あらすじ
第1巻
中学浪人を経験して、みんなよりも1歳年上として高校に入学した少女の一ノ瀬花名は、クラスに馴染めるかどうか不安に感じていた。不安に思いながら自己紹介する最中、担任である榎並清瀬に、今日が花名の誕生日である事を指摘され、それを聞いたクラスメイト達から祝福される。それがきっかけとなり、クラスメイトから話し掛けられる機会を得た花名は、思っていたよりも早く友達を作る事に成功する。(step.1)
高校に入学するちょうど1年前、花名はひどいおたふく風邪にかかっていた。それが原因で自宅療養を余儀なくされた結果、花名は滑り止めも含め、すべての高校の入試を受ける事ができず、中学浪人をする羽目になってしまう。この事実に大きなショックを受ける花名に、母親の一ノ瀬葉月は、遠く離れた土地で一人暮らししてみてはどうかと提案する。地元から離れた場所であれば、新たな気分で生活できるのではないかという、葉月の提案を受け入れ、花名は家を出て新しい生活をスタートさせたのだった。(step.2)
花名は電話で、葉月に学校での出来事を報告していた。元気に振る舞って見せるものの、1年ぶりの学校生活という事もあり、実際は花名にとってまだまだ心配な事ばかり。それでも思っていたよりも早く友達ができた事に安堵していた。そんなある日、友人達といっしょに弁当を食べる事にした花名は、みんなの前でいとこの京塚志温に作ってもらった弁当を広げる。すると志温の弁当はハートマークでご飯が彩られており、花名は志温との仲を誤解されてしまう。(step.3)
みんなでお弁当を食べていると、十倉栄依子がポットに入れてきたスープを取り出す。それは栄依子の妹、十倉光希のお手製スープで、栄依子の栄養が偏らないようにと、朝早くから起きて持たせてくれたものだった。感謝しつつスープを飲みながら、栄依子はふと受験生である光希がスープを作るために早起きする事で、体調を崩さないかと心配する。そんな中、受験日に体調を崩した経験がある花名が、体調にはくれぐれも気をつけた方がいいと、栄依子に強く忠告するのだった。(step.4)
花名のクラスではスポーツテストが実施される事となった。テストが始まる前、友人に自分の運動神経は普通だと言っていた花名は、いざスポーツテストが始まると、まったく身体がついていかない。1年もの浪人生活中、ずっと家で過ごしていた花名の体力は、すっかり衰えてしまっていたのだ。息も絶え絶えの中、花名は何とかスポーツテストの種目をこなしていく。(step.5)
スポーツテストが終わり、ようやく苦しい運動から解放される花名だったが、運動の疲れからか、こむら返りを起こしてしまう。そんな花名を心配した百地たまては、湿布をもらいに保健室へ向かうが、なぜかその途中で戻って来てしまう。たまては保健室に向かう途中でアイスの自動販売機を見つけたらしく、それに興奮するあまり湿布の事をすっかり忘れてしまったのだ。(step.6)
スポーツテスト以来、酷い筋肉痛に見舞われていた花名だったが、それもすっかり回復した。しかし、花名の運動不足を見かねた志温は、少しずつ運動するようアドバイスを送る。次の日、学校が休日であった事から、花名は志温といっしょにジョギングを始めるが、相変わらず花名の体力は衰えたままだった。そんな中、花名は犬と散歩中の栄依子と偶然出会う。(step.7)
みんなでゴールデンウィークの予定を話し合う中、栄依子が席を外す。するとその場にいた千石冠の様子が少し変わる。人見知りの冠は、仲のいい栄依子がいなくなると、その途端に小動物のように些細な事でビクつくようになってしまうのだ。それを知り、冠からまだ気を許してもらえていないのか、と寂しい気持ちになる花名だったが、その一方で小動物を思わせる冠のその様子をかわいくも思っていた。その気持ちをたまてと共有した花名は、いっしょに冠にちょっかいを出し始める。(step.8)
ゴールデンウィークに入り、花名の様子を見るために両親が遊びにやって来た。葉月は花名の元気な表情を見て一安心するが、花名は未だ中学浪人を経験した事について完全に立ち直ったわけではなかった。そんな花名に両親は、ゆっくり立ち直っていけばいいと優しく諭し、花名の大好物の料理を作るのだった。(step.9)
ゴールデンウィークの最終日、友人達が花名の家に遊びにやって来た。そんな友人達を前に、花名は家に遊びに来てくれた事を大いに喜ぶ。そんな中、栄依子と冠がサプライズで、近く誕生日を迎えるたまてと、4月が誕生日だった花名の誕生日パーティを開催。たまては早く誕生日を迎えていた花名と同い年になった事を喜ぶが、実際は1歳年上である事をみんなに秘密にしている花名は、そんなたまての姿に罪悪感を抱き、涙を流してしまう。(step.10)
