概要・あらすじ
来日したヒンズー国のオキール殿下のもとに爆破予告が届く。偶然に殿下の側近であるアブク秘書官を助けたスリル博士は、裏にあるカラクリに気づき、黒幕の陰謀を阻止するべく奔走する。博士と息子のケン太、飼い犬のジップの活躍により事件は解決するが、スリラー好きの宿命か、彼らは次から次へと新たな難事件に巻き込まれていく。
登場人物・キャラクター
ケン太 (けんた)
スリル博士の息子。知恵と勇敢な心を持つ、正義感に満ちた少年。博士とともに数々の難事件に立ち向かい、時には自分の命を危険にさらしてまで人助けをする。ピンチに陥った際には、電気ムチを自在に使いこなして脱出する。飼い犬のジップを相棒として頼りにしている。
スリル博士 (すりるはかせ)
ケン太の父親。「スリル医院」を営む医師でもあり、スリラー好きなことから、「スリル博士」というあだ名で呼ばれている。困っている人を放っておけない性格で、似た性格のケン太とともに協力して事件解決に挑む。オキール殿下に爆破予告がされた事件の時には、体内に時限爆弾を仕込まれたアブク秘書官を助けるため、巻き込まれて爆死する危険を顧みず摘出手術を行うなど、勇気溢れる人物でもある。
ジップ
スリル博士の家で飼われている犬。非常に頭が良く勇敢で、ケン太の良き相棒として付き従い、犬ならではの嗅覚を活かして追跡などに大活躍し、ケン太のピンチも何度も救う。逆立ちしたり、あぐらをかくなどの芸もできる。
メロン
スリル博士の営む「スリル医院」で働く看護師の女性で、スラリとした美人。スリル博士やケン太の活躍をバックアップする役割を担っており、敵の動向を探るため、スチュワーデスやメイドに変装して様子を探ることもある。ケン太に対しては姉のように接しており、ケーキを焼いてあげるなど優しい面も持つ。
カボチャ
スリル博士の助手の男性。スリラー好きだが、スリル博士の命を狙う暴漢が襲ってきた時には、腰を抜かして何もできなかったりと、やや度胸にかける性格。スリル博士がベッタラ国の皇太子を狙うスパイにさらわれた時には、スパイ一味が差し向けた使いに、皇太子が秘密書類を隠した万年筆を奪われてしまうなど、何かと足を引っ張ることが多い。
オキール
ヒンズー国の王子。来訪先の日本で帝国ホテルに滞在中、爆破予告を受ける。厳戒態勢のもとでの捜索にもかかわらず爆弾は発見されず、のちに側近のアブク秘書官の体内に時限爆弾が仕掛けられていたことが発覚。自身も巻き込まれて爆死する危険を顧みず、アブクを見捨てることなく摘出手術に付き添った。
アブク
ヒンズー国のオキール殿下に仕える秘書官。銀座で買い物中に腹痛で倒れたところを、スリル博士に助けられる。「スリル医院」で撮ったレントゲン写真に謎の影が映っており、そこから体内に時限爆弾を仕込まれていたことが発覚する。
ダンダーラ
ヒンズー国のオキール殿下に仕える侍医官。アブク秘書官に盲腸の手術を行った時に、ニューヨークで手に入れた時限爆弾をひそかに体内に仕込んだ。秘密を知ってしまったスリル博士に刺客を差し向け、始末しようと企む。
マリ
サーカス団の団長の娘。団長とは実の親子ではなく、血友病で亡くなった親から引き取られて育てられた。団長には、マリもまたその病気を受け継いでいるのではないかと心配されているが、マリ自身はそのことを知らないでいる。サーカス団のライオンのレオと友達で、怪我をして「スリル医院」に入院している団長に代わって、ライオン使いの芸をやろうとする。
園長 (えんちょう)
植物園の園長。彼が働く植物園内には身の毛もよだつような恐ろしい何かが住んでいるという噂がある。その正体を確かめるべく潜入したケン太が、地下室で謎の化け物と遭遇したものの、園長は地下室など存在しないと言い張っている。納得できず再び植物園に侵入したケン太を捕らえ、秘密を守るために始末しようとする。
夜路 登 (よじ のぼる)
登山の前に健康診断を受けるため、スリル博士のもとを訪れた青年。登山するには天候が良くないと博士に忠告されるも、山で死ぬなら本望だと主張して怒鳴られる。2回遭難しかかったという過去を持ち、万全の準備をしていたが、3回目の遭難で吹雪に襲われ、ついに命を落としてしまう。死を前にして日記を残しており、そこには山中で出会った奇妙な声の謎を解いてほしいと書かれていた。
