SEVEN☆STAR MEN SOUL

SEVEN☆STAR MEN SOUL

柳内大樹の「セブン☆スター」シリーズ第2部にあたる作品。イギリスの地方都市エディーンを舞台にギャング同士の抗争を描いた作品で、前作でも重要人物として名前が挙がっていた美船敏郎を主人公としている。ただし、美船以外は前作とのつながりがほとんどないため、前作の内容を知らなくても楽しめる作品になっている。講談社「週刊ヤングマガジン」2016年33号から2017年17号まで連載。

正式名称
SEVEN☆STAR MEN SOUL
ふりがな
せぶん すたー めんそーる
作者
ジャンル
マフィア・ギャング・ヤクザ
レーベル
ヤンマガKCスペシャル(講談社)
巻数
既刊7巻
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あらすじ

第1巻

イギリスの地方都市エディーンでは、ヘブンズ・フラワーロッテン・ローズトータルシンズという三つのギャング組織のあいだで抗争の絶えない日々が続いていた。そんなエディーンに暮らす日本人・美船敏郎は、日銭を稼ぐために友人のマットバイロンと共に賭けボクシングに明け暮れていた。だが、そんな美船の行動はエディーン南部を仕切るヘブンズ・フラワーのボス・フレディーの耳に入る事となる。フレディーは、部下のカデリに命じて美船達を仲間に引き入れるように指示。しかし美船は、ヘブンズ・フラワーの親衛隊であるデーン・エンジェルズのメンバーをたった一人で叩きのめす。これを気に入ったフレディーは、美船を自身のボディガード兼デーン・エンジェルズのリーダーに任命する。不本意ながらギャングとして生きる事となった美船は、フレディーの指示を受け、敵対するロッテン・ローズが行う取引を潰すために出動する。

第2巻

ロッテン・ローズの取引現場を潰すように指示を受けた美船敏郎は、仲間のマットバイロン達と共にその現場へとやって来る。だがそこにいたのは、ロッテン・ローズのNo.3であるフィストだった。「フィスト(拳)」の名の通り、これまでに素手で100戦無敗という実力を持つフィストを前にしても、手柄をあげたいマットは銃を手に脅しにかかる。見かねた美船はフィストとマットのあいだに割って入り、一発でフィストをK.O.してその場を脱出する。この一件以来、美船の名前は一気にエディーンの街に知れ渡る事となった。だがこのままでは終われないフィストは、部下のパバースに命じて美船の行方を探し出すのだった。

第3巻

リベンジに燃えるフィストは、美船敏郎を海岸へ呼び出し、勝負を挑む。しかし、結果はまたしても美船の勝利に終わるのだった。その後もフィストは何度も美船の前に現れては勝負を挑み、敗北を重ねていく。そのうちにフィストは美船の男気に惹かれていき、ヘブンズ・フラワーのボスであるフレディーに頼み込んで美船と義兄弟になる。そしてフィストは、自身の部下パバースを美船につけ、行動を共にさせるのだった。そんな中、美船はフレディーから、エディーンで営まれている売春宿をデーン・エンジェルズを率いて潰すように命じられる。調査により美船は売春宿を突き止めるが、そこで銃を持った男達と遭遇。銃撃戦の末、デーン・エンジェルズは美船とパバースを残して全滅してしまう。辛うじてその場を脱出した美船は、その売春宿で新種のドラッグ「レインボーグラス」を見つける。このドラッグを売っているのがリトル香港のメンバーだという事を知ったフレディーは、カデリにドラッグの販売元を断つように指示する。

第4巻

カデリは、美船敏郎パバース、そしてストレイ・ドッグを連れ、リトル香港のアジトに乗り込む。そこでリトル香港の長老と会ったカデリ達は、彼からヘブンズ・フラワーを潰すために新種のドラッグを販売している事を聞かされ、リトル香港のメンバーに包囲されてしまう。リトル香港のバックにギャング・トータルシンズが絡んでいる事を知ったカデリは、美船達を連れて脱出するが、その際にストレイ・ドッグが命を落としてしまう。死亡したストレイ・ドッグに代わりヘブンズ・フラワーの幹部になった美船は、フレディーから就任後の初仕事として、ヘブンズ・フラワーの中にいる裏切り者を見つけ出すよう指示を受ける。美船はパバースと相談し、幹部のブルースレガシーをそれぞれ尾行する事にする。そんな中、レガシーを追っていたパバースは、彼がロッテン・ローズのNo.2であるキャロルと会っている現場に遭遇する。

