概要・あらすじ
城東学園のシネマ研究会が特撮ヒーロー映画である「グリングラス」の撮影を行っていた。部長椿三太郎が扮するグリングラスが突如スーパーパワーを発揮。三太郎が狙われていたことも判明した。ロケで撮影した映像を調べると、バックにビル内でのロボットによる殺人現場が映り込んでいた。三太郎と親友の氷川悠は妨害活動の犯人がコダマ電子だと確信。
彼らの周囲に次々に怪人物や怪ロボットが現れるが、グリングラスの活躍で撃退される。撮影のときは三太郎がグリングラクスのスーツを着ているが、グリングラスが活躍するとき三太郎は意識を失っていた。実は三太郎のグリングラスが倒れると、悠が別に用意した特殊能力を持つグリングラスになって活躍していたのだ。
悠の正体は早世した天才少年・氷川悠が作ったロボット。その正体に気付いたコダマ電子は黙示録計画に利用できる悠のノウハウを手に入れようと画策し始める。未来を憂えた悠は仲間たちで実験をする。
登場人物・キャラクター
椿 三太郎 (つばき さんたろう)
自分の容姿にちょっと自信がある、成績はソコソコの高校生。城東学園2年B組。シネマ研究会の部長で「グリングラス」という特撮ヒーロー映画を監督・主演する。撮影中にグリングラスがスーパーパワーを発揮し始めたが、いつも自分は気絶していて記憶がない。一方、自分がコダマ電子に狙われていると知って、真相究明のための記録ビデオを制作。 対抗しようとするが、ビデオを悠に隠され断念。グリングラスの謎に興味が移る。グリングラスは悠ではないかと疑い始めたが、悠とグリングラスが同時に現れて混乱。悠の覚醒実験後に謎が明かされる。住宅サービス会社勤務の父と専業主婦の母との3人暮らし。 八霧裕子のことが好きだが、言い寄ってくる鐘古ヒロミのことも嫌いではない。
氷川 悠 (ひかわ ゆう)
長い前髪で右目を隠している眼鏡をかけた高校生。表情は優しく、ちょっとドジなところがある。城東学園2年B組。シネマ研究会の部員で、怪人役や撮影なども担当する。親友の椿三太郎が狙われている原因となるシーンを発見した。三太郎をグリングラスだと言うが、本人もスーパーパワーを持つ。 正体は早世した天才少年・氷川悠が作り上げた血も涙も流すロボットで、悠の頭脳と感情がすべて組み込まれている。その技術により、コダマ電子が送り込んだ刺客のイヴ・ムーン・ローランドを改造して仲間とする。三太郎が気絶すると、自動で分離合体する特製のグリングラススーツを装着し、活躍していた。 三太郎の目を誤魔化すために、イヴを改造してグリングラスに仕立てたこともある。電子頭脳以外にも心があるため、電子頭脳をオフにしても活動できる。人類の未来を心配し、三太郎たちで実験をして覚醒へと導いた。2年前に姿を現し、悠の母、里子として引き取られた妹の小学生ミー、幼稚園児エッちゃん、弟の幼稚園児ヒロとの5人暮らし。 『ファンタジーワールド ジュン』のジュンと同じ顔をしている。
八霧 裕子 (やぎり ゆうこ)
頭の上でリボンを結んでいる美少女高校生。実力派女優を目指してオーディションも受けている。城東学園2年B組。シネマ研究会にはメインヒロインとして参加。三太郎とは、なんとなく恋人関係というレベルで、鐘古ヒロミやイヴ・ムーン・ローランドなどにヤキモチを焼くことも多い。特にヒロミとはライバル関係に近い。 家で経営している劇場YAGIRIはシネマコンプレックス併設の舞台を持つ大型劇場。
湖多摩 真理 (こだま まり)
背中まで届く長い黒髪をオールバックにしてヘアバンドで留めている女子高校生。城東学園2年B組。黒目がちなお嬢様で、父はコダマ電子の社長。氷川悠を憎からず思っている。コダマ電子の事業に疑問を抱いていて、ロボットにも嫌悪感がある。父から黙示録計画と悠がロボットだと明かされる。 コダマ電子の秘密と悠の秘密はいずれも仲間を裏切っていると悩むが、自分に残されている友達を失うことになるので黙り続けることにした。
鐘古ヒロミ (かねこひろみ)
脱色したくるくるヘアを、右上にリボンで小さく結んだ女子高生。ちょっとツリ目でそばかすがある。城東学園2年B組。ツッパリ女子高生たちのグループ・ベルバンバの「オヤビン」。ベルバンバの「コビン」たちをシネマ研究会のエキストラとして動員している。映画はもともと好きだった。 椿三太郎が好きで、八霧裕子を出し抜こうしている。家は鮮魚店で嫁に行った姉が2人いる。
グリングラス
