ゴルフを通じて成長していく青春ストーリー
主人公の八枝崎珀は、特にやりたいこともなく空虚な毎日を送る高校2年生である。小学生の頃のマラソン大会で、無駄に張り切って失敗し、醜態をさらした経験から人と競うことを辞め、冷めた気持ちで日々を送っていたのだ。しかしある日、クラスメートの王賀撫子に触発され、ゴルフクラブを握ることになった珀は、いつしかゴルフを心から楽しみ、のめり込むようになる。一方、プロゴルファーの母を持つ撫子は、両親の離婚で、今は母と離れて暮らしている。母と同じ世界で生きることを目標とする撫子は、厳しい練習に明け暮れ、ゴルフの楽しさを忘れていた。そんな撫子は、珀を毛嫌いするが、純粋にゴルフにのめり込む姿に刺激を受ける。本作は、ゴルフを通じて刺激し合い、成長していく高校生の姿を描いた青春ストーリーである。
主人公と共にゴルフを体験していく構成
ゴルフにハマり始めた珀は、撫子のバイト先である「水砂ゴルフクラブ」の臨時アルバイトになる。そこは打ちっぱなしのゴルフ練習場であり、スタッフは皆、水砂プロのもとでプロを目指す練習生であった。珀はパワー自慢の萩尾力との飛距離勝負や、撫子をゴルフスクールの奨学生に招待しに来た白峰オリバーのパター指導を受ける。そして、水砂ゴルフクラブが主催した、珀の歓迎ゴルフ大会で初めてコースデビューを果たした。本作は、ゴルフ初心者の珀を通して、読者が一緒にゴルフを経験し、成長していけるような構成が特徴である。また専門的な用語や知識も、たびたび作中のコラムで紹介されている。
登場人物・キャラクター
八枝崎 珀 (やえざき はく)
城道高校2年の男子。両親の他に弟と妹がいる。本来は負けず嫌いだが、小学生の時のマラソン大会で惨めな思いをした経験から、人と競うことを諦めていた。「どんなに頑張っても所詮は井の中の蛙」と人生を悟っていたが、進路希望書に「渡米」と書いていた王賀撫子に刺激を受け、彼女が働く「水砂ゴルフクラブ」でアルバイトを始める。生まれつき体が柔らかく、深いねじりから驚異的な飛距離を生み出すことができる。
王賀 撫子 (おうが なでしこ)
城道高校2年の女子。八枝崎珀のクラスメート。「水砂ゴルフクラブ」のアルバイト店員で、ゴルフの腕前は、関東の大会で複数回優勝、全国でも3位に入賞するほどの実力者。母はプロゴルファーで、6歳の頃から夏は毎年アメリカのゴルフ場で過ごしていた。10歳の時に両親が離婚し、銀行員の父と共に日本で暮らしていたが、14歳の時に父が再婚。そこでは父についていかずに、祖母との二人暮らしを選んだ。いつか母と同じ世界で生きることを夢見て、ストイックにプロゴルファーを目指す。
書誌情報
グリーングリーングリーンズ 3巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2024-05-02発行、978-4088841045)
第2巻
(2024-07-04発行、978-4088841250)
第3巻
(2024-09-04発行、978-4088841670)







