グリザイア:ファントムトリガー 世界の果て

グリザイア:ファントムトリガー 世界の果て

PCゲーム『グリザイア:ファントムトリガー』のコミカライズ作品。さまざまな理由で行き場をなくした深見玲奈をはじめとする少女たちが、超法規機関「SORD」として危険な活動に挑んでいく姿を描いた学園サスペンス。秋田書店「チャンピオンクロス」で2017年8月から配信されたのち、「マンガクロス」で2018年7月から2018年11月にかけて配信された作品。2019年3月、劇場アニメ版が公開。2025年1月、テレビアニメ版が放送。

正式名称
グリザイア:ファントムトリガー 世界の果て
ふりがな
ぐりざいあふぁんとむとりがー せかいのはて
原作者
フロントウイング
漫画
ジャンル
サスペンス
関連商品
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あらすじ

超法規機関SORD

将来的に国防を担う人材の育成を目的に設立された超法規機関「SORD」は、各地の学園組織に間借りする形で活動を続けていた。廃校後、施設の解体費用もままならぬまま放置されていた私立美浜学園は個人に買い取られ、新たに特殊技能訓練校「美浜学園」に生まれ変わった。そんな美浜学園で、さまざまな理由で行き場を失くした深見玲奈をはじめとする生徒たちに与えられたのは銃と実弾であった。国防の名目のもとに、玲奈たちはSORDのメンバーとして、命すらも顧みられることのない危険な活動を繰り返していた。その活動内容の多くは、警察や自衛隊では対応できない事件を解決するための、超法規的活動であった。詳しいことを知らされずに新任教師として美浜学園に赴任して来た有坂秋桜里は、拳銃使いの玲奈、狙撃手の獅子ヶ谷桐花、爆弾と情報処理を担当する鯨瀬・クリスティナ・桜子、諜報活動を担当する狗駒邑沙季、そして彼女たちを率いる戦術教導員である蒼井春人と出会う。生徒と校内の異質な雰囲気に戸惑う秋桜里は、美浜学園が法の隙間をついた執行機関の工作員を養成する、いわゆる「殺し屋学園」であることを知る。血と硝煙の香りをまといながら危険な任務や訓練を続け、死ととなり合わせの世界を生きる生徒たちを前に、秋桜里は困惑を隠せずにいた。秋桜里は玲奈たちと少しずつ親しくなるが、自分と彼女たちでは住む世界が違い過ぎると感じるうちに、教師としての自信をなくしていく。そんな中、公園で拳銃取引の現場に偶然居合わせてしまった秋桜里は、犯罪組織「人吉会」に誘拐されてしまう。さらわれた秋桜里を救出すべく、春人が率いるA組の生徒たちは作戦と準備を整え、人吉会のアジトに乗り込む。

ソウル・スピード

日本へ入国予定だった海外からの要人であるトーマス・ベネディクトが、突如として姿を消した。特殊技能訓練校「美浜学園」のA組は、蒼井春人の元上官でもある依頼主の宇川千尋の要請を受け、作戦と準備を始める。同時期に、無謀なバイク運転を繰り返す謎の女ライダー「ソウル・スピード」の噂が流れていた。美浜学園の姉妹校「京船桜が丘」の双子姉妹の稲垣バニラ稲垣チョコと協力することになった深見玲奈たちは、さまざまな組織の思惑が交差する中で、失踪事件の捜索支援を開始。タナトスシステムでトーマスの位置をつかんだ春人たちは、伊豆別荘地でトーマスの死体を発見するが、遺体からは心臓だけが抜かれていた。春人たちは心臓を奪った者の行方を追うが、追跡の先にはロシア最大の犯罪組織の陰謀と、ある人物との死闘が待ち受けていた。心臓を運搬する車を追跡する中で玲奈は、かつてスラム街で生きていた頃に「バックス」と呼んでいた妹の井ノ原真紀に遭遇。真紀の正体はソウル・スピードで、トーマスの心臓を盗み去った組織に雇われた暗殺者でもあった。玲奈は自分の分身とも呼べる真紀と直接対決することとなり、二人は互いのことを思い出しながら、心身共に引き裂かれていく。それは玲奈が春人と出会う前にまで遮る、複雑な過去の記憶への旅でもあった。死闘の末に真紀に勝利した玲奈は、大ケガを負ったもののなんとか任務をやり遂げる。その夜、春人の命令に違反したことを叱責された玲奈は、彼に真紀を再び妹にしたいと懇願。マスターを亡くし、行き場を失った真紀は美浜学園の新たな生徒として迎えられる。

