概要・あらすじ
極道の家に育ちながらも「普通の女の子」を夢見る如月真希は、ある日祖父の如月寅蔵が怪我をして入院したことで、如月組組長代理を任される。しかし真希は「普通に生きたい」という思いが強く、極道や如月組を毛嫌いしていた。彼女の夢は、想いを寄せる自分と似た境遇の深間竜也と一緒に、平凡で幸せな家庭を築くこと。
だが、寅蔵が入院したと同時に、竜也が所属する暴走族チーム「ヘヴンズ・シュトゥルム」で、規律で禁止されているドラッグが出回っていることが発覚する。チームの一員として事態を収拾するために極道の世界に足を踏み入れてしまう竜也を、真希は遠く感じていくのだった。
登場人物・キャラクター
如月 真希 (きさらぎ まき)
「普通の生活」に憧れる如月一族の孫娘で高校3年生。極道の世界に身を置いている祖父と父親、それから極道の面倒を見ている母親を知るだけに、自分だけは極道の世界に入りたくないと思っている。深間竜也に想いを寄せているが、元々彼が極道とわかる前から好きで、極道だと知った今でもその想いは変わらない。将来の夢は「普通のお嫁さん」。 血を見ると、人格が変わりブラック真希になってしまう。
ブラック真希 (ぶらっくまき)
如月真希の人格が変わった姿。暴力的だが、仁義に反することはしない、根っからの極道者。実はこちらの姿が本来の真希の姿で、普段の真希は彼女が「普通」に憧れたために現れた人格である。そのため、昔から真希を知っている花房などがブラック真希を見ても、「ちょっと怒りっぽい真希」程度の認識となっている。
深間 竜也 (ふかま たつや)
黒深会会長、深間鷹男の息子。如月真希と同じ高校3年生。清廉潔白を絵に書いたようなガリ勉風を装っているが、本性を現すと凶悪な面構えになる。暴走族チーム「ヘヴンズ・シュトゥルム」を創設メンバーから引き継いだため、チームには人一倍思い入れがある。極道の世界に進みたくない気持ちはあるが、根っからの極道気質のため、いつかは家業である黒深会を継がなければと覚悟を決めている。 橘嵐とは中学時代からの親友。
モカ
如月真希の小学生時代からの親友の少女で、真希と同じ高校3年生。「朋香」が本名だが、その名前で呼ばれることは滅多にない。極道の世界に人一倍通じていて、真希や深間竜也の事情にも詳しい。
橘 嵐 (たちばな あらし)
暴走族チーム「ヘヴンズ・シュトゥルム」の頭(ヘッド)を務める少年で、如月真希と同じ高校3年生。身長が高く、威圧的な眼差しで、周囲には深間竜也をパシリに使っていると思われている。実際は竜也とは親友同士で、「ヘヴンズ・シュトゥルム」のことについてよく学内で話し合っている。竜也の行動力と喧嘩の強さには一目置いている。
如月 寅蔵 (きさらぎ とらぞう)
如月組の現組長で、如月真希の祖父。真希には常々ブラック真希と融合し、本当の真希を取り戻すように言い含めているが、極道を遠ざけたい真希にはきちんと伝わっていない。喧嘩はめっぽう強く、その鋼のような肉体は拳銃の弾もはね返すと噂されている。
如月 虎次郎 (きさらぎ こじろう)
如月真希の父親。ずっと家を留守にしているが、それは藤白京二と彼の背後関係を探っていたため。昔、西のヤクザ組である「白富士会」をたった一人で壊滅させ、それがもとで一度逮捕されている。普段は温厚でのほほんとした人柄だが、組へのカチコミの際には、父親である如月寅蔵と同レベルの戦闘力を発揮する。
藤白 京二 (ふじしろ きょうじ)
新生白富士会の元締めの男性。三剣さやかの兄。ブラック真希を気に入り、配下にするためにさまざまな策略を巡らせる。西のヤクザ組「白富士会」の元締めの息子で、父親が東の地から手を引いたことを理解できずにいる。理想郷の建造を目指す一人。
早川 (はやかわ)
藤白京二の配下の一人で、新生白富士会の幹部の男性。月島にドラッグの売買を任せていた。理想郷と金子正一郎との繋がりを示唆する内容が記されたMOがブラック真希の手に渡ったことへのケジメとして、指を詰めて京二に渡した。西のヤクザ組「白富士会」に所属していた頃から京二とは付き合いがある。
三剣 さやか (みつるぎ さやか)
藤白京二の妹で、カタギの女性。しかし、本人はヤクザ世界の人間であると豪語し、兄には成し遂げられないことをしてみせると息巻いている。月島から理想郷と金子正一郎の繋がりを示唆する内容のMOを奪い、ブラック真希に渡した。
若杉 (わかすぎ)
