あらすじ
第1巻
桜木莉乃は、友人の桐谷蓮に2年間片思いしていた。二人はすでに親しい間柄だったが、莉乃は過去の恋愛で受けた傷が癒えず、どうしても勇気を出せずにいた。そんなある日、莉乃は授業中に蓮と無駄話をしたことで、先生から資料室の整理を命じられてしまう。落胆する莉乃だったが、これに責任を感じた蓮が手伝うことになり、楽しく作業を終える。その後、いっしょに所属している剣道部でも、莉乃が困っていると蓮が必ず助けてくれ、莉乃はますます彼に思いを募らせていく。しかしその直後、莉乃は蓮に「呪い手帳」という、個人的な怒りを書き溜めているノートを見られてしまう。これによって莉乃は蓮に幻滅されたと落胆するが、蓮はまったく気にしていなかった。そんな蓮に増々惹かれた莉乃は、とうとう勇気を出して告白する。そして二人はついに交際を始め、蓮との絆を深めていく。そんな中、莉乃は最近自分がよく転ぶことや、体にうまく力が入らないことに、重大な秘密が隠されているとはまだ気づいていなかった。
第2巻
球技大会の準備が始まり、桜木莉乃と橘千紘はバレーボールに出場することとなる。しかし、いっしょにチームを組むことになった山本真希ともう一名の女子は、莉乃を快く思っていなかった。二人は別のクラスの夕実と親しく、夕実が桐谷蓮にふられてしまったため、三人は莉乃を逆恨みしていたのである。この日から莉乃と千紘は、真希たちから執拗な嫌がらせを受けるようになる。さらに試合中まで、三人は莉乃が試合に集中できないように騒ぎ立て、とうとう怒った莉乃は試合中であることも忘れて三人に反撃する。これによって試合はめちゃくちゃになり、中止となってしまう。この騒動をきっかけに、莉乃は怒ると非常に怖いことが周囲に知られたことで、一目置かれるようになる。球技大会終了後に莉乃たち剣道部のもとへ、千紘の弟である橘裕人がやって来る。裕人は優秀な剣道選手にもかかわらず、莉乃に思いを寄せるあまり素直になれず、これまで剣道部に所属していなかったのである。しかし裕人は、莉乃が蓮と交際していることを知り、負けていられないと入部を決意。一方の蓮もまた、裕人が莉乃と非常に親しいことに焦りを感じていた。そんなある日、莉乃は突然転んで倒れてしまう。
第3巻
橘裕人が桐谷蓮にライバル宣言をしたことで、桜木莉乃は困惑していた。一方その頃、蓮は桜木莉乃の祖父に呼び出され、莉乃を見守ってほしいと頼まれる。蓮は莉乃の体調が少し悪いだけだろうと軽く考えていたが、直後に莉乃は突然立てなくなってしまい、病院で検査を受けることになる。これによって蓮はことの重大さを真摯に受け止め、自分で医学書を調べてとうとうALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気に行き当たる。そして莉乃もまた、自分の体がおかしいことを自覚し、祖母と同じALSの疑いがあることに気づいていた。しかし、莉乃にも5%の確率で家族間遺伝の可能性があること以外はまだ確証がなく、ひとまず検査の結果を待つことにする。しかしこの日から莉乃の体はどんどん動かなくなり、数日後には杖がなくては歩けない状態となっていた。さらに検査結果が出てもまだALSとは確定しなかったが、ある日、莉乃は帰宅途中の電車で立てなくなってしまう。
第4巻
