概要・あらすじ
大日自動車株式会社の総務部総務課に勤務する山口六平太はジャガイモのような顔をした、一見ごく平凡なサラリーマン。だが、会社で起きる社員同士のいがみ合いや衝突、福利厚生問題といった、種類を問わないトラブルが起きると、人をなるべく傷つけないよう配慮しつつ、見事に解決していく。社長や大株主は六平太を社長にと考えているが、当の本人は平社員にこだわり、今日も飄々と仕事をしていく。
登場人物・キャラクター
山口 六平太 (やまぐち ろっぺいた)
大日自動車株式会社の総務部総務課に勤務。過去には松山支社と仙台支社に単身赴任していたこともある。山口県出身の六男で6月6日生まれで「六平太」という名前もそうしたところから付けられた。名前から周囲に「六さん」「六ちゃん」とも呼ばれる。また、丸いそばかす顔から「ジャガイモ」とも呼ばれる。 「スーパー総務マン」の異名を持ち、会社だけでなく私生活でも色々なトラブルを次々と解決していく。解決方法もできるだけ相手を傷つけない見事なものだが、六平太本人はそれを自慢しない。住まいは土蔵を改造した借家で、玄関にはカエルの置物が対で並んでいる。特技は煙草を火の付けたまま、くるりと口の中に入れてしまう「タバコくるっ」というもの。 実は高校時代から煙草をたしなんでいる。社長秘書の吉沢小夜子と婚約中だが、未だに結婚する素振りはない。社長の田川耕筰や大株主の金森彦衛門には、次代の社長と目されているが、六平太本人はまだ総務の仕事の方にやりがいを見出している。
今西 欣治 (いまにち きんじ)
大日自動車株式会社の総務部総務課の課長。通勤時間に1時間55分かかる郊外から会社に通う。いつも「平凡な人」と言われており、本人もそれを自覚している。「ほどほど」「無難に」を信条としているが、総務課にはよく大きなトラブルが持ち込まれており、係長の有馬貴臣からはそれを「課長お得意のババ引き」と呼ばれている。 そして、そうしたトラブルはつい頼れる部下の山口六平太に任せてしまいがちになる。課長以上の出世は諦めており、定年後は植木職人を考えている。あまり欲は見せないが、自家用車だけは自社の車ではなく自身のこだわりで外国車の「ミニ・クーパー」を選んだ。またいびきのうるささでも知られており、社員旅行では敬遠されがち。
有馬 貴臣 (ありま たかおみ)
派生作品『総務部総務課有馬係長』では主役を務める。大日自動車株式会社の総務部総務課の係長。自分のことを「小生」と呼び、エリートぶった態度をよく取っているが、課内では「疫病神」扱いされている。課に持ち込まれたトラブルも、部下の山口六平太に丸投げすることが多い。上には弱くて下には強気になる、自己中心的で嫌みでお調子者で無責任な性格なため、総務部総務課以外の部署でも煙たがられている。 だがその一方で間抜けかつ人の好いところもあり、自分のドジで四苦八苦することもよくある。そのため、本来ならただの嫌われ者になりそうな人間性も、どこか憎めないものになっている。部下の村木賢吉のことをよく新聞紙で叩いたり人格否定レベルで悪口を言ったりもするが、互いに文句を言いつつもいいコンビだったりする。 逆に宮本桃子女史に関してはてんで頭が上がらない。実家は神主で、家族は有馬に家業を継がせようとしている。
村木 賢吉 (むらき けんきち)
大日自動車株式会社の総務部総務課に勤務。実家は山形県の福袋市で精肉店をやっており、店は妹の園子が受け継いだ。太った体型で、語尾はよく「~っす」「~すか?」となっている。太めで鈍くさいところがあり、よく係長の有馬貴臣に丸めた新聞紙で頭を叩かれており、それ以外でも「豚」「スカタン」などと悪口を言われているが、言われた村木も結構やり返しており、なんだかんだで腐れ縁のいいコンビのようになっている。 独身時代は大酒飲みで、酒代を合計すると高級外車が買えるほどらしい。昔は有名女優やアイドルとの結婚を夢見ていたが、今西課長の紹介で中村奈美というシングルマザーの美女と結婚。 妻の連れ子の美由紀以外に、長男の賢太も生まれ、一家四人で仲良く暮らしており、仕事の面でも色々と成長してきている。
小山 真弓 (こやま まゆみ)
大日自動車株式会社の総務部総務課に勤務。髪型はショートカットだが、前髪は分けて大半は右に流している。係長の有馬貴臣からは「カッパ」だの「沙悟浄」だの言われており、からかわれるたびによく言い返している。同じ課の三井京子は動機の親友。
三井 京子 (みつい きょうこ)
大日自動車株式会社の総務部総務課に勤務。髪型はショートで、前髪パッツン後ろ髪は軽くパーマがかかっている。係長の有馬貴臣からは「サル」だの「孫悟空」だの言われており、からかわれるたびによく言い返している。同じ課の小山真弓は親友で「反有馬連合」を組んでいる。どちらかというは真弓を抑える方だが、京子の方が有馬にキレることも少なくない。
宮本 桃子 (みやもと ももこ)
