裏社会のダークヒーロー「スモーキング」
関東地方の裏社会では、ターゲットを鮮やかに殺害し、まるで煙のように姿を消す殺し屋集団が存在すると噂されている。彼らは「スモーキング」と呼ばれ、ふだんは住所不定のホームレスとして生活しながら、裏社会で暗殺の依頼を受け、法の裁きが及ばない悪党や外道を容赦なく排除している。本作は、そんなスモーキングの活躍を迫力満点のバイオレンス・アクションと共に描いたピカレスクロマン。彼らは殺し屋でありながら、弱者を思いやり、悪を打ち砕く独自のポリシーと正義感を持っている。
主人公は元外科医の老人
ふだんは紳士的な老人に見える佐辺重蔵は、暗殺した相手の刺青の皮を剥がし、ホルマリン漬けにして依頼主に送ることから「剥ぎ師」と呼ばれている。重蔵が率いる暗殺者集団「スモーキング」は、素手で悪党たちを叩き潰す「潰師」のゴロ、あらゆる武器を調達する「物足師」の八丁、薬品と化学のエキスパート「薬罪師」のヒフミンという四人で構成されている。彼らは出身や生い立ち、年齢が異なるものの、仲間意識や友情を超えた絆で結ばれた家族のような存在であり、互いに助け合いながら闇の世界を生きている。重蔵たちは裏社会でしか裁けない悪に制裁を加える日々を通じて、それぞれの苦悩やトラウマを乗り越えていく。物語は基本的に1話完結形式で、スモーキングのメンバーの視点を切り替えながら進行し、暗殺稼業や事件を通じて彼らの過去や心情が掘り下げられていく。また、日中はホームレスに扮している重蔵たちが根城としている公園を中心に、ほほ笑ましい日常や友情が描かれることもあり、緊張感や殺伐とした雰囲気を和らげてくれる。
スモーキングVSシークレット
物語の序盤では、暴力団などの裏社会の人々が「スモーキング」のターゲットとなっていたが、中盤以降は子供を虐待する父親や女性に付きまとうストーカー、暴力行為を続ける不良学生など、裏社会以外の人々に対しても制裁を加えるエピソードが登場する。スモーキングは裏社会で暗躍する中で、次第に敵を増やし、悪党からの恨みを買ったり、ほかの暗殺者に命を狙われたりすることが増えていく。さらに、佐辺重蔵の古巣である暗殺組織「シークレット」から暗殺者が差し向けられていることが判明し、当初から謎に包まれていた重蔵の過去が、シークレットとの戦いを通じて徐々に明らかになっていく。
登場人物・キャラクター
佐辺 重蔵 (さべ じゅうぞう)
殺し屋を生業とする老齢の男性で、暗殺者集団「スモーキング」の創設者。暗殺の証としてターゲットの刺青の皮を剥ぐことから「剥ぎ師」の異名を持つ。白髪にヒゲを蓄え、つねに葉巻をくゆらせている。元外科医であり、メス1本を巧みに使って皮を剥ぎ、依頼者にホルマリン漬けにした入れ墨の皮を届ける。スモーキングのリーダーとして仲間からの信頼も厚く、最年少メンバーのヒフミンの親代わりも務めている。スモーキング創設以前は、巨大暗殺部隊「シークレット」のNo.2として活躍していたこともあり、組織を支配していた砂地彰とは因縁がある。武器は外科手術用のメスを中心とした刃物のみで、銃はいっさい使わない。趣味はトランプ占いとトランプマジック。
ヒフミン
殺し屋を生業とする男性で、暗殺者集団「スモーキング」の一員。佐辺重蔵からは息子のようにかわいがられており、スモーキングの中では最年少ながら、ゴロや八丁よりも古参のメンバー。実年齢は25歳だが、小柄な体型のため、子供のように見える。幼少期に受けた壮絶なトラウマの影響で言葉を発することができず、「臭臭臭」や「聞聞聞」といった漢字3文字を使った独特な言葉でコミュニケーションをとっている。薬物の扱いに非常に優れており、「薬罪師」と呼ばれ、市販の薬品からオリジナルの劇薬を作り出している。これらの特技を生かして毒殺を行うだけでなく、見張りを眠らせたり遺体を溶かしたりするなど、サポート役としても活躍している。一方で、武器の扱いや闘技は苦手だったが、ゴロから格闘を教わり、スモーキング引退後はプロボクサーになった。純粋で子供っぽい心を持ち、公園にやってくる子供たちからも慕われている。