ある日清瀬は、長い髪をバッサリと切って学校に現れた。その様子を見た栄依子は、髪を切った理由を聞きたがる。清瀬がお酒の勢いで髪を切る羽目になった事を話すと、栄依子はそんな彼女をフランクに励ますのだった。清瀬は栄依子の励ましの言葉を受け取りつつも彼女の態度に違和感を覚えるが、栄依子はそんな清瀬の思いもよそに、その後も積極的に話し掛けにいく。(step.11)
たまてはクラスメイトに名前を呼ばれるたびに、自分を「たまちゃん」と呼んでほしいとお願いする。実はたまては自分の名前の由来が嫌いで、できればその名前で呼ばれたくなかったのだ。その事情を詳しく聞いた栄依子が笑い転げる一方、花名は同情のあまり泣き出してしまう。そんな花名の様子を見たたまては、彼女の打たれ弱すぎる態度に呆れてしまう。(step.12)
花名は隣人の万年大会あてに預かっていた荷物を渡すため、彼女の家を訪れる。大会はお礼にと花名をお茶に誘うが、そこでお茶を切らしている事に気づく。花名は近くにあるコンビニで買ってきてはどうかと大会に提案するが、大会はそれを断る。彼女は、コンビニに行く事ですら躊躇してしまうほどの、重度の引きこもりだったのである。大会は自分を卑下しつつ、花名に対して自分が引きこもりになってしまった理由を語り始める。(step.13)
第2巻
一ノ瀬花名は、重度の引きこもりである万年大会の更生に協力する事となった。まず外出着を見繕おうと考えた花名は、その手の事で頼りになりそうな十倉栄依子に協力をお願いする。すると栄依子は、百地たまて、千石冠と共に早速大会の家にやって来る。人見知りの大会は積極的な栄依子にすっかり怯えてしまうが、そんな大会の様子も気にせず、栄依子は気合を入れて大会をおしゃれに着飾り始める。(step.14)
大会は栄依子に服のコーディネートをしてもらったものの、それは1日分の服にすぎない。そこで栄依子は、数日分の服を買いに行こうと大会を誘う。当初は反対していたものの、本当は引きこもりを克服してきちんと外に出られるようになりたいと考えていた大会は、意を決して栄依子達と共に外へ出掛ける事を決意する。(step.15)
冬服から夏服へ衣替えする季節がやって来た。そんな中、冠はスカートを履いてくるのを忘れて登校してしまう。上着で隠れているため下着こそ見えないものの、花名は事の重大さに激しく動揺する。その一方で、花名の慌てる様を見た栄依子やたまては、逆に冷静さを保っていた。その後、栄依子の持って来た体操着を冠が身につける事で、事態はあっさりと解決する。(step.16)
たまては自宅の大掃除をしていた際、10年前に遊んでいた携帯ゲームを発見し、学校に持って来た。携帯ゲームのソフトはギャルゲーで、たまては早速プレイを始めるが、あるキャラクターの攻略に手こずっていた。それを見ていた栄依子はたまてに代わってプレイし、いとも簡単に攻略してしまう。現実だけでなくゲームですら人たらしの素養を見せつける栄依子の凄さに、たまては驚くのだった。(step.17)
ある日の事、優柔不断な大会は栄依子に見立ててもらったシャツをスカートの中に入れるかどうかで悩み、栄依子に電話を掛ける。その質問に対し、栄依子は本人の好きにするのが一番だと答え、電話を切ってしまう。しかし、大会はそれでも一人では決められず、隣人の花名に助けを求める。しかし、大会と同じく優柔不断な花名もまたそれを決める事ができず、二人してどうすればいいのかと途方に暮れてしまう。(step.18)
誕生日を迎えた栄依子はクラスのみんなから祝福されていた。そんな中、受け取ったプレゼントの中身が偶然にもすべてヘアピンで、栄依子の髪はたくさんのヘアピンで飾り立てられる事になった。その姿を見たたまては、栄依子にプレゼントのヘアピンをつけながらお祈りをすれば、その願いが叶うのだと冗談を口にする。その冗談を信じた花名は栄依子にプレゼントのヘアピンをつけつつ、彼女の1年の幸せを祈るのだった。(step.19)
あまり親しくないクラスメイトから話し掛けられると、花名はどうしても緊張してしまう。6月も半ばに差し掛かろうというのに、花名はクラスメイトの半数と話した事すらなかったのである。それを相談された栄依子は、花名のため、彼女があまり話した事のないクラスメイトと話す機会をセッティングする。(step.20)
夏休みを目前に、たまてははしゃいでいた。しかし、栄依子が夏休みの前に期末試験がある事を話題に出すと、一転して憂鬱になってしまう。そんな中、栄依子は花名の家でみんなで勉強会をしないかと提案する。それを受けて花名は、せっかくだから泊まりで勉強会をしようと提案する。(step.21)
放課後、花名達は栄依子の妹、十倉光希の参考書選びに付き合う事になった。学校の校門で待っている光希のもとへとみんなで向かう途中、栄依子は用事を思い出し、ほかのみんなを先行させる。こうして栄依子抜きで光希と合流する事になったが、冠は初対面ながら、光希が小学生の頃の栄依子とあまりに似ているために驚いてしまう。(step.22)
