概要・あらすじ
とある高校の放課後。美術部部長の双葉つぐみは、美術室にこもり、一人きりで絵を描いたり、折り紙を折ったりしていた。子供の頃から美術に興味があったつぐみは、小4の頃、自分の好きだったウィリアム・ブレイクの絵をクラスメートに見せたことがあった。しかしそれが、全裸の男の絵画だったため、クラス中から「エッチなブレイクさん」とからかわれてしまう。以来「ブレイクさん」と呼ばれるようになったつぐみは、人見知りとなってしまった。だから高校でも、つぐみは一人で美術室に引きこもり、ゆっくりと作品作りに勤しむようになったのだ。ある日、いつものように美術室にいたつぐみは、いくつかの作品がなくなっていることに気づいた。部屋の隅をふと見ると、そこには、絵画を抱えて逃げようとする、下半身がゼリー状の少女がいた。突然のモンスターの出現に驚くつぐみだったが、大切な作品を奪われるわけにはいかない。勇気を出して少女にタックルすると、彼女の体はぐにゃりとひしゃげた。少女の正体はスライムだったのだ。スライムの目的は美術室の「お宝(美術作品)」の略奪であった。彼女の話では、この学校の美術準備室の扉は、時々異世界ダンジョンとつながるらしい。自分たちが住むダンジョンにあったお宝は、人間の手によってすべて奪われてしまったという。すっかり寂れたダンジョンを、もう一度キラキラした世界にするために、人間界のお宝を略奪するというのだ。事情はわかったが、先輩たちや自分の大切な作品を奪われることは許せない。そう考えたつぐみは、「自分で作ってみる?」とスライムに提案してみた。こうして、スライムと出会ったつぐみは、美術を通じて交流を深めていくことになった。
登場人物・キャラクター
双葉 つぐみ (ふたば つぐみ)
ショートカットが特徴の女子高生。美術部の部長で、緑色のジャージの上着を着ていることが多い。幼少時より美術が好きで、小4の頃、クラスメートにウィリアム・ブレイクが描いた裸の男性の絵を見せたことから、「エッチなブレイクさん」とからかわれ、「ブレイクさん」のあだ名で呼ばれるようになる。それ以来、人見知りが激しくなり、高校に入ってからも、放課後の美術室が唯一の自分の居場所となる。異世界ダンジョンからやって来たスライムと友達となり、彼女に折り紙やバブルアートなどを教える。
スライム
異世界ダンジョンからやって来たモンスター。不定形生物ではあるが、基本は少女の姿をしている。明るい性格で、好奇心も旺盛でいたずら好き。キラキラしたものが好きで、すっかり寂れてしまったダンジョンを、キラキラの宝物でいっぱいにしようと、「お宝(美術品)」を奪いにやって来た。美術室で、双葉つぐみと出会い、アート制作に興味を持つ。