タケコさんの恋人21

タケコさんの恋人21

仕事に恋にパワフルな北条猛子と海棠静のラブストーリー。静が出生の秘密や苦しい過去と向き合って本当の愛を見つけるまで、そして猛子が出産や子育てと仕事を両立する姿を描く。同じく講談社から出版された『新・タケコさんの恋人』の続編にあたる作品で、「kiss」2005年NO.7から2006年NO.19にかけて連載された。

正式名称
タケコさんの恋人21
ふりがな
たけこさんのこいびとにじゅういち
作者
ジャンル
キャリアウーマン
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概要・あらすじ

北条猛子は仕事にも恋にもパワフルに生きている精力的な女性。同棲中の海棠静のことが大好きだが、彼はいつも諦念を漂わせており、どこか淋しげだった。本当の悩みを打ち明けてくれない静に対して、猛子はもどかしさから彼を責め、それは自分を責めることへと繋がってしまう。そんな猛子に静は、自分の出生の秘密を打ち明ける。静は自分の存在そのものが両親を苦しめていたと感じなら、これまで生きてきたのだった。

しかし、亡くなったと聞かされていた実の父親が生きていると知った静は、自分自身を取り戻すために、わずかな手掛かりを頼りに、その人物を探す旅に出る。

登場人物・キャラクター

北条 猛子 (ほうじょう たけこ)

バリバリのキャリアウーマンで30歳。「七光物産」の秘書室で主任として働いている。背が高く大食らいなうえ、パワフルで仕事にも恋愛にも全力投球。恋人で同棲中の海棠静に心底惚れており、いつも孤独感を漂わせている彼を心配し、力になりたいと願っている。

海棠 静 (かいどう しずか)

北条猛子の恋人の男性。物静かで優しい東大卒のインテリ。ひょうひょうとしていて放浪癖があり、物欲にとらわれないタイプ。実は大手製薬会社の御曹司なのだが、今は実家を離れて道路工事現場で働いている。猛子のことを心から愛しており、大切にしたいと思っている。家庭環境が複雑で、兄の海棠皓太郎は海棠慎太郎の先妻の子だが、静と海棠翔は慎太郎の後妻となった海棠羽貴乃の子であり、なおかつ静は羽貴乃が慎太郎と結婚する前から身ごもっていた子だったため、兄弟の中で唯一父親が違う。

海棠 翔 (かいどう しょう)

海棠静の弟。以前は一時的に引きこもりだったが、現在はIT関連の会社を経営している。子供の頃は身体が弱く、あまり外で遊べなかった。兄は静と海棠皓太郎の2人がいるが、自分だけ年が離れている。表面上は仲良くしてくれるが、決して心の中に立ち入らせてくれない静に対して、淋しさを感じている。白血病を患い、ハワイで治療をするために1人で旅立った。

海棠 皓太郎 (かいどう こうたろう)

海棠静、海棠翔の兄。海棠慎太郎の先妻の子供で、海棠羽貴乃とは血のつながりがないため、静や翔の異母兄にあたる。慎太郎が興した製薬会社「KD製薬」を引き継ぎ、社長を務めている。忙しくて結婚相手を探す時間もない。

檜垣 薔子 (ひがき そうこ)

35歳の女性。北条猛子と同じラテン語のカルチャースクールに通っていたことから、彼女と仲良くなった。大学講師として日本文学を教えている。趣味は音楽鑑賞と旅行で、陶芸も習っている。隣に住んでいる小説家の男性とほのかな恋を育てているが、まだ決定的な関係になっていない。

土岐 卓 (とき すぐる)

海棠翔の個人秘書で、若いながらに有能な男性。翔のことを尊敬し、また身内のように親しみを覚えている。白血病にかかり、治療のために1人でハワイに旅立とうとする翔の力になろうと、奔走する。

海棠 慎太郎 (かいどう しんたろう)

海棠静、海棠翔、海棠皓太郎の父親で、海棠羽貴乃の夫。子供の頃は貧乏な家に育ち、一代で大手製薬会社「KD製薬」を築き上げた。現在は社長業を皓太郎に譲り、体調を崩して自宅療養中。機器に囲まれ、看護師につきっきりで看護してもらっている。若い頃は厳格で、静の出生の秘密を本人に打ち明けた羽貴乃が許せず、つらく当たっていた。