桜木莉乃は電車で一度は立てなくなってしまうが、その後どうにか降車する。しかし、このことで強いショックを受け、衝動的に電車に飛び込もうとしてしまう。だが、莉乃を探していた桐谷蓮がこれを阻止。莉乃は蓮にALSかもしれない自分がこれからふつうに生活できるとは思えず、蓮とも別れたいと打ち明ける。しかし蓮はこれに応じず、この先も莉乃を支えたいと気持ちを伝える。こうして絆を深めた二人は、今後、莉乃がやってみたいことのリストを作成し、順に叶えていく約束をする。そんな中、体育祭の準備が始まるが、莉乃は今の自分の体では参加も難しいことに落ち込んでいた。そこで蓮は、新たなプログラムとして「ラブラブカップル二人三脚リレー」を提案。蓮は自分が莉乃とペアを組んで二人三脚するという形なら、莉乃も参加できると考えたのである。蓮の努力によってこの提案は認められ、莉乃は蓮といっしょに二人三脚の練習を始めるのだった。しかし、この頃から橘千紘は、最近莉乃の様子が明らかにおかしいことに気づいていたが、何も打ち明けてくれない莉乃に怒りを覚え、ある日とうとうケンカになってしまう。
第5巻
桜木莉乃は橘千紘にALSの疑いがあることを打ち明け、二人は和解する。こうして迎えた体育祭当日。「ラブラブカップル二人三脚リレー」の直前となって、莉乃の足が動かなくなってしまう。しかしこれに気づいた桐谷蓮は莉乃を励まし、リレー中に莉乃が転んでしまうが、おんぶをして完走するのだった。結局莉乃たちのチームは優勝を逃してしまうが、この努力を評価した教師たちは「最後まで頑張ったで賞」を送ることを決める。この数日後、莉乃は正式にALSの診断を受ける。この結果を受けて、蓮や千紘、比名瀬祥は今後も莉乃を支えていく気持ちを新たにするが、未だに橘裕人だけは莉乃がALSであることを知らずにいた。一方その頃蓮は、進路を変える決意をしていた。桐谷家は警察一家であるため、蓮も高校卒業は警察学校に進む予定だったが、蓮は莉乃を支えるうちに医療に関心を持ち、医学部に進もうと考えていたのだ。そして莉乃と蓮は、まだ莉乃が比較的自由に体を動かせるうちに、思い出を作りたいと相談。両親の許可を得て、一泊二日の旅行へ向かう。
第6巻
終業式の日、桜木莉乃と桐谷蓮は家族に無断で旅行を延長し、長野県へ向かうことにした。桜木莉乃の祖父や蓮の家族は二人と連絡が取れないことに不安を感じていたが、事態を察した橘千紘と比名瀬祥が説得したことで、莉乃と蓮は旅行を続けられることになる。そんな旅行中に莉乃たちはALSの青年と、その恋人に出会う。二人の姿に励まされた蓮は、莉乃にタイムカプセルを埋めることを提案。来年も長野に来て、これを掘り出すことを約束するのだった。こうして旅行は終わり、新学期に莉乃が登校すると、終業式をサボった二人は、すっかり噂になっていた。これで莉乃は、周囲になんらかの病気なのではないかと悟られるようになり、思い切ってALSであることをクラスメートたちに公表。これからみんなに迷惑をかけるかもしれないが、卒業したいという強い気持ちを打ち明ける。しかしその直後、北海道に住む母方の祖母の藤田が現れ、莉乃を引き取りたいと申し出る。藤田の熱意に押された莉乃は、一度は卒業をあきらめて北海道に引っ越そうとするが、蓮たちは莉乃の意思を尊重するために、学園祭を利用して藤田の説得を試みる。
第7巻
桐谷蓮たちは、紫上学園高校の学園祭に藤田を招いて、桜木莉乃が学校でどのように生活しているか知ってもらうことにした。これを見て藤田は考えを改め、莉乃もまた友人たちに背中を押され、自分の気持ちに素直になる。こうして莉乃と藤田はあらためて話し合い、引っ越しはなくなる。そして藤田は、莉乃のためにためていたお金を桜木莉乃の祖父に預けるのだった。無事に問題は解決するが、莉乃には一つ気になっていることがあった。蓮との旅行は、本来自分たちが恋人として結ばれるためのものだったが、結局何事もなく帰宅。そのため莉乃は、自分の体が動くうちに、蓮と一つになりたいと考えていたのである。そこで莉乃は後夜祭でこの事を伝え、蓮もまた同じ気持ちであることを打ち明ける。そして二人はそのまま、後夜祭の花火を見ながら結ばれるのだった。しかし半年後、病状が進行した莉乃は車いすで生活を送ることになっていた。そんなある日、莉乃は剣道部の応援に行くが、蓮の試合が始まる直前のトイレで体が動かなくなり、倒れてしまう。そしてそのまま、失禁してしまうのだった。その直後、橘千紘が駆け付けたことで莉乃は事なきを得るが、今後も同じことが起こる可能性を考慮した千紘は、この件を悩んだ末に蓮に伝えることにする。
