概要・あらすじ
主人公である蜂鐘コウは、たびたび悪夢に悩まされていた。それは巨大な怪物が出現する夢で、いつも自分が怪物に潰されて終わるのだ。あまりにリアルな夢のため、コウは気に病むが、幼なじみの少女の天城星羅に「夢は夢だ」と諭されて、気持ちを切り替える。コウは天城の言葉だけは黙って信じると決めていた。かつて、無気力だったコウに、全力でぶつかる事を教えてくれたのは天城だった。
そのおかげで、コウは自らの才能を開花させ、陸上・水泳・美術・歌など、いろいろなジャンルで抜群の成績を収める事ができたのだ。ある日の放課後。いかつい黒服のボディガードをたくさん引き連れた、万野天士郎と名乗る男が、学校に突然現れた。万野は「異常災害対策連合(異災連)」という組織のアジア圏責任者で、コウを戦士としてスカウトに来たのだ。
万野はコウが怪物の夢を見る事を知っており、それはただの夢ではなく現実だと言う。そして万野は、コウに怪物の写真を見せた。それはまさしく、コウの悪夢に現れる怪物だった。この怪物は、突如日本の領地内の島に上陸し、そこに存在した米軍基地ごと、島を壊滅状態に追い込んだ。
そしてこの怪物の本土上陸の日も近いと予測されているという。あまりに突拍子のない話に、呆然とするコウの耳に、異音が聞こえた。振り返ると、女性兵士が自分に銃を向けていた。咄嗟に女性の腕を取るコウ。その行動を見ていた万野は、戦闘のプロである女性兵士の動きを制したコウを絶賛する。そして、コウが聞いた異音は超人的な人間にしか聞こえない特殊音であり、超常能力を持つ証なのだと説明する。
万野はコウに名刺を渡し、改めて連絡をくれるように告げて立ち去った。その夜、あまりの事に眠れないコウのもとに天城が訪ねてくる。家を抜け出し、二人は公園のベンチに腰掛けた。元気のないコウに、天城は「何があったかわからないけど、コウなら大丈夫」と言葉をかける。
天城の言葉にコウは救われ、落ち着きを取り戻した。そして、明日の休日、ショッピングセンターに遊びに行こうと、天城を誘うのだった。翌日。ショッピングセンターに向かう途中、コウの頭に突然激痛が走った。そしてあの巨大な怪物がショッピングセンターに現れる幻覚を見る。天城に電話をかけると、彼女はすでにショッピングセンターにいた。
さっきの幻覚は予知夢かもしれないと考えたコウは、天城に「少しでもいいからその場所を離れろ」と伝える。急いで待ち合わせ場所に向かうコウだったが、海から現れた得体の知れない物に襲われ、気絶してしまう。ショッピングセンターでは、体長80メートルを超える巨大な怪物が海から現れ、建物を破壊しながら進んでいた。自衛隊の攻撃にもビクともせず、人間だけを消す「生体元素破砕光」で人々を殺戮。
散々暴れまわった後、怪物はまた海に姿を消した。意識を取り戻したコウは、天城を探して、瓦礫の山と化した町に向かった。そこでコウが見つけたものは、無残に切り取られた天城の左腕だった。亡骸は瓦礫の下にあるのだろうが、死屍累々として、個人の区別はつかなかった。コウは絶望の叫び声をあげ、己の無力さを嘆き悲しんだ。
肩を落とすコウの耳に、助けを呼ぶ声が聞こえた。声の主は青年で、瓦礫に足を挟まれて動けないようだった。コウは鉄柱をテコのように使い、青年を救出した。遠くにいた救助隊がコウ達に近づいてくるが、突然なにかに驚き、足を止める。コウの背後に巨大生物の破片が怪物となって現れたのだ。怪物は触手のようなものを伸ばし、コウを捕える。
どうやら人間を襲い、再生しようとしているらしい。コウの頭の中に「ジガ」という言葉が響く。それが怪物の名前だった。駆けつけた「異災連」の女性指揮官、久道紗綾が、特殊なハンドガンで銃撃するが、怪物の体を貫通させる事はできなかった。紗綾は、ギリギリまで怪物に近づくが、触手に絡め取られてハンドガンを落としてしまった。
いつの間にか触手を逃れていたコウが、そのハンドガンを拾う。コウは怒りに任せて銃口を怪物に向けて引金を引いた。するとハンドガンは変形し、巨大なエネルギーを放出。怪物を一撃で粉々にしてしまった。怪物の最後を見届けると、コウはそのまま気を失った。気がつくとコウは病院のベッドにいた。そこは異災連の施設で、長官である万野がコウの顔を覗き込んでいた。
万野によると、特殊な能力を持った者しか撃てないハンドガンを、コウはフルパワーで撃ち、敵を殲滅したのだという。万野は改めて、自分達と一緒に戦って欲しいとコウに頼んだ。コウは、巨大生物を殺して天城の仇を討つために、異災連への入隊を決意するのだった。
登場人物・キャラクター
蜂鐘 コウ (はちがね こう)
「ジガ」と呼ばれる巨大生物の予知夢を見た少年。運動神経抜群で、絵や歌の才能もある。蜂鐘コウの悪夢はやがて現実となり、ジガにより街は破壊され、幼なじみの天城星羅を殺されてしまう。その悲しみと怒りを闘志に変え、巨大生物に対抗する組織・異常災害対策連合に入隊する。閃煌波と呼ばれる、超人特有の特殊潜伏脳波の数値が高い。
天城 星羅 (あまぎ せいら)
蜂鐘コウと同じ学校に通う女子学生。毎朝一緒に登校するなど、コウと仲がよい。無気力なコウを叱咤激励して、彼の才能を開花させた過去を持つ。そのため、コウの精神的支柱のような存在になっていた。ジガの本土初上陸の時に生命を失ってしまう。
万野 天士郎 (ばんの てんしろう)
異常災害対策連合(異災連)という組織のアジア圏責任者。長髪に丸いサングラス、白いスーツが特徴。巨大生物ジガを倒すため、様々な研究を行い、人材を育成している。いつもふざけてニヤついているように見えるが、任務に対しては並々ならぬ覚悟と決意を持った人物。ジガを根絶するために、潜伏脳波による最先端根絶兵器(LEECH)を提唱・開発する。
久道 紗綾 (きゅうどう さや)
異常災害対策連合(異災連)・LEECH部隊の総括指揮官。女性。お団子ヘアが特徴。軍人らしく厳しい口調で話し、時には非情な決断を下す「鉄の女」。
クレジット
- 原作
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佐野 ロクロウ