、浅煎りに向いていないコーヒー豆も無理やり浅煎り焙煎してしまう。これが問題で「東京ドリンクカンパニー」の面々を困らせる事もあったが、最終的には太一が説得した事により、コーヒー豆に応じた柔軟な焙煎法を始めた。

ピエール 本田 (ぴえーる ほんだ)

演出家の男性。前髪を上げて額を全開にした撫でつけ髪にしている。長身で手足が長く、オネエ口調で話す。プライドが高く、演出家として参加する以上は、絶対に高品質なものを届けたいと考えている。しかし自分の美意識を優先するあまり、クライアントの意向を無視して進めようとするところがある。「王様コーヒー」対決に向けて「東京ドリンクカンパニー」に招かれ、当日のプレゼンテーションの演出を行う事になった。 しかし、花山太一達が用意した資料では地味すぎると考える。そこで本来、野間春人一人で進行するところを、容姿のいいカーク北野も加えて二人で行うのはどうかと提案した。しかしカークには、コーヒーをドリップする技術がなかったため、ひとまず見栄えのいいプレゼンになるよう、春人にダンスレッスンを始めた。 だが当日、春人が事故に遭った事で急遽出られなくなり、代役となった太一に仕方なく演出をつける。だが、ピエール本田の演出は太一の意向に沿うものではなかったため、最終的にはピエールが考えていたものとはまるで違うプレゼンが行われた。

クレジット

原作

福田 幸江

監修

川島 良彰(コーヒーハンター)

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