あらすじ
記者デビュー
幼い頃から漫画が大好きな瀬良楓は、念願の出版社「州英社」に入社するが、希望だった人気少年誌「週刊少年チャンプ」編集部ではなく、大嫌いな写真週刊誌「週刊論州」編集部に配属される。配属から数日後、楓は先輩女性記者である真木綾から、強引に取材に駆り出される。それは大人気俳優が、息子に暴力を振るっているという情報を得ての突撃取材だった。その俳優が好きなアニメの声優を演じていたこともあり、ショックを受ける楓だったが、持ち前のガッツで取材相手に強行取材を行い、怒った相手から暴行を受けてしまう。その暴行された写真が掲載されたことで結果的に記事は大反響を呼び、初めての取材を成功させるのだった。
大手芸能事務所の闇を暴く
記者の仕事にも徐々に慣れてきた瀬良楓は、先輩である凄腕記者の蘭北斗から取材への協力を依頼される。それは大手芸能事務所である日の出プロが、所属する女性タレントたちに枕営業を強要しているタレコミに対する取材だった。その被害者の中に、芸能活動をしている楓の姉、瀬良紅葉の名前もあり、楓は大きなショックを受ける。数々の妨害を受けながらも、楓は日の出プロの社長を追い詰めるために奔走する。
連続殺人事件を追う
瀬良楓は、再び蘭北斗から協力を依頼される。それは、10年前に起こった母子殺人事件の真犯人を探す取材であった。蘭はその事件で妻と子供を亡くしているのだが、犯人として捕まった甲斐山安秀は冤罪(えんざい)で、真犯人がほかにいると確信していた。そんな中、その真犯人とおぼしき人物による殺人事件が発生し、楓たちは懸命な取材を続ける。飼い猫に小型カメラを付けて撮影することが近年流行っているのに目をつけた楓は、現場付近で暮らす猫の飼い主が犯人の姿の映った映像を残しているかもしれないと、調べを続けていた。その後、犯人の姿を捕らえた男性と連絡がつくが、楓との通話中、相手は何者かによって殺されてしまう。
登場人物・キャラクター
瀬良 楓 (せら かえで)
出版社「州英社」の写真週刊誌「週刊論州」編集部に配属されたばかりの新入社員の女性。小さい頃から漫画が大好きで、自分でも同人誌に執筆しているオタク。漫画の仕事にかかわりたくて、漫画少年誌「週刊少年チャンプ」を発行するあこがれの州英社に入社した。しかし配属希望は叶わず、「週刊論州」編集部に配属されてしまう。配属後の最初の数日は、仕事らしい仕事をさせてもらえず不安を感じていたが、教育係である先輩の真木綾と出会って以来、自分の仕事に意義を見出し、情熱的に仕事に取り組むようになる。観察力に優れ、負けず嫌いで熱血なところがあり、数々の取材を成功させながら記者として成長していく。
真木 綾 (まき あや)
入社5年目になる「週刊論州編集部」の女性記者。瀬良楓の教育係を任されている。眼鏡をかけたクール系の美人で、後輩思いで面倒見がいい。自分の書いた記事で世界が変わっていくことに喜びを感じ、運転から取材、撮影、原稿の執筆まで精力的に仕事をこなしている。
間壁 (まかべ)
「週刊論州編集部」の尾行班に所属する男性。ややぽっちゃりとした体型で、おっとりとした性格をしている。編集部では「人間ゴーグルマップ」と呼ばれるほど都内の道を熟知しているため、各記者から引っ張りだこの人気者。取材対象にバレないように尾行するプロで、主に車で追跡している。
蘭 北斗 (あららぎ ほくと)
「週刊論州編集部」に所属する敏腕記者の男性。「ポチ」と呼ぶ星口健二とコンビで行動しており、「右トップ」と呼ばれる一番大きく扱われるスクープ記事をいつもモノにしている。ポーカーフェイスの金髪イケメンで、いつも白い高級スーツと黒のYシャツを身につけている。実は10年以上前に妻と子供を何者かに殺されている。その事件の犯人として甲斐山安秀が逮捕され、すでに刑務所に収監されているが、蘭北斗は冤罪と考えており、今も真犯人を独自の調査で追い続けている。実は超がつくほどの猫舌。
星口 健二 (ほしぐち けんじ)
「週刊論州編集部」に所属する男性カメラマン。明るい性格のイケメンで、あごの左側に大きな傷があるが、かわいい顔立ちをしている。蘭北斗からは「ポチ」と呼ばれ、いつも犬のように北斗と共に行動している。
瀬良 紅葉 (せら もみじ)
瀬良楓の姉。妹思いの優しい性格で、家ではいつも楓のグチを嫌な顔せず聞いてあげていた。芸能界で活動しており、大手芸能事務所の日の出プロに所属できたことを喜んでいたが、枕営業を強要されており、思い悩んでいる。
汕田 颯 (さんだ はやて)
埼玉県警捜査第一課の若い男性刑事。ツンツンヘアで生え際にメッシュを入れている。他者の感情に対して過剰に共感してしまう「エンパス」と呼ばれる体質のため、殺害現場では被害者の無念を感じて泣き叫ぶことも珍しくない。蘭北斗の協力者として、情報を提供している。
甲斐山 安秀 (かいやま やすひで)
1985年から1995年にかけて北関東で発生した「甲斐山事件」と呼ばれる、母子殺人事件の犯人として収監されている男性。被害者はいずれも20代の女性と未就学児で、遺体に10数か所の刺し傷があることが特徴。蘭北斗の妻と子供もこの事件で殺されている。1996年に重要参考人として取り調べを受けていた甲斐山安秀が自供し、1998年に最高裁で上告棄却されて死刑が確定している。蘭は、甲斐山の自供は警察がでっちあげたもので、冤罪だと考えており、真犯人を今も探している。
花村 俊 (はなむら しゅん)
「ゴロ」と呼ばれる仕事を生業とする若い男性。スクープ記事の掲載を妨害したり、証拠を隠滅する工作をしたりする。取材の妨害をする幼い頃から父親から暴力による虐待を受けており、父親の怒りの原因を作る記事を掲載する「週刊論州」を逆恨みしている。数年前から蘭北斗の取材を妨害するようになり、姿は現さないものの蘭に電話をかけて挑発することもある。「甲斐山事件」の真犯人を探し出して接触し、ついには自ら殺人の快楽に目覚める。
真犯人 (しんはんにん)
初老の男性。1985年から1995年にかけて北関東で発生した「甲斐山事件」と呼ばれる、母子殺人事件の真犯人。殺人に性的快楽を覚える異常性癖者で、数年に1度犯行におよんでいる。
集団・組織
週刊論州編集部
出版社「州英社」が発行する写真週刊誌「週刊論州」の編集部。政治、芸能、スポーツなどのスキャンダルを主に扱う。編集長と五人のデスク、30人ほどの特派記者で構成されている。「記者くん」という名前の美少年と、「ビンワン」という名前の犬を模した論州マスコットキャラクターがいる。SNSの発信もしているが、スキャンダルやゴシップばかりを扱う関係で、コメント欄には編集部への罵詈(ばり)雑言が多く、人気はいたって低い。