スターゲイザー

特殊技能訓練校「美浜学園」恒例の夏合宿は、フィリピン離島での山岳訓練を兼ねた海外合同合宿に決定した。前回の任務で負傷した深見玲奈井ノ原真紀は学園で待機を命じられ、準備を整えた蒼井春人たちはヘリコプターで離島へと向かう。春人たちは島に上陸し聖エール外国人学校の生徒であるシルヴィアベルベットと合流するが、同時に聖エール側から脱柵者が出たという不穏な報せが入る。合宿どころではなくなった春人たちは、脱柵した狙撃手、九真城恵の追跡を命じられるが、彼女が脱柵した経緯には武器密造組織壊滅を目的としたフィリピンでの極秘作戦「薔薇嵐作戦」中に起こったトラブルが深く関係していた。仙石一縷の弟でもある仙石綾芽の依頼を受けて恵の行方を探る春人たちだったが、恵は獅子ヶ谷桐花の親友だった観測手の有泉志保が育て上げた狙撃手でもあった。志保のことを姉のように慕っていた恵は、志保の仇を取るために脱柵し、武器密造組織を仕切るゲランを殺そうと、たった一人で行動していたのである。桐花と狗駒邑沙季はゲランの潜む別荘に先回りし、彼を狙う恵を待ち受けることとなる。そして桐花たちが別荘の見張りを慎重に狙撃していく中で、どこかに潜んでいる恵の銃弾が見張りの一人を撃ち抜く。任務に際し桐花は、自分の両親の記憶や、かつて聖エールにいた頃に志保と過ごした日々を思い返していた。そんな桐花は、果たされることのなかった志保との約束を思い出し、聖エールに戻れなくなった恵の境遇に思いを馳せる。それぞれの思惑と過去が交差する中で、桐花はある答えを導き出すのだった。

メディアミックス

PCゲーム

本作『グリザイア:ファントムトリガー 世界の果て』は、2017年4月28日に発売されたPCゲーム『グリザイア:ファントムトリガー』を原作としている。ゲーム版は『グリザイア』シリーズの一作で、特殊技能訓練校「美浜学園」で危険な活動に励む少女たちの活躍や日常を描いた学園サスペンスノベル。シナリオは藤崎竜太が、キャラクターデザインと原画は渡辺明夫が務めている。キャストは、深見玲奈を内田真礼、有坂秋桜里を井澤美香子が演じている。

劇場アニメ

2019年3月、『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION』のタイトルで劇場版アニメ(OVA)が公開。監督を天衝、キャラクターデザインと総作画監督を渡辺明夫が務めている。キャストは、蒼井春人を代永翼、深見玲奈を内田真礼が演じている。

テレビアニメ

2025年1月から『グリザイア:ファントムトリガー』のタイトルで放送。アニメーション制作はバイブリーアニメーションスタジオ。深見玲奈を内田真礼、獅子ヶ谷桐花を佐倉綾音が演じている。

登場人物・キャラクター

蒼井 春人 (あおい はると)

特殊技能訓練校「美浜学園」のA組に在籍する男子。クラス委員を務めている。両親を早くから亡くしたために実年齢は不明だが、表向きの年齢は19歳。前髪の3本のアホ毛が目立つ紺色の長髪で、中性的な見た目からよく美少女に間違われる。温厚な性格で周囲からは爺むさいなどと言われているが、一部の女性からはガキっぽいと評されることもある。SORDの前身であるファントムトリガーの頃からの古株であると同時に、元CIRS職員。現在は美浜学園の戦術教導員および伝習員(ハンドラー)として学生たちを指導しているため、ほかの生徒とは立場や待遇が異なる。若いが現場における実戦経験が豊富で、現役のCIRS職員にも知人が多い。特技は剣道で、使用武器も日本刀によく似た刀だが、作成工程が異なるため厳密には日本刀ではない。任務や実戦の場では作戦指揮を取ることが多く、進んで前線に立つことはあまりない。自分の過去をあまり語りたがらず、記憶自体があいまいなこともあり、過去や経歴も空白な部分が多い。銃が苦手でうまく的に当てることができず、あまりにも当たらないため、一部からはわざと外しているのではと噂されるほど。このため、銃を撃つための代理や護衛として深見玲奈を雇っている。食事にあまり執着しないため、放っておくとサラダしか食べないことがある。頭がよく大半のことはそつなくこなすものの、料理だけはかなり下手で、チャーハンを作るとベチャベチャになってまずくなる。好物はイクラとカレーで、好きなものは数字。

