あらすじ
税務署員編(第1話~第3話)
千葉東西税務署に勤める山田鉄男は、さえない風采で、いつも無表情だが、成績はトップクラスで、ほかの署員からも一目置かれている。中学校の同窓会で自分をいじめていた同級生の剣崎とおると再会する。剣崎が無店舗のヘルスを経営しており、羽振りが良さそうな様子を知った山田は、配属されたばかりの新人署員の岸田光男とともに、密かに剣崎の店の調査を開始。剣崎が巨額の脱税をしている事を突き止めた山田だったが、千葉東西税務署の署長と親しい仲だった剣崎は、署長を通じて山田に圧力をかけようとする。しかし、山田は署長の意向を無視して国税局へ直接調査を依頼し、情報を県警やマスコミにリークする。結果、剣崎は脱税と売春幇助の容疑で逮捕されるが、署長に疎まれた山田は銚子署への異動を申し付けられる。荷物をまとめて千葉東西税務署から去っていく山田だったが、別れの挨拶に来た岸田には、珍しく笑顔を見せるのだった。
登場人物・キャラクター
山田 鉄男 (やまだ てつお)
千葉東西税務署に勤める30歳前後の男性。メガネを掛けていて背が低く、前髪が禿げ始めており、いかにもうだつの上がらない風采の持ち主。しかし、違法営業の多い繁華街の調査を担当しており、署内での成績はトップクラス。高卒のⅢ種署員ながら、大卒のほかの署員からも一目置かれている。常にポーカーフェイスで、感情を表に出す事が少ない。 中学生の頃はいじめられっ子であり、剣崎とおる達のグループからいじめを受けていた。右の頬にある火傷の跡は、その時期に剣崎から付けられたもの。剣崎達に対する恨みは相当なもので、銃砲店を営んでいる実家から銃を持ち出そうと考えたり、密かに空手道場に通って身体を鍛えたりしていたが、自分がいじめっ子に復讐した際に受けるであろう社会的な制裁を考え、我慢を重ねていた。 税務署員への道を選んだのは、「法律をバックに他人をいじめられる」と考えたため。最近ではその事に楽しさを見出しつつある。
剣崎 とおる (けんざき とおる)
無店舗のヘルスを営む30歳前後の男性。山田鉄男とは中学校の同級生で、中学時代には鉄男の事を集団でいじめていた。学生時代からクラスでは人気者で、現在もかなり羽振りがよさそうな様子を見せている。自分のヘルスで働いている女性達の名義で不動産を購入したり、海外に預金口座を作ったりして、多額の脱税を行っている。山田が自分の店を調査している事を知り、東西税務署の署長石本に働きかけ、山田の動きを封じようとする。
倉持 (くらもち)
初老の男性。山田鉄男の中学時代の担任教師であり、現在は退職して剣崎とおるの店の経理を担当している。事なかれ主義者で、教員をしていた頃も、生徒たちとは深く接さないようにしていた。山田が剣崎達からいじめられている現場を見ても、何もせず無視していた。そのため、15年以上経っても山田からは恨まれている。
岸田 光男 (きしだ みつお)
千葉東西税務署に配属されたばかりの新人税務署員。男性。上司の命令で山田鉄男に付き従い、仕事のやり方を学んでいる。配属直後は、山田の風采や学歴などから「大卒のすぐ自分のほうが出世する事になる」と侮っていたが、次第に山田の冷徹な仕事ぶりに驚嘆するようになる。山田の命令で剣崎とおるの経営するヘルスに客として赴き、探りを入れるが、ヘルス嬢に名刺を見られて、税務署員である事を知られるというミスを犯す。
石本 (いしもと)
千葉東西税務署の署長。初老の男性。剣崎とおるのおじで、富津税務署の署長を勤める人物を「先輩で恩人」と表現しており、剣崎とも旧知の間柄。そのため、剣崎が自分の署の管轄地域で脱税している事をおそらくは知りながらも、それを黙認している。山田鉄男が剣崎の店を調査している事を知り、山田に調査をやめるよう、それとなく釘を刺す。
クレジット
- 原作
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髙野 洋