スイート10

スイート10

看護師の関弓子は、夫と協力しながら仕事も子育ても順調にこなしていたが、入院患者の品川翔二と本気の恋に落ちてしまう。弓子を取り巻く友人らも含め、それぞれの夫婦が家族や夫婦というものについて真剣に向き合う、リアルな不倫関係を描いたラブストーリー。2008年にはTBS系列にて『スイート10~最後の恋人~』のタイトルで、三浦理恵子主演でドラマ化もされている。

正式名称
スイート10
ふりがな
すいーとてん
作者
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あらすじ

第1巻

病院の整形外科に勤める看護師の関弓子は、優しく自分の仕事に理解のある夫の関保典と3歳の娘、関ちひろの3人家族。平凡ながらも満たされた幸せな毎日を過ごしており、自分は不倫などとは無関係な人生を歩むと信じていた。そんなある日、弓子の勤める病院に品川翔二が骨折して入院して来る。若くハンサムな男性が入院して来た事で、弓子はほかの女性看護師といっしょにはしゃいでいたが、彼と会話をするうちに単なるミーハーな気持ちから、恋愛のときめきへと気持ちが変化。「友達として接するだけ」と自分に言い聞かせながらも、品川の自分に寄せる思いを知った弓子は、彼と親しくなっていく。夫の保典を大切に思う気持ちから、一度は品川に別れを告げるものの、品川から「友達でもいいからつながっていたい」と本気の愛情を示され、ついに弓子は品川と関係を持ってしまう。一方、弓子の高校時代の友人である沢田るり増田清も、それぞれ夫との関係に悩んでいた。るりは美容師の夫が忙しく、家事育児に非協力的で、寂しさから別の男性とデートする事で気を紛らわしていた。清は夫との仲は悪くないものの、2年以上セックスレスが続いており、夫は自分を女性として見られなくなったのではと悩んでいた。そんな時、会社の取引先の男性であるから「ずっと好きだった」と告白され、清は女性としての自分を取り戻したいと思うようになる。

第2巻

品川翔二との逢瀬を重ね、会うたびに思いを強めていく関弓子は、夫の関保典に対する罪悪感を抱えながら毎日を過ごしていた。そんなある日、保典の会社の後輩が、夜のバーで品川と会っている弓子を目撃し、保典に知らせてしまう。保典は弓子に限ってありえないと笑い飛ばすが、その事実を知った弓子は、不倫はいつ誰に見られるかわからない危険な関係である事を実感する。しかし品川を知るほどに、クールな一面だけでなく、深い孤独や寂しさを抱えている事を知り、本気で愛するようになってしまう。また品川も、自分の事を初めて心から理解してくれる弓子に対し、本気で離婚して自分のもとへ来てほしいと願うようになる。一方、弓子の同僚である辻野多恵子は、弓子から渡された割引チケットがきっかけで、沢田るりの夫、沢田正美の美容室を訪れ、正美に一目惚れしてしまう。自分から正美にアプローチをかけて不倫関係となるが、正美に本気になっていく多恵子は、その辛さを弓子に吐き出す。弓子は多恵子の思いを聞き、態度には見せないものの、品川も本当は辛い思いをしているのではと思うようになる。

第3巻

関弓子品川翔二は不倫関係ながらも、お互いの仕事や悩みも話せる、互いになくてはならない存在になっていった。ある日、関保典は車を買い替えるために、トヨサン自動車のショールームを訪れ、翔二と出くわしてしまう。何も知らず、ファミリーカーの購入計画を嬉しそうに話す保典を見て、品川は、関弓子が自分との関係とは別に幸せな家庭を築いている現実をつきつけられ、複雑な心境になるのだった。一方、保典と品川が接触した事を知った弓子は、当たり前の日常がすぐにでも崩れてしまうかもしれない恐怖に苛まれるようになる。品川の自分に対する思いが中途半端なものではない事を知った弓子は、これ以上自分のために時間を使わせたくない、と涙ながらに別れを告げる。その頃、仕事に復帰した沢田るりは、夫の沢田正美とのすれ違いが増えていくばかりで辛い毎日を送っていた。努力の成果が認められた正美は、美容室の店舗を任されるようになる。そんな中でるりは、自分を気にかけてくれる仕事仲間のタカミに惹かれていくようになる。また、増田清は自分に好意を持ってくれているとデートを重ね、旅行に出かける関係にまでなったものの、夫への思いから躊躇し、関係は持てずにいた。しかし男と旅行した事が夫にバレてしまい、離婚の危機を迎えた事で、やはり愛しているのは夫だけだと気づく。

第4巻

関保典は公衆電話から関弓子の携帯電話に電話した際、弓子がうっかり「品川さん」と口にしたのを聞き、以前ショールームで会った営業マンの品川翔二と弓子が浮気しているのではないかと疑うようになる。一方の弓子は、品川から付き合いだけでも続けたいと言われ、保典に怪しまれている事を知りながらも、再び会うようになってしまう。品川との関係を切れないほど愛してしまった事に気づいた弓子は、ついに保典と離婚して品川と結婚するという選択肢を真剣に考え始める。その頃、夫との別居生活を送る事になった増田清は、との関係はあくまで寂しさを埋めていただけのものだった事に気づき、原に別れを告げるのだった。