深見 玲奈 (ふかみ れな)

特殊技能訓練校「美浜学園」のA組に在籍する女子。蒼井春人に雇われた拳銃使い。銃をうまく使えない春人の代理で銃を撃つために、彼に雇われている。紫紺のロングヘアで、後頭部に猫型のヘアアクセサリーを付けている。身長が高く、大食漢だが均整のとれたスタイルを保っている。長い四肢は滑らかで力強く、屈強な体の持ち主。ふだんは陽気で人懐っこいが、責任感や警戒心が強く、任務の際もつねに周囲に目を配っている。春人のことは「マスター」と呼んで慕い、雇用主である彼に非常に従順で、忠誠を尽くしている。身体能力に優れる反面、座学は得意ではないが学習意欲は旺盛で、褒められるほどに伸びるタイプ。使用武器はイグニスで、サブアームとしてジャッジを使う。1911系ハンドガンを好んで使用し、毎日のように訓練射撃を行っている。武器に対しては執着癖があり、頭ではなく体で感触を覚えるため、一度気に入った銃以外はあまり使いたがらない。法執行機関で優位性なしと判断されている45口径弾を、わざわざガンスミスの手作業で弾頭の軽量化などを行って使用し続けるなど、銃に対しては偏執的なところもある。銃が使えなくなった時は素手の肉弾戦も得意としており、春人たちからは銃を使わない方が強いとまでいわれている。大型自動二輪の運転免許を所有し、運転も得意。夜中にバイクでこっそりと寮を抜け出して、ラーメンを食べに行っているため、噂になっている謎の女ライダー「ソウル・スピード」ではないかと疑われたことがある。元はスラム街出身で、幼少期は「シックス」という名前だった。誕生日は11月27日で、血液型はB型。好物は肉類とラーメン。

有坂 秋桜里 (ありさか しおり)

特殊技能訓練校「美浜学園」のA組に赴任して来た新任教師の女性。家族に服役中の母親がいる。わけあって就職活動がうまくいかず、詳しいことは何も知らされぬまま、血と硝煙の漂う異質な美浜学園にやって来た。左右にはねた茶髪のセミロングヘアで、前髪には小さな音符型のヘアピンを付けている。少々気弱なおとなしい性格で、生真面目過ぎるところがある。仕事面でもあまり要領がいいとはいえず、無駄に慎重過ぎる一面と運の悪さからよくない結果を招くこともある。幼い頃から運が悪く、何かにつけ貧乏くじを引きやすい体質で、よく言えば常識的だが悪く言えば一般的で庶民派。美浜学園では戦闘やSORDの任務などに直接かかわることはなく、一般教科や生徒たちのメンタルケアなどを担当している。蒼井春人に色々教えられたり、無邪気な深見玲奈に励まされたりしていたものの、彼らと自分の境遇が違い過ぎることに悩んで自信をなくし、玲奈たちからはこれまでの教師と同じように、1週間も持たずにすぐ辞めると思われていた。しかし、拳銃取引のトラブルに巻き込まれ玲奈たちに助けられたのをきっかけに、さまざまな不安を抱えながらも美浜学園の教師を続けていくことを決意した。これ以降は、異常者だらけの美浜学園において、一服の清涼剤の役割を担っている。誕生日は6月26日で、血液型はA型。

獅子ヶ谷 桐花 (ししがや とうか)

