概要・あらすじ
強迫性障がいによる潔癖症に悩む黒田公正は、家から出ることができなくなり、5年も引きこもり生活をしていた。そんなある暑い夏の日、公正のもとに車椅子の少女、足立歩が現れた。彼女は関節リウマチを患うピアカウンセラー(障がいをもつ仲間の相談に乗り、自立支援を促す支援者)であった。公正のアンケート用紙に目を通した歩は、自前のゲーム機を取り出し、公正をゲームに誘う。しかし、「自分のような生産性のない人間は、楽しんでちゃだめだ」と、公正は乗り気ではない。また、歩の曲がった指を見て、ゲームなんかできないだろうと思いこんでいた。歩はそれを見透かすように笑みを浮かべ、曲がった両手でコントローラーを固定し、口でゲームを操作し始めた。足立がプレイしているのはRPGなどではない。動きが激しく、複雑な操作が求められる格闘ゲームなのだ。それを歩は軽々と口や頰でやってのけたのだ。驚く公正に、歩は自分がプロゲーマーであることを告げる。「ゲームの前ではすべての人が平等だ」と言う歩の言葉に、公正はやっとコントローラーを手にする。そして歩と対戦した公正は、ゲームを通じて久しぶりに他人と触れ合った。こうして歩と出会った公正は、eスポーツの世界でプロゲーマーを目指そうと考えるのであった。
登場人物・キャラクター
黒田 公正 (くろだ こうせい)
強迫性障がいに悩む少年。前髪が長い。何事もネガティブに捉えてしまい、どんどん悪い方向へと論理を展開させてしまう。そのため、自己肯定感が極端に低い。幼い頃から極度の潔癖症で、中学の時に周りの誰も信用できなくなり、引きこもり生活を余儀なくされる。カウンセラーとして現れた車椅子の少女、足立歩との出会いがきっかけで、eスポーツのプロゲーマーを目指す。
足立 歩 (あだち あゆみ)
黒田公正のピアカウンセラー(障がいをもつ仲間の相談に乗り、自立支援を促す支援者)の少女。関節リウマチを患い、車椅子で生活する。ショートボブにキャップを被(かぶ)っているのが特徴。前向きで明るい性格で、意志も強い。格闘ゲームを得意とするプロゲーマー。指が使えないため、頰でジョイスティックを操作し、下唇を舌で押し出してボタンを押す。