路傍のフジイ

路傍のフジイ

『リボーンの棋士』に次ぐ、鍋倉夫の連載作品。舞台は現代の東京。40歳過ぎのサエない独身男性の藤井守が主人公。職場では空気のような存在ながら、マイペースに人生を楽しむ藤井と、彼に感化される周囲の人々を描いたヒューマンドラマ。小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」2023年第24号より連載。「次にくるマンガ大賞2024」コミックス部門で第17位、「このマンガがすごい!2025」オトコ編で第5位に選ばれた。

正式名称
路傍のフジイ
ふりがな
ろぼうのふじい
作者
ジャンル
サラリーマン
 
ヒューマンドラマ
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊3巻
関連商品
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存在感ゼロの中年男性という、異色の主人公

本作の主人公は、40歳過ぎの独身男性、藤井。都内の中小企業で、非正規社員として働いている。職場では空気のような存在で、真面目ながら地味でサエない。どう考えても上がり目はなく、周囲から「ああはなりたくない」と思われ、飲み会に誘われることもない。そんな藤井だが、じつは読書や昆虫飼育、DIY、水彩画、陶芸、ギターといった多くの趣味を持っており、マイペースに毎日を楽しんでいる。本作は、承認欲求ともマウントの取り合いとも無縁な異色のヒーロー、藤井により、「普通」や「幸せ」について改めて考えさせられるヒューマンドラマである。

凡人、藤井に感化される人々を描く

藤井の同僚の田中は、将来に不安を抱えており、「藤井に比べたらまだマシ」「大丈夫だ」と自分に言い聞かせていた。しかしある日、ひょんなことから藤井の部屋を訪ねた田中は、その多趣味ぶりに驚く。そしてギターで下手な弾き語りをする藤井を見ているうちに、つまらない人間は、藤井ではなく自分だということに気がつく。また社内一の美人の石川は、じつは前職が風俗嬢で、当時の客を相手にパパ活をしていた。ある時、会社の帰りに藤井と二人きりになった石川は、彼を試すようにホテルに誘うがきっぱりと断られる。ちょっと変わっているが、優しく自然体な藤井に興味を抱いた石川は、人生に前向きになっていく。本作は、なんでもない凡人の藤井に関わった人々が、感化され変わる様子を描いている。

登場人物・キャラクター

藤井 守 (ふじい まもる)

三白眼が特徴の40代独身男性。都内の中小企業で総務の仕事をする非正規社員。会社では周囲から下に見られており、飲み会に誘われることもないが、そんなことは全く気にしないマイペースな性格。陶芸、水彩画、ギターのほか、様々な趣味を持っているが、どれもそれほど上手くはない。誰に対しても敬語で接する。

田中 (たなか)

藤井と同じ会社に勤務する30代前半の独身男性。友人たちの中で最後の独身者で、金持ちになれる未来も見えないせいか、数か月に一度、大きな不安の波に押しつぶされそうになっていた。しかし、藤井の部屋を訪ねたことで不安も小さくなり、それ以来、たびたび遊びにいくようになる。同僚の美人、石川に好意を抱いている。

石川 (いしかわ)

藤井と同じ会社に勤務する独身女性。社内でも評判の美人だが、誰にも心を開かない雰囲気を持つ。ポニーテールと右目下のホクロが特徴。元風俗嬢で、パパ活をしている。アニメが好きで3次元の男にはあまり興味を持っていない。自然体な藤井に興味を抱き、田中共々、藤井の部屋に遊びにいくようになる。

書誌情報

路傍のフジイ 3巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2023-10-30発行、 978-4098625420)

第2巻

(2024-02-29発行、 978-4098627080)

第3巻

(2024-08-30発行、 978-4098630202)

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