第5巻

関保典関弓子は、ぎくしゃくとした関係のまま日々を過ごしていた。そんな中、保典が仕事の都合で半年ほど単身赴任する事になる。離れ離れになった事で、これまで分担していた家事育児を一人でこなさなければならず、弓子は改めて夫の存在の大きさに気づく。しかし、品川翔二への思いを止める事のできない弓子は、ついに保典と離婚するしかないという結論に至る。同時に、弓子との結婚を真剣に考え始めた品川翔二は、これまで知らなかった弓子の母親としての姿も知ろうと努力をし始める。その頃、増田清をあきらめきれないは、再度清にアプローチをかけるが、清は一度一人になって考えたいと、原に完全に別れを告げ、夫の増田治とも1年間別居し、自分を見つめ直す事を決意する。そんな中、沢田るりは仕事仲間のタカミと深い関係になり、意を決して夫の沢田正美に離婚を持ちかける。だが、正美はこれをきっかけに、不倫相手である辻野多恵子への態度を急変させ、るりに別れたくないと本心を明かす。初めて夫の本心を知ったるりは戸惑い、罪悪感を感じながらも、もう気持ちが戻る事はないと正美に告げるのだった。 それからしばらく経ったある日、料亭を訪れた弓子と品川は、多恵子ら病院の同僚と鉢合わせしてしまう。さらに偶然にも、同じ店に夫の保典が同僚と共に訪れる。

第6巻

品川翔二が煙草を吸うため席を外したタイミングで、関弓子関保典の同僚に見つかってしまう。夫の同僚に挨拶しながらどう切り抜けようかと考えていたところ、弓子と保典の姿を見かけた品川は機転を利かせ、同じ店で飲んでいた弓子の同僚である辻野多恵子に、自分の代わりに弓子と飲んでいたふりをするよう頼み込む。これにより、どうにかその場をしのぐ事には成功したものの、弓子の不倫関係に腹を立てた多恵子は、後日、弓子は本当は男の人と飲んでいたと保典にバラしてしまう。ここに至り、弓子は娘もあきらめ、品川を選択する決意を固めるのだった。そして弓子と品川は、保典にすべてを打ち明ける前に、品川の生まれ育った京都の街を訪れる。そこで父子家庭の親子を偶然見かけた二人は、自分達の選択が1つの家族を壊す事になるのだと気づき、決心が揺らいでしまう。そんな中、娘の関ちひろが交通事故にあったという知らせが弓子のもとに入る。職場には「友人の結婚式のため東京に行く」と噓をついていたため、すぐに病院にかけつければ自分が噓をついていた事が周囲にバレてしまうが、それすらも覚悟のうえで、弓子は病院に駆けつけるのだった。その頃、夫の浮気相手が弓子と同じ病院に勤める辻野多恵子だと知った沢田るりは、正美との関係を終わらせるため多恵子に会いに行き、「夫をよろしく頼む」と伝える。それを聞いた多恵子は、離婚を拒んでいたのはるりではなく正美であった事を知り、自分が遊ばれていた事を理解して正美との別れを決意する。同時に、るりの固い決意を知った正美は、もう戻れない事を認め、離婚届けに判を押す決意をする。

第7巻

病院に駆けつけた関弓子は、関ちひろの容態が重くない事を知り、ほっとするものの、これまでの行動を関保典に追及される。弓子はすべてを打ち明けようと考えていたが、品川翔二に「家庭に戻って幸せになるためには噓をつき続けるべき」だと諭され、辻野多恵子の協力を得て医療ミスをでっち上げ、その対応に追われていた、と保典の追及をかわすのだった。こうして弓子は、やってもいない医療ミスで後ろ指をさされる事を自分の罪に対する罰として受け入れ、品川への思いを永遠に封印する。その頃、沢田るりは、結婚に対して恐怖心を抱くようになっていたが、新しい恋人のタカミの包み込むような愛情に気づき、彼のプロポーズを受け入れる。また、増田清は、夫と別居して自立した生活を送ろうと、自宅でパソコン教室を開始した。教室に生徒として通い始めた増田治は、以前の内弁慶だった妻とは異なり、生き生きと働く清の姿を見て改めて惚れ直す。そして清への愛情を再認識した治は、改めて清に「もう一度やり直したい」と伝え、二人は再びいっしょに暮らすようになるのだった。 やがて、保典との関係も完全に元の形に戻った弓子は、家族で京都へと引っ越す。それから数年後、大阪にたまたま来ていた弓子は、品川の行きつけであったバーのマスターと偶然街で再会し、品川が結婚した事を知る。弓子は、品川に出会った事で結婚や夫婦の意味について真剣に考えられた事を感謝し、品川の幸せを心から願うのだった。