たまてが指に貼っていた絆創膏を見た花名は、ケガでもしたのかと心配する。だが絆創膏を剥すと、そこには大きな指輪がはめられていた。いたずらで祖母の指輪をはめてみたら抜けなくなってしまったため、それを隠すために絆創膏を張っていたのだ。そんなたまてに、冠は消防署に行ってはどうかと提案する。だが、言葉足らずであったために、たまては、なぜ消防署に行くのかと大いに混乱する事となる。(step.23)
教師である榎並清瀬は、どこからともなく香るいい匂いで朝目覚める。その香りのもとを探そうとすると、そこには手首を縛られて清瀬の自宅で眠っている栄依子の姿があった。なぜ栄依子が自宅で眠っているのかわからない清瀬は混乱しつつも栄依子を起こし、事のあらましを尋ねた。栄依子は昨夜、泥酔している清瀬と出会い、清瀬の友人に彼女を自宅へと送っていくように託されていた。そして、清瀬の自宅についた途端、酔った清瀬に手首を縛られてしまい、仕方なくそこで眠っていたのだ。それを聞いた清瀬は悪酔いした事を反省するのだった。(step.24)
今週末、花名の自宅にはたまて、栄依子、冠の三人が家に泊まりに来る事になっていた。しかし、花名は自分を含めて四人が眠るだけの布団がない事に気づく。どうにかならないかと管理人である従妹の京塚志温に尋ねると、志温の布団を借りられる事になった。事が解決して志温にお礼を言う花名に対して、その場に偶然居合わせていた大会は、自分も何か花名の役に立てないかと考える。(step.25)
第3巻
週末、一ノ瀬花名は家に泊まりにやって来た友人達を嬉しそうに迎える。そんな花名達のもとを、花名の隣人である万年大会が偶然通り掛かった。これからコンビニに行くのだと言う大会はスウェットを着ており、以前栄依子が私服をコーディネートしてあげたにもかかわらず、油断からかすっかり元のださい服装に戻ってしまっていた。栄依子はそんな大会の私服を再度コーディネートしつつ、3か月保てればずっとこの状態を継続できるのだと説いた。(step.26)
花名の家に泊まるお礼として、百地たまてが夕食を作る事になった。たまての作った中華丼は好評で、みんなは喜んで平らげる。夕食のあとはたまての希望で怪談話をする事になり、家主である花名から怪談話を始める。しかし、花名の話す怪談話はみんなには怖がられず、続く栄依子も話が雑であるせいか怪談話の体を成していない。そして冠の次にたまてが怪談話を始める。希望しただけあって、たまての怪談話の始まりは本格的なものだった。しかし、だんだんとおかしな方向へと話が進んでしまう。(step.27)
夏休みを前に、手持ちの水着のサイズが合わなくなってきていた栄依子は、新しい水着がほしいと言い出す。中学3年生の頃に比べて胸のサイズが2サイズもアップしていたからだ。それを聞いたたまては胸が小さいのがコンプレックスである事から、都市伝説だと言い出す。それを否定する栄依子だったが、続いて花名、千石冠までもがたまての言葉に同意して、みんなで栄依子がおかしいのだと冗談半分で責め立てる。(step.28)
クラスで抜き打ちの風紀検査があるらしいと、事前に知った花名達は、検査で目をつけられないように乱れた服装を正したり、学校への持ち込みを禁止されている持ち物を隠したりし始めた。そんな中、たまては手慣れた動きでみんなにアドバイスを送る。そんな生き生きとしたたまての様子を見た栄依子は、密輸の仕事でも請け負っていたのかとつぶやく。しかし、始まってみれば風紀検査は緩いもので、もっと厳しい風紀検査を想像していたたまては肩透かしを食らってしまう。(step.29)
教師の榎並清瀬のもとに本日の日直である冠が日誌を届けにやって来る。しかし、人見知りの冠は、一見冷たい雰囲気である清瀬を相手にすっかり怯えてしまう。その様子を見た清瀬は持っていたアメを与えて冠を慰める。そんな清瀬の態度を知った栄依子とたまては、清瀬が冠を贔屓したと言って冗談半分で騒ぎ立て始めた。一方、アメをもらった冠は満足気な様子を見せる。(step.30)
ある日、花名が家に帰って来ると、なぜか母親である一ノ瀬葉月が家にいた。葉月は急に仕事が休みになったために抜き打ちで花名の様子を見に来たのだった。花名の元気そうな様子を確認した葉月は、せっかく来たのだからと、花名に料理を教える事にする。何か覚えたい料理はあるかと葉月から問われた花名は、好物である角煮のお芋ソース乗せを希望した。手間の掛かる料理である角煮のお芋ソース乗せだが、花名は葉月から教わりつつも頑張って作り始める。(step.31)
