ダニ

ダニ

鳴り物入りのドラフト1位で入団したチンピラ青年の坂田金三が、野球界でのし上がっていくため、彼を取り巻く環境へ挑戦していく姿を描く野球漫画。物語序盤は金三の周りを取り巻くヤクザとの抗争や喧嘩などが主体だが、のちに純粋な野球漫画へとシフトしていく。「モーニング」1998年36・37合併号から2000年12月号まで連載された作品。

正式名称
ダニ
ふりがな
だに
作者
ジャンル
野球
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概要・あらすじ

坂田金三は地元で知らない者はいない有名なたかり屋で、金を積んで依頼されれば犯罪にも手を染める。ある日金三は、南ひな子という女性から超高校級球児の辛島光一を野球ができない程度に痛めつけて欲しいとの依頼を受ける。身体を痛めつけるよりも野球人としてのプライドをへし折るほうがいい考えた金三は、辛島に一打席勝負を仕掛けるのだった。

辛島を目当てにその場に居合わせた大阪ブルズでスカウト部長を務める朽木彰は、その時に見せた金三の類まれなバッティングセンスに惚れ込み、金三の獲得を強くフロントに提案する。しかし、20代後半で得体のしれない金三を入団させるにはその実力を見せなければならず、金三は大阪ブルズの入団テストに挑戦することとなる。

登場人物・キャラクター

坂田 金三 (さかた きんぞう)

相撲取りのような巨大な身体を持つ20代後半の男性。地元では恩を売った相手のことを「親戚」と呼び、何かとたかりに来ることから「ダニ」と呼ばれている。やりたいことを我慢せず、すべて自分の腕っぷしの強さで周りに言うこと聞かせてきた暴れん坊で、常識や道理が通用しない型破りな性格の持ち主。実は元浪花高校野球部の4番で、10年前の大阪予選では4打席連続ホームランを放ったこともある強打者。 嫌いなものはゴキブリとヤクザ。

田村 (たむら)

坂田金三が住むアパートの管理人を務める老婆。金三がやたらと問題を起こすため、ヤクザ関係の人物から金三の行方を聞かれたり脅されたりとばっちりを受けることが多い。本人もそんな金三のことを表面上では煙たがっているが、心の底からは金三のことを嫌いになれない人情味の強い性格。

島津 克巳 (しまづ かつみ)

深作の娘を強姦した男性。深作からの依頼でカラオケボックスで坂田金三に一方的に暴力を振るわれた際に自分が助かるために500万を提示するなど金には困っていない。金三によって、深作の娘と同じ目に遭わされる。

深作 (ふかさく)

島津克巳に強姦された娘の父親。強姦により裁判の証言台に立てないほどに心を病んでしまった娘に代わり、復讐を果たすために坂田金三に依頼する。金三のことを「弱い者の味方で必ず力になってくれる」という認識で見ており、前金と成果報酬で大量の札束を渡していた。

反町 (そりまち)

暴力団「反町興業」の組長を務める男性。柴田や自分の親の前では律儀で大人しく振る舞っているが、「反町興業」の構成員の前では声を荒げるなど実際の気性は荒い。坂田金三にナイフをのど元に突き付けられて脅されても屈しない、肝の据わったところもある。

高月 (こうづき)

暴力団「反町興業」所属のヤクザ。島津克巳の父親から依頼され、痛い目に合わされた克巳の報復をするために坂田金三の家を訪ねた。金三にケジメとして500万と指を一本その場で切り落とすことを提示するが、金三がそんな条件を飲むはずがなく、逆に殴られてしまう。

鎌地 ヒデオ (かまち ひでお)

暴力団「反町興業」に所属している男性。正確には「反町興業」の客分である。刺青を入れておらず、赤毛にピアスという風貌の持ち主。ほかの構成員からは「ヒデ」と気軽に呼ばれているが、「反町興業」内においては強い発言力を持つ。武器はナイフで、両足についているナイフホルダーから取り出して使用する。

