あらすじ
第1巻
アメリカに住む波戸ケンジは「バウンティハンター」という、保釈金を踏み倒して逃げた犯罪者(ベイル・ジャンパー)を捕まえる仕事を生業としている。非常に危険な仕事ながら、離婚したことで高額の慰謝料と娘のモモコの養育費を支払わなくてはならないケンジには、この仕事をするほかなかったのである。そんなある日、弁護士を通じて養育費を増額するように言われたケンジはモヤモヤした気持ちを抱えながら、フレディというベイル・ジャンパーを追っていた。フレディは、麻薬の仲介人から10万ドルを盗んでおり、仲介人からも、ケンジからも追われる身となっていたのだ。早速フレディの行方を探るケンジだったが、その途中で刺客に襲われ、ミリアンという目の不自由な女性に助けられる。これをきっかけにケンジは、フレディとミリアンは恋人であり、フレディは彼女の手術費のためにお金を盗んだことを知る。フレディの人柄に触れたケンジは、仲介人から二人を守る決意をする。フレディがケンジの手によって無事警察に連行されれば、初犯のフレディの刑期はすぐに終わり、その後ミリアンと結婚できると考えたのである。しかしそんな中、ケンジはミリアンが不法入国者であり、フレディとの結婚はアメリカの市民権や永住権の獲得が目的であるという噂を耳にしてしまう。
第2巻
波戸ケンジの娘であるモモコが、麻薬組織をバックに持つ犯罪者のバランキア兄弟に誘拐されてしまう。モモコの祖父で、ケンジの義父でもあるニューヨーク最大のマフィア「ドン・リー・バーバリアーノファミリー」のボスを務めるドン・リー・バーバリアーノは、バランキア兄弟に恨みを買っていたのだ。これを知ったケンジはすぐさまモモコの救出に向かうが、味方であるはずのルーク(義兄)の対応は非常に冷たく、捜索は難航する。それでもなんとかモモコの救出に成功したものの、この誘拐事件には「ドン・リー・バーバリアーノファミリー」の跡目争いが絡んでいた。ドンはすでに高齢で跡目を誰にゆずるかを考えていたが、長男のルーク(義兄)はファミリー内で人望がない。そこで、ほかの候補者たちが、バランキア兄弟にドンの殺害を依頼して、自分たちがその後釜を狙っていたのである。ケンジは犯人捜しよりも先にバランキア兄弟と決着をつけようとするが、その頃、ルーク(義兄)は幹部の一人であるマッセリア・ガンビーノと会っていた。マッセリアはルーク(義兄)と自分以外の幹部を全員殺す計画を打ち明けるが、ルーク(義兄)はこれに激怒。しかし、マッセリアはルーク(義兄)に跡目を継がせるためだと、甘い言葉を掛ける。
第3巻
波戸ケンジはバランキア兄弟と決着をつけ、ドン・リー・バーバリアーノの命を狙っているのはマッセリア・ガンビーノであることを知る。しかし行動に移す前に、ドンはマッセリアの仕組んだ美術館爆破事件によって大ケガを負っていた。どうにか一命を取り留めたものの、ドンは後遺症が残り、廃人同様となってしまう。この出来事に深く落ち込むルーク(義兄)は、首謀者がマッセリアであることを知らないまま、ますますマッセリアに依存するようになる。しかし、もうルーク(義兄)を用済みだと判断したマッセリアは、ルーク(義兄)を殺害する。さらに、刺客はドンをケンジの目の前で殺害し、ついにマッセリアはファミリーの乗っ取りに成功する。マッセリアだけは許せないと憤るケンジは彼と戦おうとするが、そこへ突如FBIがやって来る。マッセリアは、ドン殺しの汚名をケンジに着せるために罠を仕掛けていたのだ。捕えられたケンジは「51」と呼ばれる謎の施設に連れて行かれる。そこは、アメリカ合衆国の51番目の州という意味で名づけられた、独自の治療と教育で犯罪者たちを更生させる施設だった。ケンジは脱獄の機会をうかがいながら厳しい責め苦に耐えるが、そんなある日、マッセリアが51に現れる。
第4巻
「51」から脱獄したケンジは、エミリーとモモコのいるロサンゼルスへ向かった。そこでケンジは、ロサンゼルス市警のハロルド・坂田と出会う。ハロルドは非常に優秀な刑事ながら、日本人であるが故に差別されており、市警内外に敵が多く命まで狙われていた。そんな中、ケンジが彼を助けたことで、二人は急速に親しくなる。ケンジは素性を隠したままハロルドと別れるが、後日ケンジの正体を知ったハロルドは激怒する。ハロルドはエミリーに思いを寄せており、エミリーの父親を殺害した疑惑のあるケンジを許せなかったのである。ケンジは自らを逮捕するためにやって来たハロルドと戦うが敗北し、再逮捕される。その護送中、「ボンバーズ」という組織にエミリーが誘拐されたという報せが入る。彼らの要求は、エミリーの身柄と引き換えに、ハロルドたち市警に押収されたコカインを取り戻すことだった。さらにその直後、ハロルドが父親のように慕っているシゲまで殺されたことが判明。そこでケンジとハロルドは、協力してエミリーを助けに向かい、ボンバーズの一員のバッカスたちと一戦を交える。バッカスたちを倒した二人は、シゲを殺した犯人がマッセリア・ガンビーノであることを知る。
