7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT

7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT

ハロルド作石の『7人のシェイクスピア』の続編。16世紀のロンドンを舞台に活躍した謎多き劇作家であるウィリアム・シェイクスピアの真相を、大胆にアレンジして描く。副題は、シェイクスピア家の紋章に刻まれている「権利なからざるべし」という意味を持つ古フランス語「NON SANS DROICT」がもととなっている。「週刊ヤングマガジン」2017年2・3合併号から連載の作品。

正式名称
7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT
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あらすじ

第1巻

1588年のロンドンにランス・カーターリーミルの三人がやって来た。彼らを待っていたのは、ランスの幼なじみで親友のワース・ヒューズ。彼らの目的は、ロンドンの劇場で成功する事にあった。早速ランスは、自作の脚本をロンドンでも屈指の劇団「ストレンジ卿一座」の座長であるジェームズ・バーベッジのもとへ持ち込むが、駄作だと一蹴されてしまう。ランスはジェームズのもとへ足しげく通うものの、まったく相手にされない日が続いたため、別の劇場を訪ねる事にする。ランスが向かったのは、ロンドンで最も売れっ子といわれるクリストファー・マーロウの所属する海軍大臣一座だった。しかし、ここでもランスの書いた脚本は却下されてしまう。その後もロンドン中の劇場を回るランスだったが、まるで相手にされず、親友のワースから別のやり方を考えるよう諭される。ある日、ランス達の家にケインアンの母子が転がり込んで来る。父親の日常的な虐待から逃げ出して来た二人は、ランス達と共に生活するようになる。そんな中、相変わらず劇場に相手にされないランスを見かねたミルは、ある一計を案じる。

第2巻

ランス・カーターワース・ヒューズは、ロンドンでも有名な一座であるストレンジ卿一座海軍大臣一座に自信作「ヴェニスの商人」を持ち込むが、いずれも袖にされる。数々の一座に持ち込みを続けながらも、まるで相手にされない日々が続き、手持ちの資金も少なくなって来た中、ランスの仲間であるミルは、ストレンジ卿一座のスポンサーであるファーディナンド・スタンリーに手紙を書く。「ヴェニスの商人」の脚本を読んだファーディナンドは、ジェームズ・バーベッジに命じて「ヴェニスの商人」をストレンジ卿一座で上演する手続きを進める。脚本を気に入ったファーディナンドに名を尋ねられたランスは、本当の名前である「ウィリアム・シェイクスピア」を名乗る。しかし、脚本はバーベッジに買い取ってもらう事ができたものの、その後の収入はなにも発生しなかった。さらに売れる脚本を書くためにランスは、ワースと共に海軍大臣一座の舞台を見に行く。そこで見た舞台からヒントを得たランスは、同居人のケインの提案で「リチャード三世」という脚本を書き上げる。

第3巻

ストレンジ卿一座で「ヴェニスの商人」を上演する事が決まったランス・カーターは、新作「リチャード三世」を持ち込み、こちらを先に上演してもらうよう座長のジェームズ・バーベッジに相談する。ジェームズは、酒場の一角での上演という条件つきで「リチャード三世」の上演を許可するが、興行は失敗に終わる。ジェームズはこの失敗に激怒するが、ジェームズの息子で「リチャード三世」の主演である役者のリチャード・バーベッジは、ランスの脚本に大きな魅力を感じていた。さらにストレンジ卿一座のスポンサーであるファーディナンド・スタンリーの妻であるアリス・スタンリーもまたランスの脚本には非凡なものがあると語る。さらにロビン・ウィリアムズという役者志望の青年もまた、ランスの書いた脚本で舞台に出演する事を願い、ストレンジ卿一座に入団する。演技は素人だが奇抜な発想力を持っているロビンをランスは食事に招き、彼はそこでロビンが「ジャパン」という国の血を引いている事を知る。

