朝まで待てません!

朝まで待てません!

漫画雑誌の編集者を務める大友順平は、ずっとあこがれを抱いていた競合誌の編集者の水落夕子を男性と思い込んでいたが、同じ担当作家の締め切り日に初めて顔を合わせ、水落が女性である事を知る。彼女の仕事に対する姿勢に共感し、水落の女性としての魅力に気づいた時、大友は一気に彼女に心奪われる事となる。つねに忙しい日々を送る漫画雑誌編集者の仕事と恋に真っ直ぐに向かう姿を描く、本格お仕事ラブコメディ。「ララ」2013年10月号増刊「アネララ」から不定期に掲載の作品。

正式名称
朝まで待てません!
ふりがな
あさまでまてません
作者
ジャンル
出版・マスコミ
 
ラブコメ
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あらすじ

第1巻

漫画雑誌「マーチン」の編集者を務める大友順平は、担当する作家がなにかとかぶる事が多いライバル誌「ヤングビースト」の編集者、水落夕子に対して、あこがれを抱いていた。実際に会った事もない水落を、その豪快な仕事ぶりから、勝手に頼りがいのある男性だとイメージしていた大友だったが、担当の人気作家の猪苗代メグミのもとで初めて顔を合わせる事になった水落は、大友の予想とはまったく異なり、「完全無欠のサイボーグ」の異名を持つ、小柄な美女だった。一方の猪苗代は、いつもの事ながら、今回も限界ギリギリの締め切りが差し迫る中、原稿の完成が間に合っていない状態にあった。しかも悪い事に、今回に限っては、「マーチン」と「ヤングビースト」の締め切りが重なっていた。現場に居合わせた大友と水落は、自由奔放なクセ者漫画家から容赦ない無理難題を吹っかけられる中、互いにけん制しつつ、原稿の完成のために協力し合いながら奔走する。そうこうするうちに、大友は水落の仕事に対する姿勢に心底惚れ込み、一人の女性としての魅力に心惹かれていく。

第2巻

青年誌「ヤングビースト」編集者の水落夕子は、休日、書店に寄った際に諏訪レージのサイン会に訪れた。水落は、ライバル誌「マーチン」で連載中の漫画「アリスinアンダーグラウンド」が大ヒット中の人気漫画家である諏訪に、あわよくば「ヤングビースト」でも制作してもらえないかと、淡い期待を胸に直接名刺を渡しに来たのだ。するとそこには、偶然にも整理担当スタッフとして、大友順平が参加していた。水落は、大友に対して好意を持っていたが、大友から告白を受けた際の「あなたの仕事に追いつくまで我慢したい」という言葉に、「そう簡単には追いつかせない」と答えており、なかなか素直になれないでいた。一方の諏訪は、歴代の男性編集者を手玉に取って弄ぶ事で有名で、「小悪魔」を超え「魔女」と呼ばれるような存在だった。水落の大友への気持ちを見透かした諏訪は、大友に対し異常なまでの独占欲を発揮し、水落を翻弄し始める。

登場人物・キャラクター

大友 順平 (おおとも じゅんぺい)

出版社「桃泉社」の月刊誌「マーチン」の編集部に所属する男性編集者。年齢は30歳。自分が担当していた新人漫画家が、軒並み他社の競合誌である「ヤングビースト」で花を咲かせる事態が多発しており、才能を伸ばしてあげられなかったという点で、失態が続いている。作家の作品を、ファン心理だけで見てしまうところがあり、担当作家に対して編集者として一歩踏み込んだアドバイスができていない事も悩みのひとつ。しかし、当時「ヤングビースト」の看板作家だった猪苗代メグミを「マーチン」に連れて来るという偉業を成し遂げた事もあり、編集者としての才能は計り知れないものを秘めている。童顔で、のほほんとしていて穏やかな性格をしている。仕事場の雰囲気が殺伐としていても、それをものともせず、和ませる度量を持っている。同じ作家を担当する事が多い水落夕子の事を尊敬しており、その豪快な仕事ぶりから、水落を勝手に男性だと思い込んでいた。しかし、実際に会って女性である事を知り、彼女の仕事に対する姿勢を目の当たりにしてより興味を持つ事になり、一気に惹かれていく。

水落 夕子 (みずおち ゆうこ)

