宮本から君へ

宮本から君へ

文具メーカーに勤務する新人営業マンである宮本浩が、仕事や恋愛を通じて一人の男として成長していく姿を描いたサラリーマン漫画。新井英樹の代表作で、1992年度第38回小学館漫画賞青年一般部門受賞。

正式名称
宮本から君へ
ふりがな
みやもとからきみへ
作者
ジャンル
サラリーマン
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概要・あらすじ

文具メーカー・マルキタ(株)に営業マンとして就職したが、不器用な性格のため仕事がうまく行かず、自信喪失していたサラリーマン・宮本浩。仕事がうまく行かない中で、恋愛に救いを求めようとする宮本浩だったが、付き合い始めた彼女・甲田美沙子にフラれてしまう。これをきっかけに心機一転した宮本浩は、仕事に死ぬ気で打ち込むようになり、困難な営業案件にも果敢に立ち向かっていく。

そして先輩営業マンを通じて知り合った女性・中野靖子と恋に堕ち、彼女を守れるような強い男になろうと誓い、仕事に恋愛に泥臭くあがきながら一人の男としてたくましく成長していく。

登場人物・キャラクター

宮本 浩 (みやもと ひろし)

文具メーカー・マルキタ(株)に勤務する営業マン。物語開始時点では大学を卒業したばかり、入社1年めの夏。学生時代は運動が得意で人気もあり楽しく過ごしていたが、社会人になってからは仕事がうまく行かず、自信を喪失して彼女からもフラれてしまった。他人に迎合するのが苦手で、営業スマイルもうまく作れない。 気が利かないうえに正義感が強いことも災いして、取引先とはたびたびトラブルを起こしている。悩み多き日々の中、いつも通勤電車で一緒になる美人OL甲田美沙子に告白して付き合い始める。元は小学校の校長である父親、母親と実家で3人暮らしをしていていたが、甲田美沙子ににフラれたのをきっかけに一人暮らしを始め、仕事でも一本立ちを目指すようになる。 営業の先輩である神保和男を見習いながら仕事をするうちに、製薬メーカーの新薬PR商材納入の件で悪戦苦闘し、サラリーマンとして大きく成長していく。また神保和男の紹介で中野靖子と出会い、紆余曲折の末に彼女と恋人同士となる。そして中野靖子を守れる男になるべく苦闘し、成長していく。 名前の由来はロックバンドエレファントカシマシのヴォーカル宮本浩次から。

中野 靖子 (なかの やすこ)

神保和男と共に起業することになったプログラマー・重松の会社の後輩。宮本浩とは、神保和男に誘われて参加した飲み会の席上で知り合う。その後、大東製薬への文具納入の案件で行き詰まった宮本と再会。平手打ちで宮本浩に渇を入れる。元は風間裕二という男と恋人同士だったが、彼の浮気癖に打ちひしがれ、宮本浩を頼るようになる。 その後、風間裕二と別れ、宮本浩と恋人になり同棲することに。しかし宮本浩の取引先相手である真淵敬三の息子真淵拓馬によってレイプされ、そのさいに彼女を助けられなかった宮本浩といったん別れる。その後妊娠が発覚するが、父親が宮本浩なのか風間裕二なのかは不明のまま。 風間裕二は堕胎を勧めるが、宮本浩は真淵拓馬をケンカで負かしたうえ母子まとめて幸せにすると誓う。その熱意に根負けした彼女は、宮本浩と復縁し結婚を承諾する。

甲田 美沙子 (こうだ みさこ)

トヨサン自動車本社で受付嬢をしているOL。ロングヘアの美人で、通勤電車で同じ電車に乗り合わせる宮本浩から声をかけられたことで親しくなった。宮本浩と知り合った時点で勤務1年5ヶ月の21歳。それまで付き合っていた彼氏と別れて傷心状態だったが、宮本浩と付き合い始めた。しかし短大時代のサークルの集まりに参加したおりに、かつての彼氏に復縁を申し込まれ宮本浩と別れる。