第5巻

パバースは、幹部のレガシーが裏切り者である事実を突き止めるが、ロッテン・ローズキャロルに銃撃され瀕死の重傷を負う事となった。それでもパバースは、その事実を美船敏郎フレディーに伝えたうえで、レガシーを道連れに命を落とす。一方でキャロルは、実はトータルシンズのボス「ジェームス」であるという素性をも隠していた。キャロルはその正体を隠したまま美船に接触し、美船はジャーナリストであるという彼の言葉を信じ、関係を深めていく。そんなある日、フレディーの弟であるショッパーが出所して来た。怒ると何をしでかすかわからない危険な人物という事で、ヘブンズ・フラワーのメンバー達が戦々恐々とする中、ショッパーは街を歩いていたキャロルを発見しいきなり襲いかかる。

登場人物・キャラクター

美船 敏郎 (みふね としろう)

イギリスのエディーンで暮らす日本人男性。かつて築地で暮らしていたが、日本でヤクザ組織を壊滅させた事から報復を恐れた家族の提案でエディーンへとやって来た。生まれてから一度もケンカで負けた事がなく、その実力はヘブンズ・フラワーの親衛隊であるデーン・エンジェルズの精鋭七人を、一人で秒殺してしまうほどに強い。 ヘブンズ・フラワーのスカウトマン・カデリの目に留り、メンバーとなる。迷った時には自分の衝動に従って行動する事を決めており、その結果事態を悪化させてしまう事も多い。しかし、ケンカの実力だけでなく人を惹きつける魅力にもあふれ、男女を問わず多くの人達から慕われている。ヘブンズ・フラワーの「本名を名乗らない」というしきたりに従い、加入後は「サムライ」という名前で呼ばれている。

マット

美船敏郎の仲間の女性。見た目は男性の姿をしており、美船やバイロンと共に賭けボクシングで荒稼ぎをしていた。その後、美船やバイロンと共にヘブンズ・フラワーのメンバーとしてカデリにスカウトされる。メンバーの中では特に血の気が多い性格の持ち主で、ヘブンズ・フラワーの中で手柄をあげてのし上がっていく事を考えている。 顔に傷がある事から、ヘブンズ・フラワーでは「スカーフェイス」という名前を与えられている。

フレディー

ヘブンズ・フラワーのボスの座にある男性。自分の生まれ育った街エディーンを、誰よりも愛している。かつてジェイソンと共にロッテン・ローズを立ち上げ、エディーンの裏社会統一に成功したが、とある事件がきっかけでジェイソンと別れ、ヘブンズ・フラワーを結成した。多少強引なところがあり、気に入った人物は男女を問わず仲間に引き入れようとする反面、自分に逆らう相手には容赦をしない。 自分が選んだ仲間に対しては強い仲間意識を持っており、メンバーの死には涙を流して悲しむ繊細な一面も持ち合わせている。また、頭に血がのぼりやすいところがあり、つねに精神安定剤が手放せない。

カデリ

ヘブンズ・フラワーでNo.2の地位にある男性。主にフレディーの指示を受けてめぼしい人物を仲間に引き入れる事を仕事としており、「スカウトマン」と呼ばれている。カデリのスカウトを断るという事はそのまま死を意味するため、事実上、彼に従うしかない事から周囲に恐れられている。エディーンの街を作り上げた海賊の末裔であり、エディーン最強の呼び声も高く、フレディーが最も信頼する存在でもある。

ストレイ・ドッグ (すとれいどっぐ)

ヘブンズ・フラワーのメンバーの男性。主に殺しを担当しており、ボスであるフレディーの指示で多くの者をその手にかけてきた。本来、殺しは「超えてはならない一線」である事を理解しており、美船敏郎らほかのメンバーには殺しをさせないために、自らが組織の殺し屋を引き受けている。これまでに多くの殺しを行ってきた事で心身共に罪悪感に蝕まれており、その感情が麻痺する前に死にたいという願望を持っていた。 のちにリトル香港のメンバーに銃撃され命を落とす。

バイロン

美船敏郎やマットの友人の男性。美船やマットと共に賭けボクシングの興行を取り仕切っていた。カデリに目をつけられ、美船やマットと共にヘブンズ・フラワーに加入した。痩せ型の体型から「ミスタースリム」の名前を与えられている。道を歩いているだけで交通事故に遭う、車を運転すれば必ず街灯に衝突するなど、自他共に認めるほどに運が悪い。