第5巻
波戸ケンジは、自分を追っているハロルド・坂田から逃げようとして大ケガを負い、ホームレスたちに助けられる。ケンジは傷が癒えるまで彼らの世話になるが、ケンジのあだ名である「ハード」を名乗る男が、日本人ホームレスだけを選んで斬りまくっている事件が発生。濡れ衣を着せられそうになったケンジは、犯人である姫次と戦うことになるが、姫次の正体はマッセリア・ガンビーノが放った刺客だった。その現場にマッセリアとハロルドも姿を現し、姫次を倒したケンジはハロルドと協力してマッセリアを打ち倒す。しかし、これはマッセリアの影武者であり、マッセリア自身は母親と共に南米に向かっていたのだった。その目的は「ヘルス・バード」という麻薬の買い付けで、これを日本に蔓延させることで日本中を混乱に陥れようとしていたのだ。これを知ったケンジとハロルドは、日本でマッセリアを待ち伏せることにする。そんな中、出会った老婆が、息子の信次を捜していることを知った二人は協力するが、ようやく見つけた信次はホームレスとなっており、さらに「人望組」というヤクザの手によって、ヘルス・バード中毒になっていたのだ。そこに現れた人望組に、老婆と信次と共にケンジも捕えられてしまう。
第6巻
波戸ケンジは、老婆と信次を殺した犯人である姫次を追っていた。姫次はロサンゼルスでの一件で死んだと思われていたが、実は隻腕になって生きており、今は人望組に籍を置いていたのだ。ハロルド・坂田と合流したケンジは人望組のビルを爆破し、人望組と台湾マフィアの密会場所で待ち伏せるが、なくした左腕を機械化した姫次に苦戦する。そこでハロルドは、ケンジに酒を飲ませ、本来の力を開放することを勧めるが、ケンジはこれを拒否。あくまでもしらふのまま姫次と決着をつけようとする。こうして激戦の末にケンジは勝利するが、姫次は強い自殺願望を抱いているものの、並はずれた生命力のために自死できず、長年苦しんでいた。それを知ったケンジは酒を飲み、死んだ母親のもとに送ってほしいという姫次の望みを聞き入れ、彼を殺すのだった。これによって姫次との戦いは終わるが、そこへ人望組組長と、人望組とつながりのある警察が現れる。彼らの姫次に対するひどい扱いに怒ったケンジは、彼らと戦うものの、途中で倒れてしまう。そこに「長谷辰(はせたつ)」組の若頭の麻原栄吾が、ケンジとハロルドを助けるためにやって来る。啞然とする二人だったが、長谷辰組は人望組と敵対しており、さらに長谷辰組の組長の毒丸源三郎は、ケンジとハロルドが以前出会った何でも屋「ゲン」であったことで、事態を理解する。
第7巻
毒丸源三郎の目的は、日本では「死の丸(デッド・ラウンド)」と呼ばれている「ヘルス・バード」と、それを流通させようとしているマッセリア・ガンビーノを始末することだった。そんな中、関東最大の暴力団「集英会」の総長が亡くなり、次期総長には源三郎が選ばれる。波戸ケンジは、源三郎や麻原栄吾たち「長谷辰組」の面々と過ごす中で、組になじんでいく。そんな折、外国人マフィアが結託して「長谷辰組」のシマを荒らしているという報せが入り、さらに栄吾が行方不明となる。ケンジは、栄吾が「人望組」に連れ去られたと考え、すぐに助けに行こうするが、源三郎に止められてしまう。しかしケンジは、源三郎の命令に背いてでも栄吾を助けたいという組の面々の気持ちに応え、みんなで人望組へと向かうのだった。そこにハロルド・坂田も合流し、ケンジたちは無事に栄吾を救出するが、今度は警察に取り囲まれ、ケンジとハロルドはアメリカ極東地区司令官ビル・ベンジャミンのもとへ連れて行かれ、そこにマッセリアが現れる。
第8巻
波戸ケンジとハロルド・坂田は「死の丸(デッド・ラウンド)」の貯蔵庫爆破に成功する。こうして二人は「長谷辰組」に戻るが、マッセリア・ガンビーノによって死の丸ジャンキーとなった麻原栄吾は、非常に危険な状態にあった。栄吾は、死の丸が抜ける3日間は激しい禁断症状に苦しみ、いつ自己崩壊してもおかしくない状態が続いていた。そこでケンジは3日間のあいだ栄吾につきっきりで過ごし、4日後にとうとう栄吾は正気を取り戻す。しかしこの直後、毒丸源三郎が前副総理の銭丸に会いに行った際に、マッセリアの罠にはめられてしまう。そこでマッセリアは銭丸を殺害し、その罪を源三郎にすべて着せることで政治家とヤクザの金銭トラブルに見せかけようとしたのである。マッセリアに撃たれた源三郎は、意識不明の重体となり、警察病院に運ばれる。この事件によって長谷辰組には警察が押し寄せ、ケンジとハロルドは仕方なく組を逃げ出す。その後、ケンジは謎の人物から3日後に殺すと予告されるが、その日になっても何も起きず混乱する。そんな折、ケンジとハロルドは街で偶然知り合った女性のジャニスと親しくなるが、突如彼女が豹変。ジャニスこそが、ケンジに殺人宣告した最強の殺し屋「J」だったのである。