登場人物・キャラクター

関 弓子 (せき ゆみこ)

整形外科に勤める看護師の女性。大阪に住み、年齢は28歳。夫の関保典とは出会って10年、結婚して6年目で、保典とのあいだに一人娘の関ちひろがいる。仕事に育児に忙しく幸せな日々を送っていたが、ある日品川翔二と出会い、自分には縁がないと思っていた不倫に走ってしまう。明るく天真爛漫な性格で、自分の感情をストレートに表現する。 最初は品川に対し、久しぶりの恋愛感情で浮かれていただけであったが、品川の内面や孤独を知るうちに人間として惹かれ、夫の保典への愛情と品川への愛情のあいだで本気で苦しむようになる。

関 保典 (せき やすのり)

関弓子の夫。10年前、自身の勤める会社「竹下電工」のスキー旅行に、同僚の増田清が弓子を友人として連れて来た事がきっかけで知り合い、結婚した。弓子の仕事に理解を示しており、弓子が夜勤の時には娘の関ちひろの面倒を見るなど、弓子の同僚や友人からも羨ましがられるほど優しいよき夫である。会社の同僚や後輩からも慕われており、信頼も厚い。

関 ちひろ (せき ちひろ)

関弓子と関保典の一人娘。年齢は3歳。自分の事を「チイちゃん」と呼ぶ。

品川 翔二 (しながわ しょうじ)

トヨサン自動車に勤める営業マンの男性。年齢は31歳。社内のバレーボール大会で骨折した際、関弓子の勤める病院に入院した事がきっかけで弓子と知り合った。2週間という短い期間で退院したものの、友人の沢田るりの車がトラブルにあった時に対応した事で弓子と再会した。バツイチであり、26歳の時に結婚したが、性格の不一致により1年で離婚した過去を持つ。 端正な容姿から多くの女性にもてるが、クールな性格な事から、誰にも本気にならず、遊びの関係を重ねていた。当初は弓子に家庭があるため割り切った付き合いをしていたが、弓子の天真爛漫さや感情をストレートに表現する性格に惹かれ、次第に本気で愛するようになる。幼少期に自身の両親がうまくいっていなかった事や、自分が離婚してしまったために孫の顔を見せてやれなかったという、死んだ母親に対する罪悪感などから、他人に心を開く事を恐れている。

増田 清 (ますだ きよ)

関弓子の高校時代からの親友の女性。年齢は28歳。関保典と同じ会社の人事部に勤めており、増田治と結婚して3年になるが子供はいない。夫との夜の生活が2年以上なく、自分にはもう魅力がないのではと悩んでいる。その一方、会社では男性に人気があり、そのおとなしく上品な性格からマドンナ的存在で、取引先の社員である原からも好意を寄せられている。

沢田 るり (さわだ るり)

関弓子の高校時代からの親友の女性。年齢は28歳。元美容師で、同じく美容師だった沢田正美と結婚し、現在は専業主婦をしている一児の母。気が強くさっぱりした性格で、弓子のよき相談相手となっている。夫の正美の仕事を助けようと努力しているものの、正美の態度は冷たくなる一方で、夫婦関係が冷え切っている事に悩んでいる。

増田 治 (ますだ おさむ)

増田清の夫で、結婚して3年になる。清との仲はよく、休日にデートしたりと問題のない夫婦に見えるが、実は2年以上夜の生活がない。妻である清を心から愛してはいるものの女性として見られなくなっており、その事に自身でも悩んでいる。

(はら)

関保典と増田清の勤める会社の取引先である黒田設備に勤めている男性。姉と二人暮らしをしている。清にずっと片思いしており、夫がいるとわかっていてもアタックを続けている。清を夫から奪いたいと考えている。

沢田 正美 (さわだ まさみ)

沢田るりの夫で美容師。独立して自分の美容室を経営している。家庭を顧みない性格で、家事育児にも非協力的であり、るりの友人に対する態度もよくない。一方で、仕事には熱心に打ち込んでいる。辻野多恵子と不倫関係にある。

辻野 多恵子 (つじの たえこ)

関弓子の働く病院の産婦人科に勤める看護師の女性。弓子から沢田るりの夫である沢田正美が経営する美容室の割引チケットをもらった事がきっかけで、正美に一目ぼれしてしまい、自分から声をかけて不倫関係となる。一途で家庭的な性格で、結婚願望が強く、正美に離婚して自分といっしょになってもらいたいと強く願っている。

川原 夏美 (かわはら なつみ)

品川翔二の勤めるトヨサン自動車の北支店に勤める女性。年齢は21歳。社内誌で品川を見かけてからずっと彼にあこがれを抱いており、品川にアタックするものの、素の自分を出せず戸惑っている。

タカミ

沢田るりの勤める美容室と取引きしているディーラーの男性。バツイチで、価値観の違いを理由に前妻と離婚したばかり。明るく周りを気遣う事のできる性格。似たような境遇にあるるりの相談に乗るうちに急接近し、るりを愛するようになる。

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