タカ子 (たかこ)
夜路登が書き残した謎を解くため、調査に訪れた谷川岳で、ケン太と出会った少女。危険だから山に登るのはやめるように忠告されるが聞き入れず、むしろ行くなと言われた遭難の名所ナダレ谷にわざと向かう。一見ただのワガママ娘のようだが、実はある決意を秘めて命を懸けた登山に挑んでいる。
レンタン
タカ子が登山に連れて来た青年。タカ子の父親が経営する会社にレンタンの父親が雇われているため、逆らうと首にすると脅されており、お守り役として彼女の言いなりになっている。気は弱いが体が大きく力持ちで、タカ子に命令されてケン太をパンチ一発でのしてしまう。
テング
テング族の最後の子孫、秋葉テングの33代目。山奥にこもって仙人のような暮らしをしていて、やむをえず人に会う時には山伏の服を着ていた。毒蛇にかまれて生死の境をさまよっており、執事が治療のためにスリル博士を呼んだ。心臓発作で亡くなる前に、テングの坊やに宝のありかを示す暗号を託した。
テングの坊や (てんぐのぼうや)
テング族の少年。33代目のいまわの際に集合したテング族の中で、1人だけ鼻を短くする手術を受けておらず、長い鼻のままでいたため、テングに宝の隠し場所を示す暗号を託される。宝を奪おうとする黒てんぐ党に命を狙われ、何度もケン太に助けられる。
黒てんぐ党の首領 (くろてんぐとうのしゅりょう)
テングの宝を狙っている。黒く塗ったテング面で顔を隠しており、その正体は知れない。目的のためには手段を選ばない残忍な性格で、33代目テングが暮らしていた別荘を焼き打ちにしたり、ケン太やスリル博士、テングの坊やを殺して宝を奪おうと付け狙う。
不眠症の青年 (ふみんしょうのせいねん)
脳みその中の眠る指令を出す部分が故障しており、1年間も眠らずにいる青年。夜になると気休めに自分の部屋から表通りをのぞくのが習慣で、ある日殺人事件を目撃してしまう。警察に訴えても相手にされず、逆に犯人に目撃したことを知られ、命を狙われる。スリル博士のもとを訪れ、助けを求めて保護される。
四桑 歌乱 (よくわ からん)
有名な政治家。不眠症の青年が目撃した殺人事件に関与しており、密かに人を雇ってスリル医院に送り込み、青年を始末しようとした。テレビ番組の公開録画にゲストとして呼ばれ、公衆の面前で罪を暴露されて逮捕される。
殺し屋 (ころしや)
数々の事件を解決したスリル博士とケン太に恨みを持つ何者かに雇われた男。相次ぐ事件に疲れてノイローゼになったスリル博士が、ケン太を連れて出かけた旅行先まで追いかけて来て、行く先々で細工をして事故に見せかけて殺そうとする。
ゲラズリ
ワニのようなマスクをかぶった謎の怪人。ベッタラ国の皇太子に仕えている。わざとスリル博士の目の前で万年筆を落として拾わせ、1日経ってから回収しに来る。とてつもなく力が強く、相撲取りも次々に投げ飛ばすほど。マスクを取って素顔を見せるのを極端に嫌がる。
皇太子 (こうたいし)
日本に密かに亡命していたベッタラ国の皇太子で、ゲラズリの主人。母国で起きたクーデターにより自分の国を追い出され、その証拠となる秘密書類を万年筆に隠して持ち込んだ。反乱軍が送り込んだスパイに、書類と命を狙われている。年の近いケン太を信頼し、助力を願う。
イタチの四次 (いたちのよんじ)
スリ稼業の男。ケン太から万年筆をスリ取り、金に換えようとする。万年筆を持っているところをゲラズリに見つかり、渡す代わりに財布を百個スッてこいと要求した。言われるままに行動するゲラズリを見て、万年筆の貴重さに気づく。泥棒仲間に万年筆を奪われそうになって逃げだしたところをスパイに助けられ、万年筆を売り渡すよう持ちかけられる。 しかし人殺しのために使うと教えられ、人の命を取る計画には手を貸さないと断る。
神父 (しんぷ)
セントユダ教会の神父のふりをして日本に潜伏している、X国スパイの首領。ベッタラ国の命令で、亡命した皇太子を連れ戻す仕事を請け負っており、クーデターを起こした謀反人に引き渡そうとしている。新聞にベッタラ語で広告を出してゲラズリをおびき寄せ、人質に取っていたケン太とジップと引き換えに、皇太子を連れて来るよう要求した。