数字で救う! 弱小国家

数字で救う! 弱小国家

長田信織の小説『数字で救う! 弱小国家』のコミカライズ作品。数学が得意な青年、芹沢直希が、戦乱の世で弱小国家の立て直しを図る姿を描いた理数系異世界転移ファンタジー。現実の理論をグラフや図を用いてわかりやすく説明しているのが特徴。「コミックアライブ」2019年9月号から掲載の作品。

正式名称
数字で救う! 弱小国家
ふりがな
すうじですくう じゃくしょうこっか
原作者
長田 信織
作者
ジャンル
ファンタジー
 
心理戦・頭脳戦
関連商品
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あらすじ

電卓で戦争する方法を求めよ

ファヴェール王国の王女にして、類まれな頭脳と見識を持つソアラ・エステル・ロートリンデは、このままでは自らの国は亡国の憂き目に遭うと予想していた。しかし、王宮の貴族たちは目先の問題に目を奪われ、問題の根本的な解決をしようとはしなかった。彼らの考え方を受け入れられず、宮中で孤立しがちなソアラは隠れ家で物思いにふけるのを習慣としていたが、ある日、その隠れ家で得体の知れない異邦人、芹沢直希と出会う。直希は現代日本で暮らしていたが、突如謎の地震に巻き込まれ、気づけば異世界で行き倒れそうになりながらも、辛うじて近くにあったソアラの隠れ家にたどり着いたのだ。ソアラは当初は直希を怪しんでいたが、彼が類まれな知識を持ち、また暴漢から助けてもらったことで、次第に彼のことを信用するようになる。そしてお互いの境遇に共感し合った二人は意気投合し、力を合わせて世界を変えることを誓う。その後、直希はソアラに魔術師として招かれ、戦争間近でがんじがらめとなった王国の現状を、数学的思考でひも解いていく。しかし、教会の利権に抵触したことが信仰心が厚い国王の逆鱗(げきりん)に触れ、ソアラと国王の仲は険悪なものとなってしまう。そんな中、病床の身であった国王はそのまま帰らぬ人となってしまう。

世界の求め方

国王が崩御したのと同時に、ファヴェール王国は隣国、オルデンボー王国からの宣戦布告を受けることとなる。ソアラ・エステル・ロートリンデは次期国王として陣頭指揮を執ることとなるも、ウィスカーたち貴族はソアラを軽視しており、ソアラは内憂外患の状況に遭遇してしまう。ソアラは芹沢直希の協力をもって、持久戦を行うことで敵の戦力を大幅に削ぐ作戦を考えるも、戦場で戦うことに固執するウィスカーは、命令を無視して打って出ていたずらに被害を拡大させる。ソアラは度重なる命令無視をしたウィスカーに見切りをつけ、彼から命令権を取り上げる。ソアラたちはこれによって指揮権を得て、着実に戦線を安定させていくも、ウィスカーは敵に寝返って彼の手引きでファヴェール王国は要所を失い、敗戦を決定づけられてしまう。ソアラたちは敗戦処理をすることとなり、暗いムードに包まれるが、土壇場で敗戦処理に名乗りをあげたデュナケンの陰謀に気づき、その陰謀を逆利用することで敗戦を利用して各国との交易権を確保することに成功する。そして直希はファヴェール王国を亡国の憂き目から救ったとして、ソアラから宰相に任命されるのだった。

電卓で友だちを作る方法を求めよ

ファヴェール王国は急場をしのぐことに成功したものの、国内は戦争で疲弊しガタガタとなっていた。芹沢直希は国内の財政を再建するためにも、もう一つの敵対国家であるモスコヴィヤ帝国との戦線を縮小することを決める。直希とソアラ・エステル・ロートリンデは、対帝国の最前線の西の都市、ルーリックを訪れ、西部戦線総司令のライアス・ヴァステラスと出会う。しかし、ライアスたちは勝ち戦であるため、戦線の縮小には否定気味で、逆にソアラを皇帝に据えて新たな帝国を築くことを提案してくる。こうして直希たちはライアスたちを説得するためにも、「戦争に勝てない理由」を数字によって証明するという難題を課せられてしまう。急な難題を前に、人手不足を感じた直希は助手を欲し、近隣の学士を訪ね回り、テレンティアという逸材を発見する。順調に資料をまとめていく直希たちであったが、ライアスは強硬策まで取って、ソアラを皇帝にしようと画策する。その強引なやり方に反発したソアラは怒り、直希が完成させた資料をもって彼らを説き伏せると気炎をあげるのだった。

