ジェネシスコード

ジェネシスコード

凄腕ハッカーの少年、大神ヒロが、成り行きから仮想通貨、ビットコインを巡る命を賭けた人質ゲームに参加。その勝負の中、友人と共にゲームの背後に隠された謎と、父親の死の真相へとせまっていく姿を描いたITサスペンス。「ヤングアニマル」2019月18号から連載の作品。

正式名称
ジェネシスコード
ふりがな
じぇねしすこーど
原作者
鷹野 浪流
漫画
ジャンル
心理戦・頭脳戦
関連商品
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あらすじ

「幻狼」を名乗る凄腕ハッカーである大神ヒロは、オタク友達の線文字しんくの協力を得て、ほかのハッカーによる犯罪を未然に防ぐ「ホワイトハッカー」として活躍していた。そんなある日、線文字としんくが自分に隠れて付き合っていたことを知り、大きなショックを受けてしまったヒロは、辛い現実から逃れるためにネットの人気配信者、久遠寺まりるの配信に取り憑(つ)かれるように見入っていた。まりるが出題するクイズに挑戦し、優勝を目指して奮闘するヒロは、頭脳をフル回転させてみごと優勝を果たす。賞品としてまりるから二人きりのチャットルームに誘われたヒロは、そこでまりるの連絡先を受け取ることに成功する。望外の成果に大満足し、再びいつもの日常へと戻ったヒロがふとスマホを見ると、どこか見覚えがあるものの思い出すことのできない、謎のアプリがインストールされていた。(Code1.「幻狼」)

命を賭けた「人質ゲーム」に半ば強制的に参加させられ、ビットコインを巡る争いに巻き込まれたヒロは、一連の騒動の裏に大きな秘密が隠されていることを直感する。10年前に不慮の死を遂げた父親が、生前に「クリプトマギアの紋章」を手書きしていたことを思い出したヒロは、父親の死と同時期に失踪したビットコインの創始者であるタカシヤマモトになんらかの関係があると推察。そして、ヒロはまりると出会ったことすらも、何者かの企みではないかと考え始める。隠された陰謀の謎を解くため、ヒロはまりると本格的に手を組んだうえ、滝桜政明から救い出した線文字としんくを再び仲間に加え、史上最大の宝探しに挑戦することを決意するのだった。(Code7.「始動」)

登場人物・キャラクター

大神 ヒロ (おおがみ ひろ)

凄腕ハッカーの青年。細身のイケメンで、一見するとクールな好青年に見えるが、実際はやや内向的な性格をした三枚目のオタク。ハッカーとして活動する際は「幻狼」と名乗っており、組織に属さない孤高の凄腕ホワイトハッカーとして、界隈では名の知られた存在になっている。幼い頃に母親が蒸発し、小学生の時には父親の大神トオルが自殺してしまう悲しい過去を持つ。さらに親族に遺産をだまし取られ、孤独な人生を送って来たことが大きな心の傷になっていた。自分を変えるためにネットのオフ会に参加し、そこで親友になった線文字としんくと共に、ホワイトハッカーとして手広く活動するようになる。線文字からは「ウルフ氏」、しんくからは「ウルくん」と呼ばれている。洞察力や発想力、計算力が極めて高く、ハッキングのみならずクイズやとんちも大の得意としている。また精神力も優れており、危機的状況でも決してあきらめずに生存の道を探ろうとする胆力の持ち主。未だ童貞なため、常日頃からモテたいと考えているが、若い女性にコンプレックスを抱いている。人気アイドル配信者の久遠寺まりるとチャットをして連絡先をもらった翌日、スマホにインストールされたジェネシスコードという謎のアプリを経由したハッキングを受ける。その後、まりるからビットコインの創始者であるタカシヤマモトが10年ぶりに姿を現し、人質ゲームを開催したことを知らされる。その際、ゲーム参加者の滝桜政明によって線文字としんくを人質に取られ、半ば強制的に人質ゲームに参加させられてしまう。人質ゲームでは、高いハッキング能力と洞察力を駆使して主催者が仕掛けた難関を次々と突破し、人質ゲームの背後に隠された謎やトオルの死の真相へとせまろうとしていた。

