妖怪同士の迫力ある異能力バトル
本作は化け猫のタタリのほか、雪女のセツナをはじめとする妖怪が多数登場する。いずれも超常的な能力を持ち、「マフィアの継承戦」に参戦しているマフィアたちは各々に専属妖怪を飼っており、タタリと迫力満点の異能力バトルを展開する。大妖怪の化け猫であるタタリは、武に対して深い友情を持ち続けながらも、妖怪らしく暴虐の限りを尽くすこともある。武の姿に化けているタタリは妖怪としての本能に忠実だが、タタリにとって武とユキは大きな存在であり、武との友情がタタリに過度な暴力を振るわせないための安全弁として機能している。
タタリにとって武は命の恩人にして大親友
タタリは平安時代から1000年以上も生き続けており、かつては京の都で大妖怪として恐れられた化け猫。しかし、陰陽師の戦いで1000年ものあいだ封印され、自力で封印を解くものの妖力が枯渇した状態で脱出したため、野良犬に襲われて瀕死(ひんし)の重傷を負ってしまう。その時に武に助けられて以来、彼とは種族を超えた大親友として友情を育み、二人で武の妹のユキを育ててきた。そのためユキに対しても情が深く、武の死後も彼女が幸せになるために尽力している。武を殺害した呂家一族や「マフィアの継承戦」に荷担する人間と妖怪をすべて倒し、莫大な遺産を奪い取ってユキのために使おうとしている。
武が中国マフィアの血筋だったことがすべての始まり
武の母親が性に奔放だったことから、武とユキは兄妹でありながら父親は異なる。父親が誰かもわからない状態だったが、病床に臥(ふ)している中国マフィアの頭目であるガランド・ルーが公開した遺言に、子息として武の名があったことで、武は遺産相続を巡る「マフィアの継承戦」に巻き込まれ、命を落とす。「マフィアの継承戦」とは、ガランドの莫大な遺産の分け前を狙う血族同士の殺し合いのことを指す。しかし、ガランドは子息子女全員に専属妖怪をつけているにもかかわらず、武には専属妖怪がいないこと、遺言の公開以前から「マフィアの継承戦」が予定されていたことなど、謎も多い。
登場人物・キャラクター
タタリ
武と7年間の付き合いのある化け猫。本来の姿は左耳が欠けたハチワレ柄の黒猫。1000年以上も生き続けており、平安時代は京の都で大妖怪として恐れられていたが、陰陽師に封印されていた。封印を自力で破った際に妖力が枯渇し、野犬に襲われ瀕死の状態になっていたところを武に救われ、それ以来種族を超えた親友となる。ある日、武が殺害された際に途方もない喪失感に打ちのめされ、武の血を飲んだことで「成川武」に化けるようになる。武を殺害した暗殺者から「マフィアの継承戦」に関する情報を聞き出し、武の仇討ちとユキの延命治療費のために参加者全員を倒して莫大な遺産を根こそぎ奪うことを決意する。暗殺者が香港からやってきたことから、香港で行われる大会に出場する陸上部に入部した。時おり暴力的になって暴走するが、そんな時に武の幻覚が彼を叱責するように現れ、その度に冷静さを取り戻すことになる。また、武が褒められると早口言葉で同意するなど、武に対する変わらぬ友情を感じている。近所に住む妖怪の三羽烏と契約し、ユキの身辺に異変がないか報告させている。
成川 武 (なりかわ たける)
タタリの大親友の少年。黒髪をツンツンに逆立てている。年齢は16歳。母子家庭で幼い頃からネグレクトを受けて育ち、中学3年生の頃に母親が病死したため、タタリと協力して妹のユキを育てている。また、ユキには先天的な疾患があり、延命治療のためには莫大な資金が必要となるため、昼夜を問わず働いていた。自分の人生を客観視し、これ以上よくも悪くもならないと考えているが、ユキだけは絶対に幸せにしようと決意している。同級生からいじめを受けていたが、一度もその苦しさを周囲に打ち明けたことはない。実は中国裏社会を牛耳るマフィアのボスの息子で、遺産を巡って起きた「マフィアの継承戦」に巻き込まれて殺害された。周囲からは「タケル」と呼ばれている。
書誌情報
タタリ 6巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2023-08-18発行、 978-4098527830)
第2巻
(2023-11-17発行、 978-4098530182)
第3巻
(2024-02-16発行、 978-4098531141)
第4巻
(2024-05-17発行、 978-4098532971)
第5巻
(2024-08-17発行、 978-4098535477)
第6巻
(2024-11-18発行、 978-4098536818)