第8巻
剣道大会最終日、桐谷蓮は莉乃のために医学部の進学を目指していること、莉乃と結婚したいと思っていることを打ち明け、お互いの両親に会いに行くことになる。まず向かった桜木家で、桜木莉乃の祖父は快く了承してくれたものの、莉乃は病気を抱える自分が桐谷家の人たちに受け入れてもらえるだろうかと不安になる。しかし蓮の家族はみんな優しく、安堵するのだった。こうして二人は高校卒業後に入籍することが決まり、橘千紘と比名瀬祥に報告する。また、蓮は祥と共に莉乃の祖父の店でアルバイトを始め、週末は桜木家に泊まるようになる。そんなある日、莉乃の祖父は莉乃と蓮に新メニューの開発を依頼。莉乃はこの頃には特技の料理もできずに沈んでいた。そこで蓮と莉乃の祖父は、協力して車いすの高さに合わせた莉乃専用の作業台を作り、少しでも以前のように料理をしてほしいと考えたのである。これで莉乃は元気を取り戻し、新メニューの開発も成功する。その直後、莉乃は蓮をはじめとする周囲の人たちに、蓮の子供が欲しいと思っていることを伝える。莉乃はALSである自分が出産して育児ができるか不安に思っていたが、周囲のみんなはやさしく、莉乃は妊娠を決意する。
第9巻
桜木莉乃たちは無事に高校を卒業し、桐谷蓮はK大学医学部に進学する。そんなある日、莉乃、蓮、橘千紘、比名瀬祥の四人は、長野県阿智村へ旅行に向かう。ここは亡くなった莉乃の両親の思い出の場所で、蓮たちはここに莉乃を連れて行きたいと考えていたのである。その夜二人きりになった莉乃と蓮は、次に来る時は、子供と三人で来ようと約束を交わすのだった。そして旅行最終日、四人は以前に莉乃と蓮がタイムカプセルを埋めた場所へ行く。するとそこには、いっしょに埋めたひまわりの種が咲き乱れており、四人は莉乃と蓮の未来を、ひまわりが祝福してくれているようで嬉しい気持ちになるのだった。こうして旅行は終わり、結婚式の準備が始まるが、莉乃の妊娠が判明。さらに双子であることがわかり、二人は喜びに包まれる。
登場人物・キャラクター
桜木 莉乃 (さくらぎ りの)
紫上(しじょう)学園高校に通う2年生の女子。剣道部に所属して、マネージャーを務めている。前髪を目の上で切り、肩につくほどまで伸ばした黒のセミロングヘアにしており、体形は小柄。左足の太ももに大きな傷跡があり、これを非常に気にしている。剣道部の鏡道などの一部の男子には、一時期「天使」と呼ばれていた。父親の桜木雅行と母親の桜木加奈子を幼い頃に亡くしており、桜木莉乃の祖父と二人暮らし。明るい性格だが、自分に自信が持てずに相手の顔色を窺ってしまいがちなところがある。そのため、男性には言うことを聞いてくれる都合のいい女性、女性には男性に媚びるぶりっ子だと誤解されがち。また小学5年生の頃、当時片思いしていた吉野に容姿をからかわれたことから、恋愛に関しては非常に憶病になっている。それ故、自分の気持ちを思うように伝えられないことが多く、腹が立ったときには「呪い手帳」と名付けたノートに、気持ちを俳句にして吐き出すことで解消していた。中学時代から片思いしていた桐谷蓮に「呪い手帳」を読まれてしまうが、これがきっかけで絆が深まって交際を始める。しかし、この頃から何もないところで転んでしまったり、体に力が入らず持ち物を落としてしまったりするなど、体に異変が生じ始め、やがてALS(筋萎縮性側索硬化症)であることが発覚する。食べることが大好きで、特に橘千紘と橘裕人の母親が作る料理が好き。血液型はO型で、星座はおとめ座。