第9巻
波戸ケンジは、ジャニスが愛に飢えるあまりマッセリア・ガンビーノの手駒となっていたことを知り、ジャニスの説得を試みる。この説得は成功するかに思われたが、最終的に彼女は死亡し、ケンジも大ケガを負ってしまう。そこへ助けに来たのは、麻原栄吾と親しい「関西鬼御影組」のヤクザである島田恋次郎だった。恋次郎の協力により、自分を死んだことにしていったん身を隠したケンジは、恋次郎と協力して、マッセリア率いる多国籍マフィア連合を壊滅させることを決意。まずは、台湾マフィア「白蓮(びゃくれん)会」の張張胡(チャンチャンコ)、在日イランマフィアのジャマル・ハメットを殺害し、在日香港マフィアの秘密カジノの爆破に成功する。しかしケンジは、目的のためなら無関係の人間まで巻き込むことも辞さない恋次郎のやり方に、次第に疑問を持つようになっていく。一方その頃、マッセリアは自らのファミリーの人間を殺され、入院している病院まで刺客に狙われたことで、精神的に追い詰められていた。しかしマッセリアは、一連の事件に「関西鬼御影組」が絡んでいることに気づき、鬼御影組のある神戸へ出向く。そこで総長の桑山雄一に、自分たちの傘下に入るように命ずる。時を同じくして、ケンジは栄吾がマッセリアの刺客に狙われていることを知り、すぐさま助けに向かう。しかし、その刺客からは鬼御影組がマッセリアの傘下となり、いずれ恋次郎もケンジの命を狙うようになると告げられるのだった。
第10巻
島田恋次郎は、総長の桑山雄一から麻原栄吾を殺すように命じられるが、多国籍マフィア連合と「長谷辰組」の抗争につながらないようにするためにも、栄吾を呼び出して堅気に戻るように頼む。しかし栄吾はこれに応じず、結局抗争が始まってしまう。これを予期していた波戸ケンジとハロルド・坂田は、恋次郎と戦うことになる。恋次郎は雄一から、もしケンジを殺せば、栄吾には手を出さないと言われていたのである。ケンジは、雄一から騙されていると恋次郎を説得しようとするが、恋次郎は信じようとしない。しかしケンジの読みどおり、雄一は恋次郎もろともケンジを殺そうと計画していたのだ。やっと裏切られたことを理解した恋次郎は、雄一を殺害して、その死は全傘下団体に知れ渡る。そんな中、ケンジとハロルドは、次は自分たちから多国籍マフィア連合を攻撃するべく「関西鬼御影組」のある神戸へ向かう。だがその途中、雄一の葬式で爆破事件が発生。関西鬼御影組は、これを集英会とケンジの仕業だと誤解し、激しい怒りを燃やしていた。一方その頃、ケンジたちはこの事件を知らないまま、恋次郎と親しいヤクザの蛭田のもとへ向かうが、蛭田はケンジたちを信用しておらず、さらに蛭田もまた、恋次郎に味方したとして関西鬼御影組から命を狙われていた。
第11巻
波戸ケンジとハロルド・坂田は「関西鬼御影組」から蛭田を守ったことで、彼の信頼を得る。しかしその直後、入院中の毒丸源三郎が、何者かに殺害されたという報せが入る。これは源三郎の息子の草薙秀が、マッセリア・ガンビーノたち多国籍マフィア連合と組んで行ったことだった。怒りに震えるケンジは、単身首謀者の一人である関西鬼御影組の志熊の家へ向かい、マッセリアと秀の居場所を聞き出す。しかし、その帰りの森で秀の手下であるジャンが仕掛けた罠にハマり、不利な状況で戦うことになってしまう。それでもジャンを倒したケンジだったが、次に秀が現れて窮地に立たされる。しかし秀はケンジにとどめを刺さず、3日後に集英会を襲い、麻原栄吾を殺すと宣言して去っていくのだった。その後、ケンジは偶然通りがかった車に助けを求めて下山するが、目を覚ますとクレーンにつるされていた。ところがそこへ秀が現れ、ケンジを殺すのは自分だと言い放ち、ケンジを開放する。秀の目的は、多国籍マフィア連合のファミリーになることではなく、栄吾やケンジをはじめとした源三郎の大切な人々を自分の手で殺すことだったのである。
第12巻
草薙秀が宣言した集英会襲撃当日になったが、波戸ケンジはマッセリア・ガンビーノから拷問を受けて腕を折られ、集英会へ向かえずにいた。それでも脱出しようとするが、マッセリアの手下の一人であるカーリー・オブライエンが立ちはだかる。一方その頃、麻原栄吾たちは、秀とその手下たちと戦っていた。しかし秀たちは手強く、栄吾と親しい構成員だけでなく、島田恋次郎までが倒されてしまう。ハロルド・坂田と栄吾は安全な場所で待機していたが、すぐにそこに秀が現れる。ハロルドは気絶させられ、栄吾と秀の一騎打ちが始まる。しかし秀の強さは圧倒的で、栄吾はすぐに窮地に追い込まれてしまう。だがそこに蛭田、無理やり止血した恋次郎、意識を取り戻したハロルド、そしてケンジが助けに入る。これでケンジたちが優勢になるものの、蛭田があっさり殺され、さらに屋敷に仕掛けられていた爆弾が炸裂。恋次郎が倒れた柱を支えたことでケンジたちは助かるが、劣勢と判断した秀は、恋次郎を殺してその場を逃げ出すのだった。一方、マッセリアは自分の命令を聞かない秀を危険視し、BJに殺させようとしていた。