大日自動車株式会社の総務部総務課に勤務。元は経理部経理課だったが異動で総務部総務課に入った。有能な社員だが、「恐怖の桃ちゃん」というあだ名があるくらい、怒らせると怖い存在。そのため、いつも周囲を苛つかせる有馬貴臣係長の抑え役となっている。もっとも、その有馬は彼女のことを「姥桜」と呼んでいるが。 基本的に定時の17時になると退社して、カルチャースクールに通う。いずれは小説家になることも夢見ている。普段は地味で色気のない格好をしているが、髪を下ろすと女好きで知られる大株主の金森老人も目を引く美人に変身する。ずっと独身かと思われたが、年下のネイチャーフォトグラファー源田光と結婚。 夫の父で歴史学者の源田誠からは、死んだら蔵書を引き取ってくれと頼まれている。結婚後はそれまでの強気なところが弱まり、夫の無事を願って涙ぐむこともあった。
片岡 孝夫 (かたおか たかお)
大日自動車株式会社の営業部営業一課に勤務。当初は平社員だったが、後に係長に昇進。縁故入社なことにコンプレックスがあり、当初はやたらと周囲にケンカ腰だだか、山口六平太との出会いをきっかけに、物わかりがだいぶ良くなってきた。それでも上司の緒方賢太課長(後に部長)とは仕事の方針を巡って、しょっちゅう言い合いになる。 ちなみに縁故とは、祖母が会社の創業者の奥さんである兵頭まき子と東京大空襲で知り合い、戦後に再会したとき孫を大日自動車株式会社に入れると約束したというもの。社長秘書の伊達宗子~痴漢から助けたのをきっかけに交際し、やがて結婚。一人娘の舞を授かる。若いときからオートバイ好きで営業の足にも利用しているが、結婚・出産を機に控えめになっている。 社内では裏同好会として「始末書同好会」を運営している。
久米 広明 (くめ ひろうき)
大日自動車株式会社の営業部営業一課に勤務。かつてはマザコン気味で自分の入社式にベンツで乗りつけるなど、会社員として非常識なところもあったが、片岡孝夫の下についてからは口答えすらできなかった両親に自分の意見が言えるようになるなど、人間として成長が見られるようになった。 後に他社の受付嬢をしていた小宮悦子と結婚。仲人は「人間として一生付き合っていきたい人」という理由で片岡夫妻が選ばれた。現在も片岡の右腕として勤務中。
荒瀬 恒介 (あらせ こうすけ)
大日自動車株式会社の営業部営業三課に勤務。無精ひげとぼさぼさな髪型の体育会気質。営業三課の問題児として、数々のトラブルを引き起こしてきた。同じ問題児でも営業一課の片岡孝夫はきちんと責任を取ろうとするのに対し、荒瀬は往生際の悪さと言い訳が目立った。しかし、大株主の金森老人の車と接触事故を起こしたときに山口六平太に助けられてからは、いくらかマシになったと思いきや、会社の屋上で全裸になって行水したりと、多少神妙になっても迷惑体質は相変わらずである。 学生時代は相撲部で、ちづという祖母がいる。
千原 英一郎 (ちはら えいいちろう)
大日自動車株式会社の大阪支社から東京本社に異動となる。海外に行ってる叔父の吉祥寺にあるマンションに住み、高校の後輩の城島ら同世代の仲間とよくつるんでいる。当初はけんか腰で、山口六平太にもつっかかっていったが、本人には軽くいなされ、さらに宮本桃子を始めとする会社の女性陣に睨まれ、ここに至って六平太の器の大きさを悟って陳謝。 以降、六平太のファンになる。元ケンカ屋ということで営業一課の片岡孝夫のことも慕っている。「赤いコートのサキちゃん」こと、朝倉早紀をチンピラから救った際に一目ぼれするが、彼女の実家が由緒あるお寺で、交際には婿養子になる必要があると知って交際を断念。 その後、会社でなにかと仲良く話していた「派遣のベッキー」こと別府喜美子と交際。彼女の妊娠発覚を機に結婚する。さらに叔父が海外で結婚したため、留守を預かっていたマンションで結婚生活も送れるようになった。
田川 耕筰 (たがわ こうさく)
大日自動車株式会社の社長で「ブルドッグ」の異名を持つ。創業者の意思を継いで「世界に誇れるクルマを作る」事を目標としている。かつて、社長だと知らずにいた山口六平太にエレベーターのボタンを押させられ、腹いせに彼の喫煙を咎めたが、火の付いたまま口に中に煙草を入れてまた出す「タバコくるっ」の秘技についぽかーんとしてしまう。 その一件以来、社内のトラブルを見事に解決する六平太を気に入り、平社員でありながら役員会のオブザーバーとして参加させるなど、何かと目をかけている。ついでに家族の問題も、六平太の世話になっている。大株主の金森彦衛門ともども、いずれ自分の後継者として会社をまかせたいつもりだが、六平太本人はまだその意思がない。 社長退任後は妻とキャンピングカーで日本一周が夢である。
吉沢 小夜子 (よしざわ さよこ)
大日自動車株式会社の社長室秘書課勤務の社長秘書。父親は世界的に有名な画家。「大日自動車のマドンナ」とも言われている美女だが、本人はいたって控えめ。社長の田川耕筰にいつも付き従っているうちに、彼が目をかけている山口六平太といつしか親しくなり、やがて婚約する。六平太と二人きりになると、とても仲むつまじいところを見せるが、まだどちらもすぐに結婚するつもりはない様子。 実は合気道の有段者。
