ふつうのサラリーマンは、暗殺武術の達人
本作の主人公・赤森六男は、ふだんは平凡なサラリーマンながら、伝説の暗殺武術「背神活殺流拳法」を極めた天才格闘家という裏の顔を持つ。幼い頃から命を奪う技術を叩きこまれた六男は、裏社会の人間たちとの戦いに慣れすぎ、命を奪うことも躊躇しない。だが、やがてふつうの人生を送ることを望むようになり、父親の許可を得てサラリーマンとしての人生を歩み始める。やがて製菓メーカー「カルボン」の商品企画部に入社した六男は、先輩の桂木圭太や後輩の柏カエデと共に忙しいながらも充実した日々を過ごしていた。しかし、赤森家に恨みを持つ武道家たちはそれを許さず、六男はサラリーマンとして生きるため、周囲に知られないように刺客を撃退することを余儀なくされる。
殺人武術「背神活殺流拳法」と赤森家
赤森六男が使いこなす「背神活殺流拳法」は、「血の一族」と称された赤森家に古来より受け継がれてきた、一家相伝の暗殺武術。その拳法は、人間業を超えた防御技術と頸椎の破壊に特化した殺人技で、攻防一体の流派である。人間の殺害を目的としているが、加減をすることで体を麻痺させたり、意識を奪ったりすることも可能。だが現在の六男は、自分の身を守るときと有事の際以外には使用しておらず、人も殺めていない。なお、赤森家は六男を含めて六人の兄弟がおり、全員が背神活殺流拳法を修めている。また、次男の赤森二男は米国軍需企業の私設部隊「P・3軍」の協力者として暗躍している。
赤森六男と、さまざまな猛者たち
「背神活殺流拳法」は各国家の軍や警察機構、裏社会にもその名が広く知られている。また、道場破りで返り討ちに遭って死亡した武道家もおり、その仲間たちは赤森家を仇敵と憎んでいる。「一族で最も殺しの才に恵まれた男」とまで称された赤森六男も、テコンドーの使い手・李在煥(いじぇふぁん)や、背神活殺流と異なる暗殺術を修めた全隈浩司、柔道の達人である林道綱吉など、多くの武術家に命を狙われている。さらに、P・3軍や警察庁で表沙汰にできない仕事を遂行する摘発屋、国連の特殊部隊など、背神活殺流拳法の利用や牽制を狙う組織からもエージェントを差し向けられ、六男は否応なく戦いに巻き込まれる。
登場人物・キャラクター
赤森 六男 (あかもり りくお)
製菓メーカー「カルボン」の商品企画部に所属している青年。年齢は24歳。父親と五人の兄がいるが、彼らとは絶縁状態になっている。身長は171センチで、体重は55キロ。細身の体型で顔つきも幼いながら、代々続く古流殺法術「背神活殺流拳法」の家に生まれた天才格闘家。特異な出自からふつうの人生にあこがれており、サラリーマンとしての日々に充実感を覚えている。だが、タクシーを止められなかったり、商品開発の際にグロテスクな菓子を提案したりするなど、天然な性格に加えて世間知らずの一面を持ち、同僚からは呆れられている。幼い頃より師である父親と共に背神活殺流拳法の修練に励み、現在も名だたる武術家を圧倒するほどの実力を誇る。修行の一環で対戦相手を殺してしまったことがあるが、その時は自然なことだと疑っていなかった。しかし、16歳の時に経験した戦いをきっかけに、殺人にためらいを感じるようになる。その気持ちを父親に伝えたところ、ふつうの社会生活を送るように言われ、何百もの面接に失敗しながらも晴れてカルボンに入社した。入社後はまじめに仕事に励んでいたが、会社帰りに絡んできたチンピラを一瞬で退けたことをきっかけに、その存在が裏社会にも広まり、次々と刺客の襲撃を受ける羽目になる。
青田 健春 (あおた けんしゅん)
半グレ集団「新宿サヴェージ」に所属している青年で、元キックボクサー。年齢は24歳。生意気ながらも筋の通った実直な性格で、リーダーの道言雄亮をはじめ、新宿サヴェージの仲間たちからも慕われている。ビジネスセンスにも長け、現在は高級マンションに住んでいる。新宿サヴェージの中では飛び抜けた実力を持つが、自分より強い人間はいくらでもいることを自覚しており、トレーニングに余念がない。部下が因縁をつけた赤森六男に興味を持ち、彼の実力が自らをはるかに上回るさまを目の当たりにし、裏社会の刺客から六男の身を隠す手伝いをすることを条件に、稽古をつけてもらうように依頼する。そして修行に励み、キックボクサーとしての長所を磨きつつ、初歩的ながら背神活殺流拳法も使えるようになっていく。
クレジット
- 原作
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雪永 ちっち
書誌情報
サツドウ 3巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2023-05-08発行、 978-4065316023)
第2巻
(2023-08-04発行、 978-4065326602)
第3巻
(2023-11-06発行、 978-4065336328)