第13巻
BJは草薙秀の殺害に失敗し、秀はマッセリア・ガンビーノがヘロインの取り引きをしている家に向かっていた。しかし、この取り引きはFBIのおとり捜査で、FBIは取り引きの現場を撮影することで証拠をつかみ、マッセリアを捕えようとしていたのだ。だが、ここに秀と近くで様子をうかがっていた波戸ケンジとハロルド・坂田が現れたことで、捜査は失敗。マッセリアと秀はこの場を逃げ出すことに成功し、ケンジだけがFBIに捕まってしまう。ところが、ケンジが護送車に乗っていると、そこに秀が現れる。ここで決着をつけるほかないと考えたケンジは、直前に助けたFBI捜査官と、同じく護送車を追っていた麻原栄吾たちに助けられ、秀との一騎打ちを始める。ここでいきなり深手を負わされたケンジは、5分以内に勝負をつけないと失血死する状態に陥るが、秀はなぜかケンジにとどめを刺すことはなかった。秀は、毒丸源三郎にゆがんだ愛情を抱くあまり、源三郎の幻を見るようになっていたのだ。このスキをついたケンジはついに秀に勝利し、ハワイに逃亡したマッセリアを追うのだった。対するマッセリアは、どこまでも自分を追いかけてくるケンジに強い恐怖を感じるようになっていた。そんなマッセリアは、劉羅漢という殺し屋の男を紹介される。
第14巻
ハワイに到着した波戸ケンジとハロルド・坂田は、そこで知り合ったユキという女性から、劉羅漢の存在と、彼がハワイで犯罪行為を繰り返していることを知る。劉はハワイの暗黒街のボスであるジャック・ニルソンのボディーガードで、人を殺すために生まれてきたような男だった。そんな劉にユキの姉がさらわれたことを知ったケンジたちは救出に向かうが、ようやく見つけたユキの姉はケンジたちの目の前で殺され、さらに劉との戦闘途中にマッセリア・ガンビーノが現れ、ケンジたちは捕われてしまう。ここでマッセリアと二人きりになったケンジは、ついに決着をつける機会を得て、あと少しのところまで追い詰めるものの、マッセリアの仲間が到着したことで、ケンジは再び劉と戦うことになる。ケンジは劉の、自らをマインドコントロールして超人的な力を発揮する戦法に苦戦するが、激闘の中で劉の苦しみを知る。ケンジは人殺しをすることでしか生きられずにいた劉を、自らが殺すことで開放するのだった。
第15巻
マッセリア・ガンビーノは、波戸ケンジに劉羅漢を殺され、自らの視力も奪われたことで、ますますケンジを恐れるようになっていた。そんなマッセリアに、仲間たちは清宮蘭丸を紹介する。一方その頃ケンジたちは、素性を隠してハワイで働きながら、マッセリアを捜していた。そんな中、とある日本人男性と出会ったケンジは、彼がすご腕の殺し屋であり、自分を狙っていることを知る。そのすご腕の殺し屋こそが、蘭丸であることを知らぬまま、自分よりも強いかもしれない彼を警戒する。その直後、ケンジとハロルド・坂田は、富豪の子供を事故から救ったことで感謝され、その家のパーティに招かれる。しかし偶然にもそのパーティには、マッセリアが招待されていた。今度こそマッセリアを殺すチャンスだと考えるケンジだったが、そこにモモコとエミリーが現れる。二人の前でマッセリアを殺すことはできないと判断したケンジは、その場を去るのだった。これを目撃したモモコは強いショックを受けるが、その晩、衝撃の事実を知る。それは、モモコの本当の父親はケンジではなくマッセリアであり、マッセリアはこれを利用してエミリーとモモコをハワイに呼び寄せ、自分の盾にしようとしていたことだった。
第16巻
波戸ケンジは交通事故に遭って重傷を負いながらも、エミリーとモモコを助けるために、マッセリア・ガンビーノの滞在先へ向かう。しかし、ようやく再会したモモコは、別人のようになっていた。モモコはマッセリアによって極度の恐怖心を植え付けられ、その結果、人形のようになってしまったのである。これをケンジのせいだと誤解したエミリーはケンジを罵倒し、一方のマッセリアは、自分こそがモモコの真の父親であると告白する。これにショックを受けたケンジは気を失い、謎の屋敷へ連れていかれる。そこに先日すれ違った清宮蘭丸が現れ、ケンジは殺されそうになるが、ケンジがこの屋敷に連れてこられたことを知っていた警察によって救助される。その後ケンジは蘭丸を殺すが、その途中で崖から落ち、生死不明となる。一方その頃、エミリーはモモコがマッセリアに怯えていたことから、マッセリアは信用できないと判断し、逃げ出そうとしていた。しかしマッセリアに捕まり、エミリーといっしょに船に乗せられてしまう。
