令和に蘇る妖怪たちと高校生の戦い
数百年の封印から解き放たれ、数多くの妖怪が令和の現代に突如として復活する。退魔師の家系に生まれた高校生の紅院は、妖怪たちを再び封印する使命を託され、友人の村上と共に理捻町の河川に現れた河童のもとへ向かう。二人の前に現れた河童は、その巨体と威圧感で紅院を圧倒するが、村上はまったく動じることなく、驚異的な勢いで河童の生態について理路整然と説教を始める。反撃しようとするも、村上の正論に次々と気力を削がれ、口喧嘩に完敗してしまった河童は、すっかり霊気を失ったところを、紅院によってあっけなく封印されてしまう。さらに、多くの妖怪が復活したことを知った村上は、「友人のため」という名目で紅院の妖怪封印に協力することを宣言し、「妖怪バスター」として活躍することになる。
野心に満ちた令和の妖怪たち
令和の現代に復活した妖怪は、その力の強さに応じてS級からF級までの7段階にランク分けされている。すべての妖怪は「霊気」と呼ばれる気をまとっており、この霊気は人間を恐れさせることで増幅する。しかし、精神的に追い込まれると霊気を失い、身体がデフォルメされてしまうという弱点も抱えている。そのため、多くの妖怪は自らの力を高めるために、人々にさまざまな悪さを仕掛けてくる。中でも「日本三大妖怪」の一角、酒呑童子は、天狐や白沢をはじめとする多数のA級やS級妖怪を束ね、一大派閥「酒呑組」を結成していた。さらに、「妖怪学園」を運営し、日々人間をいかにして怖がらせるかを研究するなど、精力的に活動している。
妖怪に立ち向かう退魔師の実情
退魔師とは、妖怪を封印する特別な能力を持つ者たちを指す。彼らの能力は血筋によって受け継がれるため、退魔師の家系に生まれた者は「退魔師学校」に通い、退魔師としての修行を受けるのが一般的だ。現在、1000人の退魔師が活動しており、その多くは退魔師学校から指令を受けて各地で妖怪封印の任務を遂行している。彼らの実績は「退魔師ネット」と呼ばれる専用のオンラインネットワークでリアルタイムに共有され、封印した妖怪のランクに応じて退魔師自身の順位が変動する。そして、全退魔師の中でランキング上位10名のみが「上級退魔師」の称号を得ることができる。上級退魔師は、より強力な妖怪の封印という重要な任務を任されるだけでなく、公共機関を無料で利用する特権も与えられる。
登場人物・キャラクター
村上 (むらかみ)
紅院と同じ高校に通う男子。アメリカ出身の日系人で、3歳までカンボジアで暮らしていた。その後、日本人の夫婦に引き取られ、「稲生」という姓を名乗るが、両親の離婚を機に「村上」に改姓した。非常に友達思いの平和主義者で、困っている人がいれば迷わず手を差し伸べる。一方で、物怖じしない度胸と巧みな話術を兼ね備えており、相手が手強い妖怪であっても臆することなくダメ出しを行う。5歳の時、母親が詐欺に遭い、多額の借金を背負ったことが原因で両親は離婚した。この状況を打破するために、独学で論理的思考を身につけ、母親を騙した詐欺グループを撃退し、みごとに奪われた金を取り戻すことに成功した。高校入学後は、クラスメイトの紅院と共に数々の高ランク妖怪を無力化し、いつしか「妖怪バスター」として知られるようになる。
紅院 (くいん)
退魔師の家系に生まれた高校生の男子。能力に乏しく、臆病な性格のため、自らを「落ちこぼれの退魔師」と卑下している。しかし、人を褒めておだてる話術に長けており、かつては「バズビーの椅子」や「メリーさん」といった強力な妖怪を言いくるめ、戦意を喪失させた実績を持つ。退魔師学校を卒業したあとはふつうの高校に進学したが、やがて妖怪を封印する使命を担うことになる。親友の村上の助けを借りて強力な妖怪の封印に成功したことで、退魔師学校からも一目置かれる存在へと成長する。そんな中、退魔師学校の指令を受けて妖怪たちの学園に潜入し、村上や紅院に友好的な妖怪たちをまとめ上げ、人間と妖怪による混成チーム「紅院軍」を結成することになる。