金森 彦衛門 (かねもり ひこえもん)
大日自動車株式会社の大株主で、株主総会では最も発言力が大きい。すでに80歳を越えているが、そうは思えないくらいエネルギッシュで、お姉ちゃんに対する色欲も旺盛。かつてはロールスロイスをスポーツカーのように乗り回していたが、営業部営業三課の荒瀬と接触して破損。その際に山口六平太と出会う。 このとき以降、車の運転は息子の金森浩介(かなもりこうすけ)に任せるようになる。六平太の才覚に惚れ込んでおり、社長の田川ともども、将来の大日自動車の社長にと目論んでいる。軍隊にいたときは輜重隊で軍馬を扱っており、馬にも深い思い入れがある。妻はすでに他界しており、日常の世話はヘルパーに頼んでいる。 現在のヘルパーは今時のギャル風だが、実は有能で重宝している。
平山 亀 (ひらやま かめ)
山口六平太の家の大家さん。一見するとごく普通のおばあちゃんだが、実は東大卒であり、最年少で大臣官房にもなったことがある。時の大臣をひっぱたいたこともある女傑。千原英一郎も当初、亀さんを軽く見ていたが、その正体を知ってからはすっかり恐れ入っている。六兵太の知り合いの子たちに田植えをさせたり、近所の中学生たちの相談に乗ったりと、近隣のコミニュケーションの中心にもなっている。
集団・組織
大日自動車株式会社 (だいにちじどうしゃかぶしきがいしゃ)
山口六平太らが所属する自動車メーカー。創業者は兵頭大三郎(ひょうどうだいさぶろう)。現在の社長は田川耕筰。モットーは「正義感のない会社は伸びない」。車のフロントフェイスは、ヘッドライト間にグリルがあいておらず、代わりに左側に真円状の穴がアクセントとして入っているのが大きな特徴。 当初は良く言えば堅実、悪く言えばあか抜けないデザインと言われていたが、2000cc、V6エンジンを積んだセダン「サザン」でリッターカークラス以上の車を生産するようになり、デザインもセンスのあるものになっていった。軽セダンの「コアラ」は六平太も愛車として利用している。他にクロスカントリー車の「パンサー」、有馬係長の愛車でリッターカーの「コアラ」、ワンボックスカーの「ワンボーイ」などが知られている。
第5事業所 (だいごじぎょうしょ)
『総務部総務課山口六平太』に登場する会社・組織。山口六平太らが所属する自動車メーカー大日自動車株式会社の元工場長である横山久志(よこやまひさし)が、「いつの日か世界に誇れるクルマを作る」という夢を叶えるために独立し、大夢自動車工場を設立。理想のクルマを作るプロジェクトをスタートさせる。社員はリーダーの椎名まこも、デザインの野田秀夫(のだひでお)、マネージャーの柳沢慎二(やなぎさわしんじ)、設計の下北沢博士(しもきたざわひろし)、そして事務の五十嵐麻美(いがらしまみ)の5人。 彼らが開発したオープンスポーツカーの「ロシナンテ」はその年のカーオブザイヤーに選ばれた。その後、会社は大日自動車株式会社に買い取られ、現在は第5事業所として機能している。
クレジット
- 原作
書誌情報
総務部総務課 山口六平太 81巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(1987-01-30発行、 978-4091812810)
第2巻
(1987-03-30発行、 978-4091812827)
第3巻
(1987-12-17発行、 978-4091812834)
第4巻
(1988-05-30発行、 978-4091812841)
第5巻
(1988-09-30発行、 978-4091812858)
第6巻
(1989-01-30発行、 978-4091812865)
第7巻
(1989-05-30発行、 978-4091812872)
第8巻
(1989-09-30発行、 978-4091812889)
第9巻
(1990-02-28発行、 978-4091812896)
第10巻
(1990-07-30発行、 978-4091812902)
第11巻
(1990-12-19発行、 978-4091824219)
第12巻
(1991-05-30発行、 978-4091824226)
第13巻
(1991-10-30発行、 978-4091824233)
第14巻
(1992-02-29発行、 978-4091824240)
第15巻
(1992-06-30発行、 978-4091824257)
第16巻
(1992-12-19発行、 978-4091824264)
第17巻
(1993-06-30発行、 978-4091824271)
第18巻
(1993-12-20発行、 978-4091824288)
第19巻
(1994-06-30発行、 978-4091824295)
第20巻
(1995-02-28発行、 978-4091824301)
第21巻
(1995-07-29発行、 978-4091836717)
第22巻
(1996-01-30発行、 978-4091836724)
