概要・あらすじ
17歳の少年・黒江徹は、高校の修学旅行先でテロ事件に巻き込まれ、同級生のほとんどが虐殺された。しかし、その場において徹は突如として未知の力を覚醒させ、「フェンリル」と名乗る謎の女の協力のもと、テロリストたちを逆に皆殺しにしてしまう。その後フェンリルは、非情にも徹以外の生き残りの生徒たちを全員射殺し、徹に「覚醒おめでとう、D-17」と告げるのだった。
こうして、徹は凡庸な高校生としての暮らしに別れを告げ、超人としての生を歩み始めることになる。
登場人物・キャラクター
黒江 徹 (くろえ とおる)
とある高校に通っていた、17歳の少年。その正体は、アウトフィットが遺伝子操作によって作り出したロストナンバーの最後の一体にして、新たなる人類の統率者となるべく作られた人造人間「D-17」である。修学旅行先でテロ事件に遭ったことを契機に半覚醒の状態となっているが、まだ完全には覚醒していない。享楽的な性格であり、己の運命に従って世界の支配者になること自体はまんざらでもなく思っているが、せめてその前に高校だけは卒業したいと考え、転校を繰り返している。 エンジェルやノヴァのメンバーからは、「徹様」と呼ばれている。
赤木 由 (あかぎ ゆう)
ロストナンバーの13号実験体。ロストナンバーは「D-17」こと黒江徹を残してすべて処分されたと考えられていたが、実際には唯一生き残っていた。徹よりも先に作られたため自分を兄だと言っているが、13歳時点で成長が止まっており、外見は幼い。戦闘能力は常人に多少勝るという程度でしかないが、D-シリーズとしてエンジェルおよびノヴァへの命令権は所持している。 のちにエンジェルの構成員の半分近くを引き抜いて支配下に置き、徹と敵対する。自分の母親代わりであったナタリアを、「ママ」と呼んで今も慕っている。
D-12
ロストナンバーの12号実験体。17番目である黒江徹や13番目である赤木由とは異なり、巨人と見まごうような巨体だった。知能は高かったのだが感情のコントロールがうまくいかず、失敗作と見なされて殺害された。死後、その亡骸は偶然からモールの手に渡る。
フェンリル
エンジェルのリーダー的存在の女性。「エンジェルNo.1」と呼ばれることがあるが、その呼び方の由来や素性は一切不明である。黒江徹に仕える忠実な部下だが、徹を完全に覚醒させるという目的のためならば時には徹を出し抜くような行動を取ることもある。徹が高校に転入する時には「麻木愛」と名乗り、教師を演じた。
ラサ・ナイル (らさないる)
エンジェルのリーダー的存在の女性。「エンジェルNo.2」と呼ばれることがあるが、その呼び方の由来や素性は一切不明である。フェンリルの下のナンバーだが彼女の部下というわけではなく、フェンリルとは別のグループのリーダーを務めている。赤木由がロストナンバーであることが発覚した時には、多くのエンジェルを率いて率先して由の軍門に下ったが、のちに由が黒江徹に敗北すると徹のもとに戻った。
ギルバート
ノヴァ64人から成るグループ「東欧ブランチ」を率いている男性。黒江徹が半覚醒の状態のままエンジェルに君臨して活動し始めたため、エンジェルと対立関係にあるノヴァは当初態度を決めかねていた。そんな中にあって、早い段階で「東欧ブランチ」のメンバー全員とともに、自ら徹の指揮下に入った。
ルーシー・ロビンソン少佐 (るーしーろびんそんしょうさ)
年齢不詳の男性傭兵。非常に残虐で好戦的な性格。左耳がちぎれていることから、「片耳のルーシー」という異名で恐れられている。身体の一部をサイボーグ化し、常人を超えた戦闘能力を持っていたが、黒江徹にグレネードランチャーで吹き飛ばされる。これにより死んだものと思われていたが、その後全身をサイボーグ化して復帰し、徹への復讐を画策する。
モール
九龍学園の校長であり創設者の男性。ロシア人で、元KGBの諜報員であるが、今は仏門に入り「土竜」という法名を名乗っている。アウトフィットへの潜入捜査を命じられていたことがあり、その際にD-12のことを知った。その知識と、偶然に手に入れたD-12の死体を利用して九龍学園を作り、世界の支配者になろうと考えていたが、黒江徹によってその野望を潰された。
真嶋 みさき
テロ事件に遭った直後の黒江徹が、すべてを忘れ普通の高校生に戻ろうと考えて転校した学校に通っていた女子高校生。徹に気に入られて強引にガールフレンドにさせられるが、本人もまんざらではなかった。ルーシー・ロビンソン少佐が徹を襲撃した際に、巻き込まれて命を落とす。