海棠 羽貴乃 (かいどう うきの)

海棠静、海棠翔の戸籍上の母親で、海棠慎太郎の後妻であり、海棠皓太郎の養母。既に故人。実家が経済的に逼迫したことから慎太郎と結婚させられることとなったが、3人の息子たちを分け隔てなく育てた。もともと、結婚話が持ち上がった時にはすでにお腹に静がいた。彼の本当の父親である水島亮治のことを愛していたが、亮治が自殺したと聞かされたため慎太郎と結婚したという経緯がある。 心臓の持病があり、心不全で亡くなった。生前、静の出生の秘密を本人に知らせたことで、慎太郎から責められていた。

ばあや

海棠家で昔から働いている老女。子供の頃から海棠静、海棠翔、海棠皓太郎たちをとても可愛がってきた。海棠慎太郎と海棠羽貴乃の確執や、静の出生の秘密を知りながら見守ってきた人物。

水島 亮治 (みずしま りょうじ)

海棠静の血縁上の父親だが、戸籍上はつながっていない。海棠羽貴乃と付き合っており、彼女のお腹には子供もできていたが、海棠慎太郎の圧力によって引き離された過去がある。これにより世間的には死んだことになっているが、歌人として短歌を詠みながら全国を旅していた。自殺しようとしたところ、老夫婦に止められてそのまま海のそばで暮らすことになり、老婦人が亡くなった後は一人残された孫娘の碧とともに暮らしている。

(みどり)

老夫婦の孫娘。水島亮治が自殺しようとしているところを救った。子供の頃に堤防からテトラポットに落ち、それ以来足を悪くし引きずって歩くようになったが、元気な働き者。両親はすでに亡くなっており、祖父母を亡くした後、亮治と一緒に住んでいる。

斉藤 (さいとう)

「J・ハイテクノロジーズ」に勤務している中年の男性。「七光物産」と共同開発事業を行っているため、北条猛子とも面識があり、互いに信頼し合っている。猛子の仕事の手腕を高く買っており、DME開発の新事業を展開するにあたり、その会社の社長として猛子を推薦した。

カイラス・ディー (かいらすでぃー)

「EARTHPIA」の代表の1人。DME開発の新事業を展開するにあたり、トップの人選を任されている男性。「カイラス」という名前は「チベットの神の山」という意味で、イギリス人の祖母が付けた。北条猛子に惚れ込み、本気で人生のパートナーになって欲しいと願っている。

山脇 (やまわき)

大学時代の水島亮治の友人の男性。亮治と同じ短歌の同人サークルに所属し、ともに同人誌を出版したことがある。噂で亡くなったと聞いていた亮治から、11年前にハガキが届いたことを海棠静に知らせ、静が亮治を探すための大きなヒントを与えた。

アレキサンドラ

カイラス・ディーの姉。世界中を飛び回りながら仕事をしている、華やかで現代的な女性。他人からは遊んでいるように見えても、PC1つでいともたやすく大きな商談をまとめてしまう凄腕。北条猛子のことが気に入っている。

奥野 柚摩 (おくの ゆま)

38歳の女性。同じラテン語のカルチャースクールに通っていたことから北条猛子と仲良くなった。紆余曲折の末、元カレだった年下の男性との間に赤ちゃんができて結婚。もうすぐ出産予定で、幸せな家庭を築いている。

鍋島 香月 (なべしま かづき)

32歳の女性。同じラテン語のカルチャースクールに通っていたことから北条猛子と仲良くなった。20歳の時に未婚のまま娘を生み、12年間女手1つで育てた末、本当に自分を愛してくれる男性と結婚。現在は家族3人で幸せに暮らしている。海棠静とは大学時代の同級生で、同じサークルに所属していた。

喜市 友介 (きいち ゆうすけ)

海棠静の東大時代の先輩で、研究職をしている37歳の男性。仕事に対してはとても熱心なのだが、性格が真っ直ぐで一本気なため、何かと周囲と衝突することが多い。そんな自分を理解者してくれる後輩の氷見義清とは仲が良く、いつも一緒につるんでいる。大学時代は静とともに空手部に所属しており、その時の事故で左手の指が3本動かなくなっている。

氷見 義清 (ひみ のりきよ)

