概要・あらすじ
12年前に南米で起きた飛行機事故で、学者の両親と憧れていた兄を一度に亡くした萩原海湖は、叔父夫婦に引き取られ実の娘のように育てられた。高校生になっても優しく秀才だった兄の面影を引きずっていた海湖のもとに、突如として兄の生存報告がもたらさる。しかし、帰ってきた兄の萩原秀は、長年のジャングル暮らしによって、言葉も満足に話せない野蛮人になっていた。
海湖はそんな秀に振り回されながらも、彼を元の優しかった兄に戻そうと奮闘するのだった。
登場人物・キャラクター
萩原 海湖 (はぎわら うみこ)
永犬丸学園に通う女子高生。勉強と運動をマルチこなすオールマイティーな少女で、演劇部に所属している。12年前に飛行機事故で両親と兄を亡くしてから、叔父である萩原兵吾夫妻のもとで実の娘同然に育てられる。幼い頃から優秀で優しかった兄萩原秀は萩原海湖にとっての憧れであり、理想の男性だったが、そんな兄が野蛮人になって帰って来たことで、家にはマスコミが大挙して押し寄せ、学校でもからかわれるという騒々しい日々を送ることになってしまった。 以後は秀をかつての理想の兄に戻そうと一人奮闘する。
萩原 秀 (はぎわら すぐる)
5歳にして天才児と謳われ、学界からも注目を浴びていた萩原海湖の兄。両親と共に研究旅行に向かう際に飛行機事故に遭い、死亡したと思われていたが、単身で事故を生き残り、ジャングルで猿人によって育てられる。12年の歳月を経て日本へと帰国したものの、言葉をロクに話せないうえにいきなり遠吠えをしたり、住宅街で狩り用の罠を仕掛けるなど、完璧なまでの野蛮人へと変貌を遂げていたため、海湖に衝撃を与える。
今池 みちる (いまいけ みちる)
萩原海湖のクラスメートで友人の女の子。一日に平均3回は告白されるという優しく可憐な少女。永犬丸学園の華と称されているが、海湖によると「柔らかいくせに角がある」と性格で、まるで豆腐のようだとのこと。学校帰りに萩原秀が仕掛けたウサギ取りの罠にはまってしまうが、その時に出会った秀に恋してしまい、以後は彼に対し積極的にアプローチをするようになる。
森下 一生 (もりした かずお)
萩原海湖のクラスメートの男の子。会うたび海湖のスカートをめくっているが、実は海湖のことが好き。海湖に頼まれ、萩原秀の言語の家庭教師を請け負った。秀のことは決して嫌いではないが、海湖がいつも秀のことばかり話すために嫉妬の対象になっている。
后ヶ崎 誠一 (こうがさき せいいち)
新聞記者をしている男性。猿人に育てられた萩原秀を格好のネタとして追っている。スクープを掴むためには手段を選ばない主義で、わざと秀に狂犬を差し向けたり、秀が入院した病院にナース姿で忍び込むなど、パパラッチ並みの行動力を見せる。
熊西 (くまにし)
后ヶ崎誠一の後輩で新聞記者になって半年のカメラマンをしている男性。いつも誠一と行動を共にしているために無茶な仕事をさせられることが多く、非人道的な行為はしたくないと思いつつも、ついつい現場の勢いに流されてしまう。根は正直で心優しい人物。
三ヶ森 哲子 (さんがもり さとこ)
萩原兵吾の教え子で女傑として有名な学者。学術的調査という名目で萩原秀を預かり、秀の体調をチェックしている。本当の目的は、20年前に一目惚れした荻原省吾に告白した際に玉砕した恨みをはらすため、省吾の息子である秀を監禁することにあった。
楠橋 梨香 (くすばし りか)
萩原海湖のクラスに名門高校から転入していた女の子。眼鏡をかけた美少女で、勉強や運動を完璧にこなす才女。幼い頃に祖父と萩原省吾の間で決められた萩原秀の許嫁者であり、海湖と同様にずっと秀に憧れていたため、生還した秀に会いに来る。
萩原 兵吾 (はぎわら ひょうご)
萩原海湖の叔父で、12年前に両親と兄を亡くした幼い海湖を引き取った。実子がいないこともあり、海湖を我が子のように育てている。弟の萩原省吾とは違い、メルヘンチックな研究ばかりしている学者。三ヶ森哲子は教え子でもある。
萩原 幸子 (はぎわら さちこ)
萩原海湖の叔母で、12年前に両親と兄を亡くした幼い海湖を引き取った。夫と共に海湖を我が子のように大切に育てている。お人好しな性格だが、たくましい面もあり、萩原秀の髪を切る際は暴れる秀を縛り上げて散髪していた。
萩原 省吾 (はぎわら しょうご)
天才児だった萩原秀と南米に研究旅行へ出向いた12年前、飛行機事故によって命を落とした萩原海湖の実父。萩原海湖の母と共に学者の職に就いており、学術的な研究をしていた。海湖にとっては清々しい笑顔が素敵な、頼みごとを断り切れない温厚な父親であった。
萩原海湖の母 (はぎわらうみこのはは)
12年前、南米で起きた飛行機事故で亡くなった萩原海湖の実母。萩原省吾とは大学時代から付き合いがあり、眼鏡をかけたショートカットで、優し気な風貌をしていた。
テカリーナ ネアカ
アメリカの考古学者。同じくアメリカの生物学の権威であるジミー・クライドと共に、萩原秀を育てた新種の霊長類である猿人2頭を連れて来日する。