若杉組の元締めで、三剣さやかのお目付け役の男性。若杉組に足繁く通いながら悪巧みをするさやかに小言を言い、さやかがカタギの世界に留まるようにいつも気を配っている。その心配が現実のものとなり、さやかは早川に攫われ、その際自分も酷い傷を負う。
月島 (つきしま)
暴走族チーム「ヘヴンズ・シュトゥルム」所属の14歳の少年。早川からドラッグを譲り受け、それを売りさばくことで金を手に入れている。ドラッグ御法度の「ヘヴンズ・シュトゥルム」でドラッグを売りさばいたため、深間竜也や橘嵐によってリンチを受ける。
山下 藤吉郎 (やました とうきちろう)
警察庁生活安全課の男性で、曲がったことが大嫌い。警察内部の圧力によって事件をもみ消されていることを知り、単身如月組や如月真希、深間竜也に接触を図った。義に厚い熱血漢で、汚職で腐りきった警察内部を知っているため、警察官としてではなく、一個人として活動している。
深間 鷹男 (ふかま たかお)
深間竜也の父親で、ヤクザ組である黒深会の会長。いかつい風貌で、息子である深間竜也にも厳しく接する。岐崎を配下に従えている。黒深会はできて日が浅く、立場が上の如月組に対して反目している。しかし、黒深会と如月組が手を組む際には如月寅蔵に頭を下げるなど、目的のためには自分を押し殺すこともできる人物。
岐崎 (きざき)
深間鷹男の配下。深間竜也のお目付け役を務めており、若頭の地位にある竜也のことを「竜坊」と呼ぶ。竜也と如月真希のことを一歩引いたところから見ていることもあり、竜也に的確なアドバイスを送る。
花房 (はなふさ)
以前から如月寅蔵と親しく、如月真希の幼少の頃をよく知る近所のおばあちゃん。ブラック真希にも動じず、どうしてそんなに怒りっぽいのかと心配している。「ハナクソのおばあちゃん」という呼び名は、幼少の頃の真希が「花房」を発音できず、「ハナクソ」と発音していたことに由来する。
金子 正一郎 (かねこ しょういちろう)
藤白京二と組んで、東の地に理想郷を築こうとしている政治家。元々警察庁の幹部だった男性で、警察へ強い圧力をかけられる人物でもある。そのコネを活かして、今まで京二の起こした暴力事件をもみ消してきた。
集団・組織
如月組 (きさらぎぐみ)
東の古く小さなヤクザ組で、今の組長は如月寅蔵。アットホームで、如月組の看板を掲げる家には如月真希と寅蔵、それから真希の母親と何人かの組員が住んでいる。組には数々の武勇伝があり、極道の世界では「東の虎」と呼ばれている。
黒深会 (こくしんかい)
深間鷹男が作った東のヤクザ組。今の組長は鷹男で、若頭は深間竜也。組員として岐崎も所属している。最近できたばかりの組ということもあってか、歴史があり有名な如月組を目の敵にしている。
ヘヴンズ・シュトゥルム (へゔんずしゅとぅるむ)
橘嵐を頭にした暴走族チーム。若者の悪いチームにありがちなドラッグの売買は御法度とされ、掟を破ったものにはリンチが行われる。深間竜也も嵐の右腕としてチームに参加しているが、これにより黒深会とのパイプができているというわけではない。
新生白富士会 (しんせいしろふじかい)
西にある「白富士会」とは別にできた、藤白京二が作ったヤクザ組。新興の組織であるため、真っ先に東のヤクザの一つである黒深会に挨拶に出向いた。東の地に理想郷を築こうとしていて、その目的のために金子正一郎と手を組んでいる。
スカルスパイダー
月島がドラッグを売りさばくために、暴走族チーム「ヘヴンズ・シュトゥルム」を脱退して作ったチーム。早川がバックについており、そこからドラッグを譲り受けて売りさばいている。女遊びや金儲けに関しては「ヘヴンズ・シュトゥルム」より一枚上手。
その他キーワード
如月の血 (きさらぎのち)
如月一族に流れる特殊な血のこと。血を見ると、如月真希からブラック真希に変わるのもこの血の影響から。常人より力が強かったり、怪我の治りが早かったりといった能力がある。如月寅蔵はこの如月の血によって拳銃さえ弾く体を得たほか、如月虎次郎はこの血により強靭な腕力を得て、西の「白富士会」を一人で潰したことがある。
理想郷 (ゆーとぴあ)
新生白富士会が作ろうとしているエリアのこと。再開発地区に介護、医療、レジャーを併設した複合施設を建設し、そのすべての利権を新生白富士会が掌握することを目的としている。この複合施設をカムフラージュに、地下には非合法な金を稼ぐための「地下都市」も建設される予定。