ボールド

ヘブンズ・フラワーのメンバーの男性。カデリに目をつけられた美船敏郎達が、ヘブンズ・フラワーのアジトへ向かう途中に因縁をつけたが、これをきっかけにカデリにスカウトされ、メンバー入りした。頭を刈り込んでいるため、禿頭を意味する「ボールド」という名を付けられた。美船とは同期加入のため行動を共にする事が多い。 その正体はヘブンズ・フラワーと敵対するトータルシンズのNo.3である「ロバート」で、ヘブンズ・フラワーの内情を探るために入り込んだスパイ。

レガシー

ヘブンズ・フラワーの幹部の男性。どんなものでも大切にしまい込むため、遺産を意味する「レガシー」の名で呼ばれている。実はヘブンズ・フラワーと敵対するロッテン・ローズの内通者であり、ヘブンズ・フラワーの内情を探るために入り込んでいた。

ブルース

ヘブンズ・フラワーの幹部を務める男性。事あるごとにロシアンルーレットで死にたがる事から、悲しい歌を意味する「ブルース」の名で呼ばれている。トラブルが起こるとなんでもロシアンルーレットで解決する習慣があるが、実は並外れた強運の持ち主で、自身の望みとは裏腹に、この事が現在まで死ぬ事なく生き延びて来た理由となっている。

オードリー

ヘブンズ・フラワーのボスを務めるフレディーの恋人の女性。幼い頃の体験がもとで男性恐怖症に陥っており、男性に触れられると問答無用でその相手を殴り飛ばす癖を持っている。また、極端な人間不信により積極的に他人とかかわる事はせず、このため笑顔を作る事も苦手としている。美船敏郎と出会い、彼に惹かれていく自身の気持ちに戸惑うようになる。

フィスト

ロッテン・ローズのNo.3の地位にある男性。これまでに100人以上の相手と素手で戦い、そのすべてに勝利して来たという伝説の持ち主だったが、美船敏郎にパンチ一発でK.O.された。リベンジを果たすために幾度となく美船に挑んでいくうちに彼の男気に触れ、義兄弟となる。かつてはカデリの弟分としてフレディーやジェイソンと共にエディーンの裏社会統一に貢献した一人だった。 フレディーがヘブンズ・フラワーを結成する際、カデリからそちらに入るよう勧められたが、ジェイソンの事を思ってロッテン・ローズに残った経緯がある。

パバース

フィストの弟分の男性。孤児院の育ちであり、その孤児院を物心両面から支えていたフィストに心酔し慕っていた。フィストの指示で美船敏郎の下につき、その後は美船を守るために行動を共にする。フィストに心酔するあまり彼以外の人間からの指示には従わず、ヘブンズ・フラワーのボスであるフレディー達を相手にしても、敬語を使わず無礼な態度を崩す事はない。 のちにレガシーがヘブンズ・フラワーの裏切り者である事実を突き止めるが、その際にロッテン・ローズのキャロルに銃撃され、それがもとで命を落とす。

ショッパー

フレディーの弟。フレディー達がエディーンの裏社会を統一した際の立役者の一人であり、その時に起こした事件により服役していた。短気な性格で、自分が気に入らない相手にはすぐに銃口を向ける危険な人物だが、一方で仲間の事は非常に大切にしており、どんな拷問にかけられても仲間を売るような事は絶対にしない。

ウォズ

ショッパーが刑務所で知り合った男性。つねに機嫌が悪く、体を触られただけでその相手を恫喝するため、同レベルの危険人物であるショッパー以外の相手とは打ち解けていない。美船敏郎にとっては、周囲に敵意をむき出しにしていた、かつての仲間・川谷卓三を思い起こさせる存在。

ジェイソン

ロッテン・ローズのボスの座にある男性。フレディーとは幼なじみであり、かつては行動を共にしていた相棒同士だった。ロッテン・ローズをフレディーと共に結成し、エディーンの裏社会統一に成功したが、その後とある事件がきっかけでフレディーとは袂を分かつ事となった。志は違うものの、エディーンの街を愛する気持ちはフレディーとまったく同じで、抗争中とはいえヘブンズ・フラワーとの戦闘に、一般市民を巻き込まないよう部下達に厳命している。

キャロル

ロッテン・ローズのNo.2の地位にある男性。実際には坊主頭だが金髪のウィッグを身につけている。エディーンの裏社会統一を成し遂げたロッテン・ローズに入り、ボスであるジェイソンとフレディーが袂を分かつきっかけを作ったといわれている人物。その正体はトータルシンズのボスを務める「ジェームズ」で、素性を隠して美船敏郎に接触し、彼を利用しようと暗躍する。

