概要・あらすじ
田中K一は、1980年代後半のバブル黎明期、ある玩具会社に就職した。新製品の売り込みに邁進し、問屋在庫を調整し、先輩のノウハウを学び、少しずつ営業マンとして成長していく。しかし、先輩も同輩も超個性派で、人形との脳内ハーレムに耽る店頭ディスプレイの達人、当時としては早すぎたグロカワイイ路線を提案し続ける女子社員、おっぱい好きの同僚等々、どこかタガの外れた連中ばかり。
物語はライバル社との営業合戦から、大人向け市場開拓へと展開していく。
登場人物・キャラクター
田中 K一 (たなか けいいち)
ヨイコトーイの新人営業部員で東京営業所勤務。作者田中圭一の分身である。個性の強すぎる、同僚たちに呆れながらも、営業マンとして成長していく。笑い上戸。
飯山 はじめ (いいやま はじめ)
ヨイコトーイの営業部員。作者田中の先輩。得意先に「心の中で人形と同棲している男」と呼ばれるほどの人形オタク。サンプルの着せ替え人形リナちゃんの股間に性器を造形して「魂」を入れるなどの奇行もあるが、人形のポーズやディスプレイについては天才的な技術とセンスがある。
毛田 ものみ (けだ ものみ)
ヨイコトーイの営業部にガールズマーケティング部から転属してきた営業事務。田中の1年先輩。事務職だが絶大な玩具愛と先進的すぎる企画力の持ち主。彼女の発想に世間が追いついていないが、その才能を認める銭井が、「熟成期間」として各部署を経験させている。幼児っぽい独特の言葉遣いが特徴。 人形を改造する飯山を毛嫌いし、対立している。
銭井 (ぜにい)
ヨイコトーイのガールズマーケティング部部長。毛田の才能を認め、見守っている。「ハイパーアーム」の大量売れ残りにより危機に瀕したヨイコトーイを起死回生のギャンブル的戦略で救い、大人向け商品開発を任せられる。
角牧 省吾 (かどまき しょうご)
ヨイコトーイの営業部員。田中の同期で、新人営業マンとしては並の能力だが物怖じせず大風呂敷を広げる前向きな性格の持ち主。おっぱい好きで、大宗部長の胸に憧れるセクハラ野郎。
大宗 由佐 (おおむね ゆさ)
ヨイコトーイの部長。全国を回ってリナちゃん専用什器を普及させた実績の持ち主。常に巨乳の谷間を強調する衣服を着用している。
小頭 (こがしら)
ヨイコトーイの営業部員。先輩として田中のピンチを救う。小動物のような目で懇願するという必殺技の持ち主。小柄で子供っぽいプロポーション。
臼井 覇気 (うすい はき)
ヨイコトーイの営業部員。先輩として田中を指導。一見、くたびれた痩せ形中年だが、GRP(広告効果を測る指標)などのデータ分析をベースにした営業戦略を駆使する。大人向け市場が有望であることを見抜き、銭井に進言する。
丸花 (まるはな)
ヨイコトーイ東京営業所所長。大きな鼻が特徴。酔うと素っ裸になるという悪癖がある。
外山 (とやま)
ヨイコトーイ川越工場勤務。毛田を可愛がっている。
霧吹 (きりふき)
ヨイコトーイのマジック事業部所属。元マジシャンで父は天才マジシャンのジュピター天空。マジックに打ち込みすぎたため、26歳で童貞で、性的な知識は皆無(女性にペニスがないと知って衝撃を受ける)。毛田が理想の女性。結婚を目指している。
調子 典夫 (ちょうし のりお)
ヨイコトーイのライバル玩具メーカーにして業界最大手であるガンビィの敏腕営業部員。リナちゃん専用什器に枠をはめて、自社のバーニィ用什器として乗っ取る。大人向けパーティグッズの拡大を目指す。
ジュピター 天空 (じゅぴたー てんくう)
8年振りに現役復帰した天才マジシャン。霧吹の父親。
目金 涼子 (めがね りょうこ)
玩具メーカーロビーの新規事業開発部所属。角牧と調子が黒紙なおみをおもちゃショーのコンパニオンと間違えて開いた合コンに、黒紙ときた女性。ちゃっかり新製品情報を入手する。
黒紙 なおみ (くろがみ なおみ)
玩具メーカーロビーの新規事業開発部所属。おもちゃショーで商品の説明をしていたところ、角牧と調子がコンパニオンと間違えて合コンに招いた。ちゃっかりガンビィの新製品情報を入手し、さっさと帰るやり手。
椛島 (かばしま)
ヨイコトーイの役員。特撮物に進出して、大失敗。会社を危機的状況に陥れる。色黒の中年男性。
杉本 (すぎもと)
東洋テレビの「金曜ランチ」のプロデューサー。
専務 (せんむ)
玩具卸問屋「池商店」の専務。姓名不詳。怒ると本宮ひろ志タッチになる。粗暴な性格で、男の器は睾丸の大きさで決まると確信している。
社長 (しゃちょう)
ヨイコトーイを1代で築いた創業社長。姓名不詳。
ヨイコトーイ
田中が勤務する大手玩具メーカー。モデルは作者の勤めていたタ○ラ(作中に準拠し伏せ字とする)。着せ替え人形市場でトップシェアの「リナちゃん」をはじめ女児用玩具、キャラクターぬいぐるみ、知育玩具等を開発、販売していたが、合体ロボット、戦隊物にも進出。業界最大手のガンビィを猛追している。 年商500億円。
ガンビィ
玩具業界の最大手。合体ロボ、戦隊ヒーローを中心にしてきたが、ヨイコトーイの台頭に対抗し、「リナちゃん」と同サイズの着せ替え人形「バーニィ」を投入し、女児用玩具の市場に参入。大人向けのパーティグッズを開発し、新たな市場を開拓する。年商1,000億円。
ロビー
玩具業界では3番目の規模。ミニカーや子供向けの鉄道玩具が主力商品。年商300億円。