概要・あらすじ
幼なじみの友人二人と黒土山へ出かけた片瀬遼は、そこで羆と遭遇してしまう。居合わせたTV局クルーたちと共に山からの脱出を図るが、麓へ通じる橋が壊れ、下山が不可能に。羆への恐怖におびえながら、一行は必死に生き残る道を模索する。しかし極限状態によるストレスは仲間たちの理性をむしばみ、やがて対立が起き始める。
そして脱獄犯・菊沢隆二の登場により、事態は最悪の方向に転がり始める。
登場人物・キャラクター
片瀬 遼 (かたせ りょう)
12歳。中学1年。小学生のときに父親をトンネルの崩落事故で亡くし、現在は母親と二人暮らし。友人の中竹宏斗、松本幸雄と黒土山に出かけ、羆と遭遇。幼いながらも勇気があり、絶体絶命の状況でも決してあきらめることをしない。正義感も強く、脱獄犯の菊沢隆二にも臆せず立ち向かった。かつて親とはぐれた子グマにエサをやったことがあり、その子グマ・クロが、自分たちを襲う羆の正体ではないかと疑う。
中竹 宏斗 (なかたけ ひろと)
13歳。父親は大病院の院長。私立の進学校に通っているが、成績が思うように伸びずに悩んでいる。片瀬遼の友人で、一緒に黒土山に遊びに出かけ、羆と遭遇する。槍や弓矢を作ったり、トリカブトから毒を抽出したりと、サバイバルに意外な才能を見せる。
松本 幸雄 (まつもと ゆきお)
12歳。気が弱く、太っていて運動も苦手。片瀬遼の友人で、一緒に黒土山に遊びに出かけ、羆と遭遇する。
沢田 (さわだ)
TV局のディレクター。北海道の自然を紹介する番組を制作しており、撮影のためにクルーを引き連れて黒土山にやってきた。雨宿りに入った山小屋で、主人公の片瀬遼たちと出会う。羆に襲われたあとも一行のリーダーとして懸命に振る舞っていたが、次第に理性を失っていく。
菊沢 隆二 (きくざわ りゅうじ)
脱獄した凶悪犯。元警察官でテロ対策専門の特殊部隊に所属していたが、上官を殺して逮捕された。黒土山に潜伏中に、片瀬遼たちと出会う。ライフルをちらつかせ、一行を恐怖で支配する。
福田 (ふくだ)
TV局のクルー。沢田たちと共に黒土山に撮影に来ていた。臆病者で、片瀬遼たちを見捨てて逃げ出すなど卑怯な行動が目立つ。脱獄犯・菊沢隆二が合流すると、我が身可愛さから彼の手下になった。
恵 (めぐみ)
大学生。大学の仲間と共に黒土山にキャンプにやってきて、羆に襲われる。羆から逃れるために友人を見捨てたことがトラウマになっている。
田村 (たむら)
大学生で恵の彼氏。大学の仲間と共に黒土山にキャンプにやってきて、羆に襲われる。羆から逃れるために友人を見捨てた。
野田 (のだ)
TV局のクルー。山小屋で羆に襲われ、連れ去られる。奇跡的に生還を果たすが、襲われたときの傷がもとで命を落とす。結婚を間近に控えていた。
井上 (いのうえ)
テレビカメラマン。ディレクターの沢田よりも年上で、彼に対抗心を持っている。スクープ映像に固執し、仲間が死ぬときでさえカメラを回すことをやめなかった。
中野 (なかの)
テレビカメラマン。一行の中で、羆の最初の犠牲者となる。彼が残した映像によって、片瀬遼たちは人食いグマの存在を知ることになる。
高木 (たかぎ)
TV局のクルー。学生時代は山岳部に所属し、ロッククライミングの経験がある。救助を呼ぶために崖を降りるが、途中で羆に襲われてしまう。
近藤 (こんどう)
TV局のクルー。羆の襲撃を受けた際、片瀬遼たちを命がけで助けようとした。
クロ
『キムンカムイ』に登場するクマ。片瀬遼が小学生時代にエサを与えたことがある子グマ。片瀬遼たちは成長したクロが、自分たちを襲っている羆の正体ではないかと疑う。