ギャラクシー銀座

ギャラクシー銀座

豪邸に引きこもりイタズラ電話をくり返す青年・竹之進の、母親との奇妙な生活や、幻覚にさいなまれながらの行動を描いた作品。現実の出来事と竹之進の幻覚が交錯し、整合性のない不条理な展開が頻発する。また、唐突に竹之進とは一見無関係なエピソードがしばしば挿入されるが、その多くは後に何らかの形で接点が示される。

正式名称
ギャラクシー銀座
ふりがな
ぎゃらくしーぎんざ
作者
ジャンル
不条理・シュール
 
その他ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

人気歌手の父と過保護な母により、豪邸で悠々自適な生活を送る青年・竹之進は、毎夜ロックミュージシャンに扮して音楽活動と称しながら、イタズラ電話で鬱屈した感情を発散させていた。ある日、母親が入手してきた新型覚醒剤を体内に挿入された竹之進は脳内に違和感を覚えるようになる。さらにイタズラ電話の相手・コニーの誘いを受けて外出した竹之進は、コニーに襲われるが脱出。

しかし、他所の女と接触したことで母親の怒りを買ってしまう。

登場人物・キャラクター

北古賀 竹之進 (きたこが たけのしん)

豪邸に引きこもり、毎夜自分がロックミュージシャン・ミッドナイトキッスという設定で独りライブをくり返す青年。そのライブ活動は、イタズラ電話をして相手の女性を罵倒するというもの。引きこもり生活は10年以上に及ぶ。父のココ北古賀には従順な息子として接しながら、内心では嫌悪感を抱いている。母親とは、マミーと呼んで依存し合う関係を続けていたが、イタズラ電話で知り合ったコニーに会ったことで関係が悪化する。 母親に新型覚醒剤を打ち込まれてから、脳内に幻覚を覚えるようになる。ラジオ番組・心のともしびのリスナーであり、不安な心理から竹やぶに惹きつけられる。

竹之進の母 (たけのしんのはは)

大きなピンクのリボンをつけた高齢の陽気な女性。息子の竹之進からは「マミー」と呼ばれており、フルネームは不詳。竹之進を溺愛し、彼のイタズラ電話にも理解を示すばかりか、多数の電話機や覚醒剤を仕入れてくるなど協力も辞さない。特に覚醒剤については強く推奨しており、達郎から新型覚醒剤との触れ込みで渡された金属棒を強引に竹之進の体内へ押し込んだ。 主婦たちの合唱サークルに参加しており、歌の最中、発作的にオゼちゃんを吐き出しては強引に誤魔化そうとしている。竹之進の女性関係にだけは厳しく、コニーと会ってきた竹之進に態度を豹変させ、以後異常な言動がより極端になる。

ココ北古賀 (ここきたこが)

国民的シャンソン歌手と呼ばれる、壮年の男性。竹之進の父。「チンモルケ~いとせし君…~」という歌がヒットし、「チンモルケ御殿」と呼ばれる豪邸で妻子に何不自由ない生活をさせている。竹之進に濃厚な愛情表現を示すが、竹之進からはその俗物ぶりを疎まれている。走っている車の中に突然現れるなど神出鬼没だが、登場シーンの多くは竹之進が見た幻覚と思われる。 竹之進の母に殺害されたと思われる描写もあるが、それさえも現実か、竹之進の幻覚によるものかは不明。

鴨下田 美美

関西でインディーズで活動をしているベテラン女性ミュージシャン。夜中に竹やぶの前でライブを開催し、最後に自ら竹やぶの中へ入っていくと二日後に仏像となって発見される、という逸話を多数持っている。決めゼリフは「女(男)って竹やぶの中に入らなならん時があると思うね~ん!」。竹やぶに入って仏像になるのは、相棒のギタリストやファンの少女という場合もある。 彼女のファンが語る逸話は「心のともしび」というラジオ番組で放送されている。

小西コニー (こにしこにー)

巨体の女性。二十歳。人気女性モデルに嫉妬し、夜な夜な森に出かけては木々に鬱憤をぶつけている。手刀で木を穿ち、体当たりで立ち木をへし折るほどの怪力と巨体を持つ。イタズラ電話がきっかけで竹之進を誘い、強引に性的関係を結ぼうとするが、モーテルの火災により焼死する。