日直のために朝早くから学校に登校した花名は、担任教師の清瀬と廊下で出会う。清瀬は昨日、花名の母親である葉月が自分のもとへと挨拶にやって来た事を告げつつ、学校での調子はどうかと花名に尋ねた。花名は学校が始まった当初は不安であったが、今はもう学校に馴染んできたと告げた。すると清瀬はそれは馴染んできたのではなく、みんなとなかよくなったという事なのだと教えた。その言葉でみんなと親しくなったのを自覚した花名は嬉しそうな笑顔を見せる。(step.32)
内緒話に付き合ってほしいと言われて栄依子に呼び出された花名は、人には言えないヤバい話をされるのかと怯えてしまう。そんな花名の様子を見た栄依子は、そこまで重い話ではないから安心してほしいと告げ、内緒話を始めた。栄依子は樹皮細工でアクセサリーを作るのが趣味で、これを雑貨屋を営んでいる母親の店先で商品として置かせてもらっていた。ただ、義理で商品を買ってもらいたくない栄依子は家族以外にこの話をしておらず、花名はそれを知る初めての友人になった。(step.33)
夏がやって来る中、たまて達はますます暑くなっているのを肌で感じていた。中でも一際暑そうにしている栄依子に、着ているベストを脱いではどうかと、たまては提案する。しかし、栄依子はベストの下に学校指定のキャミソールを着ておらず、下着が透けてしまうからベストを脱げないのだと告げた。それを聞いたたまては面白がって栄依子の着ているベストの下に頭を潜り込ませると、彼女の透けている下着を確認する。一方、そんな栄依子とたまてのおかしな様子を見た花名は、驚いて声を上げてしまう。(step.34)
朝から夢見が悪かった花名が布団から起き上がって時計を見ると、遅刻しそうな時間である事に焦る。慌てて学校へと向った花名は、なんとか遅刻する事なく登校する。しかし、登校途中に花名から挨拶をされた友人達は、彼女の声の大きさに驚いてしまう。実は花名は昨日の夜から耳栓をしており、慌てていた事で耳栓している事を忘れて学校に登校してしまったのだ。そのせいで普段よりも数倍大きい声でみんなに挨拶していた花名は、その恥ずかしさから顔を真っ赤にしてしまう。(step.35)
清瀬は、学期末で忙しくなり、昼に食事に行くヒマすらなかった。そんな中、清瀬の受け持ちの生徒である栄依子は、彼女のためにパンを買って来てあげる事にする。栄依子は清瀬の注文である甘いパンを2個買っていくと、ついでにコーヒーを淹れるように頼まれる。その人使いの荒さに憎まれ口を叩く栄依子だったが、栄依子の表情はどこか嬉しそうだった。(step.36)
学校からの帰り道、たまては今月の家計がピンチだと愚痴る。たまてはひと月分の家族の食費管理を担当しており、その残った分を自分のお小遣いとしていた。しかし、家族にできる限り美味しい食事を食べさせたいと思うたまては、お小遣いの分を削ってでも、食費へと回していた。そんなたまてを花名達は偉いと褒め称える。一方、たまては友人達から称賛の声を浴びせられ、顔を真っ赤にして照れてしまう。そんなたまてが自宅に帰ると、家族から外食に行こうと誘われた。食費がピンチである事からそれを断わるたまてだったが、いつも美味しい料理を食べさせてくれるたまてを労うために、食事代は家族みんなで出してくれると言う。たまてはその気遣いに感謝しつつ、今日だけは贅沢をするのだった。(step.37)
第4巻
終業式の日を迎え、明日から夏休みが始まる。しかし、一ノ瀬花名は明日から暫くみんなと会えない寂しさから泣き出してしまう。そんな中、クラスメイトの十倉栄依子や百地たまては夏休みの予定について話し始めた。数々の予定をみんなと話し合う内に、夏休みのあいだもみんなとたくさん会える事を知った花名は、自然と笑みが零(こぼ)れるのだった。(step.38)
夏休みに入った直後、希望生徒のみ参加する事となる校内施設での学習強化合宿が始まった。それに参加した栄依子は夜中、寝汗で起きてしまったため、シャワー室でシャワーを浴びる事にした。その最中、教師である榎並清瀬に見つかってしまった栄依子は、就寝時間外に出歩いている事を叱れられてしまう。清瀬からシャワーを浴びる事を見逃してもらった栄依子だったが、シャワーを浴びている最中、自分が風邪を引いてしまった事に気づいた。その後、栄依子は清瀬により保健室に運ばれる。(step.39)
夏休みにみんなで集まった花名達は、たまての案内で野菜の直売所に行く。たまてが「おいさん」と呼ぶ老人から買ったトマトやキュウリは、大きさこそ不ぞろいであるものの新鮮で瑞々しく、口にした途端、笑顔がこぼれる美味しさだった。一方、花名もみんなに倣ってトマトを口にしようとするが、食べた途端に溢れる果汁をこぼしてしまい、うまく食べる事ができない。花名はたまてからアドバイスを受けてもう一度食べてみるが、今度は勢いよく頬張った結果、むせてしまうのだった。(step.40)
