概要・あらすじ
19世紀の日本。戦国時代から250年が経ち、最後の一人となった忍び・沢村甚三郎に、江戸幕府からある司令が下る。それは「黒船に潜入し、ペルリを暗殺せよ」というものだった。黒船のひとつ、プリマス号への潜入に成功した甚三郎は、それに乗っていた日本人・仙太郎に接触し、協力を求める。一方そのころ、長州藩士・吉田松陰は、幕府に隠れて独自に黒船強奪計画を立て、行動を開始していた。
登場人物・キャラクター
沢村 甚三郎 (さわむら じんざぶろう)
伊勢国津藩伊賀に住む58歳の男性。史実に記録されている日本最後の忍び。高齢で激しく動くと腰を痛めるが、一族に伝わる様々な技術を持ち、戦闘や潜入に長ける。しかし、平和な世の中では忍びの技術が活かされることもなく、平穏な暮らしをつまらなく思っている。浦賀湾に現れた黒船に潜入するよう幕府から命じられ、単身浦賀へと旅立つ。 黒船への潜入後は、提督のペルリを暗殺するように命じられている。しかし、あくまでも米国との開戦を回避することが目的であり、他藩の藩士たちが黒船へ攻撃しようとするのを妨害することもある。実在の人物、沢村保祐がモデル。
藤堂 和泉守 高猷 (とうどう いずみのかみ たかゆき)
伊勢国津藩藩主の男性。江戸幕府からの命令を受け、沢村甚三郎を江戸にいる阿部正弘に引き合わせる。明るい性格でよく笑う。任務に適するかを見定めるために差し向けた家臣を、すべて撃退してみせた甚三郎を高く評価している。実在の人物、藤堂和泉守高猷がモデル。
阿部 正弘 (あべ まさひろ)
江戸幕府老中筆頭の男性。浦賀湾沖に来航した黒船が、日本に先に攻撃させ、開戦の口実を作ろうとしていることを見抜き、こちらから黒船を攻撃しないよう、家臣たちを抑制している。一方で、開戦の口実を与えぬよう、幕府の仕業とさとられぬように、ペルリを暗殺する計画を立て、その任務を沢村甚三郎に命じる。実在の人物、阿部正弘がモデル。
吉田 松陰 (よしだ しょういん)
長州藩士の男性。江戸幕府に隠れ、黒船を強奪する計画を進行させている。水戸藩の侍たちを焚き付け、黒船を強奪させようとするが、沢村甚三郎によって阻止される。その後、黒船から落水して浜辺に打ち上げられたアメリカ人の水夫を拉致し、英語を覚えて計画を進めようとしている。実在の人物、吉田松陰がモデル。
ペルリ
アメリカ海軍に所属する軍人の男性。浦賀湾沖に来航した4隻の黒船を率いる提督。当時鎖国中だった日本に開国交渉のため訪れたとされるが、実際は日本との戦争が目的。空砲などで江戸幕府を挑発し、先にこちらを攻撃させ、開戦の口実を作ろうとしている。実在の人物、マシュー・ペリーがモデル。
仙太郎 (せんたろう)
黒船艦隊の乗員の中で、唯一の日本人。元々は日本で漁師をしていた男性。漁船が難破して遭難したところをアメリカの船に助けられ、日本に帰るために黒船への乗船を許されている。ことあるごとに「心配……心配……」とこぼす口癖があり、それをアメリカ人に聞かれて、「サム・パッチ」というあだ名を付けられている。船内では雑用をさせられている。 実在の人物、仙太郎がモデル。