オゼちゃん

竹之進の母が、主婦たちの合唱サークルで歌っている最中にたびたび吐き出す、いわゆる「宇宙人グレイ」に似た小人。竹之進の母は当初、隠そうとして再度飲み込んでおり、その感触を餅のようだと感じている。サークルで歌われる合唱曲が「夏の思い出」であるためか「尾ォォ、瀬ェェ」と声を発し、サークルに受け入れられてからは「オゼちゃん」と呼ばれ可愛がられる。 描写から達郎や新型覚醒剤とは関わりがあると思われるが、具体的な関係は不明。

(むし)

新型覚醒剤を挿入された竹之進が、脳内にしばしば見るようになった幻覚。人間大ほどのクラゲに似た姿で、ブギウギシスターズに液体を浴びせて溶かしてしまう。「ウェルカム ヒューマン ギャラクシー」と絶叫する。テレビニュースで、人間の頭の中に住み自己嫌悪や恐怖心を利用して人をワナにかけ、最終的には死に至らしめると説明された。

達郎 (たつろう)

渋谷で竹之進の母に新型覚醒剤を渡した、長髪の男。風貌があるミュージシャンに似ているため「達郎」と呼ばれている。竹之進の母が通う合唱サークルの練習場に現れ、オゼちゃんを探しにきたメンバーの一人を秘かに消滅させた。オゼちゃんと行動を共にしていることもあり何らかの関係があると思われるが、その正体は不明。

ハリス漆原 (はりすうるしばら)

体を鍛えながら地球環境を憂う、筋骨逞しい男。「男のジム サクセス」を運営する。鍛えた自分の腱の熱さが地球温暖化に拍車をかけているのではと疑念を抱き、北極の氷を溶かしてシロクマの住処を奪ってしまうことを心配している。同性愛傾向があり、ジムを訪れた竹之進を抱擁する。

シュウ

「男のジム サクセス」の門下生・「サクセスボーイズ」の少年。ハリス漆原とは同性愛関係にあったと思われる。ジムを訪れハリス漆原に気に入られた竹之進に嫉妬するが、対立しているところをハリス漆原に見られ、突き飛ばされる。その悲しみのせいかユニコーンに姿を変え、泣きながら走り去っていく。

豆村 きよし

スペースシャトルで宇宙に出ていた、日本人宇宙飛行士。宇宙空間で新型覚醒剤と接触して以来、知性を失った猿のような風貌に変わってしまった。地球へ帰還した直後の記者会見では妻が強引に誤魔化したが、その後も快復せず完全に猿の姿になってしまう。

集団・組織

ニューファラオ

「走るホストクラブ」のキャッチフレーズを持ち、ホスト達と社長が乗った蒸気機関車が爆走するというテレビCMを放送している、出張ホストクラブ。ホストは若手の3名と中年の幹部1人で構成され、幹部は若手たちに若干隔たりを感じている。

ブギウギシスターズ

新型覚醒剤を挿入された竹之進が、脳内にしばしば見るようになった幻覚。長女の米子、次女のまつ、三女の〆子で構成される中年女性の三人組で、歌やコントを披露する。一度は舞台袖に現れた虫に溶かされるが、後に竹之進の幻覚内で復活した。竹之進からは「便所の黄ばみのような」と形容される。

その他キーワード

新型覚醒剤 (しんがたかくせいざい)

渋谷へ覚醒剤を買いに来た竹之進の母が、達郎から渡された物体。直角に折れ曲がった針金の先端に小さな玉が付いたような形状をしている。竹之進の母はこれを「新型の覚醒剤」と信じて疑わず、嫌がる竹之進を押さえつけて強引に臍から体内へ挿入。以後、竹之進はブギウギシスターズや虫の幻覚を見るようになる。宇宙空間で、宇宙飛行士・豆村きよしの前にも出現しており、豆村の変貌に何らかの形で関与したと思われる。

心のともしび (こころのともしび)

ラジオ番組。「宗教の時間」というコーナーでは、ハスキー美美のファン達が、ライブで体験した出来事を語る。竹之進もリスナーであり、キーワードである「竹やぶ」が強く印象に残っていた。

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