四ノ宮 真子 (しのみや まこ)
黒江徹が転校先の1つで出会った女子高校生。剣道部主将、風紀委員長、生徒会長を兼任していた。復活したルーシー・ロビンソン少佐が徹を襲撃した際に巻き込まれて瀕死の重傷を負うが、徹からの輸血を受けて一命を取り留める。しかしそれによってD因子を取り込んでしまったため常人ではなくなり、それが理由で九龍学園にスカウトされ、のちにそこで徹と再会。 その後、エンジェルの一員となる。
高梨 あゆみ (たかなし あゆみ)
黒江徹が転校先の1つで出会った、いじめられっ子の女子高校生。徹に憧れ、徹のように強くなるにはどうしたらいいかと尋ねる。それがきっかけで徹に気に入られて押し倒され、結果としてエンジェルの一員に加えられた。
ナタリア
アウトフィットがまだ活動していた当時、「D-13」こと赤木由が造られた時に、代理母を務めた若い女性。由と遺伝上の血縁関係はないが、母と子としての精神的な絆は持っており、由からは「ママ」と呼ばれている。アウトフィットが由の廃棄処分を決定した際、由を逃がすためにその身を犠牲にしたものと思われていたが、実は記憶喪失になっただけで生き延びていた。
集団・組織
アウトフィット
世界を統率する「超人」を造るという計画を練り、ロストナンバーを作り出した、マッドサイエンティストたちの秘密結社。アメリカ、ソ連などにその存在と目的を察知され、壊滅させられ今は存在しないが、残党であるエンジェルやノヴァは今でも活動を続けている。
エンジェル
黒江徹に仕えるべき存在として、アウトフィットによって造られた女性型人造人間。「Aシリーズ」とも呼ばれる。「アウトフィット」によって最初からエンジェルとして作られた個体が基本だが、人間ながら後天的にエンジェルとなる者もいる。いずれにしてもその全員が徹を愛しており、また愛されたいと願っている。フェンリルは「エンジェルNo.1」と呼ばれ、多くのエンジェルを指揮下に置いてはいるが、すべてのエンジェルを支配できる存在はロストナンバーのみである。 本来役目を同一とするノヴァとは、意見の対立により袂を分かっている。
ノヴァ
黒江徹に仕えるべき存在として、アウトフィットによって造られた男性型人造人間。「Nシリーズ」とも呼ばれ、また「ノバ」と表記されることもある。全員が「アウトフィット」によって最初からノヴァとして作られた人造人間である。幹部の1人にギルバートがいるが、すべてのノヴァを支配できる存在はロストナンバーのみである。 本来役目を同一とするエンジェルとは、意見の対立により袂を分かっている。
場所
聖ヘレナ学院 (せいへれながくいん)
世界の独裁者になる前に高校を卒業したい黒江徹が転校を繰り返すうちに辿り着いた、学校のような演出をされた、しかし学校ではない特殊な機関。生徒を演じている者たちは男女含めて全員が快楽主義者であり、徹と酒池肉林に溺れる。その実態は、ノヴァが作り出した、徹を覚醒させるための虚構の舞台装置である。ちなみに生徒のふりをしていた者たちは、ノヴァやエンジェルとはまた別の、徹の奴隷となるために作られた下級の人造人間である。
九龍学園 (くーろんがくえん)
モールが作り上げた、世界征服を目指す尖兵たちの拠点およびその組織で、表面的には学校機関のように振る舞っている。D-12の死体から取り出したD因子によって、多くの生徒たちが改造人間にされている。黒江徹によって壊滅させられた。
その他キーワード
ロストナンバー
アウトフィットが世界の支配者になるべき存在として作り出した、17体の実験体。「Dシリーズ」とも呼ばれる。16番目までは「失敗作」と判断されたが、その最後の一体となる「D-17」が黒江徹である。すべてのロストナンバーがエンジェルやノヴァに対する絶対的な命令権を持っているが、16番目までのロストナンバーズはすべて廃棄されたこととなっているため、実質的には徹のみが命令権を持つものとされている。
D因子 (でぃーいんし)
ロストナンバーたちが有している、特殊な遺伝的素因。性行為を通じて普通の人間の女性に影響を及ぼすこともでき、身体能力、容姿などを劇的に変化・向上させるが、その相手はエンジェルになってしまう。ちなみに「D」という頭文字は「デビルのD」であるとともに「ディクタトール(独裁者)のD」でもある。
クレジット
- 原作
-
豪矢大介
- キャラクター原案
-
藤渡