第17巻
シャーマンに助けられて命拾いした波戸ケンジは、「ドン・リー・バーバリアーノファミリー」の一員であり、エミリーに思いを寄せる、出所したばかりのサム・ウルフ・ガルシアと協力関係を結ぶ。こうして二人は、エミリーとモモコが連れ去られたマッセリア・ガンビーノの「地獄城」に潜入するが、そこは名前どおりの危険な場所だった。ケンジは、マッセリアの書斎に侵入して裏帳簿を発見するものの、これがきっかけで城の自爆装置が作動してしまう。こうしてケンジたちは爆発までの5分以内に城を脱出しなくてはならなくなるが、エミリーとサムとは合流できたものの、モモコを見つけられずにいた。モモコの居場所はマッセリアしか知らず、マッセリアを殺してはモモコを助け出すことができない。ケンジは仕方なくモモコを捜すことを優先するが、爆破の時間は刻一刻とせまっていた。
登場人物・キャラクター
波戸 ケンジ (はど けんじ)
バウンティハンターの男性で、アメリカ在住。保釈金を踏み倒して逃げた犯罪者(ベイル・ジャンパー)を捕まえることを生業にしている。前髪を真上に立てて額を見せ、後ろの髪の毛だけを肩まで伸ばしている。顔の右側に、右目を挟むように入った大きな縦線の傷痕がある。あだ名は「ハード」で、素性を隠して行動するときは「ナナシノゴンベエ」を名乗っている。明るくまじめな性格で、正義感が非常に強い。しかし、やや気弱なところがあり、妻のエミリーと離婚してからは、エミリーに従わざるを得ずに、多額の慰謝料と娘のモモコの養育費を払い続けている。この費用を捻出するため、バウンティハンターとなった。情に厚く、たとえ犯罪者であっても、事情を察すると危険を顧みず味方をしたり、手を差し伸べたりする。射撃は非常に苦手ながら、なぜかお酒を飲むと命中率が急に上がるため、窮地のときはお酒を飲んで危機を乗り越えることがある。これは波戸ケンジ自身にとっても長らくの謎だったが、のちに酔っぱらうことで潜在能力が解放されることが判明する。しかしあまりにも深酒すると、自らをコントロールできなくなってしまう。
モモコ
波戸ケンジとエミリーの娘で、幼い少女。ドン・リー・バーバリアーノの孫でもある。前髪を目の上で切り、肩に付くほどの癖のあるセミロングヘアにしている。明るく心優しい性格で、正義感が非常に強い。ケンジのことを慕っているが、ケンジとエミリーが離婚してからは、月に一回の面会もままならない状態にある。本当の父親はマッセリア・ガンビーノで、エミリーがケンジと交際する前に生まれた子供である。しかしエミリー自身はこのことを知らず、ケンジもまた自分以外の誰かの子供かもしれないという程度の認識しかなかった。ドンがバランキア兄弟に命を狙われたのを機に、たびたび危険な目に遭うようになる。
エミリー
波戸ケンジの元妻で、モモコの母親の若い女性。ニューヨーク最大のマフィア「ドン・リー・バーバリアーノファミリー」のボスを務めるドン・リー・バーバリアーノの娘でもある。前髪を顎の高さまで伸ばして左寄りの位置で分け、顎の高さまで伸ばしたボブヘアにしている。気が強く狡猾な性格で、モモコの実の父親がマッセリア・ガンビーノであることを隠していたり、ケンジに高額の慰謝料とモモコの養育費を要求したりするなど、自分の利益ばかりを考えている。また、マフィア自体にもよい感情を持っておらず、結婚前はマフィアとは無関係で、心優しい性格のケンジに惹かれて交際した。そのため交際を始めてから、ケンジが将来自分と結婚するために、ドン・リー・バーバリアーノファミリーになじもうとしていることを快く思っていなかった。マッセリアが元恋人であることから信頼しており、彼がドン・リー・バーバリアーノファミリーを乗っ取ろうとしているとは思ってもいない。そのため、マッセリアを敵視するケンジとの関係は、さらに悪化していく。
ハロルド・坂田 (はろるど・さかた)
ニューヨーク市警の殺人課に所属する日本人の男性。前髪を長く伸ばして額を全開にし、胸の高さまであるストレートロングヘアを、首の辺りで一つに結んでいる。つねにサングラスを掛けている。一見強面だがまじめで心優しい性格で、ニューヨークを少しでも住みやすい街にしようとしている。また、自分が活躍することで、アメリカで差別されがちな日本人たちの立場を少しでもよくしようとも考えている。しかし、そのために署内外には敵が多く、命を狙われることもある。エミリーとモモコと親しく、エミリーに思いを寄せている。そんなある日、何者かに殺されかけたところを、偶然通りがかった波戸ケンジに助けられたことで親しくなった。しかしケンジがエミリーの元夫で、ドン・リー・バーバリアーノを殺した凶悪犯だと知り、なんとしてもケンジを捕まえようとしている。しかし、誤解が解けてからはケンジの仲間となり、麻薬「ヘルス・バード」の存在を知ってからはいっしょに日本に旅立ち、つねに行動を共にするようになる。明るいムードメーカー的な存在で周囲を和ませているが、下品な冗談を言うことが多い。