柴田 (しばた)

暴力団「龍頭組」で筆頭若頭を務める男性。勢いがあり、直系の若衆である反町をあまり快く思っていない。そのため、反町と顔を合わせた時には彼の部下の高月が、一般人に過ぎない坂田金三にやられた話を持ち出して悪態をつくなど、嫌味たらしい行動を取った。

吉ッさん (よっさん)

坂田金三の知り合いの元鍵師の男性。過去に鍵師の仕事をしたせいで刑務所に入ったことがあり、そこでの生活があまりにも劣悪だったために足を洗った。金三には5年前に右腕を切られそうになったところを助けられたという恩がある。

辛島 光一 (からしま こういち)

淀橋実業高等学校野球部に所属する超高校級左腕。甲子園には出場していないものの、大阪大会準決勝で試合巧者のAL学園相手に20奪三振の快投を見せた男性。ドラフト候補だったが、素行の悪さから全球団に指名を見送られている。2年間家に帰らず南ひな子の家に転がりこんでバイクやスーツなどを貢がせている。

南 ひな子 (みなみ ひなこ)

辛島光一がヒモになっている相手の女性。辛島がプロに入って金を手に入れたらいい女が寄ってきてしまうと考え、彼を自分のモノにするべく坂田金三に辛島を死なない程度に痛めつけるよう依頼した。辛島に相当入れ込んでおり、金三に報酬を体で払うように迫られたが応じなかった。

留美 (るみ)

辛島光一と同じ淀橋実業高等学校に通う女子生徒で、辛島の新しい彼女。坂田金三と辛島の一打席勝負では自分の彼氏である辛島を応援していたが、その勝負で圧倒的な力を見せつけ勝利した金三を見て、金三に惚れてしまう。

朽木 彰 (くちき あきら)

大阪ブルズのスカウト部長を務める男性。AL学園相手に20三振を奪った辛島光一がどうしても気になって淀橋実業まで訪れた。辛島の投球を見るために10万円を払うなど、自分の目で金の卵を見ることができるのであれば金に糸目はつけない。

松原 (まつばら)

大阪ブルズのスカウトを務める男性。朽木彰の部下にあたるが、スカウト活動は単独で行っている。彼がスカウトした選手でここ10年大成した選手はおらず、首脳陣からの信頼は地に落ちており「いい加減な男」と評されている。

(はなわ)

大阪ブルズの常務を務める男性。辛島光一を獲得することに関しては前向きだが、スカウト部長の朽木彰が推薦する坂田金三に関してはヤクザまがいの存在だとして見る前から相手にしていなかった。「ミスター・ブルズ」と評される影村加津男には頭があがらない。

影村 加津男 (かげむら かつお)

大阪ブルズ60年の歴史の中で「ミスター・ブルズ」の称号が最も似合うと朽木彰から評され、「怒れる雄牛」「レイジング・ブル」と呼ばれた男性。坂田金三のバッティングを確認するテストを行うように塙を説得するため、朽木に協力を依頼される。

池尻 (いけじり)

大阪ブルズの中継ぎエース。アンダーハンドで、ゆったりとしたフォームから切れのいいスライダーとシンカーを投げ込む。その変化球のキレにはどこの球団のクリーンアップも手こずるほど。坂田金三のバッティングテストのために塙が呼んだ隠し玉。

鞍馬 一人 (くらま かずと)

大阪ブルズのエースにして最優秀防御率を獲得したタイトルホルダー。150キロを超える速球はリーグナンバー1と評され、投球の8割が直球で占められている。その尋常ならざる球威から、打者の頭に当ててしまったら選手生命を奪いかねないという自覚があり、脅しのブラッシュボールは投げないという確固たる信条を持つ。

保谷 渋一 (ほや じゅういち)