桐谷 蓮 (きりたに れん)
紫上(しじょう)学園高校に通う2年生の男子。剣道部に所属して、主将を務めている。前髪を目が隠れるほど伸ばした焦げ茶色の短髪で、左目尻にほくろが一つある。学年有数の美形で知られており、異性から非常に人気がある。心優しい性格で、クールな雰囲気を漂わせているが、やや不愛想で思ったことをはっきり言うため、周囲からは近寄りがたいと思われがち。比名瀬祥とは小学3年生の頃からの付き合いで非常に仲がよく、桜木莉乃と橘千紘とは中学時代に知り合って以来、四人でいっしょに行動を共にしている。中学3年生の頃から莉乃に思いを寄せており、積極的にアプローチしていたが、なかなか進展せずにいた。しかし、莉乃がひそかに書き溜めていたノート「呪い手帳」を見てしまったことをきっかけに関係が深まり、交際を始めた。その後、莉乃がALS(筋萎縮性側索硬化症)であることが発覚し、莉乃を支えていく決意をする。実家は家族全員が警察官という警察一家のため、自宅の裏には祖父の剣道道場があり、そこで練習することが多い。また家族はみんな過保護気味で、莉乃と交際を始めてからは、その行動を逐一監視されて困っている。照れると前髪を触る癖がある。ミント味が大好き。犬は苦手だったが、マスターとの出会いを機に克服。のちに、莉乃を支えるために医学部に進学する。誕生日は6月。
橘 千紘 (たちばな ちひろ)
紫上(しじょう)学園高校に通う2年生の女子。剣道部に所属して、マネージャーを務めている。比名瀬祥の恋人で、橘裕人の姉でもある。前髪を目が隠れるほど伸ばして左寄りの位置で斜めに分け、胸の高さまで伸ばした亜麻色のロングヘアにしている。明るくさっぱりした性格で、気が非常に強い。莉乃とは小学校に上がる前からの付き合いで、非常に仲がいい。また面倒見がよく、莉乃に困ったことがあるたびに助けに入っていたため、莉乃からはひそかにヒーロー視されている。桐谷蓮と祥とは中学時代に出会い、やがて祥と交際を始める。しかし、莉乃と蓮が両思いにもかかわらず、なかなか進展しないことに焦れていた。ついに莉乃と蓮が交際を始めたことを喜んでいたが、高校2年生の6月頃から莉乃の足が悪くなり、杖をつくようになったことを案じていた。やがて、莉乃が単純な足の不調だけではなく、もっと重大な病気を抱えているのではないかと察する。それでも何も話してくれない莉乃に、一度は寂しさと怒りを感じてケンカになってしまうが、この時に莉乃からALS(筋萎縮性側索硬化症)に発症した可能性があることを打ち明けられ、以来彼女を支えていくようになる。また、これによって看護師になることを決意し、高校卒業後は看護学校に進んだ。
比名瀬 祥 (ひなせ しょう)
紫上(しじょう)学園高校に通う2年生の男子。剣道部に所属して、副将を務めている。橘千紘の恋人でもある。前髪を目が隠れるほど伸ばしたウルフカットヘアにしている。学年有数のイケメンとして知られており、女性から非常に人気がある。一見チャラチャラとした軽薄そうな印象だが、素直で心優しい性格をしている。また、コミュニケーション能力も高いため、周囲のムードメーカー的な存在である。そのため、この人柄を買われて剣道部副将となった。桐谷蓮とは小学3年生の頃からの付き合いで非常に仲がよく、桜木莉乃と千紘とは中学時代に知り合って以来、四人でいっしょに行動を共にしている。高校1年生の時に千紘と交際を始めた。ある日、莉乃がALSであることを知るが動じず、動揺する蓮と千紘を支えながら、これまでどおり莉乃に接した。高校卒業後は、大学に進学した。