マッセリア・ガンビーノ
ニューヨーク最大のマフィア「ドン・リー・バーバリアーノファミリー」の一員の男性。エミリーの元交際相手で、モモコの実の父親でもある。あだ名は「マッセ」。坊主に近い短髪で、口ひげとあごひげを生やしている。大柄で太めな体型の持ち主。波戸ケンジに大ケガを負わされてからは、顔の右半分を覆う大きな傷痕ができ、右目が見えなくなった。狡猾で利己な性格で、特に日本人をはじめとする東洋人には強い差別意識を抱いている。そのため、ケンジのことを激しく嫌っているが、40年来の付き合いであるミレイユからは、苦手なものに対して必要以上に攻撃的になる性質を厳しく指摘されている。ある日、ボスのドン・リー・バーバリアーノが、ケンジを後釜に据えようとしていることを知り、まずはドンの息子であるルーク(義兄)の味方のふりをして、彼が後継者になるように画策する。ルーク(義兄)が用済みとなってからはルーク(義兄)を殺し、ドンも殺害して「ドン・リー・バーバリアーノファミリー」を「マッセリア・ファミリー」と名を変えて乗っ取った。また、この時にドン殺しの濡れ衣をケンジに着せたことで、ケンジに狙われるようになる。ケンジと何度も戦ううちに、マッセリア・ガンビーノの方が圧倒的に有利であるにもかかわらず、決してあきらめることなく挑んでくるケンジに、強い恐怖心を抱くようになる。
タイロン
ニューヨークで暮らす黒人の男性。癖のある短髪で、口ひげを生やしている。デトロイト出身地で、子供の頃から自動車工場で働いていた。そのため、自動車の解体や組み立て、修理の高い技術を持つが、日本製の自動車の台頭によって仕事がなくなり、ニューヨークに引っ越した。その後はマフィアのマッセリア一家の幹部となり「チョップ・ショップ」という、複数の高級車を盗んでは解体して、別々のパーツを組み立て直して一台を作る違法な仕事を請け負っている。ある日、捕まって保釈されるものの、犯罪者(ベイル・ジャンパー)となる。波戸ケンジに捕えられるが、生かしておくのは危険と判断したマッセリア・ガンビーノにより、ケンジと共に命を狙われるようになる。母親からは2年前に勘当されているが、現在でも家族を案じている。
アーニー・カニンダム
マンハッタンで強姦罪と殺人罪に問われている男性。前髪を眉の上で切り、癖のある短髪にしている。眼鏡を掛け、額の真ん中に大きなほくろが一つある。実家はユタ州の実業家で、非常に裕福な家庭で育った。しかし、父親には内気な性格が受け入れてもらえず、無理やり強い男であるべきと育てられ、家庭内暴力も受けていた。そのため、小中学生の頃から精神的に不安定になり、覗きをはじめとした性犯罪を繰り返すようになる。それを父親に知られると、また暴力を受けるという悪循環に陥っていた。そんな中、使用人の日本人女性であるタエコが心の支えとなっていたが、ある日、タエコが父親の愛人であることを知り、日本人女性を強く憎むようになる。以来、その憎しみを晴らすようにさらに性犯罪に手を染め、高校生の頃には性器露出、大学生になった頃には強姦を行うようになる。その後、日本人女性だけを狙った連続強姦殺人事件を起こし、逮捕された。だが、保釈金を踏み倒して犯罪者(ベイル・ジャンパー)となり、波戸ケンジに追われる身となる。
フレディ
アメリカに住む若い黒人の男性。前髪を上げて額を全開にした癖のある短髪にしている。顔の左半分に大やけどを負っており、皮膚がケロイド状になっている。その容姿のために周囲から怖がられていたが、ある日、娼婦のミリアンと出会ってその優しさに救われる。そして目の不自由な彼女に手術を受けさせるため、麻薬の仲介人から10万ドルを盗み、波戸ケンジと仲介人から追われる身となる。
ルーク(義兄)
ニューヨーク最大のマフィア「ドン・リー・バーバリアーノファミリー」の一員の男性。波戸ケンジの義兄で、ドン・リー・バーバリアーノの長男であり、エミリーの兄。前髪を上げて額を全開にした短髪で、右目の真下に大きなほくろが一つある。肩幅が広く、非常にがっしりとした体型をしている。口よりも先に手が出るタイプで、白人以外の人種には差別的な態度で接する。特に黄色人種を嫌っており、ケンジとエミリーが離婚してからはケンジをファミリーの一員だと思っていない。しかし、この攻撃的な人柄は組織内にも知れ渡っており、ファミリー内では人望がまったくない。ケンジの方がドンに評価されていることで、ますますケンジに冷たく当たっている。そんなある日、姪であるモモコが乗ったスクールバスがバランキア兄弟によって乗っ取られる。そこでドンに認めてもらうため、ルーク(義兄)はケンジの力を借りずに一人で助けに向かう。やがて、この何をしてでもドンに認められたいという気持ちを、マッセリア・ガンビーノに利用されてしまう。
