概要・あらすじ
神奈川県警捜査二課の黒河内圭太警部補は、県内の政治家や実業家などの醜聞を握り権力を掌握している汚職刑事である。若きキャリア清家真吾管理官は、黒河内の汚職を内偵するため彼とコンビを組まされる。私腹を肥やし取り引きを重ねながらも巨悪へと近づいてゆく黒河内と共に、清家はこの国の権力者たちが葬り続けてきた過去の闇と対峙することとなる。
登場人物・キャラクター
黒河内 圭太 (くろこうち けいた)
神奈川県警刑事部捜査第二課所属の警部補。県内の政治家、実業家、役人など多くの有力者の弱みを握り、私腹を肥やしてきた悪徳刑事。坊主頭にがっちりした体つきで悪人のような顔つき。見た目は粗野な中年男だがズル賢く、汚職の証拠は容易にはつかませない。複数の土地や家屋など、違法に得た莫大な財産を持つ。 引退を考えていたが、今まで不正に得た情報をもとに、権力者がもみ消してきた未解決事件を解決しようと決意する。
清家 真吾 (せいけ しんご)
神奈川県警刑事部捜査第一課所属の管理官。東大卒キャリア組の若き男性刑事。赴任早々に悪徳刑事・黒河内の汚職を内偵するよう命じられ、彼とコンビを組まされた。父親も警察官だったが、六年前に不審死をとげた。黒河内と共に秘密組織・桜吹雪会に絡む数々の事件を追ううちに、父親の死の真相にも近づいてゆく。 見た目は優男だが、強固な正義感を持つ。
沢渡 一成 (さわたり かずなり)
国会議員を経て県知事となった大物政治家。ロリコン趣味があり、過去に少女を殺害し部下に隠蔽工作を指示していた。それを知った人物のことも家族もろとも殺害するなど悪行を重ねていた。黒河内警部補にその事実を暴かれ、知事職を退き送検された。議員秘書のころに秘密組織・桜吹雪会の協力者となり、権力の階段を駆け上っていった。 獄中にありながら、桜吹雪会の力を使って黒河内を消そうとする。
城尾 平蔵 (しろお へいぞう)
元警察庁公安のトップ。秘密組織・桜吹雪会の設立に関わった中心人物。三億円事件で盗まれた金を発見し、これを極秘にマネーロンダリングして桜吹雪会の活動資金に充てた。現在は警察の職を退いているが、今なお桜吹雪会のトップとして権勢を振るっている。自身が桜吹雪会を設立し行なってきた様々な非合法活動は、全て国家のための「正しい悪」であるという信念を持つ。
越後 弥太郎 (えちご やたろう)
横浜地検刑事部長の職にある検事。複数の殺人事件容疑で起訴された元県知事・沢渡一成の担当となった。秘密組織・桜吹雪会を巡る黒河内と沢渡の情報戦に巻き込まれてゆくが、清廉潔白な態度を崩さない。
高宮 健太 (たかみや けんた)
右頬に大きな古傷を持つ痩せ型の男。暴力団赤刃組の構成員時代に、パチンコ店の現金輸送車を襲い、現金五千万円を強奪した事件で逮捕され、10年以上服役した。強奪した五千万円は全て使ったと供述したが、幼なじみの財界人・綾川眞之輔が恐喝されていたことを知り、その口止め料として使ったのが真相である。 綾川眞之輔が秘密組織・桜吹雪会と繋がりがあったことが判明したため、黒河内らの捜査に否応なく巻き込まれてゆく。同性愛者である。
加賀 一季 (かが かずとし)
首都綜合警備保障の社長。かつては警察官だった。その実態は桜吹雪会のナンバー2にして、暗殺者・桃太郎の弟子。首都綜合警備保障は桜吹雪会の隠れ蓑の会社である。
桐谷 英人 (きりたに ひでと)
昭和の未解決事件「三億円事件」の容疑者。防衛大の学生。父親は警察署長。文武両道で、右翼的思想の持ち主。左翼思想が主流の風潮に危機感を抱き、国家に猛省をうながすため、三億円強奪を計画。1968年に実行したとされる。事件発生後、警察にも容疑者として密かにマークされていたが、唐突に自殺を遂げた。
桃太郎 (ももたろう)
秘密組織・桜吹雪会の設立当時から所属していた暗殺者のコードネーム。本名や出自などは全て不明。桜吹雪会の非合法活動を実行する役目だった。すでに高齢となり生死も定かではないが、現在も弟子が何人か桜吹雪会に所属しているらしい。桜吹雪会の周辺を嗅ぎまわる黒河内は、彼らに何度も命を狙われる。
集団・組織
桜吹雪会 (さくらふぶきかい)
『クロコーチ』に登場する組織。全国の警察官やそのOBで構成された秘密結社。警察内部の犯罪やミスを、世間に知られずもみ消すために非合法活動を行なう。昭和の未解決事件「三億円事件」を契機として結成されており、設立から40年を超えている。その存在は関係者を除き厳重に秘せられてきた。
クレジット
- 原作
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書誌情報
クロコーチ 21巻 日本文芸社〈ニチブンコミックス〉
第14巻
(2016-05-28発行、 978-4537134452)
第17巻
(2016-12-28発行、 978-4537135275)
第21巻
(2017-12-29発行、 978-4537136722)