第23巻
(1996-08-30発行、 978-4091836731)
第24巻
(1997-01-30発行、 978-4091836748)
第25巻
(1997-05-30発行、 978-4091836755)
第26巻
(1997-09-30発行、 978-4091836762)
第27巻
(1998-04-30発行、 978-4091836779)
第28巻
(1998-09-30発行、 978-4091836786)
第29巻
(1999-01-30発行、 978-4091836793)
第30巻
(1999-05-29発行、 978-4091836809)
第31巻
(1999-09-30発行、 978-4091854315)
第32巻
(1999-12-18発行、 978-4091854322)
第33巻
(2000-03-30発行、 978-4091854339)
第34巻
(2000-08-30発行、 978-4091854346)
第35巻
(2001-03-30発行、 978-4091854353)
第36巻
(2001-07-30発行、 978-4091854360)
第37巻
(2001-10-30発行、 978-4091854377)
第38巻
(2001-12-25発行、 978-4091854384)
第39巻
(2002-04-26発行、 978-4091854391)
第40巻
(2002-07-30発行、 978-4091854407)
第41巻
(2002-10-30発行、 978-4091865816)
第42巻
(2003-01-30発行、 978-4091865823)
第43巻
(2003-06-30発行、 978-4091865830)
第44巻
(2004-01-30発行、 978-4091865847)
第45巻
(2004-08-30発行、 978-4091865854)
第46巻
(2004-10-29発行、 978-4091865861)
第47巻
(2005-01-28発行、 978-4091865878)
第48巻
(2005-05-30発行、 978-4091865885)
第49巻
(2005-07-29発行、 978-4091865892)
第50巻
(2005-10-28発行、 978-4091865908)
第51巻
(2006-02-28発行、 978-4091801791)
第52巻
(2006-06-30発行、 978-4091804860)
第53巻
(2006-10-30発行、 978-4091807953)
第54巻
(2007-03-30発行、 978-4091811752)
第55巻
(2007-06-29発行、 978-4091812575)
第56巻
(2007-10-30発行、 978-4091815170)
第57巻
(2008-03-28発行、 978-4091817631)
第58巻
(2008-07-30発行、 978-4091821256)
第59巻
(2008-12-26発行、 978-4091822758)
第60巻
(2009-06-30発行、 978-4091825209)
第61巻
(2009-11-30発行、 978-4091827692)
第62巻
(2010-03-30発行、 978-4091830937)
第63巻
(2010-07-30発行、 978-4091833594)
第64巻
(2010-12-25発行、 978-4091835406)
第65巻
(2011-04-28発行、 978-4091838162)
第66巻
(2011-09-30発行、 978-4091840837)
第67巻
(2012-03-30発行、 978-4091843241)
第68巻
(2012-07-30発行、 978-4091846297)
第69巻
(2012-11-30発行、 978-4091847829)
第70巻
(2013-03-29発行、 978-4091850478)
第71巻
(2013-07-30発行、 978-4091853790)
第72巻
(2013-11-29発行、 978-4091856708)
第73巻
(2014-03-28発行、 978-4091860590)
第74巻
(2014-07-30発行、 978-4091863478)
第75巻
(2014-11-28発行、 978-4091866561)
第76巻
(2015-03-30発行、 978-4091868190)
第77巻
(2015-09-30発行、 978-4091872388)
第78巻
(2016-02-29発行、 978-4091874887)
第79巻
(2016-06-30発行、 978-4091876638)
第80巻
(2016-11-30発行、 978-4091892478)
第81巻
(2017-01-30発行、 978-4091894502)