ドン・リー・バーバリアーノ
ニューヨーク最大のマフィア「ドン・リー・バーバリアーノファミリー」のボスを務める高齢の男性。波戸ケンジの義理の父親。エミリーとルーク(義兄)の父親で、モモコの祖父。額を全開にした撫で付け髪にしている。歴代のボスの中で最も優しく、最も恐ろしい人物として知られており、ドン・リー・バーバリアーノファミリーに献身的に尽くす生涯を送っている。そのため、つねに心が休まらず、安息の日はない状態にある。かつては日本人に偏見を抱いており、エミリーからケンジを紹介された時も、冷たく当たっていた。しかし、ある日ケンジが、エミリーへの思いを証明するため、ルーク(義兄)の命令で切腹しようとした時にケンジの強い思いを認め、以来実の親子同然の関係になった。そのため、実の息子であるルーク(義兄)よりもケンジを高く評価し、自分の後継者にはケンジを据えたいと考えていた。しかし、これがほかのファミリーの怒りを買って、命を狙われるようになってしまう。趣味は絵を描くこと。
ミレイユ
独自の治療と教育で犯罪者たちを更生させる施設「51」の責任者を務める中年男性。前髪を上げて額を全開にした撫で付け髪で、額から左目の下にかけて斜めに入った一本の大きな傷痕がある。下品で暴力的な性格で、広島弁に似た口調で話す。マッセリア・ガンビーノとは40年来の付き合いで、ミレイユ自身は親友だと思っている。しかし、実際はマッセリアには友人とも思われておらず、利用されているだけの関係にある。そのため、マッセリアの頼みで「51」に連れてこられた波戸ケンジにつらい責め苦を与える。
ルーク(少年)
マッセリア・ガンビーノのドラッグランナー(使い走り)をしているホームレスの少年で、年齢は15歳。前髪を短く切った短髪にしている。イタリア系で、母親がコカイン中毒のコカインベイビー。そのため、コカインなしでは生きていけない体になっており、マッセリアに服従してコカインを分けてもらっている。
姫次 (ひめじ)
関東の「関東集英組」に所属しているヤクザの若い男性。前髪を上げたスポーツ刈りにしている。上半身全体に花や仏などの刺青を入れている。波戸ケンジとの戦いで左腕を失って、隻腕となる。しかし機械の義手を付けたことで、日本刀とともに強力の武器として戦っている。病気で苦しむ母親を自らの手で殺してから、強い自殺願望を持っている。しかし、並はずれた生命力により、三回の自殺はすべて失敗に終わり、自死できない苦しみを抱えている。その後、日本で15人を殺害し、アメリカに逃亡してマッセリア・ガンビーノに雇われ、ケンジの命を狙うようになる。
毒丸 源三郎 (どくまる げんざぶろう)
関東の「長谷辰(はせたつ)」組の組長を務める年老いたヤクザの男性。のちに、関東最大の暴力団「集英会」の総長が亡くなったことで、次期総長に選ばれる。また素性を隠して、重火器の密売や裏世界の情報屋などの「何でも屋」としても活動しており、通称は「ゲン」。草薙秀の父親でもある。ボブヘアで頭頂部が禿げ上がっており、小柄な体型で口ひげを生やしている。ふだんは明るく陽気に振る舞っているが、怒ると見境がなくなる。義理人情を重んじる古典的なヤクザを体現しており、自らが集英会の総長になることで関東をまとめ上げ、無駄な血が流れないように尽力している。また非常に仲間思いで、屋敷には抗争で死んだ仲間の位牌を供養する部屋を設けている。ある日、マッセリア・ガンビーノが結成した多国籍マフィア連合で作られている麻薬「ヘルス・バード」を、日本で「死の丸(デッド・ラウンド)」と名前を変えて流通させるという情報を得る。これを止めるため、アメリカからやってきた波戸ケンジとハロルド・坂田に協力を要請。いっしょに共闘するうちに、ケンジとは親子のような関係を築くようになる。
麻原 栄吾 (あさはら えいご)
関東の「長谷辰(はせたつ)」組の若頭を務める若いヤクザの男性。坊主頭で非常に背が高く、がっしりとした体型をしている。左目の下に、斜めに入った一本線の傷痕がある。二つ名は「人斬り栄吾」。義理人情を重んじるまじめな性格で、部下からの信頼も厚い。また、毒丸源三郎の片腕として知られており、源三郎を慕っているために彼の意向にはすべて従う。ある日、マッセリア・ガンビーノが結成した多国籍マフィア連合で作られている麻薬「ヘルス・バード」を、日本で「死の丸(デッド・ラウンド)」と名前を変えて流通させるという情報を得る。これを止めるため、アメリカからやってきた波戸ケンジとハロルド・坂田に協力を要請し、協力しなければ切腹をすると自らの命を懸ける。これによってケンジたちといっしょに行動するようになり、信頼関係を築くようになる。父親もヤクザだったが極貧で、麻原栄吾が子供の頃に逮捕されてしまう。そのため母親に育てられるが、苦労がたたって体を壊してしまう。その事態を知った源三郎に資金援助されたことで、実の父親以上に源三郎に恩を感じており、大切に思っている。
