シグルイ

シグルイ

江戸時代初期の駿府国を舞台に、藤木源之助と伊良子清玄の死闘と確執を描く。山口貴由の代表作。原作は南條範夫の時代劇小説『駿府城御前試合』で、その中の「無明逆流れ」のエピソードを中心に描かれている。

概要

寛永6年9月24日に行われる「駿府城御前試合」では、真剣を用いて行うことが駿府城城主の徳川忠長により義務付けられていた。その第一試合に臨むのは、虎眼流の隻腕剣士藤木源之助と、独自の流派無明逆流れを使う、盲目で跛足の剣士伊良子清玄。そしてこの二人の剣士の間には、浅からぬ因縁があるのだった。

登場人物・キャラクター

主人公

掛川の剣術道場、虎眼流師範代の青年。他人からは感受性に欠落があるように思われるほど寡黙で表情に乏しいが、根は実直な性格。強固な意志力を持ち、常軌を逸した修練を続ける努力型の剣士。虎眼流の奥義である流れ... 関連ページ:藤木 源之助

主人公

生まれながらにして常人離れした身体能力を持ち、技の習得も早い天才型の剣士。母親は夜鷹であり、出自に対するコンプレックスから出世欲の強い野心家。道場破りに訪れた虎眼流に入門し、二年足らずで藤木源之助と並... 関連ページ:伊良子 清玄

岩本家の当主。右手の指が1本多く、精密な剣さばきを得意とする剣術の達人。流れ星などの独自の技術を開発し、流派虎眼流を開く。高齢から精神に変調をきたし、大半の時間が「曖昧」な精神状態にあるため、奇行を繰... 関連ページ:岩本 虎眼

岩本虎眼の娘。虎眼に服従する虎眼流門下生の男たちを「傀儡」と呼び、嫌っている。伊良子清玄の野心に利用されそうになるが、その虎眼に服従しない姿勢からかえって伊良子に好意を抱く。虎眼流から伊良子が追放され... 関連ページ:岩本 三重

岩本虎眼の妾。許嫁の男性が次々と変死を遂げており、そのことが掛川で童唄として広まっている。伊良子清玄との密通が虎眼に露見し、伊良子とともに虎眼流を追放される。その後、盲目となった伊良子をかばい、行動を... 関連ページ:いく

徳川 忠長

極めて残虐な性質を持つ駿府城城主。当時の将軍徳川家光の実弟であり、絶対的な権力を持つ。将軍の継承争いに敗れたことで将軍家に深い恨みを抱いており、幕府の転覆を考えている。その挙兵のために、真剣を使用した上覧試合「駿府城御前試合」を開催する。実在の人物徳川忠長がモデル。

虎眼流師範。門下生の中では岩本虎眼に次ぐ実力の持ち主で、精神的に不安定な虎眼に代わり、虎眼流の実務を担っている。郷士の出身で、少年の頃から並外れた怪力を持ち、通っていた剣術道場で疎まれたことで虎眼流に... 関連ページ:牛股 権左衛門

虎眼流門下生。まだ前髪の少年だが虎眼流を嘲笑した牢人者を無礼討ちにするなど、虎眼流剣士のひとりとしての気構えがある。祖父が岩本虎眼と懇意にしており、「義理許し」によって未熟ながら虎眼流中目録を持つ。藤... 関連ページ:近藤 涼之介

宗像 進八郎

虎眼流門下生。掛川の侠客出身で、全身に刀傷を持つ。技量によって虎眼流中目録を認められた「術許し」であり、かなりの実力者。向かってきた刀を素手でつかんで止めるほどの握力の持ち主。近藤涼之介殺害の「一応の下手人」として、虎眼流に恨みをもつ剣士檜垣陣五郎を討ち取るが、その帰り道で伊良子清玄に殺害される。

山崎 九郎右衛門

虎眼流門下生。足軽の出身。近藤涼之介に好意を抱いており、涼之介が殺害された際には涙を流していた。抜けだして自慰にふける癖を持つが、他の門下生たちからは黙認されていた。涼之介たちを殺害され、夜間の単独行動が禁止されているなかで、ひとりきりでいるところを伊良子清玄に襲われ、殺害される。