田島 薫 (たじま かおる)

マルキタ(株)に勤務する営業マンで、宮本浩とは同期。出っ歯で関西弁の調子の良い男ではあるが、友情には篤く、仕事に悩む宮本浩を激励するなどサポートする。宮本浩と営業をしている最中に知り合ったメルシー化粧品(株)のOL綾部栞に一目ぼれし、彼女にアプローチをかけるようになり、一緒に食事に行くなど懇意の仲となる。

神保 和男 (じんぼ かずお)

マルキタ(株)の営業マンで宮本浩の先輩。勤務5年で敏腕営業マンで、いつも満面に笑みを浮かべており、その気の置けない人格から取引先からも絶大な信頼を寄せられている。仲間と共に起業して独立するため、退社を予定している。取引先であるハタダ(株)などへの営業担当を後輩の宮本浩に引き継がせる過程で、彼に仕事のやり方を教えていく。 起業した会社「バオバブ」の業務内容は、コンピューター回線を使って小売店を系列化するソフトを問屋に売るというもの。起業仲間の重松との飲み会で、宮本浩と中野靖子が出会うきっかけを作る。マルキタ(株)での最後の仕事となった大東製薬へのPR商材の納入の件で、営業のライバルであった益戸靖幸と対立。 新人ながらも奮闘する宮本浩の姿に刺激を受ける。営業の仕事が縁で知り合った彼女・土田緑と同棲中で、マルキタ(株)退社後、彼女との間に一児をもうける。

小田 三紀彦 (おだ みきひこ)

マルキタ(株)に勤務するサラリーマンで宮本浩の上司。役職は課長。上役である岡崎部長と、部下の宮本浩が衝突したさいに間に入り、双方の関係のこじれを調節する。関西弁で物腰のこなれた中年男だが、飲み会の席上で社長を目指している旨を宮本に告げるなど、胸に野心を秘めた部分も。 妻と二人暮らしで、甲田美沙子にフラれて落ち込む宮本を自宅に招き励ますなど、公私にわたり部下の面倒を見ている。

安達 (あだち)

文具の大手問屋・ハタダ(株)の社員。ハタダ(株)は、宮本浩らの勤務する文具メーカー・マルキタ(株)の取引先。宮本浩の先輩営業マンである神保和男が新人だったころに苦戦した相手。最初は神保和男のことを嫌っていたが、しつこく通い続け、そのたびに名刺を渡し続けてくる彼に根負けし、以降懇意に付き合うようになる。 宮本浩が大東製薬へのPR商材納入のさいに奔走した案件におけるハタダ(株)の担当者。武骨で強面な外見だが情に篤い性格の持ち主。

益戸 靖幸 (ますど やすゆき)

文具最大手メーカー「コクヨン」の営業マン。神保和男とは営業マンとしてのライバル。ルックスの良さと口のうまさ、リベートも駆使するなど狡智に長けた営業スタイルの持ち主で、いつも笑顔と誠意で取引先との信頼関係を築いていく神保和男とはスタンスも対照的。大東製薬へのPR商材の納入案件では、マルキタ(株)の営業担当である神保和男・宮本浩のコンビと激突。 ワカムラ文具の島貫部長から裏ルートで情報を得るなど、卑怯な手も使うものの、神保和男のことは退社後も気にかけるといった一面も見せた。

島貫 (しまぬき)

文具販売会社である「ワカムラ文具」の営業部部長。タヌキのような外見で、卑怯な行動をしばしばとる。宮本浩が担当した大東製薬へのPR商材納入の案件の、ワカムラ文具側の担当者。商品はコクヨンとマルキタ(株)がコンペを行い、採用されたものをワカムラ文具が大東製薬へ納品することとなっていた。 このさいに島貫は神保和男や宮本浩に露骨にリベートを要求したほか、マルキタ(株)側の見積もり価格の情報を事前にコクヨンに漏洩させるなど、マルキタ(株)が不利になるよう画策している。その後、マルキタ(株)を出入り禁止とするが宮本浩が、泉谷建設真淵敬三からの仕事をとってきたことで渋々出入り禁止を解除した。