島田 恋次郎 (しまだ こいじろう)
関西の「関西鬼御影組」の若頭補佐を務めるヤクザの男性で、二つ名は「狂犬」。前髪を長く伸ばし、癖のある髪をボブヘアにしている。つねにサングラスを掛け、関西弁で話す。歯に衣着せぬ物言いをする気の強い性格で、組織をよくしようと思うあまり周囲と対立しがちで、目的のためには手段を選ばない過激な言動が多い。しかし、根はまじめで仲間思いであるため、大切な人を裏切ってまで得をしようとは考えていない。麻原栄吾とは5年前に敵対勢力として殺し合うが、この時に栄吾の人柄に触れ、慕うようになる。そして盃を交わした兄弟分の間柄となった。以来、栄吾が困っているときは必ず駆けつけ、ある日、栄吾の頼みで波戸ケンジを助け、ケンジを一度死んだことにして彼の身を隠す手伝いをした。それからケンジと協力して、マッセリア・ガンビーノ率いる多国籍マフィア連合を壊滅するために行動を起こす。また、これを機にケンジと信頼関係を築き、友人となる。関西鬼御影組の直系「蛭田組」の蛭田からは非常に慕われている。関西鬼御影組総長の桑山雄一の卑怯な人間性を理解しつつも慕っており、雄一を日本一の親分にすることを最大の目的としている。
蛭田 (ひるた)
関西の「関西鬼御影組」の直系「蛭田組」の組長を務めるヤクザの男性。前髪を上げて額を全開にしたリーゼントヘアにし、関西弁で話す。島田恋次郎に対して強い恩義を感じており、恋次郎の意向にはほかの仲間に背いてでも従うが、一方で思い込みが激しく、独断で行動してしまうところがある。ある日、恋次郎の頼みで、神戸にやってきた波戸ケンジとハロルド・坂田の面倒を見ることになる。直前に行われた関西鬼御影組総長の桑山雄一の葬式での爆破事件を、ケンジの犯行であると誤解し、ケンジを殺そうとするが失敗に終わる。その後、雄一を殺した真犯人である恋次郎についたことで命を狙われるようになるが、ここでケンジに助けられたことから心を開く。以来ケンジを信頼し、仲間として共に行動するようになる。
草薙 秀 (くさなぎ しゅう)
傭兵の男性。毒丸源三郎の息子だが、源三郎と愛妾のあいだに生まれた子供であるため、周囲には認知されていない。前髪を上げた撫で付け髪で、非常に背が高くがっしりとした体型をしている。あまりにも敵を残虐に殺害することから「クレイジー・シュウ」の異名を持つ。冷酷無比な性格で、自分こそが裏世界の頂点に立つにふさわしいと考えている。そのため、子供の頃は源三郎の跡を継ぐものだと思って生きてきたが、息子をヤクザにしたくないという源三郎の意向により、距離を置かれ続けてきた。そのため、源三郎にゆがんだ愛情を抱いており、源三郎が目をかけた人たちのことを憎悪している。
劉 羅漢 (りゅう らかん)
殺し屋の男性で、ハワイの暗黒街のボスであるジャック・ニルソンのボディーガードを兼任している。前髪を長く伸ばし、ストレートセミロングヘアにしている。子供の頃から暗殺者になるための洗脳教育や殺人術の英才教育を施されたエリートで、どれだけ残虐な行為を見ても何も感じないほどの冷徹な心を持つ。また、自らの意思で自身をマインドコントロールすることで、超人的な戦闘能力を発揮する。そのため、人を殺すために生まれてきたキラーマシンのようだと評されている。人殺しをするために自らが存在すると考えており、この境地から解放されるには、誰かに殺されるしかないと思っている。ある日、マッセリア・ガンビーノに雇われ、波戸ケンジの命を狙うことになる。
清宮 蘭丸 (きよみや らんまる)
マッセリア・ガンビーノに雇われている殺し屋の若い男性。前髪を上げて額を全開にした、坊主頭にしている。中性的な雰囲気を漂わせており、ハロルド・坂田にはオカマのようだと評されている。いつも和服姿で、日本刀を武器にしている。アメリカのハワイに滞在中の波戸ケンジの命を狙うことになる。
サム・ウルフ・ガルシア
「ドン・リー・バーバリアーノファミリー」の一員の若い男性。前髪を上げて額を全開にした撫で付け髪で、口ひげを生やしている。エミリーに思いを寄せているために、波戸ケンジのことは一方的に嫌悪していた。殺人罪で起訴されて刑務所に入れられるが、出所するなりすぐにエミリーの行方を追い、マッセリア・ガンビーノに捕えられていることを知る。そこで助けに行こうとしたところでケンジと再会し、彼に協力を求める。一度は断られるものの、最終的にはいっしょにエミリーとモモコが捕えられた「地獄城」へと向かう。