特殊技能訓練校「美浜学園」のA組に在籍する女子。狙撃手を務める。アメリカ軍人だった父親とドイツ人の母親を持つハーフで、通称「トーカ」。鼠色のロングヘアをツインテールにまとめ、両耳にピアスをしている。小柄な体型で袖余り気味の制服を着用し、ボーダーニーソックスを履いている。性格は極めて好戦的で、基本的に友達や仲間を作ることは苦手としている。このため初対面の相手にはとりあえず冷淡な態度を取るが、一度仲間と認めた相手には強い依存性を見せる、いわゆるツンデレである。面倒・無駄を避ける合理主義的な一面もあり、かわいらしい見た目によらず気性が激しく、警戒心も強い。幼少期から父親とその同僚に護身術やライフルを仕込まれたために狙撃の技術に優れ、射撃大会ではライフル競技部門の最年少優勝記録を持つ。幼少時に一人で留守番をしていた時、訪問販売員を射殺しそうになった過去があり、それがきっかけで極度の人見知りとなった。母親の死後は、父親と共に2年ほど民間軍事会社に所属していた。武器は417Dをメインライフルとして、シグマをサブアームとして使用する。体が小さいことにコンプレックスを抱き、それを払拭するために大人っぽく振る舞おうとしたり、背伸びした対応をしたりすることもある。美浜学園に来る前は聖エール外国人学校で、親友の有泉志保と組んで狙撃手をしていた。ふだんはあまり料理をしないが、蒼井春人よりはうまく作れる。誕生日は8月10日で、血液型はA型。

鯨瀬・クリスティナ・桜子 (くじらせくりすてぃなさくらこ)

特殊技能訓練校「美浜学園」のA組に在籍する女子。爆弾とコンピュータのスペシャリスト。上海出身のイギリス人で、通称「クリス」。金髪のショートヘアにヘアバンドをしている。性格は極めて柔和で人当たりもよく、つねに敬語で話すなど礼儀正しくおっとりした少女だが、実は怒らせると一番怖いという噂がある。座学では148名中8位と、つねに上位の成績を保っている。家事全般が得意で、学生寮では生徒たちの食事や掃除に洗濯など、寮母のようなこともしている。とにかく面倒見がいいため、蒼井春人からはクラスのお母さん扱いされている。春人と同様にあまり銃を好まず、携行することを拒否することもある。セルフディフェンスガンを支給されているが、製造工場のミスで返納される予定だった欠陥品を使用しているほど、銃には無頓着。使用武器はボディーガード380。クラスでは勉強係も担い、勉強が苦手な深見玲奈たちに教えている。SORDの任務においては戦闘ではなく情報処理を担当し、玲奈たちに必要な武器弾薬を仕入れるなど会計官のような仕事もこなし、ほとんどなんでも屋に近い。昔は美しい金髪を長く伸ばしていたが、小学生の頃に学校のトイレで自作爆弾を爆発させてしまったことがあり、これで髪を燃やしてからはショートヘアにしている。就寝時以外はコンタクトレンズを使うが、起床後顔を洗うまでのごくわずかな時間に限り、眼鏡を使用している。誕生日は9月4日で、血液型はO型。

狗駒 邑沙季 (いこま むらさき)

特殊技能訓練校「美浜学園」のA組に在籍する女子。諜報活動を担当している。ロシアン忍者を自称しているが、その素性の多くは謎に包まれている。桃色のロングヘアを二つのおさげにまとめ、マフラーとルーズソックスを着用している。つかみどころのない不思議な性格をしており、他人に本心をさらけ出すことはなく、怪しい言動で周囲を混乱させることもあり、さらにそれを見て楽しんでいる。日常においては単純な深見玲奈や、素直じゃない獅子ヶ谷桐花をさりげなくからかうことが多く、影のムードメーカー的な存在。蒼井春人とは昔から親交があり、兄のように慕いつつも、それ以上の感情を抱いている。忍者の地方資格ではスペシャリストを証明する赤バッジを所持し、国際資格ではニンジャ・マスターを証明する金バッジの資格を取得していると自慢しているが、どこまでが本当なのか不明。任務では諜報を担い、時には変装して情報収集や潜入工作などをこなすこともある。武器はニンジャ・ガンを使用し、22口径亜音速弾の銃で暗殺なども行う。小口径の自動拳銃やクナイなど、コンシールドキャリーに優れた武器を好み、ライフルや刀などの目立つ大きさの武器は使わない。忍者っぽさをアピールするために夏でも巻いているマフラーは、女子学生が好みそうなかわいらしいデザインだが、ただの防寒具や飾りではなく、人工タンパクとアラミドの混合繊維で作られ防弾・耐火性能に優れている。格闘戦においては技の春人、力の玲奈に続き、素早さの狗駒邑沙季として3番目の強さを誇る。誕生日は1月11日で、血液型はAB型。