久遠寺 まりる (くおんじ まりる)

ネットで人気の配信者の女性。ツインテールの髪型で、ガーリーファッションで身を包んだアイドル級の美少女。セクシーさとかわいらしさを併せ持ち、さらにミステリアスな雰囲気を武器にして、勝者の願いをなんでも聞くクイズ番組「まりるの部屋」をネットで配信しており、若い男性を中心に大人気を博している。配信ではアイドル以外にも大人びたクールビューティーを演じているが、素の性格は意外と常識人。実は資産家の令嬢で、広大な敷地の一角に建てられた日本家屋に住んでいる。タカシヤマモトが復活した際に、彼から人質ゲームが開催されるという連絡を受け、いっしょに参加できる有能なメンバーを集める目的でクイズ番組の配信を行っていた。結果、大神ヒロを騙(だま)す形にはなったが、彼を人質ゲームに参加させることに成功する。人質ゲームではヒロのサポート役を担い、文字通り体を張って企業への潜入工作や社員の籠絡などをこなしていた。久遠寺まりるが人質ゲームに参加した理由は不明で、ヒロに参加動機を問われた時にも言葉を濁していた。ヒロのことは有能なビジネスパートナーとして信頼している。

線文字 (せんもじ)

筋金入りのオタクの青年。モジャモジャの天然パーマに眼鏡をかけ、いかにもオタク然とした風貌をしている。本名は不詳。大神ヒロとしんくの親友。明るい性格のお調子者で、自分のことを「拙者」と言うなど、時代劇のような独特な口調でしゃべる。3年前にネットのオフ会で出会ったヒロやしんくと意気投合し、以降は彼らといっしょに「ホワイトハッカー」として活動していた。ヒロにしんくと付き合っていたことを知られたことで、なんとなくヒロと疎遠になっていた。しかし、滝桜政明に人質に取られたところをヒロに救出してもらったことで、再び三人でチームを組んで人質ゲームに参加するようになる。

しんく

ネットが大好きなオタクの少女。眼鏡をかけた巨乳の持ち主で、ふわふわとした言動が特徴の不思議ちゃん。本名は不詳。大神ヒロと線文字の親友。3年前にネットのオフ会で出会ったヒロや線文字と意気投合し、以降は彼らといっしょに「ホワイトハッカー」として活動していた。もともとはイジメに遭って孤立しており、世をはかなんで自殺も考えていたが、ヒロや線文字と友人になったことで生きる気力を取り戻した。そのため、二人には非常に感謝している。ヒロに線文字と付き合っていたことを知られたことで、なんとなくヒロと疎遠になっていた。しかし、滝桜政明に人質に取られたところをヒロに救出してもらったことで、再び三人でチームを組んで人質ゲームに参加するようになる。

滝桜 政明 (たきざくら まさあき)

人質ゲームに参加している男性。複数のIT企業を経由してインターネット関係の詐欺を繰り返している知能犯。半グレ集団の「煉獄」の元代表で、2000年代後半に武闘派として活動し、複数の暴力事件や詐欺事件にかかわっていた。非常に傲慢な性格で、目的のためなら手段を選ばない。人質ゲームに参加後、大神ヒロと1回戦で対戦することが決まり、線文字としんくを人質に取って優位な立場に立とうとした。父親はヤクザで、母親は薬物中毒者という荒(すさ)んだ家庭環境で育った。両親の失踪後に妹と別々の施設に預けられ、妹を守るために一念発起して勉学に励み、東大入学を果たした苦労人でもある。唯一の肉親である妹に対する愛情は深い。人質ゲームに参加したのは金が目的だが、それは完治不能な血液の病に犯された妹の高額な治療費を捻出するためだった。