海棠静の東大時代の後輩で、親の経営する不動産屋を継いでいる男性。喜市友介のことをよく理解しており、すぐに周囲と衝突してしまう喜市を心配している反面、そんな彼の姿に憧れている部分がある。

雁谷 詩子 (かりや うたこ)

「七光物産」の秘書課で働く50代の女性。独身だが人生経験は豊富で、同じく秘書課で働く北条猛子にとっては良きアドバイザー。仕事ができるうえに気さくで世話好きなところがあり、妊娠、出産した猛子のことを気づかい、仕事面でもサポートしてくれる頼れる先輩。実は昔、金井と付き合っていたことがある。

副島 未来 (そえじま みく)

「七光物産」の秘書課で働く若い女性。もともとは新人として配属されたが、今ではすっかり仕事にも慣れて、北条猛子にとって頼れる後輩となった。猛子が産休の間も、彼女に代わりしっかり留守を守った。一方で、意外と乗せられやすい性格。

七光 憲人 (ななひかり けんと)

「七光物産」の社長の息子。海外を飛び回り、インフラ事業を進めてきた。進歩的な考え方の持ち主で、血縁は関係なく有能な人材が会社を継げばいいと考えている。結婚しているが子供に恵まれず、妻が不妊治療をしている。北条猛子とは親友同士で、互いに良き相談相手となっている。

金井 (かない)

「七光物産」の秘書室で室長として働く中年男性。社会に出て働く女性に対してあまり理解がなく、北条猛子が妊娠、出産、そして第二子の妊娠をしたことについて、なにかと嫌味を言ってくる。指先で机をトントン叩くのが癖。村川俊夫が企てた「七光物産」の乗っ取り計画に加担する。

春日 七海 (かすが ななみ)

新しく「七光物産」の秘書課に配属されてきた女性。第二子を妊娠し、再び産休に入ろうとしていた北条猛子のポジションを脅かすバリバリのキャリアウーマン。金井に可愛がられているが、面食いで男性に対する理想が高く、独身主義。趣味はテレビゲーム。

飯戸 星弥 (いいど せいや)

背が高くてスタイルの良い美人。「七光物産」の企画開発部第二課に所属する。スウェーデン人のクォーター。北条猛子のことを気に入っている。新しい企画が通らないことに違和感を覚え、会社内の不穏な動きを察している。

村川 俊夫 (むらかわ としお)

七光社長の弟の娘婿。米国支社長をしている。社内の中で七光社長に対する反対勢力を作り、彼らに命じて自社株を買い集めさせている。自身も七光物産の株を1割強ほど所有している。会社を買収し、それを切り売りして自分だけ利益を得ることを企んでいる。

七光社長 (ななひかりしゃちょう)

「七光物産」の社長。北条猛子の高い能力を見抜き、抜擢した張本人。いつもニコニコして好々爺然としているが、実はかなりのキレ者。会社を愛し、社員たちを愛している。血圧が高く、引退して悠々自適な生活したいと考えていた。しかし、これまで多くの人に助けられたことをふり返り、人生最後の日まで社会のために働くことを決意する。

場所

七光物産 (ななひかりぶっさん)

海外のインフラ事業なども手がけるグローバルな会社。七光社長のもと、北条猛子をはじめ、大勢の社員が働いている。次期社長は七光憲人と決まっている。社屋は都心の高層ビルに入っており、社内には託児所もあるなど、女性にとっても働きやすい環境が整っている。

J・ハイテクノロジーズ (じぇいはいてくのろじーず)

次世代エネルギー「DME」開発に力を入れている会社。斉藤が勤務している。「七光物産」とは共同開発事業を行っている。世間ではあまり知られていないが、「EARTHPIA」の系列会社でもある。

EARTHPIA (あーすぴあ)

世界各国に大規模な事業を多角展開している大企業。これまで日本では直接業務を手掛けてはいなかったが、「DME」の開発に強い関心を持っており、これを機に日本進出を果たしたいと考えている。

その他キーワード

DME (でぃーえむいー)

環境問題に適応度の高いジメチルエーテル。日本の企業が世界で初めて、「DME」を直接合成する技術を開発した。これによって石油に頼らないエネルギーを確保できる可能性が生じ、期待が高まっている。現在は主に「J・ハイテクノロジーズ」が開発に携わっている。

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