井ノ原 真紀 (いのはら まき)

ロシアンマフィアに雇われた、殺し屋兼運び屋の少女。圧倒的なスピードで青銀のGSX-Rを乗りこなすことから「ソウル・スピード」の異名で呼ばれている。足まで伸びた黒の長髪をポニーテールにまとめ、黒いライダースーツをまとっている。大柄な体型でケンカも強く、頑健な体をしている。警戒心が強く、気難しいため誰にでも攻撃的な態度を取るが、実際は素直でナイーブな性格の持ち主。武器はグロック26を4挺持ち、それぞれに名前を付けて使っている。かつて浮浪児として過ごしていた頃に深見玲奈とスラム街で出会い、「バックス」と名づけられ彼女の妹としていっしょに過ごすようになる。その頃はおとなしく気の弱い性格だったため、殺し屋には向かないからと娼婦になることを勧められたが、玲奈と同様に暗殺者になる道を選んだ。しかし、政府に買われた玲奈とは異なりマフィアに買われ、荒(すさ)んだ人生を送っていたことから、彼女に焦がれるような複雑な思いを抱いている。要人失踪事件ではなくなった心臓の運び屋として行動し、追って来た玲奈と再会して死闘を繰り広げる。玲奈の銃が使えなくなった途端に殴り合いとなるが、わずかなスキが生じて惜しくも敗北した。その後は玲奈の願いにより、特殊技能訓練校「美浜学園」A組の生徒として迎えられ、再び彼女の妹となる。まだ殺し屋になったばかりの頃に雇い主から貰った、スイスの機械式時計を大切にしている。誕生日は4月4日で、血液型はA型。

仙石 一縷 (せんごく いちる)

美浜学園の学園長を務める女性。褐色肌で明るい金髪の巨乳美女で、CIRS職員時代は総合研究班の主任を務め医療や心理学に従事し、医療班主席班長と心理作戦司令部の司令官も務めていた。CIRSの改正時、米国と日本とのあいだで諜報力と戦闘力に格差があるというレポートを受けてSORDを立案し、天下りを機に育成機関である美浜学園の代表を務めることになった。これらの経歴から、CIRS上層部などに知人が多い。同時に多くのCIRS職員の弱みを握っており、CIRSの組織改革では真っ先に天下り先が決まった。

野上 (のがみ)

特殊技能訓練校「美浜学園」の教頭と、仙石一縷の秘書を務める女性。黒のボブカットでパンツスーツをまとっている。頭脳明晰で仕事に関しては極めて優秀だが、人間的な欠陥が多く、部屋も汚いなど日常生活に支障をきたすタイプ。CIRSの高度特別医療班時代から一縷の助手を務め、彼女の退官後は秘書として美浜学園に赴任した。ふだんは物静かだが、尋問や拷問のプロとしても恐れられており、怒ると非常に怖い。蒼井春人にとっては姉のような存在で、彼が一縷には言えないような相談を受けることもある。

山本 イヅミ (やまもと いづみ)

特殊技能訓練校「美浜学園」の2年生の女子。4機械工作科1組(2M1)に在籍するガンスミス。無造作にはねたオレンジ色の長髪をポニーテールにまとめている。明るい性格で、関西弁で話す。金属・樹脂加工を得意とし、ほかの生徒たちが使用する銃と弾薬のメンテナンスや補充を行っている。幅広い銃の知識とガンスミスとしての確かな腕を持ち、整備に出された銃の損耗具合を見ることで、その銃の使われ方や射手の体調まで把握できるほどのプロフェッショナル。手掛けた銃は、メンテナンスのたびにQRコードシールが更新されるようになっている。