大神 トオル (おおがみ とおる)

大神ヒロの父親で、故人。インターネットに詳しい読書家で、優し気な風貌をしていた。幼少のヒロは大神トオルの蔵書から多くの知識を得ており、トオルのことをパソコンで戦うヒーローと認識していた。ヒロが小学5年生の時に失踪し、その後山中で遺体となって発見された。警察には不慮の事故として処理されたが、事故の原因は不明で、ヒロは今もなおその死に疑問を抱いている。生前は滝桜政明ともつながりがあった。

タカシヤマモト

ビットコインの創始者で謎の人物。その姿を見た者は誰もおらず、本名や性別、経歴はすべて不詳。2009年にビットコインを作り、その存在を世界に知らしめるも、2010年に表舞台から忽然と姿を消した。活動期間はわずかだが世間に与えたインパクトが絶大であったため、インターネット上では伝説的な存在となっている。10年後の2020年1月に再びネット上に姿を現し、ビットコイン10周年記念と称した「人質ゲーム」の開催を宣言。優勝者に100万ビットコインをプレゼントすることを約束し、資産家や犯罪者、活動家にメールを送って人質ゲームへの参加者を募った。

バーテンロボ

人型ロボットで、男性バーテンダーの姿をしている。中野の雑居ビルの隠し扉の先にあるカフェでマスターを務めている。最新の技術が導入された精巧なロボットで、自然な音声によって来客に対応している。来店した大神ヒロたちに対し、人質ゲームの一環としてクイズを出題した。

シュウ

黒髪ロングヘアのハッカーの男性。端正な顔立ちをしている。仲間と共に人質ゲームの動向を探っており、バーテンロボの出題するクイズを解いていた大神ヒロたちの前に姿を現した。銃を突きつけてバーテンロボから情報を聞き出そうとするが、バーテンロボが防衛機構を起動させたために失敗に終わる。人質ゲームに関与する理由はいっさい不明。

集団・組織

クリプトマギア

仮想通貨や暗号技術についての普及研究を行うNPO。しかし、それはあくまで表向きのもので、内実はビットコインの創始者であるタカシヤマモトに感化された急進的な暗号至上主義者の集団。政府や巨大権力による特権支配に対抗して、暗号技術で個人主権を守ることを掲げて活動している。世界中のIT企業の幹部や投資家の中に会員が潜んでいるため、財力は国家予算規模に匹敵する。人質ゲームの運営を任され、ゲーム進行のすべてを担っている。

その他キーワード

ジェネシスコード

大神ヒロのスマホに、いつの間にかインストールされていた謎のアプリ。アイコンは三角の中に目のようなマークが入っている。流入経路は不明で、ヒロの技量をもってしてもスマホから完全に削除することができなかった。その正体は人質ゲームの参加者に配られるアプリで、更新すると人質ゲームの対戦相手とルール、残り時間がアプリ内に表示される仕組みになっている。

ビットコイン

タカシヤマモトが創った仮想通貨。2008年にその構想が発表され、2009年に誕生した。2009年に初めて法定通貨と交換された際の価格は1ビットコインで約0.07円だったが、2017年には1ビットコインで100万円を超えるほどに価値が暴騰した。ビットコインの取引はすべてがブロックチェーンと呼ばれる台帳に記載され、それを世界中のユーザーが共有しているため、改ざんができないようになっている。

人質ゲーム (ひとじちげーむ)

タカシヤマモトがビットコイン誕生10周年を記念して開催した特殊なゲーム。知力、体力、技術力のすべてを結集して挑む、命を賭けたゲーム大会で、優勝者にはタカシヤマモトが所有する1兆円以上の価値がある100万ビットコインがプレゼントされる。参加者の対戦相手とルールはアプリのジェネシスコードによって提示され、ゲームの勝者は次のマッチングに移る。敗者はクリプトマギアによって容赦なく命を奪われてしまう。

クレジット

原作

鷹野 浪流

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