夏休みを利用して海に行く予定を立てた花名達は、前日から花名の家に泊まって朝早くから出発する事にした。しかし、海に行く予定を立てた当日はあいにくの雨。その光景を目の当たりにしたたまては、海に行くのを楽しみにしていた反動から泣き出してしまう。それを見た花名もたまてに共感してしまい、もらい泣きしてしまう。そんな花名とたまての様子を見た栄依子と千石冠はせめて気分だけでもと、家の中で水着を着てみる事を提案する。(step.41)
室内で水着になる中、元気を取り戻したたまては何をしようかとみんなに尋ねる。そんな中、栄依子は花名に宿題のプリントでわからない箇所を尋ね始めた。そんな栄依子達の様子を見たたまては、こんな時に勉強なんてしなくてもと憤るが、水着で勉強する二人の様子を眺めている内にそういう姿も新鮮でいいものだと考えを改める。そして、花名の胸を凝視する内、たまては花名の胸が成長している事に気づく。それに比べて自分の胸に成長の兆しがない事を嘆くのだった。(step.42)
室内で水着で過ごす内にだんだんと花名は羞恥心が薄れてくる。それをたまてから指摘された花名は顔を真っ赤にして恥ずかしがった。そんな中、朝早かった事から冠が眠気を覚え、それにみんなが誘われていっしょに眠り始める。花名が起きると同時に冠も起きるが、冠の頭にはなぜか水着が乗っかっていた。それは栄依子の胸を隠していた水着で、眠っている最中に取れてしまったのだ。それにより起き上がった栄依子の胸は露わになってしまう。(step.43)
引き続き室内で水着で過ごしている内にお昼を迎え、たまてがおにぎりを作ってくれる。そんな中、たまてが高級感ある盛り付けを研究しているとの事で、おにぎりでも高級感のある盛り付けができるか試行錯誤する。大きいお皿に一つだけおにぎりを載せてみて高級感を出そうとするたまてだったが、花名や冠に一つだけあまったおにぎりみたいで高級感はないと否定されてしまう。それを聞いたたまては高級感のあるおにぎりの盛り付けについて次々と意見を出していく。(step.44)
室内で水着で過ごす内に降っていた雨は止んだ。そんな中、冠が屋外温水プールに行かないかと提案する。みんなはその案に賛成し、屋外温水プールへと向かった。水着で過ごしていたために、その上に私服を着てから屋外温水プールに向かう中、たまて、花名、冠が下着を忘れてしまう。しかし、花名とたまての二人は下着を忘れた恥ずかしさのあまり、その事をみんなに隠すのだった。(step.45)
ある日、鏡を見た花名は自分が大人っぽくなっているのではないかと思い始めた。そんな中、花名はみんなよりも1歳年上である秘密が周囲にバレるのではないかと不安がる。その次の日、散歩に出た花名はその途中でたまたま栄依子に出会う。その際、栄依子の大人っぽい服装や仕草を見た花名は、自分なんてまだまだ大人っぽくはないと悟った。しかし、その一方で胸の成長を感じていた花名は、栄依子に下着を買い替えてはどうかと提案され、いっしょに下着を買いに行く事にする。(step.46)
従姉妹の披露宴に出席する事となった栄依子とその妹の十倉光希は、式に着ていく服を試着していた。その姿を見た両親は子供達がどんどん大人っぽくなってきたと話す。その一方で父親は娘を嫁に出す事に対してはまだまだ否定的。自慢の娘に見合う男でなければ簡単には嫁がせないと口にしつつ、その男の条件について提示し始めた。そんな父親の条件に対して、それでは貴方は無理だと冗談を口にする母親。栄依子と光希はそんな仲睦まじい両親の様子を見て笑顔になる。(step.47)
夏休みを利用して家族で旅行に行く事になった花名は、その旅行先で偶然冠に出会う。冠とはたまたま宿泊先が被っていたらしく、その事に花名は驚きつつも喜ぶ。そんな中、花名の両親が花名のもとにやって来る。それを見た人見知りの冠は緊張からか顔を青ざめてしまう。しかし、花名は冠を紹介しようと両親の前に連れて行くが、冠はすぐにその場から逃げ出してしまう。その一方で自分を友人だと紹介してくれた事から嬉しそうな表情を浮かべるのだった。(step.48)
アパートの管理人である京塚志温から荷物を預かっていた花名は、それを渡すために隣人の万年大会の家を訪れた。そして、ついでに大会に旅行のお土産を渡した花名は、そのお礼にとお茶に誘われた。しかし、未だに通販での買い物を止められない大会の部屋は、空けてない段ボールの山でいっぱいだった。どこに何が入っているかは把握していると豪語する大会だったが、コーヒーを出そうとしても、段ボールの山からそれを探し出す事ができない。そんな大会を見た花名は、段ボールすべてを開けようと大会に提案する。(step.49)
第5巻