橘 裕人 (たちばな ゆうと)
紫上(しじょう)学園高校に通う1年生の男子。剣道部に所属しており、橘千紘の弟。前髪を額が見えるほど短く切って左寄りの位置で斜めに分けた、茶色の短髪にしている。桜木莉乃からは「裕くん」と呼ばれている。心優しい性格ながら、やや生意気なところがある。莉乃とは、千紘と三人で幼い頃から非常に親しく、ずっと思いを寄せていた。しかしなかなか言い出せずに、弟のように扱われていることを不満に感じている。剣士として名を知られていたが、高校入学後はほかの部からも誘われたため、剣道部に入部するか悩んでいた。しかしある日、見学に訪れた際に莉乃と桐谷蓮が交際していることを知り、深いショックを受ける。これによって蓮には負けられないと思うようになり、入部を決意してライバル宣言をする。その後、莉乃にふられてからも、莉乃がALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症したことをしばらく知らずにいた。しかしある日、蓮が莉乃のために医学部への進学を目指していることを知り、考えを改めて二人を応援するようになった。犬好きで、マスターの母犬が紫上学園高校に迷い込んだ際も、出産まで積極的に世話をした。
鏡道 (かがみどう)
紫上(しじょう)学園高校に通う2年生の男子。剣道部に所属している。やや子供っぽい性格で、明るくお調子者。身勝手なところがあり、剣道部でも本来自分がするべきことまでマネージャーに押し付けようとする。そのため橘千紘とは仲が悪く、桐谷蓮にもよく注意されている。桜木莉乃のことは、比較的自分の言うことを聞いてくれるために気に入っており、ひそかに「天使」と呼んで思いを寄せていた。しかし、蓮が主将になったのをきっかけに、蓮からかなり厳しくされるようになり、莉乃と蓮が交際を始めたことで身を引いた。さらに球技大会で、莉乃の怒ると怖い一面を知ってからは莉乃を恐れるようになり、雑用を押し付けるのもやめるようになる。そしてある日、莉乃がALS(筋萎縮性側索硬化症)であることを知り、友人として莉乃たちを支えていくようになる。
山本 真希 (やまもと まき)
紫上(しじょう)学園高校に通う2年生の女子。桜木莉乃のクラスメートで、夕実の友人。前髪を目が隠れるほど伸ばして左寄りの位置で斜めに分け、胸の高さまで伸ばしてゆるく巻いたロングヘアを、頭の高い位置でポニーテールにしている。気が強く攻撃的な性格の持ち主。ある日、夕実が桐谷蓮をデートに誘うが、莉乃の存在を理由に断られたことを知る。これに腹を立て、もう一人の友人と結託して球技大会のバレーボールで、あえて莉乃と橘千紘を同じチームに誘う。以来、練習中に嫌味を言ったり、練習の待ち合わせをわざとすっぽかしたりと、莉乃と千紘に嫌がらせをした。しかし球技大会当日、夕実のチームと対戦している時まで嫌がらせをやめなかったため、莉乃に激怒されて返り討ちにされた。その後も莉乃に意地悪をし続けるが、莉乃がALS(筋萎縮性側索硬化症)であることを知り、考えを改める。これ以降はクラスメートとして親しく付き合っていくようになった。
夕実 (ゆみ)
紫上(しじょう)学園高校に通う2年生の女子で、山本真希の友人。前髪を目が隠れるほど伸ばして左寄りの位置で斜めに分け、胸の高さまで伸ばしてゆるく巻いたロングヘアにしている。桐谷蓮に思いを寄せてデートに誘うが、桜木莉乃と交際しているという理由で断られてしまい、以来莉乃に逆恨みするようになる。そこで真希と、もう一人の友人に協力してもらい、球技大会に向けた練習で莉乃と橘千紘に嫌がらせをした。しかし、球技大会当日、莉乃や千紘、真希、もう一人の友人とバレーボールで対戦している時まで嫌がらせをやめなかったため、莉乃に激怒され、返り討ちにされた。