丸子 彦兵衛

虎眼流門下生。山崎九郎右衛門と同じく足軽の出身。門下生の中では牛股権左衛門に次ぐ怪力の持ち主で、手刀を畳にゆっくりとめり込ませて貫通させるなどの離れ業を見せ、全身余すところなく凶器と評されている。湯屋で入浴中に、当道座と手を組んで浴室内に太刀を持ち込んだ伊良子清玄に襲われて殺害される。

虎眼流門下生。郷士の出身。伊良子清玄の仕置追放後、精神的に不安定な状態になってしまった岩本三重の様子を見て虎眼流の将来に絶望し、密かに伊良子の復讐に協力していた。藤木源之助には読み書きを教えるなど親し... 関連ページ:興津 三十郎

賎機 検校

盲人の組合組織である当道座の最高権力者。盲人でありながら、徳川家康の庇護を受け、大名並の権力を持っている。自分と同じく盲人でありながら、常人を凌ぐ身体能力を持つ伊良子清玄に期待をかけ、伊良子をいくとともに賎機家用人として召し抱え、虎眼流への復讐に協力している。

舟木 一伝斎

掛川に剣術道場舟木道場を持つ剣客。下級武士の出身。生まれついての怪力を持ち、天正11年の賤ヶ岳の合戦に足軽として参戦し、兜ごと相手の頭部を両断するといった武勲を上げたことで、流派舟木流の開祖となる。かつて岩本虎眼と上覧試合を行った際に、下顎を削ぎ飛ばされて欠損。それ以来虎眼流を恐れている。

舟木一伝斎の息子で、双子の兄弟。舟木流免許皆伝の腕前を持ち、空中に投げられた兜を両断する舟木流の剣技兜投げを得意とする怪力の持ち主。巨体から繰り出される一撃は、ただ振り下ろすだけの単純な太刀筋だが、間... 関連ページ:舟木 数馬・兵馬

舟木一伝斎の娘で、舟木数馬・兵馬の妹。父や兄と同様、怪力の持ち主で、豪放な性格の人物。舟木流の跡目候補であった数馬・兵馬が死亡したことによって、舟木流の恒例行事である兜投げを成し遂げたものを婿として迎... 関連ページ:舟木 千加

巨大な頭部に短い手足を持つことから、蝦蟇という異名を持つ剣士。乳児の頃に父親の武士が行き倒れになり、舟木一伝斎に拾われて育つ。周囲からは蔑まれていたが、舟木千加に恋をし、兜投げに参加する。しかし、当日... 関連ページ:屈木 頑之助

戸田流印可を持ち、実戦での経験もある剣士。しかし、相手を斬ることに人一倍の後悔があり、恨み持つものから免れるため、本名の月岡雪之介を星川生之助と改めて国許を離れている。苦悩の末に、刀を振り下ろしながら... 関連ページ:月岡 雪之介

「天下一の使い手」と評されるほどの槍の名手であり、若くして駿府藩槍術師範を務める。少年時代に大蛇の舌先を槍で突き刺した逸話は「舌切り槍」という名前で武芸に携わるものには広く知れ渡っている。屋敷には士官... 関連ページ:笹原 修三郎

笹原 権八郎

笹原修三郎の従弟で、舟木数馬・兵馬の親友。蛇のような異様な形相をした人物で、槍の名手。舟木千加との結婚を望み、槍を使用して兜投げを成し遂げる。がま剣法の術理を推理し、屈木頑之助との戦いに自信を持っていた。しかし、頑之助の奇襲によって槍を奪われ、敗北する。

孕石 備前守

掛川藩家老。藤木源之助の力量と、武士としての姿勢を高く評価しており、藤木の伊良子清玄に対する「仇討ち試合」を申し入れ、試合を見届ける。藤木が敗北し、牛股権左衛門が孕石家中の者を巻き込んで大量殺戮を行ったため、生き残った藤木たちがその責任を問われぬよう、嘆願書を残した上で切腹する。

孕石備前守の息子。江戸で遊学を行っていたが、藤木源之助を見せようとした孕石備前守によって呼び戻され、「仇討ち試合」を見届ける。色好みで知られる遊び人だが、江戸では次郎右衛門忠常の道場に通い、三年目にし... 関連ページ:孕石 雪千代