稲垣 バニラ (いながき ばにら)

特殊技能訓練校「美浜学園」の姉妹校、京船桜が丘のA組に在籍する女子。SORDの工作諜報員を務める。ベージュ色の長髪をツインテールにまとめ、色白肌でテンガロンハットを首にかけている。稲垣チョコの双子の姉で、容姿は瓜二つ。妹のチョコよりもおとなしい性格で、思慮深く勘が非常に鋭い。アラスカ出身で、公的機関に協力しながらドラッグや武器を密輸するディーラーやマフィアを取り締まっている。宇川千尋のことを姉のように慕っている。

稲垣 チョコ (いながき ちょこ)

特殊技能訓練校「美浜学園」の姉妹校、京船桜が丘のA組に在籍する女子。SORDの工作諜報員を務める。明るい茶髪の長髪をツインテールにまとめ、褐色肌でテンガロンハットを首にかけている。稲垣バニラの双子の妹で、容姿は瓜二つ。姉のバニラよりも子供っぽい性格で、少々やんちゃで楽天的なところがある。アラスカ出身で、バニラと共に公的機関に協力しながらドラッグや武器を密輸するディーラーやマフィアを取り締まっている。昔は深見玲奈と仲がよかったが、現在は犬猿の仲で会うたびに口汚く罵倒し合っている。宇川千尋のことを姉のように慕っている。

宇川 千尋 (うがわ ちひろ)

京船桜が丘のハンドラーを務める青年。稲垣バニラと稲垣チョコの指導を担当している。左目下に泣きボクロがある垂れ目が特徴。穏やかな性格で面倒見がよく、バニラとチョコから信頼されている。愛称は「うーちゃん」で、オネエ口調で話す。元CIRS職員で、蒼井春人と同じ部隊に所属しており、当時は春人のの上官でもあった。春人のことは「ジュニア」と呼んでいる。過去の出来事から、仙石一縷たちからは警戒されている。

九真城 恵 (くましろ めぐみ)

特殊技能訓練校「美浜学園」の姉妹校、聖エール外国人学校の山岳狙撃科に在籍する女子。SORDの狙撃手を務める。ミント色の内巻きのショートヘアで、深緑色のベレー帽をかぶっている。昔堅気の軍人のような性格と口調で、愚直なほどにまじめに任務に取り組む。不正なことが許せない正義漢で、義理堅い。通称「グミ」。優れた狙撃の実力を持ち、一度九真城恵に狙われたら逃げられないという噂から、「魔眼使い」とも称されている。使用武器はブレイザーR93。ペアを組んでいた有泉志保から狙撃のことはもちろん、牛丼のおいしい食べ方まで幅広く教わり、志保先輩と呼んで慕っていた。フィリピンでの極秘作戦中に起こったトラブルに巻き込まれ、いっしょに行動していた志保を失う。この怒りから志保の仇を討つために脱柵し、単独行動を取るようになる。少々天然気味なところもあるが、時おり的を射た発言をして周囲を驚かせることもある。特技は早飯で、そのスピードは圧倒的に速い。好物は牛丼。誕生日は11月18日で、血液型はO型。

シルヴィア

聖エール外国人学校3年生の女子。SORDのメンバーで、九真城恵の先輩。金髪の縦ロールで、3年生のみ着用を許可されたシスター修道服をまとっている。お嬢様口調で話すおっとりした糸目の美女で、聖職者らしい言動が多い。愛称は「シルヴィ」で、ベルベットとペアを組んでいる。無音暗殺部隊のリーダーを務めており、暗闇での任務ではスコープの代わりに狐面を付けている。使用武器はM1911A1ガバメントとグルカナイフ。脱柵した恵の捜索任務では特殊技能訓練校「美浜学園」と協力しながら、強襲B班として敵地を襲撃した。血液型はO型。

ベルベット

聖エール外国人学校3年生の女子。SORDのメンバーで、九真城恵の先輩。群青色のショートヘアで、顔にそばかすとクマがあり、シスター修道服をまとっている。目つきが鋭く、男勝りな口調で話す。愛称は「ベル」で、シルヴィアとペアを組んでいる。使用武器はM870。脱柵した恵の捜索任務では特殊技能訓練校「美浜学園」と協力しながら、強襲A班として敵地を襲撃した。血液型はB型。

