概要・あらすじ
名古屋でのSF大会の帰り、手塚治虫は巨大なサルの怪獣に襲われる。それは、サルの体を借りた、ガス状生命体デカンダーであった。命からがら逃げ出した手塚治虫は、不思議な青年、命光一と出会う。彼は、高瀬博士に拾われ、やはりガス状の生命体サンダーに体を貸すことになった人物であった。
サンダーは、地球の生物と同じ炭素系の生命体だが、デカンダーは珪素型の生命体であった。デカンダーのガスよって、地球の生物は石に変えられていく。サンダーは、人間の命光一の体を借りて、デカンダーを阻止するために戦うのだった。
登場人物・キャラクター
命 光一 (いのち こういち)
公害病によって、余命わずかと宣告された青年。自暴自棄になり、「命売ります 命光一」と書いたプラカードを持ち、街を歩いているところを、高瀬博士に拾われ、命光一と名乗った。本名は飯田光一。「サンダー」と叫ぶと、ガス状生命体サンダーが体に入り込み、サンダーに変身する。 変身している間は、意識は完全にサンダーとなり、記憶にも残らない。
サンダー
宇宙から飛来したガス状生命体。ガス状であるが、地球の生物と同じ炭素型の生命体で、同じく宇宙から飛来した珪素型のガス状生命体デカンダーと戦う。人間の青年命光一の体に入ると変身し、体の大きさも変えることができる。ただし、10分以上人間の肉体に入っていると、地球人の肉体組織が拒否反応を起こして爆発してしまう。
デカンダー
宇宙から飛来したガス状生命体。珪石(シリコン)から生まれた珪素型の生命体で、フッ素を吸い、メタンを飲み、アンモニアを食する。地球をすみかと決め、地球の生物を珪素型の生物に変えてしまおうとする。デカンダーのガスによって珪素型生物にされると地球の生物は石のようになってしまい、目に見えないほどゆっくりとしか動けなくなる。
高瀬博士 (たかせはかせ)
岐阜県の養老山中で隕石の中に詰まっていたガス状生命体サンダーを発見する。肉体をほしがっているサンダーを、余命がわずかと宣告され、自暴自棄になっていた命光一と引き合わせる。同じくガス状生命体で、地球の生物を自分と同じ珪素型の生物に変えてしまおうとするデカンダーに殺され、その遺骸は命光一のもと、プラスチックに固められて研究所に安置されている。
手塚 治虫 (てづか おさむ)
マンガ家。名古屋でのSF大会からの帰り、ガス状生命体デカンダーが乗り移った巨大サルに襲われ、それから、サンダーとデカンダーというガス状生命体同士の戦いに巻き込まれる。作者である手塚治虫自身がモデル。
高瀬 まゆみ (たかせ まゆみ)
高瀬博士の娘。ミッションスクールに通っているが、その学校は、宇宙からやってきたガス状生命体デカンダーをかくまう秘密結社オミクロンの母体となっており、高瀬まゆみは知らぬ間にデカンダーに体を乗っ取られていた。
高瀬 勝也 (たかせ かつや)
高瀬まゆみの弟。シスターコンプレックスの気味があり、姉に好意を寄せる命光一に対して攻撃的。
山形 (やまがた)
高瀬博士の秘書。実は、宇宙からやってきたガス状生命体デカンダーをかくまう秘密結社オミクロンの一員であった。
鹿子木 (かのこぎ)
出版社「大学館」が発行する「少年ヨンデー」の編集者で、手塚治虫担当。SF好きで、光瀬龍のファン。手塚治虫の担当になり、原稿が遅いことや、デカンダーに襲われたことを、保養先の箱根の温泉で、マンガ家の永井豪を相手に嘆く。
集団・組織
オミクロン
『サンダーマスク』に登場する秘密結社。野毛山にあるミッションスクールを隠れ蓑とする秘密結社。宇宙から飛来したデカンダーを発見し、それを崇めるようになる。
大学館 (だいがくかん)
『サンダーマスク』に登場する出版社。本作品が掲載された『少年サンデー』を発行する小学館のもじり。大宇宙の歴史を書いた文字盤バイブルが、そのビルの礎石に使用されている。
その他キーワード
バイブル
『サンダーマスク』に登場する石版。『聖書』のことではなく、大宇宙の歴史を書いた文字盤。どの星にも1つずつ置いてあり、地球のバイブルは、出版社「大学館」ビルの礎石に使用されている。登場人物の手塚治虫がサンダーと出会った直後、礎石の表面に手塚治虫の顔が浮き出しているのが発見される。
鎌倉の大仏 (かまくらのだいぶつ)
『サンダーマスク』に登場する実在の建造物。神奈川県鎌倉市の高徳院の本尊。高さ13メートル、重量約121トンの仏像。宇宙から飛来したガス状生命体、サンダーとデカンダーが戦った際に破壊される。
大船の観音像 (おおふなのかんのんぞう)
『サンダーマスク』に登場する実在の建造物。神奈川県鎌倉市、大船観音寺にある、高さ約25メートルの観音像。宇宙から飛来したガス状生命体、サンダーとデカンダーが戦った際に破壊される。