みんなで買い物中、一ノ瀬花名と千石冠はホットケーキ型クッションに目を奪われる。それが半額である事を知った花名は早速購入する事に決めた。そんな中、商品の発送が明日以降になると店員に聞かされた花名は、自分で持って帰る事を決める。それくらい楽勝だと考えていた花名だったが、持って帰る途中でその大変さに気づいてしまう。結局、花名は苦労を掛ける事に罪悪感を覚えながらも、みんなの手を借りて商品を持ち帰る事にする。(step.50)
ある日、千石家から十倉栄依子宛てに「御礼」と書かれた荷物が届く。それが冠からではなく、冠の家族からの贈り物である事に気づいた栄依子は。贈り物の御礼をするために千石家へと向かった。栄依子の急な来訪を温かく迎えた冠やその祖母に対して、冠の父親は素っ気ない態度を見せる。実は栄依子は冠の父親に対して謝罪したい過去があった。冠の部屋に招かれた栄依子は、その部屋にいた猫2匹を眺めている内に冠と初めて会った時の事を思い出す。(step.51)
小学6年生の頃、学校の図書館で本を読んでいた冠に話し掛ける女の子がいた。それこそが栄依子で、彼女はいっしょに子猫を観に行かないかと冠を誘う。しかし、この頃の冠は野良猫や雑草などに触る事を両親によって禁止されていた。それを聞いた栄依子は触るのではなく、観るだけならどうかと尋ねる。それならばと、冠は栄依子といっしょに猫を観に行く事に決めた。人見知りだった冠だが、優しく接してくれる栄依子に対して次第に心を開いていく。(step.52)
冠は初めて栄依子と会った日の翌日も彼女と遊ぶ事にする。その日もいっしょに子猫を観に行くと、二人でいっしょに子猫をかわいがった。そんな中、態勢を崩して転びそうになった冠をかばった栄依子が、転んで泥だらけになってしまう。冠をかばって転んでしまったにもかかわらず、冠の心配ばかりする栄依子に申し訳なく思った冠は、栄依子が止めるのも聞かずに彼女に抱きついた。その結果、冠も泥だらけになってしまう。それを見た栄依子は冠が親から怒られてしまうのではないかと心配し、彼女が親から怒られないように冠の自宅へと向かうのだった。(step.53)
冠は自分をかばったあとに帰ってしまった栄依子を探すために、その翌日から学校全体を探し回る。しかし、その甲斐もなく、高校になって再会するまで冠は栄依子に会う事はなかった。実は栄依子と冠は通っている学校が違っており、栄依子は学校行事の一環で冠の学校へとやって来ていたのだ。しかし、その行事が終わった事で栄依子は冠の学校には入れなくなっていた。また、冠の家に行く事も考えた栄依子だったが、冠の父親に対して中途半端な謝罪をした時の事を思い出して怖くなってしまい、結局高校になるまで冠の家に行く事はできなかった。その時の事があり、高校生になってからも、栄依子は冠の父親に対して後ろめたさを感じていた。高校になって冠の家にやって来た栄依子は、今一度冠の父親と向き合い、心を込めた謝罪をする。(step.54)
志温との日課のジョギングを暫く休んでいた花名だったが、もっと体力をつける必要性を感じて志温とのジョギングを再開した。その際、花名は初めて決められたコースを1回も休まずに走り切った。それにより花名は以前よりも体力がついてきた事を実感する。その一方、花名達といっしょにジョギングに付き合っていた万年大会には疲れた様子はいっさいなかった。長い期間引きこもり生活をしていたはずの大会の体力が、自分とは雲泥の差である事に気づいた花名は、それに大きなショックを受けてしまう。(step.55)
志温は管理しているアパートの住人である小堀美弥子から、デートに行くのだと聞かされた。それを聞いた志温はたまたま通り掛かった大会にもデートについて尋ねてみる。一方、それを尋ねられた大会は経験に乏しい事から動揺してしまう。そんな大会を志温はデートをしないかと遊びに誘った。志温は大会にトイレットペーパーの特売に付き合ってもらったあと、いっしょに串揚げ屋に行く。そこで出された揚げたての串を気に入った志温は、続いて夕食にも花名といっしょにその串揚げ屋に行くのだった。(step.56)
志温は花名といっしょに串揚げ屋にやって来た事を、栄依子に写真付きでメールした。その写真を見た栄依子はたまてと冠を誘ってその串揚げ屋に行ってみる事に決めた。串揚げ屋に着いた栄依子は花名達に挨拶をしたあと、そこにいた担任教師の榎並清瀬に話し掛ける。実は志温から送られてきた写真には清瀬が写っており、栄依子は彼女に会える事を期待して串揚げ屋に来たのだった。(step.57)
夏休みが終わって新学期初日の登校前、花名は志温から旅行に行った時のお土産を学校に持っていくように勧められる。しかし、そのお土産は花名が買った物ではなかった。それでも花名は志温にお土産を持っていくようにと再度勧められ、疑問に思いながらも言う通りにする。学校に行ってから花名はクラスメイト達それぞれからお土産をもらい、そのお返しとして志温から持たされたお土産を渡す。花名はこの時のための物だったのかと、志温の気遣いに感謝するのだった。(step.58)
