お飾り勇者から熟練鍛冶師へ
本作の舞台は、ドラゴンや勇者が存在する異世界「ワーライル王国」で、15年ごとに異世界から勇者を召喚し、魔族の脅威に対抗してきた。そんなワーライル王国に召喚されたヘイジは、勇者にとって必須とされる固有スキルを持っていなかったため、失望され、国王に処刑されそうになる。しかし、ある大臣の提案により、ヘイジは「お飾り勇者」として雇われるが、式典以外は王宮の一室に軟禁されることになる。そこでヘイジは、鍛冶師として密かに技術を磨き始める。身勝手な国王や周囲から冷遇されながらも、ヘイジは鍛冶の鍛錬に没頭し、意外なほどの充実感を覚えていた。40歳になったヘイジは、お飾り勇者としての役目を終え、熟練の鍛冶師として王都を離れ、新たな道を歩み始めることになる。
元勇者ヘイジと聖竜クルエルの冒険
勇者を引退したヘイジが国王から授かった褒美は、広大な森林に囲まれた辺境の領地だった。そこには鍛冶に必要な設備が整っており、ヘイジはこの地で鍛冶屋を開業し、新たな人生を歩むことを決意する。そんなある日、領地内の森で、巨大な聖竜が大ケガを負って倒れているのを発見する。通常の治癒では手遅れに見えるほどの深刻な傷だったが、ヘイジは鍛冶師ならではの発想と精密な技術を駆使してみごとに治療を施す。回復した聖竜は「クルエル」と名乗り、美しい金髪の少女の姿に変わると、命の恩人であるヘイジの鍛冶師としての技術に強い興味を示し、弟子入りを懇願する。こうしてヘイジは、弟子となったクルエルと共に小さな鍛冶屋「ヘージ」を開店する。ヘイジは、王宮での日々に磨き上げた卓越した鍛冶の腕前や建築の才能を発揮し、出会う人々を救っていく。
鍛冶屋「ヘイジ」のスローライフ
聖竜の弟子であるクルエルと共に鍛冶屋「ヘージ」を営むヘイジは、白狼族の少女、スゥーを仲間に迎え、無邪気な弟子たちに囲まれながら、第二の人生を満喫していた。当初は街に出ても武器がなかなか売れず、困難に直面していたヘイジたちだったが、新たな出会いを通じてその問題を克服していく。一方、優れた鍛冶師のヘイジを失った王都では、武器の質が低下し、彼が以前対応していた王宮の雨漏りの問題も発生していた。そんな中、王都の武器に満足できないエルフの剣士、ベルフェビアから刀の製作を依頼されたヘイジは、素晴らしい切れ味を誇るSランクの逸品を完成させる。この刀をきっかけに、ベルフェビアとの縁が生まれ、彼女の師でありヘイジの後任として正式に勇者となったカナエとの出会いも果たす。ヘイジ不在による王宮の混乱は、彼の穏やかなスローライフに大きな影響をもたらす。「鍛冶師」として類まれな力を持つヘイジが、強力な武具作りを通じて個性豊かな仲間たちと出会い、人々を助けたり問題を解決していく。また、クルエルやスゥーをはじめとする魅力的な少女たちとの心温まる日常や、ほのぼのとしたやり取りも本作の見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
ヘイジ
現代日本から勇者としてワーライル王国に召喚された男性。本名は笹貫兵次。勇者に必須の固有スキルを持っていないため、陰では「お飾り勇者」と呼ばれていた。しかし、鍛冶師としての道を歩み始めてから15年が経ち、真摯に鍛冶の技術を磨き続けた結果、ヘイジの腕前は、ランクAの強力な武器を製作できるほどに成長した。新たな勇者が召喚されたことを機に引退し、与えられた領地でスローライフを送ることになる。15年間、真剣に鍛え上げた鍛冶の技術はほかの同業者から惜しまれつつも、穏やかな生活を満喫している。召喚される前、深夜までの残業も当たり前の社畜サラリーマンだったヘイジにとって、日が暮れると仕事が終わる鍛冶師としての生活に大きな充実感を覚えていた。特筆すべき勇者らしい能力はないものの、初級魔法程度であれば使用することができる。
クルエル
辺境の森に住む聖竜。ふだんは金髪の美少女の姿をしている。実年齢は100歳を超えているが、聖竜としてはまだ若い部類に入る。性格は明るく好奇心旺盛で、時には大胆な一面も見せる。ある日、魔族に襲われて衰弱していたところを、クルエル自身の領地に移り住んだばかりのヘイジに救われる。ヘイジの自在に鉄をあやつる鍛冶技術に強い興味を抱き、彼に弟子入りを志願し、鍛冶屋「ヘージ」で働くことになる。
クレジット
- 原作
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延野 正行
書誌情報
おっさん勇者は鍛冶屋でスローライフはじめました 4巻 フレックスコミックス〈メテオCOMICS〉
第1巻
(2024-05-10発行、978-4866753546)
第2巻
(2024-09-12発行、978-4866753744)
第3巻
(2025-03-12発行、978-4866754185)
第4巻
(2025-09-12発行、978-4866754550)