第4巻

ランス・カーターは、新作「ヨーク・ランカスター両名家の戦い」をストレンジ卿一座で上演するが、今回も「リチャード三世」と同じく観客の反応は微妙なものだった。しかし、観客の中にはこの作品を評価する者も現れ、少しずつ「ウィリアム・シェイクスピア」の名前はロンドンで広がっていく。そして、ランスの脚本と評判は海軍大臣一座クリストファー・マーロウの知るところとなった。マーロウは、かつてランスと出会った際に歯牙にもかけなかったが、自身にとって最大のライバルであると認めたのだ。その結果、「ヨーク・ランカスター両名家の戦い」は再びストレンジ卿一座で上演される事となった。同じ頃、ランスに心酔するストレンジ卿一座の新人俳優、ロビン・ウィリアムズは、とある事情からランス達の住む屋敷へと身を寄せる。そのロビンも出演する「ヨーク・ランカスター両名家の戦い」は大評判のまま舞台を終え、ランスはロンドンで自身の脚本が好評を博した事を喜ぶのだった。

第5巻

ランス・カーターの書いた脚本「ヨーク・ランカスター両名家の戦い」はロンドン中で評判となり、脚本家であるランス自身も「ウィリアム・シェイクスピア」の名前で有名になっていく。だが、ランスの親友であるワース・ヒューズは資金繰りに頭を悩ませていた。そこでワースは、ストレンジ卿一座のスポンサーであるファーディナンド・スタンリーの力を借りる事を考える。ファーディナンドは、妻であるアリス・スタンリーより「ヨーク・ランカスター両名家の戦い」がランス一人の手によるものではない事を見抜いており、協力者であるリーと会いたいと告げる。ファーディナンドの頼みを受けてワースはリーを引き合わせ、リーの持つ能力に魅了されたファーディナンドからの資金援助を引き出す事に成功する。ストレンジ卿一座の座長であるジェームズ・バーベッジはロンドン最大の劇場であるシアター座で「ヨーク・ランカスター両名家の戦い」を上演する事をランス達に約束するが、ストレンジ卿一座と人気を二分する海軍大臣一座とのあいだで役者間のトラブルが発生し、暴動へと発展してしまう。この事態を収拾するためにジェームズは、海軍大臣一座座長のフィリップ・ヘンズロウと合同公演を行う事を提案する。

第6巻

ストレンジ卿一座海軍大臣一座の合同公演が始まった。しかし、海軍大臣一座の看板俳優であるエドワード・アレンの演技を目の当たりにしたストレンジ卿一座のリチャード・バーベッジは本来の力を発揮できずに舞台でもミスを連発してしまう。リチャードの苦境を悟ったランス・カーターはリチャードを激励し、落ち着きを取り戻したリチャードは本来の演技を見せる。ストレンジ卿一座の座長であるジェームズ・バーベッジはランスに新作を書いて来るように要求、それに応えてランスは新作「マクベス」を書き上げる。ランスの親友、ワース・ヒューズは脚本料の増額を要求し、ジェームズは出来高払いという形でそれに応じる。「マクベス」の上演が始まり、観客からの期待も高まる中、海軍大臣一座によって舞台は妨害されてしまう。だがランスはそれすらも予測しており、新たな筋書きを与えてその場を乗り切る。ストレンジ卿一座の底力を見た海軍大臣一座の座長、フィリップ・ヘンズロウはただただ驚くばかりだった。

登場人物・キャラクター

ランス・カーター (ランスカーター)

片田舎からロンドンへやって来た劇作家志望の青年。さまざまな困難を前にしても決してくじけない強い意志を持ち、つねに前向きな姿勢を忘れない。人当たりもよく、初対面ながらケインやアン達ともすぐに打ち解けた。本名は「ウィリアム・シェイクスピア」で、ロンドンへ出る際に親友のワース・ヒューズよりランス・カーターの名前を贈られ、ロンドンではその名前で活動する。 極端な身分社会が横行する中世のイギリスで、自由を手に入れるために仲間達と演劇の世界に飛び込んでいく。

ワース・ヒューズ (ワースヒューズ)