桜木莉乃の祖父 (さくらぎりののそふ)
ダイニングバー「Barre Astre」を経営する年老いた男性。桜木莉乃の父方の祖父であり、桜木雅行の父親であり、桜木加奈子の義理の父親。前髪を上げて額を全開にした撫で付け髪をし、口ひげと顎ひげを生やしている。雅行と加奈子は莉乃が幼い頃に亡くなっているため、莉乃と二人暮らし。気さくで親しみやすい性格をしている。また、妻をALS(筋萎縮性側索硬化症)で亡くしている。莉乃が体に異変が生じていることに気づき、その症状から、亡くなった妻と同じALSなのではないかと疑うようになる。そこで、この頃に知り合った桐谷蓮に、莉乃のことを注意深く見ていてほしいと頼み、莉乃の精密検査も行った。その後、莉乃がALSであると診断されてからは、莉乃の意思を何より尊重することを決意。夏に莉乃と蓮が旅行に行き、無断で宿泊日を増やした際も、無理やり連れ戻したり、帰ってきたあとに叱り飛ばしたりもせず、優しく受け入れた。
藤田 (ふじた)
北海道に住む年老いた女性。桜木莉乃の母方の祖母で、桜木加奈子の母親。前髪を目の上で切って真ん中で分け、肩につくほどまで伸ばしたボブヘアにしている。莉乃とは離れて暮らしていることもあり、加奈子が亡くなってからは桜木莉乃の祖父に任せていた。しかし、莉乃がALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症したことを知り、急遽会いに行く。そこで今後介助が必要な莉乃には、女性がそばにいた方がいいことと、これまであまり莉乃といっしょにいられなかったことから、今後は自分が引き取って北海道で暮らしたいと考えるようになる。これによって一度は莉乃に引っ越しを決意させるが、莉乃の通う紫上(しじょう)学園高校の学園祭に招待され、莉乃とその友人たちから校内を案内されたことと、莉乃がこの高校を卒業したいという強い気持ちを知ったことであきらめる。これ以降は頻繁に桜木家を訪れ、莉乃をサポートしていくことになる。また、これまで莉乃のためにためていたお金を、治療費として莉乃の祖父に渡した。
マスター
桜木莉乃が飼っている犬で、犬種は柴犬。莉乃たちが高校2年生の春、野良犬である母親が妊娠し、これを莉乃たちが見つけて保護したことで生まれた。その後は里親に出されることになり、きょうだいはみんなもらわれていったが、マスターだけもらい手がいなかったため、莉乃が引き取ることになった。またこの時、莉乃と桐谷蓮が、権威ある名前を付けようとしたことで、名前が「マスター」となった。
関連
書誌情報
10万分の1 9巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第2巻
(2016-05-26発行、 978-4091384539)
第3巻
(2016-09-26発行、 978-4091385789)
第4巻
(2017-03-24発行、 978-4091391360)
第5巻
(2017-06-26発行、 978-4091391803)
第6巻
(2017-10-26発行、 978-4091396792)
第7巻
(2018-01-26発行、 978-4091398710)
第8巻
(2018-06-26発行、 978-4098701735)
第9巻
(2018-10-26発行、 978-4098702527)