有泉 志保 (ありずみ しほ)

聖エール外国人学校3年生の女子。観測手を務める。SORDのメンバーで、九真城恵の先輩。かつて聖エールに通っていた獅子ヶ谷桐花の親友でもあり、元は狙撃手として活躍していたが、わけあって観測手に転向した。明るくサバサバした性格で、しっかり者で面倒見もいい。桐花からいっしょに特殊技能訓練校「美浜学園」に行くよう誘われたが、恵のことが放っておけず聖エールに残り、彼女とペアを組んでさまざまなことを教えながら、優れた狙撃手に育て上げた。

仙石 綾芽 (せんごく あやめ)

聖エール外国人学校のハンドラーを務める青年。シルヴィアとベルベットの担当官でもある。美形だがかなりふくよかな体型で、眼鏡をかけている。ふだんは引きこもりがちで、滅多に姿を現さない。姉の仙石一縷以上に歯に衣(きぬ)着せぬ物言いが多く、よく言えば尊大、ふつうに言えば無礼で、一縷からも愚弟呼ばわりされている。薄情に見えるが本当は部下思いで、シルヴィアたちからも信頼されている。素直じゃない性格は一縷とよく似ている。

集団・組織

CIRS (さーず)

裏世界で暗躍する謎の組織。表向きは清掃会社だが、実際は国防装置として国家や得意の組織の害となる個人や集団を排除するプロの戦闘集団であり、主な任務は工作活動、護衛、捕縛、暗殺と多岐にわたる。本部はアメリカにあり、日本では市ヶ谷(防衛省)に属する形態の組織となっている。正式名称は「Central Intelligence and Research Second(日米合同対テロ組織中央調査部諜報2課分室)」。身寄りがなく、いなくなっても誰も心配しないような境遇の者が社員として選ばれ、個人的なことは社員同士でも詮索しないのが暗黙のルールとなっている。非公開な秘匿組織であることや機密保持のため、一度入ったら簡単には抜けることはできない。

SORD (そーど)

CIRSの下請けを行う育成機関。正式名称は「SocialOps,Research&Development(民間委託工作諜報員育成機関)」。海上油田爆発事故を機に存在が公になったことでCIRSが刷新され、極秘活動を引き継ぐ新組織としてSORDが発足された。暗殺者や諜報員を中心に、将来的に国防を担う人材の育成を目的としている。かつては「ファントムトリガー」という組織名だった。解体される予定だった私立美浜学園をはじめとする教育機関を買い取り、行き場のない少年少女を対象にした、特殊技能訓練校として運営されている。

場所

美浜学園 (みはまがくえん)

CIRSによって新たに作られた特殊技能訓練校。生徒たちはSORDのメンバーとして特殊な訓練を受けながら、警察や自衛隊には解決できない事件にあたり、時には危険な活動にも参加している。京船桜が丘や聖エール外国人学校をはじめとする姉妹校が、全国各地に存在する。元は私立美浜学園という全寮制の学園であったが、廃校後に施設の解体費用もままならぬまま放置されたところを買い取られ、新たに特殊技能訓練校としての役目を得た。生徒、教員共に、過去に訳ありでふつうの学校には通えない生徒が多い。深見玲奈たちのクラスであるA組には、年齢を問わずSORDのメンバーが在籍している。ふだんは一般教科の授業や訓練を行っているが、有事の際は武器を携えて出動し、協力関係にある姉妹校の要請で支援活動に出ることもある。

その他キーワード

タナトスシステム

特殊技能訓練校「美浜学園」で使用されている人工知能。通称「タナトスさん」。クールな少女の声で話す。スーパーコンピュータでも数分かかる計算を数秒でこなせるほどに万能で、主に調査や監視、追跡にハッキングなど幅広く使用されている。有用ながら機嫌を損ねている時は答えを出すのに時間がかかるため、時おり蒼井春人がゲームの相手をしてご機嫌取りをしている。

クレジット

原作

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