『グリングラス』のキャラクター。椿三太郎が撮っている特撮ヒーロー映画の主人公。グリングラスは悪の巨大組織メガトロンと戦う、正義のロボット戦士。メガトロンのアンドロボ軍団と壮絶な戦いを繰り広げている。大自然の象徴としての「緑の草」で、放射性物質のカバーも「グリングラス」と呼ばれることから、文明という名の悪しき破壊者から自然を守る正義の味方という意味でネーミングされた。 三太郎が装着するのは何の仕掛けもないアクションスーツ。氷川悠が装着するのは、自動で着脱可能な分離合体タイプの特殊スーツ。
加納 雪子 (かのう ゆきこ)
耳の後ろから胸の前に三つ編みのお下げを垂らしている少女。高校生くらい。シネマ研究会が撮影合宿で訪れた青森県奥山村の住民。両親がコダマ電子の工場用地買収交渉でだまされて自殺したため、コダマ電子を恨んでいる。家には事件の発覚を恐れたコダマ電子が送り込んだロボットの両親がいる。 椿三太郎と氷川悠に戦闘用ロボットの生産を嗅ぎつけられかけたために工場が爆破されるところを目撃し、監視ロボットに殺された。
大門 十兵衛 (だいもん じゅうべえ)
学生服に黒マント、下駄履きの高校生。いつもは学生帽の鍔で目を隠している。コダマ電子の社長に恩があり、湖多摩真理のボディガードとして城東学園2年B組に転校してくる。事故で大怪我をして、コダマ電子の社長によるサイボーグ手術で助かった過去がある。真理のことが好きだった。
イヴ・ムーン・ローランド
鼻筋の通った留学生。夏休み後に城東学園2年B組に編入してきた。正体はコダマ電子製のロボット。映画が好きだとアピールして椿三太郎に接近。ロボットによる殺人の記録ビデオを探すが見つからず、続いて氷川悠宅に乗り込む。だが、悠にロボットだと見破られ、電子頭脳を改造されて感情を持つ。 コダマ電子の刺客に頭を吹き飛ばされたため、悠が回収。ネコ型の頭を与えてキャットウーマン状に改造され、自信を喪失していた三太郎を元気づけるために協力するなど、悠のサポートをするようになる。淋しがりや。
絵旗 (えばた)
まだ歳若い美術教師。城東学園2年B組の担任で、生徒たちに理解もある。園長先生のことが好き。
ミー
小学生の女の子。髪を頭の上2箇所で結んでいる。氷川悠の妹。捨て子だったが氷川家に里子として引き取られた。捨て猫呼ばわりされて怒り、ケンカをして勝った。悠のことが大好き。悠のことを思っている湖多摩真理のことを女としてライバル視している。
園長 (えんちょう)
長い黒髪で前髪を眉の上で切り揃えている、毅然としたところのある美女。城東学園の園長として、生徒たちにはさまざまな部活で自由に才能や興味を伸ばしてもらうという方針を持つ。
氷川 悠【人】 (ひかわ ゆう)
毛のない大きな頭に上を向いた鼻をした小男。父の氷川進吾は遺伝子工学を専門とする有名な科学者で、子宝に恵まれずようやく授かった悠が天才児になることを期待していた。その願い通りに高等教育まで生後数年でマスターする天才だったが病弱だった。その父は数年前に病死している。十数年前からロボットにうちこみ、作り上げたのが氷川悠だった。 母に「ボクは死ぬんじゃない、生まれ変わるんだ。これはボクだ」と告げて病死したのが約2年前。この親子による研究や製品がコダマ電子で採用されており、現在の氷川家の収入源となっている。
集団・組織
コダマ電子 (こだまでんし)
『グリングラス』に登場する企業。湖多摩真理の父が経営する巨大企業。あらゆる電子機器を扱い、ロボットも製造している。城東学園で使用しているビデオやパソコンはもちろん、産業用ロボットも手がける。
場所
城東学園 (じょうとうがくえん)
登場人物たちが通う学校。門には「私立城東学園」の看板があり、校舎正面には「JOHTO」の文字がある。生徒は8対2で女性が多い。学園長の方針で部活が盛んだが、中にはかなり怪しい活動をしているところもある。例として「ポルノビデオ同好会」「21世紀サバイバル同盟」「宇宙旅行貯金クラブ」「ハルマゲドン対策委員会」など。
その他キーワード
黙示録計画 (あぽかりぷしゅぷろじぇくと)
『グリングラス』の用語。コダマ電子の社長が参加しているグループが、十数年前から極秘に進行しているビッグプロジェクト。食糧不足、大気汚染、異常気象、核戦争などの要素から人類の絶滅は避けられず、人類存続の唯一の手段として他惑星への植民を推進する計画である。そのためにコダマ電子のロボット技術が植民惑星での基地建設で役立つことが期待されている。 それでも、氷川悠の身体に使用されているノウハウは現在の技術を超越しているため、たいへん魅力的なもの。