真夜中の弥次さん喜多さん

真夜中の弥次さん喜多さん

純粋な弥次郎兵衛(ヤジさん)が恋人の喜多八(キタさん)と共に、キタさんの薬物依存症を治すためお伊勢さんを目指して旅をする様を描いた不条理漫画。後の『弥次喜多 in DEEP』へと繋がっていく、しりあがり寿の代表作。

正式名称
真夜中の弥次さん喜多さん
ふりがな
まよなかのやじさんきたさん
作者
ジャンル
時代劇
 
不条理・シュール
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概要・あらすじ

江戸に住む弥次郎兵衛(ヤジさん)と喜多八(キタさん)は深く愛し合う恋人同士。しかしキタさんは薬物依存症という大きな問題を抱えていた。そんなキタさんの症状を治して幸せになるため、ヤジさんはお伊勢参りに希望を見出して旅の計画を立てた。不条理な道中を進む二人だが、ある時キタさんは薬物の禁断症状に耐え切れなくなり、制止するヤジさんを思いがけず殺してしまう。

キタさんヤジさんを殺してしまったショックから再び薬物の多量摂取を始め、ヤジさんの妄想に耽るようになる。一方ヤジさんは、再びキタさんと出会うために賽の河原に棲む医者の奪衣婆の力を借りて蘇生の道を模索していた。

登場人物・キャラクター

弥次郎兵衛 (やじろうべえ)

眉毛が濃く、青髭が濃い男性。純粋な性格で、同性のキタさんを深く愛している一途な男。現在はキタさんがパートナーだが、昔は女好きだった。キタさんの薬物依存症を治すため、お伊勢参りを計画する。しばしば禁断症状が出て、弱音を吐くキタさんを励ましている。

喜多八 (きたはち)

ヤジさんと深く愛し合う金髪の男性。薬物の影響か、痩せこけている。薬物依存症を治すため、ヤジさんの提案に従ってお伊勢参りに向かうことになる。小さな頃から女の子のすることに興味を持ち、女の子への憧れが強かった。初めて男に告白した際、「気持ち悪い」と断られたことが深い傷となっている。

松平 空の守 (まつだいら そらのかみ)

庶民と共に海で騒ぐ、自由奔放な若殿。将軍の親類に当たる。公儀の隠密に命を狙われており、大磯の浜で遊んでいた際、突如として起こった豪雨の中で暗殺されてしまう。強靭な生命力ゆえ生首となっても少しの間生命を保ち、ヤジさんとキタさんの旅に同行する。最後は他の将軍家親類同様かまぼこになることを望み、キタさんに食べられてしまう。 死後の世界ではカリスマ性を発揮し、一人で消えていくのを怖がる魂を吸収して巨大な体となっていた。

人面瘡 (じんめんそう)

お伊勢参りの途中でキタさんとはぐれてしまったヤジさんが、寂しさから腕に作り出してしまった。キタさんの頭部の形をしており、言葉を話す。しかし、喜多さんと再会したヤジさんによって、人面瘡を落とす人面瘡の湯に浸けられ落とされてしまう。その際、同じようにキタさんが作り出していたヤジさんの顔をした人面瘡と融合し、ジンメンソウノタマとなった。

松喰い虫のボブ (まつくいむしのぼぶ)

『真夜中の弥次さん喜多さん』に登場する虫。沼津付近に生息しており、江戸に出ることを夢見ている。松ばかり食べる一生に嫌気が差し、様々な経験をするため通信教育や資格のパンフレットを10年に渡り集めていた。へそ曲がりで口も悪いが、性根は優しい。

奪衣婆 (だつえば)

肥満体系で、三途の川の手前賽の河原で診療所を開いている。口は悪いが、ヤジさんが死んだ際には彼を生き返らせるために協力した。

バーテンダー

故人だが妻から強く思われ、妻の妄想によって存在を得ている男性。幻覚の力を持つキノコの森でバーテンダーをしている。妻は彼の存在を認識するためにキノコの力を借りるが、やがてはキノコに寄生されキノコそのもののようになっている。死んだヤジさんがまだ存在すると思いたいキタさんに、幻覚を保つためのアドバイスを授ける。

ラッキー生き太 (らっきーいきた)

生と死の世界を隔てる二人組の門番の片割れ。赤子のような容姿をしているが、体は巨大。産まれたばかりだが、近くに死界があるために死に対して恐怖を抱き、少しでも楽しく過ごすために片割れのラッキー死ん太と漫才を繰り返している。普段は泣き虫だが、生と死の理を覆そうとするものに対しては豹変する。

場所

三島之宿 (みしまのやど)

『真夜中の弥次さん喜多さん』に登場する宿場町。時の流れが混沌とする時の霧に覆われた町。時の霧の中では、過去や未来の自分と出会うこともあるため、他時代の自分に伝えたいことがある者が多く集まっている。

原之宿 (はらのやど)

『真夜中の弥次さん喜多さん』に登場する宿場町。濡れた人を後ろめたい気持ちにする後ろめたい雨が降り続け、水浸しになっている町。ヤジさんとキタさんが泊まった時は雨の勢いが更に強くなり、まるで海のようになってしまった。

吉原之宿 (よしわらのやど)

『真夜中の弥次さん喜多さん』に登場する宿場町。団子屋を営む翁と、テンションが異常に高い彼の息子たちがいる。紙の名産地であり、建物や住民たちも全部紙で出来ていた。

駿府之宿 (すんぷのやど)

『真夜中の弥次さん喜多さん』に登場する宿場町。プラモデルの本場であり、街中の花までもがプラモデル。プラモデルの宿屋が数か所ある、宿屋内に普通の風呂場とプラモデルの風呂場が存在するなど、非常にややこしい町。

丸子之宿 (まるこのやど)

『真夜中の弥次さん喜多さん』に登場する宿場町。地中からトロロ汁が噴き出すスポットもあるトロロ汁の名産地。通りにはDNAを断ち切るとされる剣、エクスカリバーが刺さった石がある。

その他キーワード

エクスカリバー

『真夜中の野次さん喜多さん』に登場する剣。丸子之宿の道端の石に刺さっていた西洋風の剣。DNAを断ち切るとされているが、誰も抜くことが出来なかった。薬物の禁断症状に襲われたキタさんが衝動的に抜いてしまい、ヤジさんを殺す凶器となってしまう。

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