大阪ブルズの新監督に就任した男性。かつて弱小球団のウイングスを率いて2度の日本一に導いた名将で、その細かい野球理論には定評がある。規律や礼儀を重んじるタイプで、自分の意向に逆らう選手に対しては容赦なく二軍行きを通告する。モデルは実在人物の野村克也と思われる。

別所 (べっしょ)

大阪ブルズの二軍監督を務める男性。球団からの意向で坂田金三の体を絞るために指導を行う。何かにつけて逆らい続ける金三に対してもまったく退かないどころか、逆に説得してしまうほどの熱意の持ち主で、選手からもフロントからも絶大な評価を得ている。

篠原 (しのはら)

大阪ブルズに所属する、将来のスター候補として期待されている若手選手。ハワイで行われたキャンプで、監督の保谷渋一から直々に坂田金三の目付け役を命じられた。同室となった当初はいろいろと教えていたものの、金三がまったく言うことを聞かなかったので早々にあきらめている。

清島 (きよしま)

大阪ブルズに所属する選手でポジションはファースト。昨年はFA移籍してきて張り切りすぎたせいか空回りしていた。今年は同じスラッガータイプである坂田金三の加入がいい刺激となっており、体もしっかり絞ってシーズンに臨んだ。豪打復活が待ち望まれている。

山根 (やまね)

大阪ブルズに所属する投手。去年は一軍と二軍を行ったり来たりする選手だったが、坂田金三が入団した年には篠原からも「すごいボール」と評されるキレのいいフォークを投げるようになった。しかし、紅白戦で金三にホームランを打たれて自信を喪失し、調子を崩してしまう。

クインシー・トーメ (くいんしーとーめ)

大阪ブルズに入団してきたスラッガー。昨シーズンはア・リーグのイーグルスの4番打者を務め、通算本塁打212本を誇る強打者。12歳から一人で寝たことがないほどの女好きで、大阪ブルズに入団したのも各遠征場所に美女が用意されているという塙の契約上の口車に乗ったから。

中嶋 茂雄 (なかじま しげお)

東京レイダースの監督を務める男性。入団テストに来た坂田金三を当初「サカータ」という外国人だと思って期待していたが、日本人だと知ってからは露骨に興味を失った。しかし、その後のバッティングテストで金三が大飛球を打つと、手のひらを反して大絶賛した。モデルは実在人物の長嶋茂雄と思われる。

桑木 (くわき)

東京レイダースに所属するエースピッチャー。鞍馬一人ほどの直球は持っていないが、そのマウンド度胸と正確なコントロールで鞍馬と共にリーグ一、二を争うピッチャーと評されている。打者の心理を読んで自分に有利なピッチングを進めるという才能を持つ。モデルは実在人物の桑田真澄と思われる。

(さかき)

東京レイダースに所属するピッチャー。FAで獲得した選手で、その年俸は5億とも6億とも言われている日本球界一の抑えピッチャー。鋭く縦に落ちるフォークボールは対戦する打者にボールが消えたと錯覚させるほどのキレ味。モデルは実在人物の佐々木主浩と思われる。

集団・組織

反町興業 (そりまちこうぎょう)

反町が組長を務める暴力団。反町の右腕である高月、次いで若手の鎌地ヒデオが控えている。反町の意向で防犯システムには金をかけておらず、反町がいない時には若い衆が2人一組となり留守を任されている。

大阪ブルズ (おおさかぶるず)

60年の歴史を誇るプロ野球球団。以前は名門チームだったが最近は弱く、人気もいまいち。投手力は安定しているものの助っ人外国人が帰国したために打撃力が大幅にダウンしており、4番打者獲得が最優先補強ポイントとなっている。

東京レイダース (とうきょうれいだーす)

東京のニッポンドームを本拠地にするプロ野球球団。「紳士の球団」としてクリーンなイメージを標榜しているが、代打の選手に億単位の年棒を提示したり、目ぼしい他球団の選手を豊富な資金力で引っ張ってきたりすることから、世間的には「金満球団」として認識されている。

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