関連作品

小説

本作『数字で救う! 弱小国家』は、長田信織の小説『数字で救う! 弱小国家』を原作としている。原作小説版は電撃文庫より刊行され、イラストは紅緒が担当している。小説版も本作と同じく、芹沢直希が数学的知識を駆使して、窮地に陥ったファヴェール王国を救う内容となっており、グラフや図で現実の数学理論を説明しているのが特徴となっている。

登場人物・キャラクター

芹沢 直希 (せりざわ なおき)

ファヴェール王国に転移して来た黒髪の青年。どんなことも数字で考える筋金入りの理系脳で、不合理なことを極端に嫌う。幼い頃はその性格から孤立しがちだったが、数学者の祖父だけは芹沢直希を理解し寄り添っていたため、直希も祖父を深く尊敬している。母親と幼い頃に死別し、祖父によって育てられたため、祖父が亡くなったあとは親戚と揉めて現在は孤立無援状態。頭脳明晰ながら、家庭の事情でまともに就職できず、現在は引っ越し業者のアルバイトで日銭を稼いでいる。引っ越し作業中に謎の地震に巻き込まれ、異世界に転移する。何ひとつない状況で放浪していた際、ソアラ・エステル・ロートリンデの隠れ家を発見してソアラと出会う。先鋭的な考えを持つソアラと意気投合し、彼女に招かれる形でファヴェール王国に身を寄せる。どんなことも数字で考えるため、つねに関数電卓を持ち歩いており、異世界でも電卓を活用してグラフや理論を組み立てている。デュナケンの陰謀を暴き、ファヴェール王国を窮地から救ったことで、ソアラから宰相に任命される。祖父のような数学者になることを夢見ている。

ソアラ・エステル・ロートリンデ

ファヴェール王国の王女。年齢は17歳。銀髪のロングヘアで、華奢な体型をしている。頭の回転が非常に速く、物事を合理的に考える地頭のよさを誇る。しかし根性論や慣習など、論理的ではない思考が理解できず、「戦いの栄誉」に陶酔したものが多い王宮では孤立している。自国が脆弱(ぜいじゃく)で、このままでは亡国一直線であることを誰よりも実感しており、次期国王として国を救うことを自分の使命だと考えている。王宮では誰も自分の考えを理解してくれないため、考え事をする時は郊外に作った隠れ家で物思いにふけるのが習慣となっている。ある日、いつもどおり隠れ家に向かっていたところ、芹沢直希と出会い、彼の数学的な思考に魅了される。国王の死後、次期王位継承者として若き身でオルデンボー王国との戦争の矢面に立つ。

テレンティア

西の大都市、ルーリックで使用人として働く若い女性。ショートカットの髪型で、マイペースな性格をしている。頭の回転が非常に速く、偏見のない見識が認められ芹沢直希に雇われたが、飄々(ひょうひょう)とした態度でつかみどころがない。そのため直希もテレンティアを扱いかねており、彼女の言動に振り回されることもある。以前はかなり裕福な家で暮らしていたが、クーデターによってすべてを失った過去を持つ。使用人となって好き勝手できる現状に満足しており、過去の出来事から偉くなるのはもう懲り懲りだと考えている。当初はソアラ・エステル・ロートリンデから直希に近い存在として嫉妬されていたが、愚痴の言い合いで意気投合して親しくなる。

ライアス・ヴァステラス

ファヴェール王国で公爵の地位にある男性。自信に満ちあふれた青年で、一挙手一投足に上に立つ者としての風格を漂わせている。ソアラ・エステル・ロートリンデとはいとこの関係で、芹沢直希からはソアラよりも王様っぽいと思われている。ファヴェール王国に隣接する西の国家「モスコヴィヤ帝国」との戦争で総司令官を務めており、モスコヴィヤ帝国の要所の一つである大都市「ルーリック」を陥落させる。ファヴェール王国に忠誠を誓い、いとこのソアラのことを大切に思っているが、勝ち戦で調子に乗ってソアラを皇帝に据え、ファヴェール帝国を築く野望を抱いている。為政者としてファヴェール王国を大きくしようとしているが、それは義務感に駆られたもので、芹沢直希の数学的思考にも否定的な見方をしている。しかし国への忠誠心は本物であるため、ソアラや直希と話し合うことで徐々に溝を埋めていく。

