デトロイトNGサーカス

デトロイトNGサーカス

車や戦闘機、モーターレースにまつわる物語を集めたオムニバス短編集。出版社「大世界文化社」で働く個性豊かな編集者たちが、新しい車雑誌の創刊にあたって悪戦苦闘する日々を描いた「デトロイトNGサーカス」を含め、9つのエピソードが収録されている。原作はDAVE鴫原。

正式名称
デトロイトNGサーカス
ふりがな
でとろいとえぬじいさーかす
原作者
DAVE鴫原
作者
ジャンル
出版・マスコミ
関連商品
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あらすじ

デトロイトNGサーカス

心之助が勤務する出版社「大世界文化社」に出社すると、同僚から編集長は今日からロンドンへ出張していることを聞く。その話を聞いた矢先に、編集長から電話が掛かってくる。電話を受けた心之助が彼の指示通りに社長室へ行くと、社長から新しい車雑誌創刊の辞令を渡される。突然の辞令に戸惑いながらも、心之助と編集部の仲間たちは、新創刊する雑誌作りのために奔走することになる。

私闘 FIGHT IN PRIVATE

1955年。ル・マン耐久レースのライバル同士であるジャガーチームのベックマンとベンツチームのハンスは、公道レースに出場するために田舎町へ来ていた。レースが始まると、ジャガーとベンツは接戦を繰り広げ、バトルは否応なく白熱する。そんななか、彼らは前を走る若いカップルの乗ったオープンカーに追いつく。これをきっかけに、レースは混迷を極めていく。

ザ・シルバーアロー

1945年。戦時中のドイツのデッソー郊外にて、敵国への攻撃を翌日に控えた戦闘機スピットファイアのパイロットは、シルバーアローの異名を持つメルセデス・ベンツのフォーミュラカーとのレースを始めようとしていた。

FREAK OUT!

警部の男性が眠りから目覚めると、交差点を並走する2台のフォッケウルフ社製の車から大きなエンジン音が聞こえてきた。だが、2台の車はエンジン音に反して非常に遅く、後方から次々と他の車に追い抜かれていく。挙句の果てには自転車にまでも追い抜かれていくのであった。

ブランデンブルグ ゲート サーキット

ブランデンブルグ門の開放式典を12日後に控えた東ドイツ。東ドイツ公営放送局総務部の部長は、式典当日にある作戦を計画していた。それは、ブランデンブルグ門開放直後に、1930年代に活躍した、現代F1マシンの原型であるV16ミッドシップエンジン搭載のPワーゲンを走らせることであった。その栄えある日に搭乗するドライバー候補に挙がったのは、ドイツ人の若きドライバー、「ミハエル・シューマッハ」であった。

NIKI,MIO PALMO! さあニキ、走る準備だ!

1975年8月ニュルブルクリンク。フェラーリチームのF1ドライバーを務めるニキ・ラウダは、レース中に車のコントロールを失い、車が炎上してしまうほどの大事故に見舞われる。だが、車から救出されて生死の境を乗り越えたニキ・ラウダは、脅威の回復力で再びF1ドライバーとして奇跡の復活を遂げる。

赤い影

1980年代のF1グランプリ。イモラサーキットに集ったF1ドライバーたちは、それぞれのドライビングテクニックや過去のグランプリについての話で盛り上がっていた。そんななか、一人のドライバーがレース中に後方から迫ってくる赤い車のことを語りだす。すると、他のドライバーたちも口々に後方から迫る赤い車のことを話し始める。その車はフェラーリのF1ドライバー、「ジル・ヴィルヌーブ」だろうと皆が言うなか、まもなくレースは始まろうとしていた。

LEGEND OF PRANCING HORSE

西洋の騎士が身に着ける甲冑や盾に描かれたシンボルとして、さらに戦時中のイタリアで戦闘機に乗るパイロットが身に着けるお守りとして使われてきたという歴史を持つ、フェラーリの代表的な跳ね馬のエンブレム。このエンブレムが遺してきた歴史を、まるでロードムービーのように遡って描く。

DIRT IN THE GROUND

南北の戦争が未だ続くパリの都。今夜から朝にかけてリヴァプールにまで進攻を開始するという緊急放送が流れる戒厳令の街で、高齢の男がフォーミュラカーにガソリンを給油し、車を発進させた。空中から街を警備していた警備員は直ちに車を停めるよう警告するが、男はその言葉に耳を貸さず、逆にスピードを上げていくのだった。

登場人物・キャラクター

心之助 (しんのすけ)

エピソード「デトロイトNGサーカス」に登場する。オーバーオールを着た幼児で、おでこに「HEART」、後頭部に「SOUL」とアルファベット文字が書かれている。出版社「大世界文化社」に編集部員として勤めており、車や機械のことになると天才的な頭脳を発揮する。社長の辞令で新雑誌創刊の命を受け、編集部の同僚と共に奔走することになる。 好きな色は緑。

ベックマン

エピソード「私闘 FIGHT IN PRIVATE」に登場する。ル・マン耐久レースにエントリーしている、ジャガーチームのドライバーを務める男性。髪はオールバックにしており、大きな鷲鼻が特徴。ベンツチームのドライバーのハンスとはライバル同士であり、今回のル・マン耐久レースでも白熱したバトルを展開する。