ランス・カーターの親友であり、幼なじみの青年。端正な顔立ちで、劇作家志望のランスと行動を共にしている事から役者志望と思われがちだが、実際には商人を志望している。非凡な商才を持ち、ロンドンへ引っ越して来るための交通費や当面の生活費などはすべてワースが稼いだ。ランスの持つ才能を誰よりも認め、ランスのために自身の能力を捧げる事を決意する。 本名は「ジョン・クーム」だが、ランスと共にロンドンへ出る際に自身の名を捨てワース・ヒューズを名乗る。

リー (リー)

ランス・カーターと共にロンドンへ越して来た少女。中国の出身であり、ロンドンでは珍しい黒い髪の毛と黒い瞳を持っているため、人々の好奇の目に触れないようにふだんは屋敷の中にいる。人間の心を見通す不思議な能力を持っており、ランスの書いた脚本にセリフとしての命を吹き込む役割を担っている。ランスの脚本はリーの考えた詩的なセリフがあって初めて完成するが、利害関係を超えてランス達はリーを保護しており、リーもまた彼らに対して恩義を感じている。

ミル (ミル)

ランス・カーターと共にロンドンへ越して来た男性。小太りの中年だが、セリフ回しには他人を引きつける独特なものがあり、ランスの書いた脚本を最初に読む役割を担っている。その正体は、カトリックの司祭であり、本名は「トマス・ラドクリフ」。かつては政治にも強い影響力を持っていたが、宗教革命によってその地位を追われた。カトリックの信者というだけで死罪のため、周囲の目から隠れて生活している。 現在もかつてのカトリックの信者達からは絶大な支持を集めており、その人脈と教養の深さでランス達をサポートする。

トマス・ソープ (トマスソープ)

書籍の行商人の男性。ランス・カーター達がロンドンで住む屋敷を紹介した事からランス達とかかわりを持つ。イギリスの名門ケンブリッジ大学に在籍していた事があり、在学中に図書館のすべての本を読んだともいわれる秀才。ランス達が持っていない「学識」という能力を持ち、ランスが脚本を書く際の資料提供などで活躍する。トマス・ソープ自身はランスやミル、リーの正体を知らされていないが、自身が持ち込んだ書籍を快く買ってくれるため上得意として接している。 その一方でランスの事を怪しんでおり、ランスもまた完全にトマスの事を信用していない。

ケイン (ケイン)

ランス・カーター達の住む家の近所で暮らしていた少年。父親に日常的に虐待を受けていた母親のアンと共にランスの家へと逃げ込んで来た。少年ながら鋭い洞察力を持ち、ランスの書いた脚本の不備を指摘する事が主な役割。ふだんはリーの世話をしつつ、いっしょに遊んでいる事が多い。まだ幼い少年ではあるが、物語の構成を組み立てる才能があり、ランスも脚本を書く際にケインの意見を参考にしながら執筆している。

アン (アン)

ケインの母親。ケインの父親である自身の夫から日常的に虐待を受けており、ケインによってランス・カーターの屋敷へと連れ出される。屋敷では主に掃除や洗濯といった家事全般を担当しているが、おっちょこちょいな性格のため失敗も多い。楽器の演奏や作曲といった音楽全般に優れた才能を持ち、その才能はワース・ヒューズをして「この演奏だけで金が取れる」と言わしめるほど。

ジェームズ・バーベッジ (ジェームズバーベッジ)

ロンドンでも有名な劇団「ストレンジ卿一座」の座長を務めている男性。彼のもとには役者志望の人間が連日押しかけ、脚本の持ち込みも日常茶飯事であるため、基本的にはすべて断っている。ランス・カーターがロンドンで最初に脚本を持ち込んだ相手だったが、その時はランスの才能を認めず脚本を却下した。その後、ストレンジ卿一座のスポンサーであるファーディナンド・スタンリーがランスの脚本を認めたため、ランスを座付き作家として採用する。 ロンドンでも最大の劇団を運営しているという自負を持ち、興行主としてつねに新たな芝居の可能性を模索している。

リチャード・バーベッジ (リチャードバーベッジ)