川谷 卓三 (かわたに たくぞう)

かつて日本で美船敏郎の仲間だった男性。つねに周囲に対して敵意をむき出しにしていた事から、ウォズを見た美船に、その存在を思い出させる事となった。前作『セブン☆スター』の主人公。

集団・組織

ヘブンズ・フラワー (へぶんずふらわー)

かつてフレディーがロッテン・ローズから離れた際に、カデリ達と共に結成したギャング組織。主にエディーンの南側を縄張りとしている。その名は「天国の花屋」という意味を持ち、表向きは花屋として商売しているが、ギャングとして用心棒やみかじめ料などの収益もあげている。メンバーは本名を使わないというルールがあり、組織内での通り名はボスのフレディーが思いつきで決める。

ロッテン・ローズ (ろってんろーず)

ジェイソンがフレディーと共に立ち上げたギャング組織。主にエディーンの北側を縄張りとしている。その名は「堕落した薔薇」という意味を持つ。かつてエディーンの裏社会統一を成し遂げたが、とある事件がきっかけとなり、フレディー達は組織を抜ける事となった。

トータルシンズ

ギャング組織で、その名は「絶対的な罪」という意味を持つ。エディーンのギャング組織の中では一番の新興勢力であり、ボスの顔はおろか構成員の正確な人数すら判然としないなど、謎が多い。新種のドラッグ「レインボーグラス」の販売など、エディーンの街における犯罪の多くは、その背後にトータルシンズの存在がある。

リトル香港 (りとるほんこん)

エディーンの一角にある、香港人達の街を仕切るギャング組織。メンバーの顔には竜の入れ墨を入れるというルールがあり、そのメンバーには10代の者も少なくない。トータルシンズと手を組み、ヘブンズ・フラワーを潰すために行動を開始する。

デーン・エンジェルズ (でーんえんじぇるず)

ヘブンズ・フラワー内の親衛隊。フレディーが、エディーンの治安維持を目的に設立した組織で、ヘブンズ・フラワーの中でも比較的年齢層の低いメンバーで構成されている。メンバーは全員揃いの制服と帽子が支給されており、エディーンの街では名の知れたチーム。普段は街のゴミ拾いを中心とした活動をしているが、トラブルの発生時にはフレディーの指示で出動する。

場所

エディーン

イギリスの首都ロンドンのとなりにある州。中世の時代に、周辺の海域を荒らしていた海賊達がそのまま居着いて作った街で、現在の住人達の中にはカデリのように当時の海賊達の子孫だという者も多い。現在はヘブンズ・フラワー、ロッテン・ローズ、トータルシンズといったギャング組織が抗争と対立を繰り返しており、治安がかなり悪化している。

その他キーワード

レインボーグラス

エディーンの街で蔓延しているドラッグ。主にリトル香港を介して販売されており、その背後にいるトータルシンズの手引きで、影響はさらに拡大している。美船敏郎がかつて暮らしていた日本の築地でもこのドラッグが蔓延した事があり、このドラッグを巡る事件が、美船が日本を離れるきっかけとなった。

前作

セブン☆スター (せぶんすたー)

柳内大樹の「セブン☆スター」シリーズ第1部にあたる作品。現代日本の東京・築地を舞台にしている。かつて脱法ハーブの蔓延(まんえん)した築地を、たった七人で守った一夜限りの不良チーム「セブン☆スター」のメ... 関連ページ:セブン☆スター

続編

セブン☆スターJT (せぶんすたーじゃぱにーずとらいばる)

柳内大樹の「セブン☆スター」シリーズ第3部にあたる作品。令和を迎えたばかりの東京・築地を舞台にしている。伝説のヤンキーである川谷卓三や美船敏郎たちが、かつて脱法ハーブの蔓延(まんえん)から築地を救い出... 関連ページ:セブン☆スターJT

書誌情報

SEVEN☆STAR MEN SOUL 7巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉

第1巻

(2016-12-06発行、 978-4063828856)

第2巻

(2017-05-02発行、 978-4063829648)

第3巻

(2017-10-06発行、 978-4065102527)

第4巻

(2018-04-06発行、 978-4065111710)

第5巻

(2018-09-06発行、 978-4065128879)

第6巻

(2019-02-06発行、 978-4065145609)

第7巻

(2019-06-06発行、 978-4065157480)

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