概要・あらすじ
ユーラシア大陸を旅行中の宗像は、モンゴルの首都ウランバートルにたどり着く。宗像のモンゴル訪問には、「源義経=チンギス・カン説」を唱えた友人のため、手がかりを見つけてやれないか、という秘めた目的があった。宗像は、ガイドのバト・スレンの案内でモンゴルの草原を旅しながら、13世紀のモンゴル帝国の歴史に思いを馳せる。
初代皇帝のチンギス・カンからその孫のクビライまでの史実をたどりながら、宗像は歴史の深層に迫っていく。
登場人物・キャラクター
宗像 (むなかた)
東京の大学で、民俗学の教授をしている中年の男性。大柄で恰幅がよく、口ひげを蓄えている。日本の文化・民俗が大陸起源であることからユーラシア大陸の旅を開始し、その途中でモンゴルを訪れた。その旅には、「源義経=チンギス・カン説」を唱えている若い友人のために、現地で手がかりを探してやろうという密かな目的もある。
バト・スレン (ばとすれん)
モンゴル大学の考古学研究員をしている若い男性。かつて日本に留学した時、宗像の友人である教授に世話になったことがある。その縁で、モンゴルを訪れた宗像のガイド役を引き受けた。細かい敬語などが怪しいものの、日本語をうまく話せる。チンギス・カンの子孫というモンゴル人の血統を誇りに思っている。
エネビシ
モンゴル人の中年の男性。現代のモンゴルでは珍しくなった、羊を遊牧する生活を営んでいる。妻とユーラを含む数人の子供とともに暮らしている。宗像とバト・スレンの乗る自動車が草原で事故を起こした時、救助して手当てをした。これが縁で、自動車が直るまでの数日間、2人はエネビシ一家の世話になることになった。
ユーラ
エネビシの娘。若く美しい女性だが、遊牧民の娘らしく活発に馬を乗りこなす。草原のただ中で自動車の故障に見舞われた宗像とバト・スレンの世話をした。優しく世話焼きな性格で、都会育ちで乗馬の苦手なバトが乗馬の練習をするのにも付き合った。
チンギス・カン (ちんぎすかん)
モンゴル部族の族長だった男性。モンゴルを旅する宗像の考察・空想シーンの中に登場する。はじめの名は「テムジン」。前半生は謎に包まれているが、1206年にモンゴルの皇帝となり、「チンギス・カン」と名乗った。宗像は、モンゴルの軍事力の秘密は、チンギスが鉄資源と加工技術を持ち合わせ、強力な鉄製の武器を作れたことにあると考察している。 実在の人物であるチンギス・カンがモデル。
クビライ
モンゴル帝国の第5代皇帝。チンギス・カンの孫。モンゴルを旅する宗像の考察・空想シーンの中に登場する。戦いでは、時間をかけて確実に相手を追い詰める周到な手法を採る。遠大な考えを持つ、茫漠としてとらえどころのない人物。兄である皇帝・モンケの死後、弟のアリク・ブケと継承権を争い、長い内乱の末に皇位を勝ち取った。 実在の人物であるクビライがモデル。
アリク・ブケ (ありくぶけ)
クビライの末の弟。モンゴルを旅する宗像の考察・空想シーンの中に登場する。長兄である皇帝、モンケの急死後、その有力な後継者だったが、兄のクビライがいち早く皇帝に即位。これを認めなかったアリク・ブケとの間で後継者争いが勃発した。4年にわたる内乱の末、クビライに降伏した。実在の人物であるアリク・ブケがモデル。
マルコ・ポーロ (まるこぽーろ)
ヴェネツィア人の商人の息子。モンゴルを旅する宗像の考察・空想シーンの中に登場する。ユーラシアの東西の交流が活発になったクビライの時代に、陸路でヨーロッパからモンゴルを訪れる。クビライに謁見して気に入られ、長年にわたって傍に仕えた。そこで、世界中の富が集まったモンゴルの豊かさを目の当たりにすることとなった。 実在の人物であるマルコ・ポーロがモデル。
カイドゥ
モンゴル皇帝家の傍流・オゴデイ家の当主だった男性。モンゴルを旅する宗像の考察・空想シーンの中に登場する。冷徹な野心家。クビライの支配に不満を持つ者たちを集め、カイドゥ・ウルス(カイドゥの国)を立ち上げてクビライに反旗を翻した。実在の人物であるカイドゥがモデル。
その他キーワード
バルガス
モンゴル帝国時代の城で、モンゴル各地に遺跡が残っている。どのバルガスも数百メートル四方で、周囲を土塁で囲まれ、中に池などの庭園がある。遺跡の1つを見学した宗像は、その形状が古代東北の城柵に似ていることに気づく。
クレジット
- 原作
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NHK「文明の道」プロジェクト