出版社「英知社」の隔週青年誌「ヤングビースト」の編集部に所属する女性編集者。年齢は28歳。他社の月刊誌「マーチン」の編集者、大友順平が見い出せなかった新人漫画家の才能をも引き出し、そのうえ看板作家の担当もこなす剛腕編集者として、業界内でも知らない者はいない人物。大友とは、なにかと同じ作家を担当する事が多く、その存在だけは知っていたが、実際に会う機会は一度もなかった。その大友からは、豪快な男性と勘違いされていたが、実際は小柄な美人。いつも肩ひじを張り、スキなく仕事に取り組む様子から、編集部では「完全無欠のサイボーグ」と呼ばれている。誰に対しても言葉がきつくなりがちなところがあり、上司からも注意を受けているが、悪意ではなく、その作品に対する熱意から来るもの。基本的に仕事熱心で、誰よりも作家作品を愛し、気遣いができる優しい性格ながら、いろいろな意味で不器用。実際に大友と会ってから、彼の優しさと、自分にはない人当たりのよさにあこがれを抱き、仕事にも自分に対してもまっすぐストレートにぶつかろうとする姿勢に惹かれていく。お酒に弱く、酔うと甘えん坊になる。

猪苗代 メグミ (いなわしろ めぐみ)

独身の男性漫画家。隔週青年誌「ヤングビースト」では吸血鬼忍者アクション「ヴァンパイア・忍者」を、月刊誌「マーチン」では銭湯ハーレムコメディ「うなじにホクロ」を大人気連載中で、その人気ぶりから、「奇跡のヒットメーカー」と呼ばれている。原稿はいつもぎりぎりまでかかるタイプで、編集者のみならず、現場のスタッフをも泣かせるトラブルメーカー。しかし、その自由奔放で動じない様子から、「クセ者」の異名も持っている。チャランポランに見えて、きちんとした常識を持っており、肝心なところでは頼れる人物。明るく大らかな人柄で、惚れこんだ編集者には仁義を通す。「ヤングビースト」の担当編集者の水落夕子とはツーカーの関係で、その様子から、業界内では二人は付き合っていると噂されている。また、「マーチン」の担当編集者大友順平とも、揺るぎない信頼関係を築いている。食べ物にはこだわりがあり、食べたいと思ったものは、何としても食べる主義。20年ほど前、「いなわ史郎」というペンネームで制作活動をしていた事があり、当時刊行されたコミックスは、現在では幻の作品とされている。

蛇川 いちご

水落夕子が担当している男性漫画家。隔週青年誌「ヤングビースト」で何回か連載を持った経験があるが、どの作品もどこかで見た事があるような内容で、なかなか連載が長続きしない。猪苗代メグミが愛用している墨がなくなってしまった時、未使用のストックを持っているという事で、担当編集者である水落がもらい受けに行ったが、かわいくおねだりする事を要求したり、ほしかったらキスをしろなどと無茶ぶりをした。チャラ男キャラに見えるが、作品とは真摯に向き合っている。よく水落に相談を持ち掛けており、彼女からさまざまなアドバイスをもらううちに、水落に必要以上に依存するようになっている。しかし、水落とのやりとりを見た大友順平に厳しく諭された事により、作家としても人間としても、もう一度やり直すきっかけをもらった。

本田 (ほんだ)

人気漫画家の猪苗代メグミのもとで、チーフアシスタントを務める眼鏡をかけた男性。日常的に猪苗代のペースに振り回されがちで、いつも作業は押し気味で、つねにあたふたと慌てふためいている。猪苗代のアシスタント達の中でもかなり有能で、彼なしで猪苗代作品は仕上がらないといっても過言ではない。ある時、風邪が悪化して突然倒れた際には、彼の代わりに二人のアシスタントが投入された。

週刊ヒールズの編集者 (しゅうかんひーるずのへんしゅうしゃ)

週刊誌「ヒールズ」の編集者を務める男性。「英知社漫画賞」の祝賀パーティに参加した際、隔週青年誌「ヤングビースト」の担当編集者である水落夕子を見て、猪苗代メグミの受賞した漫画賞は、水落が色仕掛けで勝ち取ったものだと噂し、彼女をしたたかだと批判。そのうえ、気まぐれな猪苗代に捨てられれば、水落などあっという間に業界から消えると放言する。これを大友順平に聞かれ、頭からビールをかけられて強制的に退場させられる事となった。

諏訪 レージ (すわ れーじ)