侠客九鬼一家の用心棒で一羽流の使い手の剣士。若き日に虎眼流の門を叩き、幼い藤木源之助に敗北。右目と左手の指をえぐり飛ばされる。その仕打を不服とし、同様の経験を持つ二名を連れ、雷雨の日に竹槍を持って藤木... 関連ページ:蛇 平四郎

伊良子清玄の母親。高齢ながら少女のような声を持ち、貧民街で夜鷹をして生計を立てている。息子である伊良子を客と間違えるほど重度の梅毒に侵されている。虎眼流跡目となるため、自分の出自を隠そうとした伊良子によって殺害される。

伊良子 清玄【町医】

江戸に住む町医。経絡脈を利用した骨子術を操り、内臓疾患をも治療する腕前を持つ。道を尋ねてきた初対面の伊良子清玄を雇い入れた。その魔性に惹きこまれて殺法を含めた骨子術のすべてを伝授するが、伊良子清玄に心中を装って殺害され、名前を盗まれる。

身の丈六尺を越える長身の持ち主で、修行僧のような服装をした人物。町医の伊良子清玄の弟子で、伊良子が死亡した後、ひとりで診療所に残っていたが、伊良子清玄という剣士の存在を知り、師匠の仇を打つために駿府城... 関連ページ:峻安

その他キーワード

虎眼流

『シグルイ』に登場する剣術の流派。岩本虎眼によって開かれ、掛川藩を中心に数多の剣術道場が存在する。「真剣はたやすく折れる」「人間を殺傷するためには必要最小限の斬撃でよい」などの実戦的な概念を持つ。流れ... 関連ページ:虎眼流

流れ

『シグルイ』に登場する剣技。虎眼流中目録以上に伝授されている秘伝のひとつ。刀を担ぐようにして構え、横薙ぎに振りぬく最中に、握っている手を鍔元から柄尻まで横滑りさせることで、遠間からの斬撃を可能にする特... 関連ページ:流れ

流れ星の骨子となる掴み

『シグルイ』に登場する剣技。虎眼流の技法の一つ。右手の人差し指と中指で挟みこむようにして柄を持ちながら、流れを行うことによって、流れを凌ぐ速度の斬撃を可能とする。奥義流れ星の根幹をなす技術で、虎眼流の... 関連ページ:流れ星の骨子となる掴み

流れ星

『シグルイ』に登場する剣技。虎眼流の奥義で、免許皆伝となった門下生にだけ伝授を許されている。右手で流れ星の骨子となる掴みで刀を保持しながら、左手で刀身を挟み、抑えこむことで溜めを作り、相手の首を狙って... 関連ページ:流れ星

無明逆流れ

『シグルイ』に登場する剣技。仕置追放の際に岩本虎眼から流れ星を受けた伊良子清玄が、流れ星の術理を応用して独自に開発した。刀を地面に突き立て、全身の力を使って溜めを作り、下から上方向へ高速の斬撃を繰り出... 関連ページ:無明逆流れ

七丁念仏

『シグルイ』に登場する日本刀。産地は備前だが刀工は不明。試し斬りを受けた僧侶が、斬られたことに気づかずに念仏を唱えながら歩き続け、七丁ほど歩いてから絶命したことで七丁念仏と名付けられる。元和三年当時の... 関連ページ:七丁念仏

『シグルイ』に登場する日本刀。虎眼流剣士でありながら伊良子清玄の復讐に加担していた金岡雲竜斎によって、「駿府城御前試合」を控える伊良子の手元に届けられた。刀工は備前長船光忠。七分反りの三尺三寸、ほぼ直... 関連ページ:

兜投げ

『シグルイ』に登場する剣技。横から投げられた兜を空中で切断するという技で、舟木流に伝わっている。足軽時代の舟木一伝斎が、相手を兜ごと両断して武功を上げたことに由来する。舟木数馬・兵馬が死亡した後、舟木流の跡目を決定するための試験としても用いられた。

ベース

駿河城御前試合

アニメ

シグルイ

駿河藩の藩主、徳川忠長が催した御前試合。ふつうの御前試合は木剣で行われるところを、忠長の意向で真剣での立ち会いを命じられた。その試合には仕官を願う多くの武芸者が集った。その第1試合。 片方は片腕の剣士... 関連ページ:シグルイ

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