夏休みのあいだ、たまては体重が少し増えてしまった。それを花名達に指摘されたたまてはショックを受けるものの、すぐに立ち直ってダイエットをする事に決めた。そんなたまてに栄依子はスクワットしてみてはどうかと提案する。早速、スクワットを始めたたまては、そのあいだ気が紛れるようにと、栄依子と冠に軽快なフリートークをお願いする。それを引き受けた栄依子と冠はその会話中、パン屋の新作パンがどれだけ美味しいかの話を始めてしまい、ダイエットを決意したたまての食欲を煽ってしまう。(step.59)
大会の表情が青ざめているのを見た花名は、何かあったのかとその理由を尋ねる。以前から夏期講習に通っていた大会だが、これから1か月のあいだは2駅先の別校舎に電車で通わなくてならなくなったため、電車に乗り慣れていない大会はそれを考えて憂鬱になっていたのだった。ネガティブな思考が止まらなくなっている大会のために、花名は電車に乗るための特訓に付き合う事にする。(step.60)
栄依子は間違えて3年生専用の上履きを履いて来てしまい、それを清瀬に指摘される。だが栄依子は屁理屈を言ってなおも上履きを履き続けようとする。すると清瀬はこのままだと3年生の連中に目をつけられてしまうぞ、と栄依子を脅すが、栄依子はそれに怖がる様子すら見せない。そんな栄依子を怖がらせるために、清瀬は通り掛かった3年生を呼び止めると、栄依子を脅せと無茶な要求をする。しかし、その通り掛かった3年生は栄依子の知り合いだった。(step.61)
登場人物・キャラクター
一ノ瀬 花名 (いちのせ はな)
高校生1年生の少女。茶髪で、ショートカットの髪形をしている。高校入試の前日におたふく風邪に罹(かか)って入試を受ける事ができなかったため、1年間浪人していた。そのためクラスメイトよりも一つ歳上だが、その事実を周囲には隠しており、学校でその事実を知っているのは担任教師の榎並清瀬だけである。クラスメイト達と仲よくなっていく内に、秘密を隠し持っている事に対して罪悪感を持つようになる。 しかし清瀬に相談する事で若干ながら解消し、来るべき時が来たらみんなには打ち明けたいと、前向きに考えるようになる。中学浪人を経験する中で、仮に高校に通えても周囲と溶け込めないのではないか、という恐れを抱いていた時期があるため、友人と遊びに行くなど些細な交流に大きな感動を覚える事がある。 また、中学浪人中に外出する機会が少なかったため、体力が大幅に低下している。その結果、もともと平均程度だった体育の成績は、周囲に比べて大きく劣ってしまっている。
百地 たまて (ももち たまて)
高校生1年生の少女。一ノ瀬花名のクラスメイト。黒髪をツインテールの髪形にしており、髪を括っている片方だけに大きなリボンの髪飾りを付けている。また胸が小さい事にコンプレックスを抱いている。ギャルゲーが大好きで、長期間の休みになると、同人誌即売会などのイベントに出掛けている。天真爛漫で親しみやすい性格である事から友人は多い。 また、料理上手で家庭的な一面があり、家では食費のやり繰りも担当している。そのやり繰りで余ったお金を小遣いとしているが、新しい料理や美味しそうな食材を家族に食べさせてあげたくなってしまうために、趣味に回せるお金はさほど多くはない。名前の「たまて」は玉手箱が語源となっているが、あまり気に入っていないため、自分の事を「たまちゃん」と呼んでほしいと周囲には公言している。 そのため、周囲からは「たまちゃん」「たま」などと呼ばれている。
千石 冠 (せんごく かむり)
高校生1年生の少女。一ノ瀬花名のクラスメイト。銀髪のウェーブの掛かったロングヘア。また、前髪をまっすぐに切りそろえており、体格は小柄。小学生の頃から背はほとんど成長しておらず、背が小さい事を指摘されると不機嫌になってしまう。小柄ながら大食漢で、食べる事が大好き。しかし、食べるのが遅いため、限られた時間の中ではそれほどたくさん食べる事ができない。 人見知りな性格で、慣れていない人と話す際は怖がったり、時には泣いてしまう事もある。また、友人の十倉栄依子が近くいる時といない時とでは表情が変わり、比較的慣れている相手と話す時でも、栄依子がいないと怯えてしまう事がある。のちにそれも改善され、花名や百地たまてとは、栄依子がいない時も普段通り話す事ができるようになる。 栄依子とは小学生の頃にいっしょに遊んでいた時期があり、その思い出から栄依子には特別懐いている。現在の高校に通う事を決めたのも、栄依子がその高校に進学する事を知ったためである。
十倉 栄依子 (とくら えいこ)