ギャル系で、かなり派手な見た目の女性漫画家。月刊誌「マーチン」で、「アリスinアンダーグラウンド」を大人気連載中。外見通りのわかりやすい性格で、男性に甘えてその気にさせるのがうまい。彼女を担当する歴代の男性編集者は、総じて彼女に付き合わされて弄ばれる。男性編集者を手玉に取ってトラブルを起こすという悪い噂ばかりが付きまとっており、陰では小悪魔、魔女などと呼ばれている。書店で開催されたサイン会では、水落夕子と知り合い、彼女が自分を担当する大友順平に思いを寄せている事に気づいた。それ以来、必要以上に大友にべたべたし、見せつける事で誤解させ、水落に妬かせようとする。仕事に関してはかなり熱心で、締め切りもしっかり守るまじめなタイプ。ふだんはアシスタントを使わず、基本的にはほぼ一人ですべてを仕上げている。繊細な画風とリアルな心理描写に定評があり、その作品を作り上げるために、取材と称して経験して来た実体験だけをもとにしている。猪苗代メグミのアシスタント、本田が体調不良でダウンした際、「明子」という名前を名乗って手伝いに行った。ノーメイクでは素朴な顔になり、まったく印象が異なるため、誰にもバレないと諏訪レージ本人は考えていたが、その素性は周囲には完全にバレていた。

浜名 満 (はまな みつる)

映画監督の男性。猪苗代メグミ作の漫画「ヴァンパイア・N」の実写映画化において、監督を務める事になった。なぜか水落夕子の事を気に入っており、やたらと会食に誘ったり、用があると言っては呼び出している。表向きには、作品に一番近い読者として水落の意見を聞きたいと語っているが、実際は下心がある事が明白。もともと外国暮らしが長かった事を理由に、かなり過剰なスキンシップを取ろうとするところがある。

十和田 トオル (とわだ とおる)

同人誌の販売イベントで、自作の同人誌「ほうき君の日々」を制作および販売していた男性。その作品を高く評価した水落夕子と大友順平から、各々の担当する雑誌で描いてほしいと熱烈なアタックを受ける。以前、月間誌「ネプチューン」の編集者、山井と仕事をしていたが、彼とそりが合わず、逃げるように連絡を絶った。それ以来、編集者を怖がるようになり、編集者を見ると逃げるようになってしまった。猫好きで、小心者のお人好し。ネプチューンの「海王賞」で努力賞を受賞した事があり、画力は未熟だが、その印象的なストーリーが高い評価を受けた。

山井 (やまい)

月刊誌「ネプチューン」の男性編集者。3年ほど前、十和田トオルの担当編集者だった事があったが、彼に対し、「画が下手」「早くうまくなってくれないと、俺の手柄にならない」「下ばかり見ていて鬱陶しい」など、頻繁に暴言を吐きまくり、編集者でありながらパワーハラスメントを続けて十和田をいじめた。十和田が編集者に恐怖心を持つようになったきっかけを作った張本人。

その他キーワード

ヴァンパイア・忍者 (ヴぁんぱいあにんじゃ)

「英知社」の隔週青年誌「ヤングビースト」で連載中の作品。人気漫画家の猪苗代メグミの作品で、外国人が好むであろう要素をすべてぶち込んでやろうと意気込んで作った。戦国時代、とある武将が「完全なる闇に生きる隠密」を作るべく、吸血鬼忍者の一族を生み出した。主人公「神羅」はその末裔であり、悲しき運命の輪から抜け出すため、内外の敵と戦う事になるというストーリー。のちに英知社漫画賞を受賞し、浜名満監督により実写映画化される事になる。

うなじにホクロ

「桃泉社」の月刊誌「マーチン」で連載中の作品。人気漫画家の猪苗代メグミの作品で、露出多めのハーレムラブコメディ。お風呂屋に下宿する男子大学生「哲也」と、そこに住む姉妹「奈々」と「美佐」、常連客の「芽衣子」との四角関係を描く。人気作品「ヴァンパイア・忍者」と同時期に連載されていたが、魅力ある女性を描けば描くほど主人公の成長が追い付かないというジレンマに陥り、モチベーションが保てなくなった猪苗代自身の意向により、幕引きが図られた。

アリスinアンダーグラウンド (ありすいんあんだーぐらうんど)

「桃泉社」の月刊誌「マーチン」で連載中の作品。人気漫画家の諏訪レージの作品で、一介の女子高校生が、地下闘技場のデスマッチを、知恵と力で勝ち上がる姿を描いている。闇の世界に生きる汚い大人達が、リアルな泥仕合を繰り広げる。ドロドロの人間関係が描かれる中、主人公の「凪子」の純粋さが際立ち、繊細な画風とリアルな心理描写がファンを魅了している。

ほうき君の日々 (ほうきくんのひび)

十和田トオルが制作した作品。創作系同人誌の即売イベントで販売されていた。いつも道端にたてかけられていて、その傍を通りかかるヒトや動物を優しく見守っている「ほうき君」の物語が描かれている。絵は雑だが、高いストーリー性と味わい深い間が描かれており、読者をぐんぐん引き込んでいく、魅力あふれる作品となっている。即売会を訪れた大友順平と水落夕子の地道な働きかけにより、のちに「桃泉社」の月刊誌「マーチン」での連載が決まる。

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