風間 裕二 (かざま ゆうじ)

中野靖子が付き合っていた男性。小説を書いていると自称。豪放磊落で闊達な性格をしており、女にはモテる。浮気性でさまざまな女と関係を持ち、ヒモのような生活をしている。中野靖子も彼の浮気癖に翻弄されて何度も痴話喧嘩を繰り返していた。宮本浩とは、彼が映画館でオカマの痴漢にからまれていたところを助ける。 しかし痴漢男に手ひどい暴力を振るう風間に対し、宮本浩は反感を覚える。その後宮本浩を飲みに誘い、深夜に中野靖子に連れ込む。このときの無遠慮な行動がきっかけで中野靖子が裕二に嫌気が差し、宮本浩と付き合い始めこととなる。

綾部 栞 (あやべ しおり)

メルシー化粧品(株)販売促進部に勤務するOLで、勤続4ヶ月の22歳。栞が書類を落とした書類を拾うのを宮本浩が手伝ったのがきっかけとなって親しくなる。折しも宮本浩は大東製薬へのPR商材納入のコンペに負けて意気消沈していたが、包容力のある栞の笑顔に惹かれる。その後、田島薫と共に営業中の宮本浩と再会したが、田島薫が運転する営業車の自動車事故で宮本浩が頸椎捻挫して入院。 見舞い先の病院で中野靖子と鉢合わせになり、宮本浩と中野靖子の仲を一時期険悪にさせる。また宮本浩が入院中に、食事に誘うなど積極的にアタックをかけてきた田島薫と親しくなる。

大野 平八郎 (おおの へいはちろう)

菓子メーカー・太陽製菓の資材部の部長。チョコレートが好きとの理由で入社し、以後25年間毎日自社のチョコレートを欠かさず食べ続けている。ワカムラ文具との関係を修復するための仕事を探していた宮本浩が、さまざまな会社に飛び込み営業をかけていたときに出会った人物。がっしりした体格の持ち主。 宮本浩のことを初見で気に入り、泉谷建設の資材部部長である真淵敬三を紹介した。

真淵 敬三 (まぶち けいぞう)

建設会社・泉谷建設の資材部部長。大野平八郎とは大学時代に同じラグビー部に所属していた旧知の仲。現在も太陽製菓のラグビーチームに共に所属している。大野平八郎から紹介された宮本浩から文具納入の営業を受けるが、ワカムラ文具を経由するといわれて激高する。ワカムラ文具の島貫の卑劣さを毛嫌いしていたが、仕事に私情を挟む姿勢を宮本浩に糺されて怒鳴り合いとなる。 結局宮本浩の勢いに根負けし、その一件がきっかけで彼の根性を気に入り、ラグビーの試合にも勧誘する。息子は早明大学ラグビー部で「怪物」の異名をとった有名ラグビー選手の真淵拓馬。

真渕 拓馬 (まぶち たくま)

早明大学ラグビー部に所属し「怪物」の異名をとった巨漢。泉谷建設資材部部長である真淵敬三の息子。父である真淵敬三によって幼いころからラグビースクールに入れられ、大学までラグビーを続けたが、父親に反発してラグビーをやめて現在は外交官を目指して勉強している。真淵敬三と一緒に飲んださいに酔い潰れた宮本浩を車で自宅まで送るが、そのさいに中野靖子の部屋に上がり込み、宮本浩が泥酔して起きないのをいいことに彼女を強引にレイプする。 さらに復讐のために真淵親子の所属するラグビーチームの試合にやってきた宮本浩を返り討ちにし、前歯3本を折る傷を負わせる。その後、真淵敬三と親子喧嘩をした後、恋人の住むマンションに転がり込んでいたところを、再び宮本浩に襲撃される。 いったんは優勢になるが命がけでかかってきた宮本浩に敗北し、睾丸をつぶされる。

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