ジェームズ・バーベッジの息子。画家を志望しており、留学するための資金を稼ぐ目的で父親のストレンジ卿一座で役者として働いている。偶然彼の舞台を見たランス・カーターはその演技に魅了され、自身の作品に出演してほしいと懇願する。リチャード・バーベッジ本人はあくまでも画家志望のため、役者になる事は本意ではなかったものの、ランスの書いた「リチャード三世」の内容に惹かれて自ら演じる事を願い出る。 役者としては非凡な才能を持ち、役そのものに入り込んだ演技力を見せる。

ファーディナンド・スタンリー (ファーディナンドスタンリー)

ストレンジ卿一座のスポンサーの男性。周囲からは「ストレンジ卿」と呼ばれている。富と権力を持った貴族であり、ジェームズ・バーベッジと共にストレンジ卿一座を創設した。カトリックの敬虔な信者だが、宗教革命以降はその信仰を隠して生活している。かつてカトリックの司祭だったミルの願いを受けてランス・カーターの書いた「ヴェニスの商人」を読み、ランスをジェームズに推薦した。 舞台を愛し、ストレンジ卿一座と人気を二分する海軍大臣一座のクリストファー・マーロウとも親交がある。

ロビン・ウィリアムズ (ロビンウィリアムズ)

ストレンジ卿一座で雑用係として働く少年。母親はイギリス人だが父親は日本人の船乗りであり、イギリス人としては珍しい黒い髪の毛と瞳を持っている。役者としては凡庸であり、雑用係としての仕事ぶりも中途半端ながら、芝居に対する熱意だけは誰にも負けない。ランス・カーターの書いた脚本の内容に魅せられ、ランスへの弟子入りを志願する。

アリス・スタンリー (アリススタンリー)

ファーディナンド・スタンリーの妻。貴族の出身ではあるものの平民に対しても理解を示し、夫であるファーディナンド以上に舞台をこよなく愛している。芝居に対しては優れた審美眼を持っており、ランス・カーターの持ち込んだ脚本を批評したり、舞台の観覧にやって来る事も多い。

フィリップ・ヘンズロウ (フィリップヘンズロウ)

海軍大臣一座の座長の男性。演劇のみならず大道芸やバレエなど、さまざまな娯楽を手がける興行主としてロンドンで名を馳せている。ストレンジ卿一座とはロンドンでの人気を二分する事から、ストレンジ卿一座の座長であるジェームズ・バーベッジとはライバル同士の関係にある。

クリストファー・マーロウ (クリストファーマーロウ)

ストレンジ卿一座と人気を二分する海軍大臣一座の座付き作家の男性。現在ロンドンで最も人気がある脚本家といわれており、海軍大臣一座では彼の書いた脚本で連日大きな賑わいを魅せている。めったに人を褒める事はなく、つねに自身がNo.1であるという自信と誇りを隠す事はないが、一度認めた相手には素直に敬意を払う。ランス・カーターの脚本を見て自分にはない才能がある事を認めつつも、自身のほうが上だという自負を持っている。 宗教革命で力をつけたプロテスタントの信者であり、カトリック信者を裏で教会に密告する事から敵も多い。

トマス・ナッシュ (トマスナッシュ)

演劇批評家の男性。イギリスの名門ケンブリッジ大学に在籍していたという触れ込みで多くの芝居を辛口批評している。ただし、実際にはケンブリッジ大学は卒業しておらず中退のため、周囲からの反応も冷ややかなものとなっている。

集団・組織

ストレンジ卿一座 (ストレンジキョウイチザ)

ファーディナンド・スタンリーの庇護のもと、ロンドンの「シアター座」という劇場で定期的に興行を行っている劇団。座長はジェームズ・バーベッジで、連日多くの見物客で賑わっている。ロンドンはもとよりイギリス全土から役者志望や脚本家志望の若者が多く集まって来る事でも知られている。

海軍大臣一座 (カイグンダイジンイチザ)

スペインの無敵艦隊を破ったイギリス海軍の庇護のもと、フィリップ・ヘンズロウが創設した劇団。海軍大臣一座では、舞台での芝居だけでなく大道芸などのさまざまな娯楽を提供している。芝居をメインで興行を行うストレンジ卿一座とはロンドンでの人気を二分しているが、楽屋をはじめとする設備はストレンジ卿一座以上のものを備えている。

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