ハンス

エピソード「私闘 FIGHT IN PRIVATE」に登場する。ル・マン耐久レースにエントリーしている、ベンツチームのドライバーを務める男性。髪は短髪で、無精髭を生やしている。ジャガーチームのドライバーのベックマンとはライバル同士であり、今回のル・マン耐久レースでも白熱したバトルを展開する。

ニキ・ラウダ (にきらうだ)

エピソード「NIKI,MIO PALMO! さあニキ、走る準備だ!」に登場する。フェラーリチームのF1ドライバーの男性。1975年8月のニュルブルクリンクでのレース事故の影響で上半身に火傷の痕があり、右耳も失っている。F1マシンの構造やセットアップに詳しい理論派のドライバーとして知られ、「走るエンジニア」「走るコンピュータ」「走る鬼神」など、数々の異名を持つ。 実在のニキ・ラウダがモデル。

本田 京子 (ほんだ きょうこ)

エピソード「デトロイトNGサーカス」に登場する。女性フリーカメラマンで、出版社「大世界文化社」が制作している雑誌の写真撮影を主に手掛けている。父親がロシア人で、日本人離れしたグラマラスなスタイルの持ち主。左目に涙ぼくろがあり、長い髪をオールバックにしてゴーグルをかけている。「大世界文化社」の編集長に惚れていて、自宅の寝室の枕元に編集長とのツーショット写真を入れたフォトフレームを置いている。 好きな色は青。

御毛洗 耕三

エピソード「デトロイトNGサーカス」に登場する。ウェーブした長い髪が特徴の男性。「大世界文化社」の編集部員で、心之助の先輩にあたる。離婚歴があり、本田京子に密かに想いを寄せている。「赤色飯店」のパーコーラーメンが大好物で、好きな色は金。

岡田 (おかだ)

エピソード「デトロイトNGサーカス」に登場する。ポマードで髪をオールバックにまとめた中年の男性。勤務する印刷会社「大帝国印刷」の総力を挙げて開発したオートエディターユニット「本造りいそぎばたらきAE-α2000」を、心之助を実験台にして実用化を進める。

若いカップル (わかいかっぷる)

エピソード「私闘 FIGHT IN PRIVATE」に登場する。若い男女の2人組。男性はエルビス・プレスリー風の髪型で、柄シャツに白いジャケットを羽織っている。女性はウェーブした長い黒髪で、肩の露出したドレスを着ている。オープンカーに乗っていて、男性が運転席、女性が助手席に座っている。ドライブ中に道を間違えてしまう。

東ドイツ公営放送局総務部の部長 (ひがしどいつこうえいほうそうきょくそうむぶのぶちょう)

エピソード「ブランデンブルグ ゲート サーキット」に登場する。高齢の男性。かつてはモータスポーツをこよなく愛する「モータースポーツ少年団」の団員であり、現在は東ドイツ公営放送局総務部の部長を務めている。西ドイツ側にいる元「モータースポーツ少年団」の団員たちと連携を取って、ブランデンブルグ門の開放式典に無許可で現代F1マシンの原型であるV16ミッドシップエンジン搭載のPワーゲンを走らせることを画策している。

高齢の男 (こうれいのおとこ)

エピソード「DIRT IN THE GROUND」に登場する。短髪でトレンチコートを羽織った高齢の男性で、妻の写真の入った財布を肌身離さず所持している。長引く戦争の影響で大気が汚染されているため、ガスマスクを着用している。フォミュラカーを持っており、戒厳令のなか、無許可で車を発信させようと準備を進めている。

集団・組織

クルマはキレイに団 (くるまはきれいにだん)

エピソード「デトロイトNGサーカス」に登場する。男性の3人組。全員スキンヘッドでサングラス、ゴーグルをかけている。地上の美化を信条としており、その手始めとして汚れた車を洗車することを生業としている。車の汚染度をチェックできる機械で汚れの程度を測り、強制的に洗車を行う集団。

大世界文化社 (だいせかいかぶしきがいしゃ)

エピソード「デトロイトNGサーカス」に登場する。心之助が勤める出版社で、自社ビルの上に地球を背中に乗せた亀の巨大オブジェが飾られている。社内の資料室には開かずの扉があり、扉の先には、6年前に蒸発して行方不明になっている元編集長の家族が暮らす、第二資料室へと続く地下階段がある。

その他キーワード

本造りいそぎばたらきAE-α2000 (ほんづくりいそぎばたらきえーいー-あるふぁにせん)

エピソード「デトロイトNGサーカス」に登場する。印刷会社「大帝国印刷」が開発した発明品で、人体に取り付けることで雑誌作りを少人数、かつ短時間で行えるようになる機械。アメリカの「GEO社」と共同開発した技術によって大脳皮質記憶域を任意に読み取り検索することが可能で、雑誌のテーマや編集方針を機械に入力すると、それらに沿った記事が作られて誌面を自動構成していく。 これを外部の機械に出力すれば、完成本の形で取り出すことができる。

クレジット

原作

DAVE鴫原

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