異世界の存在が日常化した日本
ある日、突如東京に別の空間に通じる穴が出現した。その地上とは異なる穴の中にはモンスターと呼ばれる危険な生物が徘徊しており、この奇妙な光景を目の当たりにした都民は驚愕する。そして、穴から通じる空間はやがて「異世界(ダンジョン)」と呼ばれるようになり、程なくして異世界に通じる穴が世界各地に出現する。それから55年経った現在、異世界やそれに通じる穴の存在は日本人にとってすっかり日常に溶け込み、やがて東京をはじめとした地方自治体にダンジョンの攻略を専門とする部署「異世界ダンジョン攻略課」が誕生する。
異世界攻略を専門とする公務員
「異世界ダンジョン攻略課」は、日本の各地に現れた異世界を探索するために設立された地方自治体の部署で、公務員が勤務している。異世界のモンスターを倒す役割を担う「討伐班」と、異世界のみに存在する資源を採取、発掘する「採掘班」に分かれている。当初はダンジョンの脅威に対処するため、各自治体が自主的に運営を始めた小さな部署に過ぎず、モンスターの討伐は警察組織の協力が不可欠だった。しかし、世界各地に異世界が出現したため、事態を重く受け止めた政府は異世界の本格的な探索を担う「攻略省」を設立する。そして攻略省の主導により、モンスター退治を任務とする討伐班が正式に発足する。
危険なモンスターたちを討伐する討伐班の戦士たち
日本中に出現した異世界には、首を切断されても死なないガガガドや、異世界に足を踏み入れた人間の後悔を想起させる幻覚を見せて人間を殺害する邪幻など、さまざまなモンスターが生息している。討伐班は、特殊な工房で開発されている武器や、身体能力を大幅にアップさせるパワードスーツを身につけてモンスターに対抗している。討伐班の用いる武器は、刀や長槍、ハンマーなど多種多様で、その多くが独自のギミックを搭載している。なお、討伐班の多くはスーツにネクタイを着用したうえでパワードスーツをまとっているが、これは過去にジャージの上にパワードスーツを身につけたところ、その異様な姿を見た住民からクレームがきたためといわれている。
登場人物・キャラクター
結凪 悠真 (ゆうなぎ ゆうま)
異世界ダンジョン攻略課のスギナミ区討伐班に所属する少年。ヒーローになることを夢見る見習い公務員。明るく前向きな性格で、好奇心や正義感が非常に強い。人工生物であるVer.4の親代わりとなり「コロッケ」と名付けて育てている。自分よりも実力が上回るモンスターに迷わず挑みかかるなど、無鉄砲な一面がある。戦闘時はハンマーを愛用しており、積極的に前線に立って力強いスイングでモンスターをなぎ倒している。幼い頃は気弱で泣き虫だったが、祖母からの教えの数々は現在の結凪悠真自身に大きな影響を与えている。異世界ダンジョン攻略課を志したのも、モンスターから人々を守るヒーローみたいな存在になりたいという気持ちと、祖母から安定した収入を得られると勧められたためである。
代永 天助 (よなが てんすけ)
異世界ダンジョン攻略課のスギナミ区討伐班に所属している青年。結凪悠真の先輩にあたり、スギナミ区討伐班の班長・火瑠見肇から悠真の教育係を任されている。戦闘時は高振動粒子で威力を高めた刀を愛用している。討伐班に配属された当初はヒーローにあこがれを抱き、代永天助自身の活躍で多くの人を幸せにしたいと考えていた。しかし、自分がいくら頑張っても周囲の様子が変わらないことに疑問を感じ、やがて情熱を失ってしまう。悠真の教育係に任命された時も、先輩として面倒を見つつも積極的に指導することはなかった。だが、悠真から「誰かに認められるだけがヒーローとは思えない」と言われたうえで、他者を守るために強力なモンスターに迷わず立ち向かう彼の姿を目の当たりにして、かつての情熱を取り戻す。それ以降は、悠真のペースに巻き込まれながら、スギナミ区討伐班の名物コンビとして知られるようになる。学生時代はバドミントンの県大会で3位に入賞したこともあり、実は熱血漢で正義感にあふれている。
クレジット
- 原作
書誌情報
スギナミ討伐公務員~異世界勤務の人々~ 全4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2018-05-02発行、 978-4088814735)
第4巻
(2019-04-04発行、 978-4088818177)