ケズテルド・スピツベルゲン

ファヴェール王国で伯爵の地位にある男性。左目に大きな傷がある。豪快な性格ながら王家への忠誠心が高い。ライアス・ヴァステラスと共に西部戦線でモスコヴィヤ帝国と戦っており、兵たちのまとめ役として精力的に動いている。ソアラ・エステル・ロートリンデのことをかわいがっているが、彼女の戦線縮小の方針には懐疑的な見方をしている。

傭兵隊長 (ようへいたいちょう)

ファヴェール王国に雇われた傭兵隊の隊長を務める男性。本名は不明。黒い髪とヒゲを長く伸ばしており、ベテランの風格を漂わせている。元貴族らしいが現在は落ちぶれて、傭兵をしている。華々しい武勇を欲しているが、それ以上に生き残ることを最重視するリアリストで、派手な戦いを忌避している。そのため、持久戦を指示した芹沢直希たちの意向を歓迎し、オルデンボー王国の軍勢の足止めを行って着々と戦果を上げていく。飄々とした人柄ながら、合理的な判断能力を持つために直希たちからも信頼されており、その後も直希に重用され、彼とよく行動を共にしている。

デュナケン

教会の大司教の位に就く高齢の男性。好々爺(こうこうや)然とした人物で、ファヴェール王国の国王からの信頼も厚く、王宮にも大きな発言権を持つ。オルデンボー王国にも教区を持つため、ファヴェール王国とオルデンボー王国の仲介に名乗りを上げる。実は非常に欲深い性格で、ファヴェール王国が建国した際、奪われた教会の土地を取り戻そうとしている。そのためファヴェール王国の国王に取り入り、戦争に負けるのを見越したうえで、国王や貴族をたぶらかしてオルデンボー王国との戦争を引き起こした。目論みどおりに敗戦濃厚となったファヴェール王国に手を差し伸べ、仲介と引き換えに土地を回収しようとするも、芹沢直希とソアラ・エステル・ロートリンデに陰謀と汚職を暴かれ失脚した。また、ソアラを襲った暴漢が持っていた銃もデュナケンが手配したものであると明かされ、ソアラの暗殺を企てていたこともバラされる。諸々の汚職の証拠が 教会に提出されたため、神殿騎士団に捕縛された。

ウィスカー

ファヴェール王国で侯爵の地位にある男性。高齢ながら血気盛んな性格で、戦場では自ら先陣を切る勇敢さを持つ。ただ前時代的な考え方で凝り固まっており、敵との戦力比の見極めすらせず戦いたがる猪突猛進タイプ。国王の死後、オルデンボー王国と開戦した際には、ソアラ・エステル・ロートリンデが砦に籠っての持久戦を指示したにもかかわらず、兵を率いて突撃したためいたずらに被害を増やし、ファヴェール王国を危機に陥れた。ソアラに度重なる命令無視と、被害拡大の責任を取らされ命令権をはく奪されるも、そのことを逆恨みしてオルデンボー王国に寝返る。そしてファヴェール王国側の要所の一つ「エーゼンブルグ要塞」に敵を招き入れ、ファヴェール王国の敗戦を決定づけた。

場所

ファヴェール王国 (ふぁゔぇーるおうこく)

北の王国。領土こそ広いものの、大半は寒冷地か開拓されていない森林地帯であるため、経済力も乏しい弱小国家。約40年前までは南に位置するオルデンボー王国に属していたが、度重なる不平等条約に耐えかねて独立した。独立時に投票で選ばれた「選抜王」が国を治めている。オルデンボー王国とは独立後も対立関係にあり、オルデンボー王国の私掠船によって交易を妨害されている。これがファヴェール王国が経済的に疲弊している原因となり、2国は戦争によってこの状況を打破しようとしている。

クレジット

原作

長田 信織

キャラクター原案

紅緒

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