高校生1年生の少女。一ノ瀬花名のクラスメイト。茶髪のセミロングの髪形で、前髪をヘアピンで留めている。樹皮細工でアクセサリーを作るのが趣味で、前髪につけているヘアピンも自作。また、母親が雑貨屋を営んでおり、そこで自分が作ったアクセサリーなどを商品として置かせてもらっている。人たらしな性格で、会って数分と経っていない人とでも、既知の親友のように仲よくする事ができる。 また、男女問わず相手がときめくような言葉を無意識に口にするため、多くの人達から恋愛感情を抱かれている。しかし、口説かれるのには弱い一面もあり、榎並清瀬からときめくような言葉を言われた際は狼狽(うろた)えていた。
榎並 清瀬 (えなみ きよせ)
一ノ瀬花名のクラスで担任を務めている女性教師。クールな雰囲気の持ち主で、当初は長い黒髪だったが、のちに髪を切ってショートカットになる。お酒に弱く、ちょっとお酒を呑んだだけで、他人の補助なしには歩けなくなってしまうほど酔ってしまう。細かい事にこだわらない大雑把な性格で、生徒に対してもフランクに接している。また、生徒の身だしなみや校則違反に関しては、軽く注意したうえで見逃す事が多い。 校則などに寛容であるためか、自分の服装や言動に関しても教師としては少々奇抜。そのため、学年主任から服装などについて何度となく注意を受けている。
大谷 周 (おおたに あまね)
高校生1年生の少女。一ノ瀬花名のクラスメイト。陸上部のマネージャーを務めている。黒髪のショートカットの髪型をしている。ボーイッシュな見た目で、運動が得意そうだと見られがち。しかし、実際は運動音痴。また、小さい女の子が大好きで、身長が小さい千石冠の足が速い事を知って、陸上部に勧誘していた。
椿森 幸 (つばきもり さち)
高校生1年生の少女。一ノ瀬花名のクラスメイト。女の子であるにもかかわらず、クラスメイトの十倉栄依子に片思い中。その思いが行きすぎるあまり、彼女を家に呼んだ時に出したお茶に薬を盛るなど、危険な行動に出る事がある。
京塚 志温 (きょうづか しおん)
一ノ瀬花名が住んでいるアパートの管理人を務めている女性。また、花名とはいとこの関係で、花名の食事の世話なども引き受けている。茶髪で、髪型をハーフアップにしている。お淑(しと)やかな雰囲気を漂わせており、胸が非常に大きい。実は就職浪人中で、アパートの管理人の仕事は本職ではなく、祖父を手伝っているだけ。
万年 大会 (はんねん ひろえ)
一ノ瀬花名の隣人である女性。長い黒髪を頭の横で括っている。大学浪人中で、浪人生活は2年目に突入している。高校生の時は学年主席で、生徒会長を務めていたほどの優秀な生徒だったが、受験当日に大雪による事故に見舞われた結果、本命の大学を受験できなかった。また、大雪での事故以来、酷い風邪を引いて滑り止めの大学すら受験する事ができず、浪人する羽目になった。 それ以来、自宅に引きこもるようになってしまう。それからは近くのコンビニにすら出掛けられないほどの重度の引きこもりになり、生活雑貨ですら通販に頼る生活を送っていた。そんな中、花名と出会い、その友人である十倉栄依子などに助けられた事がきっかけで、引きこもりが改善される。引きこもり生活で、ネガティブになっていた思考も、だんだんと前向きなものに変わっていった。 以降、花名やその友人達とは頻繁に顔を合わせる仲になっている。
十倉 光希 (とくら みき)
十倉栄依子の1歳年下の妹。ロングヘアで、栄依子と容姿が非常によく似ており、特に小学生時代の栄依子とそっくり。口癖は「勉強になります」。受験中で勉強が忙しい中、栄依子の栄養が偏るといけないと、昼食に手作りスープを作るなど姉思いな一面がある。
一ノ瀬 葉月 (いちのせ はづき)
一ノ瀬花名の母親。茶髪で、ショートカットの髪形をしている。大雑把で細かい事を気にしない性格で、花名が中学浪人になる事が決定した際も、それほど深刻には受け止めていなかった。ただ、中学浪人が決定して後ろ向きな思考になっていく花名の事は誰よりも心配していた。花名が高校に通い始めてからも、ヒマを見つけては担任である榎並清瀬のもとを訪れて、花名の学校での様子を尋ねたり、実家から離れてアパート暮らしをしている花名の様子を時折見に行っている。
おいさん
農業を営んでいる老人男性。白髪で、いつでも優しそうな笑顔を浮かべている好々爺。面倒臭がりで、収穫日にしかお店を開けないが、作る野菜は絶品。野菜を販売する際も、早く売れれば早く店を閉められるからと、既定よりも多めの量を提供してしまう。百地たまてからは「おいさん」と呼ばれているが、本名は不明。
書誌情報
スロウスタート 12巻 芳文社〈まんがタイムKRコミックス〉
第10巻
(2022-08-26発行、 978-4832273870)
第11巻
(2023-07-27発行、 978-4832274716)
第12巻
(2024-09-27発行、 978-4832295742)